八木一男の発言 (社会労働委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○八木(一男)委員 今おっしゃった点、まあ三分の一くらいは了承してもいいのですけれども、あとは了承できないのです。さっきニュージーランドの例をあげられたときは、中の仕組みではなしに、程度の問題で申し上げたわけです。ニュージーランドでは二十年も前に作られた。それから社会保障というものが大事だということは認識されているのですが、程度の問題として、今発足するならばもっと高くなければならない。ところが、ニュージーランドが面積は狭いけれどもいろいろの国民生活が豊富であるという点はございます。これは政府は完全に計算済みでありまして、ほかの国はこうだ、日本の経済力はこうだから日本はこのくらいということを計算済みでやっておられるわけです。そういうことも頭に入れて、そういうように向うが豊かであるからこっちはこのくらいということだけをとられるのじゃなしに、ニュージーランドは二十年前にこのくらいの勢いでやったら、日本でこれから完成するときには、二十年たった進歩した世の中としてやっているわけですから、もっと高いものをしなければならない。そういうような国と国のバランスなんということは考えてはいけないことだけれども、政府は小さくするためにどうしたってお考えになるにきまっているのです。そういうことはいけないけれども、とにかく私の申し上げたのは時点です。二十年前にニュージーランドがあのくらいの元気でやった。だからそれといろんなバランスを考えられることはある程度いたし方ないとしても、二十年前にそれだけの元気でやったならば、今二十年後にやるときにはそれ以上の元気でやらなければならない。そういうことで、時点の問題をそういう問題にすりかえられては困る。
それからもう一つ制度の問題で、参考にするのはいいのです。しかし事情が違う点があるから、そのまま参考になりません。今おっしゃった例は逆なんです。収入の高い人にはたんさん負担してもらおうという考え方がイギリスの労働党にある。ところが政府の案は、保険料はフラットです。今の案は逆なことをやっている。そういうふうにニュージーランドやイギリスの例を都合のいいときだけ持ち出して、向うの進歩した点を入れなければならぬ点ははねのける。政府はいつでもそうなんです、外国の例を取り入れる場合は。そういうふうにニュージーランドやイギリスの都合のいいところだけをとって、都合の悪いところはほっといて、しかも向うは収入の高い人はたくさんとらせようという傾向にあるという例をあげて、出している法案はフラット、そんなことじゃ困るのです。ニュージーランドやイギリスはどうでもいいのです、日本の社会保障制度すですから。
そこで本論に入りますけれども、結局政府としては、ただいま案を差しかえる意思はないと一応言われました。坂田さんの良心的な点が現われた、ただいまという言葉をつけられた。それで政府の方でも、自民党にも熱心な方がおられる。それじゃ少いじゃないかという議論が出たら、当然、政党内閣ですから、閣議でやりかえるということもあり得る。また二年後の拠出年金ですから、一年くらいに早めてもらわなければならぬ、来年には必ず財政支出をするということを大蔵大臣が了承する、それならば今から法案を変えておこうということだってあり得るわけです。そういうことになったら閣議をやり面して、それで出されるということもあり得ると私は認識して進めたい、ただいまのところという御答弁ですから。自由民主党の方も当然修正される案を出されるとか、社会党案に全面的に賛成されて政府案を否決されるとか、そういうようなこともあり得る、そういう考え方で一つ坂田さんもお聞きになっていただきたいと思う。それからさっき小山さんがおっしゃいました、この前十月に橋本さんとやりとりの間に出た文言を利用してやられたんですが、社会保障制度審議会では十五%という経済伸張を考えてあの答申を出した。社会保障制度審議会というものは非常に権威のある審議会ということになっておりますが、この年金制度の答申に関する限り、私をして言わしめれば非常に間違った答申だ。とんでもない答申です。世の中の年金がりっぱにでき上る態勢を、あのとんでもない、いくじのない間違った答申でストップさしてしまった傾向がある。政府が社会保障制度審議会の答申を尊重するということは、設置法で内閣の義務なんです。ところが今まで制度審議会の通りぴちっとやった例は一つもない。特に医療保障勧告なんてものは十分の一もやっていない。そういうことはいけないことで、やってもらわなければなりません。しかし社会保障制度審議会の具体的な答申を上回ることを、やることは、答申の精神とは一つも背反しないのです。今まではそれを下回る、十分の一くらいのことをやっても、これでも尊重しましたなんということを総理大臣はぬけぬけと言って回っているような状態です。制度審議会を上回る案を出されることには一つも遠慮は要りません。そういう点で、制度審議会の案にとらわれる必要はない。制度審議会の方は経済伸張率を一・五%と見ておる。こんなものは小山さん言われました通り、とんでもない話で、これは社会保障制度審議会が自由民主党を、あるいは日本社会党を、あるいは日本の政治家全体をばかにし切った答申です。政府の方は、長期経済計画で六・五%という計画を進めておられる。ところが、おととしあたりにはちょっとへっこんだけれども、大体においてはそれに近いようなものができるということを方々で答弁しておる。社会党は来年度で、すぐことしでも政権をいただければ、計画経済をやって、政府の、今の自民党以上の経済伸張をやるつもりです。ところが今のところは自民党か日本社会党かどっちかが政権をとる態勢にある。〇〇党なんというのは政権をとる可能性がない。緑風会がとるとか、無所属がとるなんということは今のところあり得ない。そうすれば自由民主党か社会党ということになる。その両党とも、そのくらいの経済拡大をする意気込みでやっているわけです。それについては政府の方は企画庁の専門家が一生懸命計算をはじいて、それで理論闘争をして、それでこういった計画ができておる。大ぜいの知識のある人が全部やって計画をしているわけです。それを社会保障制度審議会で、社会保障だけに専念している人がそういうような根本的な問題を一・五と押えている。一・五と押えてあの答申が出ておる。これを四と押え、五と抑え、六と押えたらあんな答申は出なかった。それは制度審議会も、四と押えれば四が絶対できる、五が絶対にできるということで、根底において諮問を出し直したならば三千五百円なんて出てこない。一万円くらいに出てくる。そうすると社会保障制度審議会のほんとうの意思は、政府の経済拡大計画を根底にすれば、それ以上の社会党の拡大計画を根底にすれば、一カ月に少くも一万五千円くらいのものを全国民に保障するという意思があるのです。前の橋本さんは、制度審議会の意思を尊重したい、そればかり言っておられましたけれども、これは小山さんも、従って坂田さんもお読みになれば十分わかる。それですから保障制度審議会のほんとうの意思は、経済拡大率がこれ以上に上回った場合には、全国民に月一万円くらいのものを全部保障するという案でなければならない。ほんとうに制度審議会の意思を尊重するとすれば、三千五百円というものは非常に少い。その点で制度審議会の答申に固着した考え方を、これからでもおそくはありませんから捨てて、それで出し直す、また政府の面子があったら来年出し直すということを確約するというようなことをなさる必要があると思う。それについて坂田さんのお考えを承わりたい。