稲浦鹿藏の発言 (建設委員会)

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○稲浦鹿藏君 私は向井委員とともに、去る八月十九日より四日間、名神高速道路、阪奈道路、天ケ瀬ダム等、京都、大阪、兵庫、奈良各府県の建設事業を視察して参りました。なおこの間田中清一委員も特別参加されました。以下その概略を御報告いたします。
 まず道路関係のうち、名神高速道路については、京阪兵庫建設所管内の状況を調査するとともに、山科、東伏見工事現場を視察いたしました、山科、東伏見工事地区約七キロメートルは、京都バイ。ハス区間約十キロメートルの一部として、名神間で最も早く用地問題も妥結し、山科工事地区は昨年九月工事に着工し、また東伏見地区は、それより三カ月ほどおくれて工事に着工したもので、現在鋭意建設に努力中であります。工事の概要を申し上げますと、山科地区は総延長五千二百八十メートル、東伏見地区二千七十一メートル、設計速度はともに百キロメートル、幅員二十四・四メートル、四車線、最小半径は山科七百メートル、東伏見千メートル、橋梁は十四個所及び五個所等となっております。
 現在までの進捗状況は、山科地区六五%、東伏見地区一八%となっておりますが、大津インターチェンジから京都インターチェンジの間、いわゆる京都バイパスが完成しますと、現在京都市街地を通過する場合に比して、その所要時間は約三十分から六分ないし七分程度に短縮され、経済上多大の便利を招来することになります。ただ伏見の深草地区商店街約一キロメートル程度は、まだ両者間の話し合いがつかず用地の買収未済となっております。
 なお、その他の地区の用地買収の状況を京阪建設所に例をとってみますと、八月一日現在で乙訓地区九四・二%、東高槻地区四・五%、茨木地区四六・九%、吹田地区一六・六%、豊中地区四〇・四%等となっており、延長約四十六キロメートル、坪数にして約八十万坪のうち四九・五%の買収済みとなっております。
 用地買収のおくれている原因としては、地元民との間に買収価格の点について折り合いがつかないということもありますが、地元側としては、高速道路の建設には賛成しながら、高速道路貫通に伴う将来の都市の発展という見地より、その設計に対しての注文が非常に多く、この点について交渉が妥結しないため買収ができずにいるという地区も多々あるように見受けました。要するに、本道路の建設は一大国策であることにかんがみ、政府においても今後一段の御努力を願う次第でありますが、なお、また本道路建設に伴う関連公共事業についても、これを総合的に推進する必要があると考えるのであります。
 次に阪奈道路について簡単に申し上げます。
 本道路は、昭和二十七年に制定された道路整備特別措置法に基いて、大阪府、奈良県により、有料道路として昭和三十年十月に着工されたものでありますが、日本道路公団の発足に伴い、昭和三十一年七月一日より同公団に引き継がれ、工事が進められて完成をみたものであります。
 本道路は、大阪府大東市寺川より奈良市尼ケ辻に至る一七・七キロメートルの区間で、工事に当っては道路工事としては画期的なスタビライザーで、ソイルセメントによる路盤工が行われたり、あるいはコルゲートパイプの採用等、名神高速道路のテストケースとしての工事が幾多行われました。
 木道路の完成により、大阪・奈良間は一級国道二十五号線よりも十四キロメートル短縮され、時間的にも二時間を要したものが五十分足らずで走ることができるようになりました。本道路は、産業並びに観光道路として大きな役割を果しており、これを料金収入の面よりみますと、昭和三十四年度料金収入目標額月間五百七十八万円に対し、最近七月の場合は八百二十九万円と、目標を相当上回っている状態であります。
 このほか、東山道路、六甲有料道路、第二阪神国道についても調査して参りましたが、これらについては持ち帰りました資料によって御承知を願いたいと思いますが、第二阪神国道に関連してその早期完成と同時に、大阪市内の雑踏を緩和するため、安治川新橋梁架設実施年度の繰り上げ等について要望があったことを申し上げておきます。
 なお、道路関係については、大阪、四日市線の改良並びに舗装工事の促進、一級国道二十九号線の改良促進、主要地方道姫路・米子線及び姫路・豊岡線の国道編入、一級国道二十四号線の未改良区間の早期改良、主要地方道天理・上野線の一級国道編入、伯母峰峠の切り下げ等の陳情を承わって参りました。
 次に天ケ瀬ダムでありますが、本ダムは淀川水系改修基本計画に基き、南郷洗堰の改造、木津川の高山ダムの築造と相待って淀川水系の洪水調節を行うとともに、平時においてはダムの落差を利用し、四万八千キロワットアワーの発電を行い、京阪神地方の電力需用に応じようとするものであります。
 本工事の遅延は、用地問題の未解決、特に滋賀県側との交渉の難航によるものでありまして、現在までの用地補償の状況は、京都府地内の水没地については、すでにほとんど用地調査を終了しており問題はありませんが、滋賀県地内は昭和三十二年当時から再三測量の交渉を行なってきましたが、一部は依然水没反対を唱え、交渉に応ずることを拒否して参りました。最近に至りわずかながらその態度にも変化をみせ、地元民の間には交渉に入ってもよいという考えも出てきたようであります。ただこの問題は、現地住民だけでなく、滋賀県当局との関係があり、県側としては、あくまでも琵琶湖との関連において本問題の解決を考えており、その水位問題等ともからみ、早急の解決はなかなか困難であるようであります。水没住民に対する第二次補償等、県当局でなければできない部面も幾多あるので、政府においては県側の意向も十分尊重し、補償問題について遺憾のないよう、今後とも一そうの熱意と努力を払い、もって工事の早期完成を期待いたします。
 治水関係について西高瀬川改修促進、淀川水系改修促進、大和川未改修区間の早急実施、紀ノ川水系吉野川(和歌山県界より吉野町に至る区間)を直轄工事施行河川区域編入、宇陀川ダムの早期着工促進、琵琶湖総合開発の促進、大阪市内の河川汚濁対策事業の推進等の陳情があり、その他大阪地区地盤沈下対策事業の早期完成、東播海岸浸蝕対策事業の直轄施行、千里丘陵住宅地区開発事業の推進、市営高速鉄道建設の促進等の陳情がありました。
 最後に、去る八月十三日の豪雨による水害復旧に対し、京都府及び奈良県より特別交付税及び起債について格段の配慮を願うこと、二十八年度災害同様に、高率補助及び補助限度の引き下げを考慮されたいこと等の要望がありましたことを報告いたします。
 以上で御報告を終ります。

発言情報

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発言者: 稲浦鹿藏

speaker_id: 30929

日付: 1959-09-25

院: 参議院

会議名: 建設委員会