堀本宜実の発言 (農林水産委員会)
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○堀本宜実君 大きい問題については、すでに多くの人から議論があったようでありますから、私はこまかいことについて少しお尋ね、ないしは要望をいたしておきたいと思うのであります。昨日芝浦屠場の係員に聞きますと、ホルスタインのまだ妊娠し得る、まだ使い得る乳牛が上ってくる、こういうことを聞きました。また地方からの状況報告によりますと、実に売買移動がひんぱんである、こういうことなのであります。これは私は現実に見た例でありますが、赤い紙に「乳は安くとも乳牛を手放すな」と書いた酪農組合のはり札が電信柱に、あるいは家の辻々に張ってあるのを見ました。全く私は今の酪農問題は危機である、こういうふうに思うのであります。農家というものは――私が農家の経済状態を説明するまでもなく、御承知のように非常にもろい経済、浅い経済でありますので、一度この危機に直面いたしますと、将来の見通しが立たないという不安のために、現実の乳牛を手放す、これをいかにして防止するか、これが一番早い当面とらなければならない問題だと私は思う。こういうことを一体考えておるかどうか、この問題がまず一点であります。私は、あとに質問者があるようでありますから、重ねて順次申し上げてみたいと思うのでありますが、それがそういう状況である。従って、その緊急処置をすみやかに講じなければならないと同時に、その緊急処置の中には、ただいま問題になっております学校給食の拡大あるいは乳製品の海外からの輸入の禁止の問題、あるいは乳製品製造の経営の合理化をどうするかという問題、これはもう私もこの間の大会に出て聞いたのでありますが、切実な要求がございました。これはすでに政府におきましても取り上げておられるのでありますが、そういうことは聞きながら、どうしようという答えが出ておらない。この緊急問題はまだ多くあると思いますけれども、今申し上げたような三つの問題を――経営の合理化と言うけれども、経営の合理化をはからなければならない、そういう指導をする。促進をすると言うけれども、一体、どういう具体性を持っておるのかということが重大な問題ではないか、そうでなければならぬと私は思うのであります。その他乳製品だとか、あるいは牛乳の消費の消費の拡大の問題もございましょうが、私は、そういうようなものをとにかく当面の緊急事態に即応するために速急にやらなければならない、今考えておると言うだけでなしに、直ちに実行に移さなければならない時期ではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。そこで、生産費の低下ということを、じみな問題だが、生産者の方からも考えてみなければならない。政府あるいは農林当局にそういうことだけを要求するというだけでは私はいけないと思うのです。生産の合理化、生産費の低下というものは、一体、どうすればいいのか、こういう現実の問題を研究しなければならないと私は思うのであります。そこで、生産費の低下をするために、一体、どういう処置を講ずるか、これが問題なのであります。これに対しましては、たとえば保健所でありますとか、あるいは県の畜産課でありますとか、あるいは酪農組合でありますとか、いろいろな団体がこれにタッチしているのでありますが、これに関係を持ちます技術者の総合的な、つまり技術の何といいますか、集団化といいますか、つまり、三と三と足して六という答えでなしに、掛け算でいくような、九の答えが出るような総合的な関係を持たせなければならないのではないか、そういうことが私は欠けておりはせんか、行政の方面からそういう指導が欠けておりはせんか、技術者をフルに動かして牛乳を生産する、あるいはいろいろな障害を除去する、あるいはまた経済飼育という問題がございます。今の牛乳の生産費を調べてみますと、その飼料がとにかく六〇%までかかっておる。その六〇%のうちの大部分が購入飼料であります。私は乳の量は下ってもいい、粗飼料で、自給飼料でもう少しやらせるような方法、指導が必要なのではないかと思うのです。それには経済飼育とか経済的な母体の改良あるいは分泌量、そういうものによって、あるいは初産であるとか、あるいは経産牛であるということによっても違いがございましょうが、そういうものにどういう飼料を配合してやることが、牛に乳を出させる場合に一番必要な飼料であるかという献立表を農家自体に作らせるような指導まで考えなければ、私は生産費の軽減なり、低下なりになってこない、こう思うのであります。それはしておると言うけれども、それは上っつらだけではいけない。新しい時代に沿うて、そうして直接に指導をするためには技術者が足りないのであります。そうして官庁やあるいは保健所におる技術者だけでこれをまかなおうとしているところに問題がある。少くとも酪農組合であるとか、あるいは畜産組合であるとかという自主的な民間団体にそういう技術者を溶け込ましておいて、そうしてそういう組合の技術者と行政的な指導をする人とが総合的な、先ほど申し上げたような総合的な力の結集というものをやっぱり指導をしていくということが大事なことなんです。そういうことに欠けております。こういうことは農林省においてお考えになるのじゃなしに、地方の声をよくお聞きになって、そうして適切な指導をやられますことが、生産費低減の一大要素である、私はさように考えておるのであります。
