佐久間菊藏の発言 (地方行政委員会)

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○参考人(佐久間菊藏君) この発生につきましては、ただいま課長さんあるいは部長さんから、この経緯について官庁の方の、私ども上りました経緯についてはお話がございましたので、これを略しまするが、要するに、今回の放流の事態は、御存じのごとく、千華県と東京都の境の江戸川水系でございますので、若干趣きも違っております。また、土地柄と申しますか、そういったことにつきましても相当の開きがあるように考えられます。もちろん、浦安町と葛西のあの両河面に属する漁業の形態はほぼ同じでございます。従いまして、組合員の数もほぼ匹敵しておりまして、利害関係はおのおの五分の立場に立っておると考えます。ただ東京都の葛西の場合は東京都に属しておりまするが、浦安町の漁師町と違いまして、半農半漁の形態が浦安町よりも多いようでございます。会社側は、この交渉に当りまして、私ども最初に上りましたのは五月十二日でございまするが、先ほど部長さんのお話がございました通り、四月の二十三日に陳情書を提出してあります。それは先ほどお話がございました通り、内水面関係の組合が、御存じの通り内水面の漁業権というものは、放流事業、すなわちコイとかフナとかあるいはウナギ、またはアユ等の稚魚を放流する義務を持っております。その義務とすることにおいて河川漁業の漁業権を獲得するということになっておりまするので、そういったことの実情をよく書面に書きまして、この事実の損害についての内容を書きまして、そうして何といってもあの大量の放流を完全な処置をしていただいて流してもらいたい、さもなければあの放流を中止してもらいたい。しこうして四月の一日からあの事業を始めて黒い水を流しておる期間の、五月十二日に至る約四十日間のこの黒水に対する損害の補償のことも考えてほしいというような文面でございます。それを四月の二十三日に提出しております。その後二、三回、これは二、三人で、日にちは忘れましたが交渉にごく内輪で伺いましたが、電話等で伺いましたが、何の反応もありません。たまたま五月の十二日の、潮どきの関係と申しますか、あの水系が極度に黒く変色いたしましたので、地元が相当に騒ぎだしましたので、千葉県の浦安町の本組合の組合長と私と、また理事が一名ずつ付きまして、四人で最初の会見をしております。そのときには工場の方は朝永総務課長がただ一人会見に当っておりまするが、あなた方の申されるようなことはないと思う、そういったことは初耳だというようなことで、会社の幹部とよく相談をして善処しましょうというぐらいな抽象的な回答で別れております。次に、十三日にも同じように、放流をとめてもらうかあるいは何とか処置をしてもらいたいということを申し出ましたが、やはり前日と同様、会社の幹部とよく相談して善処しましょうというようなことを申しております。そうして、今までの御迷惑をかけていることについては、何らかの形においてお答えをしましょうという程度の回答をしております。
 十五日、十六日、十七日というように行っております。十七日は会社の幹部の四名が船に乗りまして、水系を調べましたが、あいにくの雷雨で中止しております。その後ずっと交渉に入っておりましたが、徹頭徹尾、幹部のいわゆる本社の重役連中と相談をして、はっきりと会社でも善処をするということを二、三回繰り返しておりましたが、様子を承わりまするところ、会社側は五月中においては、本社の重役連中とは一切話はしておらないようでございます。会社の工場長、以下各課長、部長程度の者が会社内において相談をして、どっちかといいまするとあまり誠意は示しておりません。たまたま二十四日、浦安町の漁船約三十隻、推定でございまするが、三百名程度と思います。東京側が約七十名、こういった数で、すべて船で行きまして、放流個所を見まして、そうして会社に中止してもらうよう強力な交渉をいたすべく上りましたるところ、若干の小ぜり合いがございまして、会社から汚水の流れる水のマンホールのふたをあけましてそれをとめた、れんが等を入れてとめまして、事務所等のガラスも二、三枚破壊しておりますが、そのときに小松川警察署長さんみずから、三十名程度の警官が来まして鎮撫しております。代表者が会社の事務室に入りまして、約、代表者が八名程度と思いますが、会社側で新旧工場長、その他事業部長、職員の組合長等が会いまして、すでに破壊によりまして工場の水はとまりましたので、やむなく工場の黒い水を流すことは中止しております。しかしながら、従来からやっております白い水の出る方の機械は運転しておりました。