楢橋渡の発言 (本会議)

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○楢橋渡君 ただいま議題となりました昭和三十三年度一般会計予算補正(第1号)及び同特別会計予算補正(特第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本予算補正二案は、去る十月二十八日予算委員会に付託され、二十九日政府より提案理由の説明を聴取し、同日より四日間にわたって審議し、本日討論、採決されたものであります。
 一般会計予算補正及び特別会計予算補正中の貴金属特別会計にかかわるものは、本年度に発生を見ました災害に対するものでありまして、その歳出追加の内訳は、二十二号台風による風水害を初めとし、干害、凍霜害の被害対策費等八十億九千八百万円及び予備費十億円、合計九十億九千八百万円であります。
 以上の歳出の追加に必要な財源は、日本銀行納付金の増加等、おおむね現在までに確定した税外収入の増加によるものであります。
 また、特別会計予算補正の中で、産業投資及び国債整理基金の両特別会計は、産業投資支出に充てるための百八億円に相当する外貨債募集に関する所要の補正であります。
 以上が今回の予算補正の内容の概略であります。
 なお、政府は、特に中小企業の年末金融資金及び災害復旧資金の需要等を考慮いたしまして、国民金融公庫、中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対しそれぞれ二十億円、日本不動産銀行に対して十億円、計七十億円の政府資金を追加するとともに、必要に応じて三十億円繰り上げ使用を認めることにいたしております。
 次に、委員会における質疑について若干申し上げます。
 質疑の第一は、日米安全保障条約改定問題であります。すなわち、「政府は日米安全保障条約改定の交渉に着手したが、交渉に当っての日本政府の基本的態度、条約の内容、特に防衛区域、米華相互防衛条約、米韓相互防衛条約等との関係、また、今次の改定によって日本は第三国間の戦争に巻きこまれる危険を生ずるおそれはないか」等の質疑が活発に行われたのであります。
 これに対して、政府は、「交渉の基本的態度としては、日本は独立国として米国と対等の立場で交渉し、その条約の性格も双務的なものとすることを建前とするが、現行憲法の規定から完全な双務性は許されない。防衛区域については、条約の双務性からすれば、日本の防衛区域については各種の場合が考えられるが、海外派兵を許されていない憲法上の制約があり、また、日本の立場からいって、なるべく狭くすることが望ましいと考える。この際問題となるのは、米国の施政権のもとにある沖縄、小笠原を防衛区域に入れるかどうかということであるが、日本と運命をともにしたいという現地住民の気持のあることも動かせない事実であるから、この問題については、国内世論等をもよく考え、慎重に検討したい。また、本条約締結により、他国間の戦争に巻き込まれるものとは考えられない。その他、具体的事項については、いまだ決定していない。」との答弁がありました。
 次には災害復旧対策費についてでありますが、一、「二十二号台風による被害は、地域は狭いが、被害程度はきわめて深刻であるから、補正予算に計上された追加額ではまかなえないのではないか」、二、「伊豆地方については、復旧事業費は被害額に対して平均六四%という低い率で査定されているが、その根拠いかん」、三、「災害復旧に当っては、原形復旧の原則を改め、改良工事として施行し、同時に、完成年限を従来の三カ年を二カ年程度に短縮し、被災民の生活を確保する必要ありと認められるが、これに対する政府の所見、また、小河川や小地域の災害復旧に対する施策いかん」等の質問が行われました。
 これに対して、政府は、一、「二十二号台風による災害復旧事業費予算は現在までの被害報告額七百二十二億円を基礎として査定したものであって、予備費で措置済みのものと、及び措置することの確定した分は、風水害等二十九億円に達しておるし、また、さらに予備費も計上されておるのであるから、今回の補正額でまかなえる見込みであるが、万一、今後なお施策をしなければならぬ事態が起きれば、政府としては適当なる措置を考慮する」、二、「事業費査定の根拠は、従来三カ年の査定実績による減率を乗じて算出したものであって、特に低くしたということはあり得ない」、三、「原形復旧を改良復旧とすることについては、狩野川の復旧工事については特に改良復旧とし、しかも、二カ年で復旧を完成するよう初年度七割を計上し、来年の雨季前に大筋の復旧ができるよう取り計らい、また、農地その他の復旧に資するようにした。小災害の復旧事業については起債の方法でまかない、これが元利償還等の経費は、地方交付税配分の際の基準財政需要の率を引き上げることによって処理したい。」との答弁がありました。
 次は、外貨債発行についてであります。「最近のわが国経済は、外貨事情も好転し、また、国内金融も漸次緩和の方向に向っており、不要不急の面にも資金がかなり流れていると考えられる。米国の金利も上昇ぎみにあるとき、百億程度の外貨債を発行するより、民間資金を財政資金として活用するよう適当な方法を講ずればよいではないか。また、外貨債発行の条件いかん」等の質疑が行われました。
 これに対して、政府は、「経済の正常な発展をはかるためには、常に資金の手当をしていく必要がある。最近の外貨事情は確かに好転し、年度末までには黒字三億ドルをこえることは容易に見通されるが、明年度以降の経済の成長を考える場合、このままの黒字上昇を続けることは見込まれない。民間資金は最近ゆるみがちになっているが、内国債発行等によって民間資金を財政資金へ導入することは、民間資金を圧迫することともなり、また、通貨価値を不安定ならしめるおそれもある。民間資金は、あくまで自主的規制により基幹産業に流れるようにして景気のささえとしたい。日本経済の将来の発展を考える場合、この機会に外貨債発行という道を作っておくことが妥当と考えられる。外貨債発行条件は、現在世銀の貸付利子を一応の目途とし、それより若干上回る程度を考えているが、米国金利も上昇ぎみにあり、見方によっては発行時期を失しているのではないかとも考えられるが、不利益な条件の場合には再考慮することもあり得る。」との答弁がありました。
 以上のほか、民主政治のあり方、警察官職務執行法改正、防衛庁の次期戦闘機決定の問題、景気対策、糸価対策等、国政の諸般にわたって活発な質疑が行われたのでありますが、これらについてはすべて会議録に譲ることを御了承願いたいと思うのであります。
 本補正につきまして、本日、社会党より編成がえを求めるの動議が提出されました。すなわち、その要領は、第一、災害対策、第二、当面する失業者等の生活保障対策、第三、不況による農林漁民の所得減少防止対策、第四、中小企業の経営近代化促進対策、第五、勤労国民の生活向上対策、第六、地方財政負担補てん対策等、諸般にわたってその措置を講ずることとし、歳出増及び歳入減の財源措置としては、経済基盤強化資金の取りくずしと、防衛費のうち、本年度中に使用予定の物件費、施設費を削減充当することとしているのであります。
 質疑終了後、直ちに討論に入り、採決の結果、社会党の組みかえ要求の動議は否決され、補正予算二案は政府原案の通り可決されたのであります。
 以上、簡単ながら、御報告申し上げます。(拍手)

発言情報

speech_id: 103005254X01619581101_011

発言者: 楢橋渡

speaker_id: 20960

日付: 1958-11-01

院: 衆議院

会議名: 本会議