曾禰益の発言 (予算委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○曾祢益君 伺っておりますと、総理も、この状態の長く続けることは望ましくない、打開に努力すべきである、こういう基本的な考え方を述べておるのでありまするが、いわゆる政経不分離あるいは政治優先の原則が出たから、即一切の正常化べの政府間の話合いなり、政府の努力というものは全部見送るのだ、こういうように伺うのであります。これはいずれまたさらにこの点についてあとから詳しい質問をいたしまするが、まず総理にこの点を御注意申し上げたいのは、去る二十五日淺沼団長以下私どもも政府並びに与党の首脳部にお目にかかりまして、われわれの会談の結果、並びに中国側の態度、少くともその大綱についてはお話をまじめに申し上げたつもりでございます。要するに、あとでも繰り返しまするが、現状打開から最終的な国交回復までのプロセスにおいては、一種の段階といいまするか、柔軟性と申しまするものかがある。この点は明確になったと思うのでありますが、してみれば、同日少くともわれわれの共同コミュニケもいろいろな不幸な関係で、完全な日本文のテキストが日本の新聞に出ておらなかったというようなこともございましたので、十分にこれらの点も御検討になって、そうして重要なことでありまするから、検討に時間をかけることにあえて異存は申しませんが、御検討を賜わるものと私どもは期待しておった。ところが二十七日の衆議院予算委員会における淺沼書記長との応酬は、これはもういわば顧みて他を言う、中国側の意図の正しい解釈ではなくて、まるで向うがかたくて話にならぬと言わぬばかりの態度に応酬されておったのははなはだ遺憾だと思います。この点について、まあ二十五日に検討を約されたからどうだというような議論は、質問してもしようがありませんから、以下これらの問題について論点を明らかにしながら続けて質問をしたいと思います。
 まず第一の問題は、今申し上げました現状の打開と、すなわち国交正常化の方法でございます。私も明瞭にこの間も申し上げましたし、賢明なる総理がこの点おわかりになっていないはずはないと思う。中国側の主張と態度というものは、現状の打開、すなわち国交正常化の第一段階として、特に貿易再開のためにいわゆる三原則を認め、これに相応する措置をとることが不可欠だと言っております。それが私は国交正常化あるいはその一つである貿易再開の一つの段階、それから今度は国交正常化の最後の段階、最後のプロセスということを考えてみますると、これは言うまでもなく共同コミュニケにも明瞭に書いてございまするが、やはり日本と中華人民共和国との間の平和条約が締結されなければならないということを中国側がかたく堅持しております。あわせてその日中平和条約が締結される前に、日本と台湾との条約が解消されるということが言われております。この点についても、新聞等が中国文を非常にフリーに訳した誤まれる、正確でない日本文が伝えられておりまするから、ここにこの点を明らかにしておくことが必要だと思いますので読み上げまするが、「日本と中華人民共和国とが国交を回復さるためには、当然まず日台条約を解消し、日本と中華人民共和国との間に平和条約を締結しなければならない。」、これが先方の態度でございます。そこで国交正常化、貿易再開がいわゆる正常化の第一歩である、最終段階は平和条約の締結と、これに先だち日台条約の解消でありますが、その中間にもとよりいろいろな大きな政治、外交の問題があることは、これは言うまでもないことであります。それがすなわち、ただ単に日台条約の問題だけではございません。安保条約の問題もそこに伏在しておることは、これははっきり認めなきゃならない。しかし、そうだからといって正常化については何にもやらない、こういうような一体態度でいいかどうか。少くともそれは再開についての明確なる三原則、こういうものが与えられているときに、その三原則の意味をどう解するか、これらの点についての掘り下げが当然に行われなければならない。また中国の廖承志君と日本記者団との会見した記事をお読みになってもおわかりになりますように、なるほど日本の外交路線について非常な危惧を持っております。従って、国際連合中心主義というのは、いつまでも中国が朝鮮戦争における侵略者だという態度をとっているのではないか。台湾との条約に固執するということは、これは中国としてはなはだ不愉快な非友好的な態度だと述べておるが、しからばその問題が解決されなければ貿易が開かれぬとか、正常化の第一歩すらこれを拒否するということは一つも言っていない。むしろきわめて含みのあることを言っておると思うのであります。ところが、総理大臣の少くとも淺沼君に対する応酬を伺っておりますると、あたかも中国側はこの正常化の条件として、日華条約を直ちに廃棄することを要求している、そんなことはできない、こういうような返答をされている。これは私は総理みたいな明快な法律的な頭の人がおっしゃったとしては、これはむしろはっきり申し上げれば、これは曲解である。中国側の正しい意図に対して政府がこれをどう見るかはいいですけれども、これは正しい意図でなくて歪曲して、そこまで現在要求しているのだから、それは貿易なんかもあきらめなさいと言わぬばかりの作為的な意図がありはせぬかと思うくらい、われわれとしてはわかりません。この点についての総理の御見解を伺いたいと思います。

発言情報

speech_id: 103115261X01819590330_005

発言者: 曾禰益

speaker_id: 12807

日付: 1959-03-30

院: 参議院

会議名: 予算委員会