松田鐵藏の発言 (国土総合開発特別委員会)
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○松田(鐵)委員 たしか二十九年の年だろうと思いますが、乳製品が非常に滞貨した、約五十億の滞貨があったということで、だいぶ外国製品を入れるなという意見が広まって、その後乳製品は入っていないような状態になっておる。ところが、先ほど小平君の報告にもあった通り、北海道だけにしても相当の牛乳が生産されておる。そういうことになりますと、生産コストは相当安くなっているはずだ。しかも三十年からでありましたか、非常に暖かいために、ほとんどアイス・クリームになって売れ行きが非常によかった。そういうことで乳価は下らない。むしろ奨励金を出しておったのが、昨年までの話であった。ところが、今年になって内地においては少し寒かった。そういうことで、アイス・クリームの売れ行きがちょっと鈍った。そこで乳製品が少しく滞貨の気がまえになったということによって、今まで非常な競争をしておったメーカーの会社は、このときとばかりに乳価を下げようということになった。私は考えてみるのに、たとえば北海道の雪印バター会社においても、何億とかかっておる工場が何カ所も新しく作られておる。こういうことによって、いい現われとして、コスト安になっていって、農民の経済が安定になるものだとばかり思っておった。そういう工場は、決して利益がなくて立っていないものだと思っておったのであります。利益がなくして、たとえば中金であろうと、ほかの銀行であろうと、融資などというものは出るものではないと思う。そうした利益のあるときは黙ってふところへ入れておって、少し滞貨があるという気がまえになったということで、乳価を下げなければならないという議論は、これから北海道や東北の農民にとって、非常な大きな不安と打撃がここに生まれるものではないか。安定した乳価を作り上げることが最も正しいことであろうと思うのでございます。一カ町村なら一カ町村で一つの工場が建つようになるまで牛乳が集荷されるようになったときは、むしろコストは非常に安くなることであって、外国製品よりも非常に安いものが消費者に売られなければならないと思うのでございます。現在四十円とかと聞いておりますが、四十円からの乳価とするならば、優にバター一ポンドが二百六十円くらいで売れる性質のものだと私どもは考えておるのでございますが、現在まだ四百円で売っておる。こういう点も少しく矛盾があるのではないかという考え方を持つのでございます。こういうことは、企画庁としても十分考えていかなければならないことであろうし、農林省としても、十分この点に対する考え方を新たにして持っていってもらわなくてはいけないことだろうと思うのでございます。よろしく一つその内容を御研究になって、いつかの機会に提出を願いたいと存じます。
次に、農林省において寒地農業振興計画というものを作られておる。まだこれははっきりした成案ができたわけではないのでございますが、先ほど小平委員の報告の中にもあったように、北海道の奥地においては、土地改良の点に対しても、それからまた気象の状態からいきまして、営農が非常に不振である。これを改良していかなければならないという点から、農林省は昨年の冷害にこりて、これを冷害のない農業を作り、営農させなければならないというので、こうした案をせっかく作りつつあるのでございますが、この案の内容を見ると、一番大きなものが欠けておる。それば土地改良と土壌の改良が少しもこれに記載されていない、こういう点でありますが、土地改良なくして、いかにこの振興計画が作られても、とうていそれは何もならぬことだろうと思うのでございます。これに対して、土地改良と土壌の改良を加味した寒冷地農業の振興方針を作り上げなければ、何もならないと思うのでございます。
ところが、先ほど小平委員からの報告の、パイロット・ファームについての全くりっぱな営農方式があそこにでき上っており、その付近の開拓者を見ると、補助によって——相当の補助があったはずだ。しかし、土地は機械でやったわけじゃないので、四寸か五寸に起されておる。道路は非常にまずい道路になっておる。それから同じ土地でありますから、黒ぼくの土地である。それが一つの例でございます。それが土壌の改良が少しもされていないために、パイロットは、昨年耕作した土地で、今年三千斤のビートがとれておる。一方、終戦後入った農民は、千五百斤よりビートがとれていない。こういうことが、はっきりと今年の秋になってわかった。これらは一たん補助をやったのであるから、あとは補助ができないのが現在の規則になっておる。これらがわずかに一反歩に対して二千円くらいでもって深土耕ができ、四千円くらいかけると、土壌の改良ができるようになっておる。一反歩六千円というものを新たに出してやったならば、パイロットとほぼ同様なものがこれによってでき上るというように説明されて参ったのでございますが、こういう点に対して、何といったところで、北海道の経済というものは、農民がほんとうに豊かにならなかったならば、成り立たぬものであると私どもは信じておる。この点からいって、一つの機構がそういうことになっております。この寒地農業の振興計画というものに、その土地改良と土壌の改良というものが加えられなかったならば、農業の振興というものはでき得ないものでないかと思うのでございます。こういう点に対して、農林省はどのように推進されるお考えを持っておるか、その点を承わりたいと思います。