園田直の発言 (本会議)
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○園田直君 ただいま議題となりました国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両案につき、社会労働委員会における審査の経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。
まず、国民健康保険法案について申し上げます。
国民皆保険の達成を重要施策とした政府は、去る第二十八回国会において、これが基礎法として、現行の国民健康保険法の全面的改正を目的とする法律案を提出いたしたのでありますが、本院解散のため審議未了に終りましたので、今回再びほぼ同一内容の本法律案が提出されるに至った次第でございます。
次に、本法案のおもなる点について申し上げます。第一に、国民皆保険態勢確立のため、市町村に国民健康保険実施を義務づけたこと、第二に、国民皆保険に対する国の責任の明確化をはかるため、療養給付費及び事務費に対する従来の補助金を負担金に改めるとともに、療養給付費の二割はどの保険者に対しても負担することとしたほか、新たにその百分の五に相当する調整交付金制度を設けて、国民保険財政を調整し、負担の公平及び内容の充実をはかったこと、第三に、従来健康保険に比較して著しく劣っておりました給付範囲をこれと同一のものとし、また、給付の割合も、大多数の保険者が五割にすぎなかったのを、財政の充実とともに漸進的に向上を期することができるようにしたこと、第四に、国民健康保険における療養担当者制度の方式を改めて、開設者の申請に基く医療機関の指定方式を採用し、この事業に協力を希望するすべての私的医療機関が参加し得ることにするとともに、指定の拒否、取り消し等は地方社会保険医療協議会の議を経ることとし、さらに弁明の機会を与え、診療報酬については、従来の割引等を廃し、健康保険と同一とする等、その地位の安定をはかったこと等であります。
次に、国民健康保険法施行法案について申し上げます。
本案は、国民健康保険法案の施行のため必要な経過措置を定めるとともに、関係法律の整理を行おうとするものでありますが、そのおもなる内容について申し上げます。
第一は、国民健康保険の未加入者をすみやかに解消せしめる趣旨から、昭和三十六年三月三十一日以前においても、厚生大臣及び都道府県知事が未実施市町村に対して事業の開始につき勧告または助言を行うことができることにしたこと、第二は、昭和三十六年三月三十一日までの間は、現に事業を行なっている普通国民健康保険組合及び農業協同組合などの社団法人は引き続き国民健康保険を行うことができることにしたこと、第三は、国民健康保険法案において療養の給付の範囲を健康保険と同一といたしておりますが、これによる急激な影響を避けるため、当分の間、政令で定める範囲のものは給付を行わないことができる道を開いたこと等でありますが、以上のほか、経過措置といたしまして、療養担当者、被保険者の範囲等に関する必要な調整規定等を設け、また、国民健康保険税の賦課方法を整備する等、国民健康保険法案の施行に伴う必要な関係法律の整理をいたしておるのであります。
以上の二法案は、九月二十九日本委員会に付託せられ、十月十四日、橋本厚生大臣より提案理由の説明を聴取した後、審議に入り、数回にわたり熱心なる質疑応答が行われました。なお、両法案の重要性にかんがみ、二十九日公聴会を開き、全国町村会会長山本力蔵君外七名の公述人を招致して意見を聴取したのであります。これらの詳細につきましては、会議録により御承知願いたいと存じます。
かくて、本日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案について、自由民主党田中正巳君外二十四名の提案にかかる次の修正案が提出せられ、田中正巳君よりその趣旨の説明がありました。
その要旨は、第一、政府案において、被保険者は都道府県知事が指定した指定医療機関で療養の給付を受けることとしているのを改め、国民健康保険の被保険者は都道府県知事の登録を受けた医師、歯科医師たる国民健康保険医または国民健康保険薬剤師から診療または調剤を受けるものとし、国民健康保険の取扱いをなさんとするものは、その旨を都道府県知事に申し出て、これが受理されることを要するものとし、この場合、国民健康保険医または国民健康保険薬剤師がその診療または調剤に当るものとしたこと、第二、保険者は、善良なる管理者の注意と同一の注意を持って一部負担金の収納義務を果したと認められる療養担当者については、その負担とならないよう規定を整備したこと、第三、大部分の被保険者の収入を得る時期が限られているなどのため、窓口払いによりがたい市町村に一部負担金の保険者徴収の特例を設けたこと、第四、療養の給付期間を三年以上に延長し得る道を開いたこと、第五、保健婦に要する費用及び国民健康保険組合の療養給付費に対する国庫補助がそれぞれ三分の一以内、十分の二以内であるのを、三分の一及び十分の二の定率としたこと、第六、国民健康保険運営協議会を必置機関に改めたことなどのほか、両案につきそれぞれ関係条文の整理を行なったことなどであります。
次いで、二法案に対する右の修正案及び修正部分を除く他の原案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して柳谷清三郎君より、二法案に対する修正案及び修正部分を除く他の原案に賛成の意見が述べられ、日本社会党を代表して岡本隆一君より反対の意見が述べられたのであります。
かくて討論を終了し、国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案について、おのおのその修正案並びに修正部分を除く他の原案について順次採決に入りましたところ、それぞれ多数をもって修正議決すべきものと議決いたした次第であります。
なお、国民健康保険法案について、自由民主党並びに日本社会党の共同提案にかかる次の附帯決議を付すべき動議が提出され、自由民主党の藏内修治委員よりその趣旨の弁明がございました。朗読いたします。
一、政府は財政の許す範囲において、可及的すみやかに国庫負担率及び療養給付率の引き上げに努力すること。
二、療養担当者の権利保護、苦情処理のため公正なる中立裁定機関を設置すること。
三、調整交付金の算定の基礎となるべき療養給付費の見込額の算定に当つては、実績と相違が生じないよう努めるとともに、万一、相違が生じた際は、予算の補正等の措置を考慮すること。
なお、事務費に対する補助については、その実情にかんがみ、実質的にその全額を国庫において負担するよう措置すること。
かくて、本動議について採決を行いましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決いたした次第でございます。
以上、御報告申し上げます。(拍手)