岸信介の発言 (本会議)

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○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
 第一点は、どこを仮想敵国としてこの条約を結ぶかという御質問でありますが、しばしば申し上げております通り、われわれは、旧憲法時代のように、あるいは他の諸国が持っておりますように、いわゆる仮想敵国というものを設けて、そうしてこれに対抗する防衛計画国防計画を定めるというような態度はとっておらないのであります。われわれ自身としましては、とにかく日本の安全と、日本が他から侵略された場合にこれを排除するに必要な最小限度の実力を備えていこうというので、日本の憲法の趣旨から申しまして、そういう仮想敵国を設けて、これと軍備の競争をしていくというような考え方ではないのでございます。
 第二は、この条約を結ぶことによって、何か防衛費が激増しやしないかという点に対する御質問でございますが、そういうことはわれわれ考えておりませんで、先ほど外務大臣が御説明申し上げました通り、われわれのこの防衛計画というものは、国防会議において自主的に日本の国力と国情に応じて定められるものでございまして、決してこの改定によって防衛費が増強されるというふうには考える必要はないと思います。
 憲法との関係においてどうかというお話でございますが、これも外務大臣が御説明申し上げました通り、われわれが負う義務は、はっきり憲法の範囲内で、従っていかなる場合におきましても、他の相互防衛条約、あるいは集団的条約、自衛権に基づくところのこの条約のような、日本以外に出て、日本以外の侵略、たとえアメリカとこれを結びましても、アメリカの領土——日本以外の領土に出ていって、日本がこれに対して処置するということの義務は一切負わないのでありまして、日本の領土、日本の施政下にある領土だけに限っておるということでございますから、憲法との関係は御心配は要らない。
 次に、岸内閣に対して国民は非常に不安を持っておるというお話でございますが、御承知のように、私は国民のいろいろな声に対しては謙虚に耳を傾けるべきことは当然であると思います。しかし、半年前に行なわれました参議院の選挙におきましても、国民の大多数は、やはり岸内閣を支持されておるという結果が出ております。
 次に、こういう条約改定については国民の意見を十分に尊重していかなければならぬというお話でございます。もちろん、私はそういう意味において、国民に十分理解納得をしてもらいたい。その協力のもとに行なっていかなければならぬということを考えておるのでございます。そういう意味におきまして、政府もまた足らない点につきましては、十分に一つ努力をして参るつもりでございます。
 党内の意見の調整云々の御意見でございましたが、これは党の最高機関である議員総会におきましては、われわれ一致した党議をきめておりますので、御心配は要らないと思います。
 最後に、日本はこういう方式をとらずに、オーストリア方式をとったらどうだという御議論でございます。一国の安全を保障する体制というものは、その国が置かれておるいろいろな客観的の情勢から判断して、その国に最も妥当な適当な方法をとっていくことが、私は安全を保障する道として、まさにそうなければならぬと思います。従ってオーストリアにおいてとられておる方式は、オーストリアの諸種の事情からそういう方式がとられておりますが、日本としては、日本の置かれておる情勢から考えまして、日米安保体制の堅持によってやっていくことが、日本の安全の保障のために最も適当であるというふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 103315254X00719591111_013

発言者: 岸信介

speaker_id: 6788

日付: 1959-11-11

院: 参議院

会議名: 本会議