そのときの会見におきまして、白い水の流れる機械はともかく、今まで障害はあったけれども、無害とはいえないけれども、この程度のものば会社の立場もあるから黙許してやろう。黒い水を流すことについては被害もおいおいはっきりしてくる段階にあるから中止してほしいということで、会社もそのときの私どもの気持をのみ込みまして中止しております。たまたまその間、いろいろ会社の経営面において黒い水を流す機械も回さなくちゃならないということで、浦安の本組合あるいは葛西等に、会社の事業部長あるいは事業課長等が、何とか黒い水を流すことについて了承していただきたいと、それについては損害をこうむっていることについてもはっきりすれば御相談に応ずるというような、いわゆる懐柔政策といいますか、そういったことで個々に訪問をしております。しかしながら、損害をこうむったことよりも、むしろ今後黒い水を流してもらうこの事実こそ漁民の最もおそれることだというので、強硬に、この点はいれませんで中止方を、はねております。しかるところ、五月二日にそういった交渉段階において流しております。約この間五日か六日続けております。そうして、先ほど設備課長さんからお話がございました六月の四日か五日に都の方へも参りまして、都の方の勧告によって中止しておりまするが、先ほど設備課長さんからお話がございました、監督官庁に私どもがお伺いをしたということは、あの大量の汚水を、会社が何の施設もなく——参考までに申し上げまするが、あの鉄管、約四十五センチか五十センチであろうかと思います、直径。その鉄管から二本どうどう出している大量の水というものは、会社で言うごとく、大したあなた方に損害を与えるほどの悪い水じゃないということもわかりまするが、問題は多量でございます。しかも薬品が入っているということは、ことしのドライも関係しておりまするが、下流に参りますると、海の水も相当にありまするので、塩水ということば言うまでもなく、いろんな薬品の作用を起すものでございまして、化学作用といいますか、酸化作用といいますか、非常に黒く変化するのでございまして、かえって下流に流れていった方が黒く変色をするという、こういう事態になっておりますので、あの大量の水を流すということは、何か工場法あるいは都条例等において、工場の取締規則に抵触していないかということをお聞きするために監督官庁の方へ上ったような次第でございまして、その措置は、先ほど課長さんから申された通りでございまするが、私どもがたびたびそういったことで取締りの点についての疑問はないかということで官庁の方へお願いをしております。その間、お話もございました通り、いろいろ水産動植物についての試験場の試験もございまして、はっきりと、程度のこまかいデータは別としましても、はっきりと損害をこうむっているということは、科学的にもこれは調べておられまして、また長年の漁業を専門にやっております私どもの勘からいいましても、当然これはうなずけることなのでございます。一たびノリの養殖時期ともなりますると、この損害はむしろ大きいのじゃないか。ノリの生活史上における夏のノリの胞子の潜伏時期といいますか、そういったことについて、かよわい胞子の潜伏期においてこうした沈澱する悪い水が流れたならば、ノリの胞子も減るのじゃないかという一つの憂いもいえるわけでございます。幸にしてノリの時期ははずれておりますので、まだ損害は少いということがわかるわけでございます。
 たまたま、そういったことでございまして、先ほどちよっと部長さんからお話がございました、七日から八日につきまして仲介人が入っております。これは、こういった紛争の中に入る仲介者というものの人格は、いずれにいたしましても、非常に巧妙な手段を使っておりますので、私どもも一時まかした形も出たわけでございまするが、よく調べてみますると、会社の、極端な言葉でございますが、回し者といいますか、会社の回した人物でございまして、あの組合は会社の言い分を賛成したから君たちも一応のんだらどうだ、ある組合に行けば、東京都側は納得したから君たちも納得をしろというような手を使っております。結局、それというのもあとでばれましたので、それはとうとう立ち消えになりましたが、たまたま六月の九日の夜というものは、東京都あるいは浦安町の両方の関係において夜も寝ずに騒然といたしまして、ついに十日のあの事態が惹起した次第でございまするが、以上でございまして、なお諸先生方の御質問についてまたお答えをしたいと、かように存じますので、以上をもって私のお話を終ります。

発言情報

speech_id: 102914720X00319580620_007

発言者: 佐久間菊藏

speaker_id: 29399

日付: 1958-06-20

院: 参議院

会議名: 地方行政委員会