八木一男の発言 (社会労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○八木(一男)委員 坂田さんの御誠意は、人柄から感じとれるわけでございますけれども、御誠意はわかるとしても、岸内閣なり自民党の誠意は実はちっともわからないのです。それで困るのです。岸内閣が貧乏追放ということを掲げられたことは知っていますが、実際は何もやっていないと同然だと思う。貧乏の問題がほんとうに日本はひどいですから、これを解決するために社会保障制度を完成しなければならぬというのは国民的な世論になっておるわけです。国民的な世論になるまでは社会保障制度の拡充であるとか、完成であるとか、福祉国家の完成であるとか、そういうことは保守党の人はほとんど言われなかった。世論が無視できないような状態になったら、これはやはり選挙その他の関係もありますから、そういうことを言い始められた。おそくともいいです。言い始められて、おそくてもいいですから、それなら本腰に完全にやってもらえばかまわないのですけれども、あとから入って言い始めて、それで貧乏を追放する、社会保障を完成するというようなことを言って、ほんとうはしないとすると、社会保障というのは制度上非常に複雑な問題ですから、一つ一つについてこれは不十分であるということは身をもって体得しても、国民全部がけしからぬじゃないかという理論的な根拠を持って攻撃するまではいかないわけです。そういう状態に便乗して、やらないくせにやったようにする。そうすると国民の方は、そのうちにわかりますけれども、やってもらえるのかしらんということで、自民党を支持なさる。ほんとうの国民の願望である貧乏の追放とか、社会保障の完成は一向に行われない。それでは日本国民が悲劇だと思う。自由民主党の諸君が、私のこの言い方に憤激をされまして、しゃくにさわる、社会党の倍くらいの案を出してやろうということになって下されば国民の仕合せですけれども、幾らばり雑言しても、そうはなさらないで、今のところはこのくらいの程度だということでごまかして、社会保障は、ほんとうはこのくらいのスピードの傾斜でいかなければならないところが、このくらいになる。そうすると完成するまでがおくれた間の国民は、不幸なままで苦しんで死んでいかなければならぬ。社会党や自民党はどうなったってかまわないが、その間の国民の不幸というものは、政治を担当する者として黙っているわけにはいかない。そういうところは岸内閣の閣僚をしておられますからお芳しい立場なんですけれども、坂田さんの個人的な良心とは別に、岸内閣というものは、社会保障の看板だけ掲げて中身は何にもない。ほんとうの動きを、そのから看板のためにとめているということをはっきり御認識になって、そうして憤慨なさったならば、その憤慨は岸君か佐藤君に向けられて、それでほんとうによくなるようにしていただかなければ困る。こういう場で、岸内閣はこうやっているという御宣伝をなさいましても、どんな言葉で言われましても、私どもは断じてそれは承知をいたしませんから、今後岸内閣の御宣伝は、答弁中にはなさらない方がいいんじゃないかと思います。
それから一年、二年で完成するものじゃないということを言われました。社会保障制度、特に年金制度というものは長期間の問題だから、完成までに時間を要するわけです。それだから最初からりっぱな目標を持ってもらいたいということを特に申し上げたい。政府が全部無拠出年金に踏み切っておられるならば階段的でよろしい。ところが政府は拠出年金制度を根本にしておられる。拠出年金というのは、今から積み立てて、それから後にでき上る。一部賦課方式も採用しておられない。完全積立金方式でやっておられる。それだったら最初から完全な目標に進まなければ、途中で困ったことが起る。それを一切やめて、同じだけの財源を全部無拠出に出すという制度に変えられるならば、一部分そういうような階段的ということも理由が成り立つでしょう。積立金方式をとっておられて、拠出方式をとっておられる。それならば目標は完全に最初から定めておかなければ、そのままでとまってしまう。ニュージーランドやイギリスの例など右顧左眄する必要はない。ニュージーランドやイギリスは一九三八年ですか、そういうような二十年前にやったもので、これは時代おくれだ。イギリスが社会保障の完成した国家だと思い込んでいる方は、時代おくれの考え方なんです。イギリスがどうあろうとも、ニュージーランドがどうあろうとも、日本はそれ以上のものを、貧困の状態からして作らなければならぬ。しかも今の時点でイギリスかニュージーランドか、そういう制度を作ろうと決心したならば、そのニュージーランドやイギリスの今の制度よりもはるかに高いものが作られるべきだ。昔の古くさいイギリスやニュージーランドの例でそういうものを判断しては、社会保障はとまってしまいます。日本が今初めてこれを作るのですから、世界じゅうが日本の例にこれからならっていくのだ、そのような勢いで作らなければいけない。それに三千五百円が最終目標だ、しかもそれは完全に納めた人だけで、普通は二千円くらいの平均だ、納められない人は年金がない、労働者の年金はほったらかしておく、そんなような年金では話にならない。ですからこの国会中に——予算は通ってもかまいません。拠出年金の方は二年後に実施でしょう。二年後ではおそいから、来年くらいから実施してもらわなければなりませんけれども、予算案なんかというような形式的なことにこだわらずに、厚生省自体で動かれまして、厚生省で出し直すというのが面子上工合が悪かったら、自由民主党から出されてもよろしいし、社会党と共同提案でもよろしい。とにかく六千円や七千円の案で出される意思があるかどうか。いろいろな意見を承わりましたという意見があった以上、当然それについての御配慮があってしかるべきだと思います。それについての御意見を伺いたい。