岸信介の発言 (本会議)
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○国務大臣(岸信介君) 安保条約の改定の問題につきましては、先刻藤山外務大臣が説明を申し上げましたような経緯で、われわれは多年この問題の解決に努力をして来、またこれが実現につきましては、国民の意向、動向等も十分に尊重して、そうしてこれが改定の実現をしたいということで今日まで参っておるのでございます。従いまして、今日これを白紙に返して出直す意思はないかというお話でございますが、私どもはそういう考えはございません。かくのごとき慎重な態度で、また各種の重要な事項につきまして十分な検討を加えた上において改定に臨み、また今日まで交渉をしてきておるのでありますから、これを白紙に返して出直すというような意思は持っておりません。
第二は、いわゆる中立政策をとることが、こういう安保条約を結ぶというようなことよりは、日本の安全を保障するに合理的な道であるという御意見でございましたが、この中立政策の問題については、私がしばしばこの席よりもお答えを申し上げております通り、中立政策というこの観念そのもの、これは別として、実際に中立政策を唱えておるところの、またそれが唱えられておる時代とそうしてその国の情勢というものを頭に置かなければ、政治的にこれを採用することはできないと思います。(発言する者多し、拍手)と申しますのは、日本におきまして中立政策を唱えており、この安保条約を廃棄しようという考え方が、容共的な考え方からそういうことを主張しておる者が一部あることは、これは事実でございます。(発言する者多く議場騒然、拍手)また同時に、そうでない考えをもってこれを主張しておられる方もあるのであります。私が中立政策を唱えておるのに二つあるということを従来申し上げておるのはそこであります。私は全部そうであるとは決して申しておりません。しかしながら、結果においてそういうわれわれのとってきた自由主義の立場、自由主義国との協力、日米協力という線から離れて、容共的な方向に一歩進むということに利用される結果になるということを私は申しているのであります。(発言する者多く議場騒然、拍手)そういう意味において、日本においてこれを現在においてはとるべきものではないというのが私の信念でございます。(拍手)いろいろ交渉の内容等についての御質問につきましては、外務大臣からお答えすることにいたします。
また、次期戦闘機をきめたことが安保条約の改定と関係のあるような御議論でございましたが、これは全然違っているのであります。この次期戦闘機の問題は、国防会議におきまして国防を国力及び国情に応じて漸増するという国防計画の一部でございまして、その機械の問題についていろいろと検討してこれをきめたわけでございます。これは全然安保条約の問題とは関係ございません。
日中問題の解決のことについての御議論でございます。私どもは、この日中問題につきましては、これまた、しばしばわれわれの考えを申し述べております通り、われわれは、この現在の状態に決して満足しておるものではない。しかしながら、この両国の間におけるところの友好親善を進めていくのには、今日の段階においては、いわゆる政治と経済とを分けて、経済関係やあるいは文化関係等も推し進めてこれを積み重ねていくことが、両国の関係を解決するに最も適当である、こういう考え方を私どもは堅持しておるのでございます。(拍手)
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