左藤義詮の発言 (内閣委員会)
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○左藤国務大臣 小松島付近におきまして、非常に申しわけない事件が起りまして、私の方から当委員会に御報告、おわびを申し上げようと思っておりましたが、それに先だちまして、飛鳥田委員から非常に適切なお話がございまして、新聞等でもいろいろ伝えられましたことでございますが、私どもの方で現在調査をいたしました事件の概要を御報告申し上げます。
今回の演習は紀伊水道の防備演習、外洋から紀伊水道を通って大阪湾へ潜水艦が侵入をいたします。それを防備する。こういう演習をいたしたのでございますが、徳島航空隊所属のS2F、対潜哨戒機でございますが、このS2F二機をもって、私どもたった一隻だけ持っています潜水艦「くろしお」、これが潜水して大阪湾の方へ進行して参ります。それを標的として磁気による水中探知を行い、これに発煙筒を投下いたしまして潜水艦の動静を確認する訓練でございまして、爆撃の演習ではないのでございます。磁気によって探知いたしまして、その所在と思わしいところへ発煙筒を投下いたしまして、それからその次にまた二分ほど置きまして落しますと、その二つの点によって潜水艦が進んで参ります速力なり方向なりがわかります。それに対して攻撃を加える、こういうことでございまして、その位置あるいは速力を探知いたしますために発煙筒を落して確認する、こういう演習をいたしておったわけでございます。ところが「くろしお」を目標といたします訓練におきまして、一機はこれを目標にいたしておったのでありますが、これの僚機として空中に待機しておりました佐々木という三佐が機長でありますS2Fは、たまたま通りかかった須磨丸を目標に選んだものと思われるのでございます。この須磨丸の上空で実施をしました訓練は次の通りでございました。十九日の十一時二十三分、飛行高度三百フィート、時速百四十ノットで須磨丸の上空に参りまして、その航跡、船そのものではございませんで、船の通りましたあとの航跡に、二分間隙をもって三発の発煙筒を落しました。先ほど申しまするように、この二個の発煙筒によって目標の速力と進行方向を探知するというつもりだったのであります。ところが三発目は、機長が訓練の終了後、搭乗員に所要の指示をするためインタフォーンのボタン——ボタンを押さないと通話ができませんので、ボタンを押して通話しようとしましたところ、あやまって投下ボタン——同じハンドルの両方についておるのでありますが、それをあやまって投下ボタンを押しましたために、発煙筒が落下いたしたのであります。前の二つは航跡でありますが、これをあやまって押しましたために、須磨丸の前方三メートルばかりに落下いたしました、こういうことでございます。先の二発につきましては、投下いたします際には、計器面において飛行機の実際速度より少い仮定速度、当時の実速は百四十ノットでありますので、かりに百ノットといたしまして、これを計器に反映いたしまして、意識的に誤差を作っておりますので航跡に落ちるのでありまして、目標は必ずはずれるということになっておるのでございまして、最初の二発はその通りに落下いたしたのであります。ところが三発目は先ほど申しましたようにあやまって落下いたしまして、偶然命中いたしましたのは、結果から申しますと、飛行機の速力が落ちておりますために計器面の仮定速度に近くなっておった際、運悪く先ほどのようにボタンを押し違えましたために、かような事態になったと存じます。
そこで民間船を目標にするのかということにつきましては、こういうことは私どもの方では指示をいたしておりません。「くろしお」の方を一機がやっておりますので、それを待っております間、他の一機が熱心の余り実施いたしたにいたしましても、たまたま通りかかりました民間船を目標として発煙筒を投下し、乗客に危険感を生じましたことは、まことに申しわけないことであります。今度の演習につきましては海幕長の指示をもって、一般船舶の航行等を妨害しないよう特に注意を与え、各級指揮官もこれに応じて実施上配慮することになっておりますが、このような事件を起しましたことはまことに遺憾でありまして、もし必要でございますれば警務隊等におきましても十分調査いたしまして、今後この種の事故が再発しないよう万全の措置をとりたいと存じております。なおとりあえず、事故が起りますと同時に、現地に私どもの職員を派遣いたしまして、十月十九日には徳島航空隊の十二飛行隊長江上三佐が、南海汽船の小松島営業所及び須磨丸に謝罪に参り、呉地方総監部より防衛部長の古川一佐が十月二十日、和歌山の南海汽船の本社及び須磨丸に謝罪に参りまして、御迷惑をかけたことを衷心恐縮いたしておる次第でございます。
先ほど米軍の人命軽視等のことがありませんよう、十分米側とも連絡善処したいと申しましたが、かような——むろんこれは爆弾ではございませんで、ついでに大きさを申し上げますと、発煙筒と申しますのは海に浮いておって煙を出すのでございまして、長さ四七センチ、直径七・三センチ、重量一・六キログラムのものでありまして、非常に煙を出すのでありますが、そういうもので先ほど申しましたようなあやまちをいたしましたことにつきましては、皆様にも心からなるおわびを申し上げる次第でございます。