坂田英一の発言 (農林水産委員会)
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○坂田(英)委員 小委員会の審議の経過並びに小委員会において決定を見ました昭和三十四年七月及び八月の暴風雨等による農林漁業災害対策に関する件について御報告を申し上げます。
農林水産委員会農林漁業災害に関する調査小委員会が去る八月三十日に設置され、直ちに同日から小委員会を開いて調査審議に着手いたし、その後、九日一日、八日、九日、十日にわたり調査審議を進めたのであります。その間、委員長初め各委員とも、今回の激甚なる被害地における被害者の窮状に思いをいたし、適切かつ迅速なる措置を講ずべきことを念願しつつ、熱心に調査検討をなし、審議を重ねて参りました。その間、委員会においては農林大臣、建設大臣、その他関係省庁の係官に対する質疑応答が行われ、また、小委員会においても、農林省その他関係省からは災害調査の結果並びに対策の経過等を聴取し、また、被害府県等から災害救助に対する陳情等を聴取いたし、あるいは陳情書の取調べ等をいたしました。かくして、お手元に配付いたしました昭和三十四年七月及び八月の暴風雨等による農林漁業災害対策に関する件小委員会案を決定いたした次第でございます。
次に小委員会決定案を御説明申し上げます。
まず案について朗読をいたします。
昭和三十四年七月及び八月の暴風雨等による農林漁業災害対策に関する件(案)
本年七月及び八月の豪雨及び第七号台風等は福岡、山口、長崎、山梨、長野、岐阜、京都、福井、静岡、三重、滋賀、石川の各県を初め三十数府県にわたり、農地、山林、農林水産業施設、農作物、果樹等に対して四百数十億円に達する損害を与え、被害を受けた農林漁業者の生活と経営に対してはもちろん、府県及び市町村の財政と経済に対し深刻な影響をもたらしている。
政府は、今次災害の特徴と態様に深く思いをいたし、これが防止、軽減または救済の根本策について思い切った手段方法をとるとともに、特に左記事項の実現につき、適切かつ速急な措置を講ずべきである。
記
一、治山及び治水事業に関する事項特定の治山及び治水事業については新計画を樹立して抜本対策を講ずるため、特別会計を設置してその早期完成をはかることとし、これがためすみやかに所要の法制的、予算的措置を講ずるものとする。
二、農林水産業施設等の災害復旧に関する事項
(一)「農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律」及び「公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法」により、すみやかに査定を完了し、農地、農業用施設(かんがい排水施設、農道、農地又は農作物の防災施設)、林業用施設(林地荒廃防止施設、林道)、漁港施設及び共同利用施設の災害復旧事業を行うものとするも、この際次の事項の実現に努める。
1.現在、一部の災害関連事業を認めているが、これをさらに積極的に推進するため、災害関連助成事業費を別途に計上し、復旧事業費と同額までの改良事業費を認め、改良復旧の目的をすみやかに達成するものとする。
2.三万円以上一〇万円未満の農地及び農林水産業施設等のいわゆる小災害の復旧事業については、この際、「昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律」に準ずる恒久法を制定し、農地にあっては五〇%の、農林水産業施設等にあっては六五%の、地方公共団体による起債を認め、これに対して国から元利補給を行うこととするも、この場合、被害の著しい市町村の指定基準を緩和するものとする。
3.農地、農林水産業施設にかかるたい積土砂等の排除事業については「暫定措置法」の適用対象事業とするも、農家等のたい積上砂の排除事業についても助成するものとする。
4.わさび田の災害復旧は農地の災害復旧事業に含めて措置するものとする。
5.かんがい用水確保のため、被害農業者が共同して設置した施設のうち、河川の仮〆切り、水路及び井戸の掘さく並びに揚水機の賃借等に要した経費は、応急復旧事業費として「暫定措置法」の適用を受けるものとする。