もう一つ、じみなことではありますが、出てくる肥料というようなものも、相当乳牛には濃厚飼料を与えますのでその有機質肥料、糞尿の肥料、そういうものについても、そういうものが廃棄物であり、乳とは何の関係もないと言うけれども、生産費というもの、そのコストというものを研究し、なるべく安く生産をさして、そうして供給しようというような考え方に立つならば、私は有機質肥料というようなものがいかに有効であり、どういう保存をし、どういう有機質肥料の作り方をしなければならぬか、これも長い間唱えられてきた問題だが、そういう指導が足りない。それが少くとも畜産とは別な形で考えておられる向きがあるようであります。私は、畜産局において乳を、牛やその他動物だけの問題に限って考えるだけでなしに、関連した農業経営というものが溶け込んだ総合的な指導というものをしなければならないのではなかろうか、こういうふうに考えるのであります。その点を特に申し上げておきたいと思います。
もう一つ、先ほど来厚生省、文部省からお話がございまして、おいでになっておるようでありますから、当るか当らないか二、三申し上げてみたいと思いますが、先ほどの畜産局長の言葉によりますと、学校給食でも予算の問題がまず第一だ、予算をくれるかくれないかが問題だ、こう言う。これは私はこれ以上申し上げませんが、おそらく今の段階で予算をつけない、これは私は学校給食の予算の増額がないはずはないと思う。そこで、もう一つの問題は、学校が賛成するかどうかわからないとあなたは先ほどおっしゃいました、これは学校によりますと違うところがあります。また父兄も賛成しないところがある。それは配給をするときに非常に誤差が多くて間違いが多いから、そういう指導をしなければならぬ。一斗カンで持ってくる、五升カンで持ってくるので脂肪が上に浮いておる。先に飲んだ方が得だというので、先にすくうて飲むということから、あとに残ったものはかすばかりじゃないかという非難がある。なぜ、そういうつまらぬささいなことならば、注意ができないか。均等に、あるいは混合し攪拌をして配分する、しかも、その一合なり二合なり、器によってはからなければならない。私はきのうこの問題についてずるい話を聞きました。もう少し、まだ足りないぞ、こう言うのだ、そうすると子供ですから、配給に来た子供がもういいと言うと、いや、まだまだ、きりのところまでこないというようなことで……、そうすると、何人かしまいに足らないものが出てくる。泣きの涙で、もう牛乳はいやだといってやめた学校があるということを私は現実に聞いた。そういうこまかいことだけれども、学校が賛成するかしないかという問題を提起するならば、そういうこともあるということを考えて、いかにして合理的に、最も衛生的に、最も都合よくやれる方法があるかどうかということを研究すべきだと私は思う。ただ、ひしゃくやその他の器でくんで何人かに配っていくというようなやり方だから、そういう結果が起るのではなかろうかと心配をいたしております。
それからもう一つ、これは環境衛生でございますか、その方面の方にお願いを申し上げたいと私は思う。先ほどお話がございましたが、集団飲用あるいは工場の集団飲用等もいろいろございましょう。そういう場合に事業場、職場が個々に分れておりまする場合には、一合ないし二合というびんに入れて配らなければならないと思いまするし、また指導の基礎となっておる衛生的な見地から、果してこれが最良のものかどうかという疑問がある。今後大きい器で、あるいはカンで配給をすること等も考えなけりゃいかぬ、こういうことなんです。これが私は、考えると言うが、いつまでお考えになるのか知りませんが、少くとも集団飲用という文字が示す、実態が示しておる限り、これが個々に一合びんで持っていかなきゃならないなんという規則をお持ちになること自体が私は間違っておると思う。もし消毒が不可能ならば、消毒をし得る方法がある。カンの消毒なんというのはごく簡単に消毒し得る方法がある。だから、それを今なお一合びんで配給しなければいけないときめておられること自体が、私は消費の拡大なんといったってみんな足並みがそろわない原因になると思う。すみやかにこういう問題は考究されて、簡単な消毒のできるものをいつまでも消毒できないといって放任することは、私は怠慢だと思う。これだけ農民が苦境に立って赤信号といいますか、赤信号どころじゃありません、先ほど申し上げましたように、牛を手放さなければならぬというような場面に直面をいたしておりまする当今、そういうような集団飲用で一斗、二斗取る工場にわざわざ一合びんで持っていかなければならぬということは私は意に解せない、心配をいたしておるのでございますので、そういう点についてもお考えを伺いたいと思うのであります。以上私の質問を申し上げたいと思います。