6.農業協同組合等の所有する共同利用施設の災害復旧事業に対する現行補助率は二〇%であるが、法律を改正してこれを五〇%に引上げるものとする。
7.開拓地の災害を受けた住宅、農舎、畜舎等の復旧のため補助を行うものとし、この場合、現行基準によれば大部分の被災開拓者は該当しないこととなるので、被災開拓者の大部分を救済しうるよう適当に条件の緩和(半壊を含む)をはかるものとする。
8.農地、農林水産業施設等の災害復旧は、緊急工事については、初年度五割以上の完成をはかるものとし、所要経費を確保するものとする。
三、金融に関する事項
(一)「天災融資法」を発動して早急に経営資金及び事業資金を融通し、また、既貸付金の借換措置を講ずるものとする。
(二)農林漁業金融公庫が貸付ける自作農維持創設資金については、緊急を要する者には一般割当額より取りあえず貸付けを行い、引続き本年度の資金枠の残二十二億円、同予備枠六億円を使用することとするも、これらの資金枠が不足する場合はすみやかに増額するものとする。また、開拓者に対しては別枠を設定する。
(三)個人の所有する農舎、畜舎(鶏舎、豚舎を含む)、たい肥舎、温室、葉たばこ乾燥室、果実貯蔵庫、製茶施設、果樹棚(ホップ支柱を含む)、木炭倉庫、山地製材工場等の災害復旧に必要な資金は農林漁業金融公庫の主務大臣指定災害復旧対象施設の資金枠から貸付けることとし、その貸付限度額及び資金枠については必要に応じ拡大するものとする。また、貸付金利は七分となっているが、これが引下げをはかるものとする。
(四)果樹の植栽、保育、附帯施設等に必要な長期低利資金(据置期間七年以上)を貸付けることができるよう、農林漁業金融公庫法を改正するものとする。
(五)大規模かつ激甚な農林漁業の災害に際しては、農山漁民がその再生産を確保するために必要な立上り資金及び資材の供給等に対し、国及び都道府県が総合的かつ体系的に補助助成を行う制度を確立しうるよう検討するものとする。
(六)国民金融公庫の災害融資を積極的に行うため、第三・四半期資金を繰上げ支出し、また、貸付利率は六分五厘以下とするものとする。
(七)被災開拓者等であって引揚国債を所有するものに対しては、この際、優先的に国債の買上げを行い、なお、買上資金に不足を生じた場合には、その不足分について追加するものとする。
四、農業共済事業にする事項
(一)農業災害補償法に基く共済金の仮払い及び再保険金の概算払を早急に実施せしめるものとよる。
(二)農業共済組合、同連合会の神物、機具類の災害復旧について助成措置を講ずるとともに、事務費の国庫負担について特段の考慮を払うものとする。
(三)りんご、梨、さくらんぼ、もも、ぶどう、くるみ等に対する果樹共済の実施について早急に検討するものとする。
五、資材等に関する事項
(一)農作物、桑、茶、果樹等に鮮する農薬、肥料又は種苗及び防除機具並びに冠浸水田畑の土性改良のための石灰等の購入、軍樹棚(支柱を含む)の購入及び果樹の改植に要する経費の一献について助成するものとする。
(二)畜舎の消毒及び家畜の伝染病予防注射費について補助するものとする。六、災害調査、技術指導等の強化対策に関する事項
統計調査職員、農業共済団体職員、専門技術員、農業改良普及員、耕地又は山林関係県市町村職員、開拓営農指導員、養蚕技術員等の活動等に要する経費を増額するものとする。七、食糧及び飼料対策に関する事項
(一)被害農家に対しては先例により、米麦の安売りを実施することとするも、この際、この制度の恒久化を図るものとする。
(二)等外米の政府買入を実施するものとする。
(三)予約概算金については三十四年産米事前売渡申込制集荷要領に基き、被害の程度に応じ、利子の減免を図るものとする。
(四)有畜被害農家に対しては政府の所有する事故麦及びふすまの売払を行うものとする。八、国有林野事業の協力に関する事項
「物品の無償貸付及び譲渡等に関する法律」に基く国有林野からの林産物(風倒木を含む)の売渡しについては法令の解釈を拡大し、被害を受けた県及び市町村に対し一率五〇%の減額を行うものとする。また、被害農家が必要とする建築材料を「予算決算及び会計令」に基き国有林が市町村に一括売払う場合にはその売払代金を無担保、無利、一ケ年以内の延納を認めるものとする。九、救農土木事業に関する事項
被害農業者等の現金収入を確保するため、国及び府県は災害地の実状に応じて既定公共土木事業の繰上実施又は新規事業(災害復旧事業を含む)の実施を行うものとする。特に、国有林は強力に協力するものとする。一〇、堤外農地に関する事項
国は、個人所有の堤外農地を、この際、買上げるよう措置するものとする。
右決議する。
昭和三十四年九月十一日
衆議院農林水産委員会
大体かようなことでありまして、全体を読みましてもなかなか声も疲れるほど詳細に決議を書き入れてあるのでございまして、特別の説明を要しないと思いまするが、まつ先の一の事項につきまして、これは、治山治水こそ、災害を予防する上において、再び繰り返す災害をでき得る限り少からしめるための最も重要な事業でありますことは申すまでもないのでありまして、これらの事業をすみやかに完成させるために特別会計を設置して参りたいというのが本旨でございます。
それから、この二の農林水産業施設等の災害復旧に関する事項のうちでおもな点を申し上げますると、従来、復旧事業は、災害の復旧事業としては原形復旧という建前にあるのでありまして、いろいの現在の災害の状況を見ましても、非常に局部的に深刻な災害が多く相なり、また、今まであまりなかったところに災害が起ってきておるというような関係からいたしまして、単なる復旧では、これは同じ災害を繰り返すようなことに相なりまして、まことに効率的ではないのでありまするから、でき得る限りこの災害関連助成事業費を増額いたすことにより改良事業を認めまして、改良復旧の目的をすみやかに達成する、これは特に重要なる事項であると存じます。
なお、最近の情勢を見ますというと、小災害が続出しておる、局部的には非常に深刻である、こういう実情からいたしまして、昨年も同様の昭和三十三年七月、八月及び九月の風水害により被害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関する法律というのが出ておりまするが、かような法律に準ずる恒久法、毎年繰り返すのでありますから、恒久法を制定していきたい、こういう意味であります。
それから、本年の災害を見ますというと、果樹あるいはホップというような、特に果樹の被害が特別に激甚であった地帯が多いのであります。しかも、果樹に対する国の助成というもの、あるいは果樹に対するいろいろの施策というものが非常に乏しい。これは戦争当時のやはりいろいろの経過を踏んでおるものであると思うのであり誉すが、被害を離れても果樹振興等に関する施策を大いに講じていかなければならぬと存じられるのでありますが、特に今度の場合において果樹の災害が非常に著しい地帯が多かったという点にかんがみまして、果樹につきましては、資金の面あるいは補助の面等について、それぞれの項目にありまする通り、相当適切なる救助策を講じたいということが包含されておるのであります。特に、金融に関する事項のうちの(四)におきましては、果樹の植栽、保育、附帯施設等に必要な長期低利資金を貸し付けるというようにいたして参りたい、従って、このためには農林漁業金融公庫法を改正して参りたいということを決定いたしておるような次第であります。
なお、すべて重要なことを規定してあるのでありますが、特にここに申し上げたい点は、国有林野の協力に関する事項でありますが、ここに書いてあります通りでありまして、あまり説明を要しないのでありますが、ただ、市町村に安く売り払う場合において、これは地元町村というだけでなしに法律の趣旨を拡大して解釈することができるのでありますが、そういうきわめて限られたその市町村というだけでなしに、隣接市町村にも一律に及んでいきたい、そして全般的に一律に五〇%の減額を府県での場合も市町村の場合も行うというふうに、これは法令の解釈によってそういう運営をやっていきたいということを決議しておるような次第であります。
すべてが重要な事項でありまして、詳細記載しておりまするので、説明はこれで省略させていただきたいと存じます。
かようなわけでありまして、昭和三十四年七月及び八月の暴風雨等による農林漁業災害対策に関する件を小委員会において決定した次第でございます。ごく概略でございますが、委員長の報告を終ることにいたします。 (拍手)