岸信介の発言 (本会議)
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○国務大臣(岸信介君) お答えいたします。
この条約の改定は、アメリカ側の軍事政策の変更によるものじゃないかという御質問でございます。先ほど藤山外務大臣が御説明申し上げましたように、今回の安保条約改定は、数年にわたって日本側から提案し、しかも改定の要点についても日本側からこれを提唱して、アメリカ側の承諾を得ていることでございまして、この点は、アメリカ側から、何かアメリカ側の政策が変わって、アメリカ側から押しつけられたというふうな意味にとれるのでありますが、そういう事情では全然ないのでございます。こちら側からの提案であり、こちら側からの要求に基づくものであるということを御了承願いたいと思います。
次に、安保条約の期限の問題についての御質問でございますが、これは藤山外相が御説明申し上げましたように、この種の条約については、安定した状態に置くことがその国の安全と国民の生活の向上のために適当であるという考えでおります。
最後に、国際情勢の判断をどういうふうに考えているかという御質問でございます。御指摘のありましたように、私も、ことしの七月から八月にかけまして、欧州のいわゆる現在問題になっている国々の首脳者と親しく意見の交換をいたしまして、国際情勢の分析というものを、当時問題になっているヨーロッパにおいて、いろいろな方面から考えてみまするというと、お話のように、われわれも、現代の軍事科学の発達から見て、将来これが現実に用いられるということになるということは、これは人類の破滅を来たすものであり、従って、これに対してそういう力を現実に使用して問題を解決するということではなくして、話し合いによって問題を解決しなきゃならないという動向が強く現われており、またこれは世界の平和を増進する上において望ましいことであるということを、私も強く感じたわけでございます。また、それが国際の実勢だろうと思う。しかしながら、その背後に、それでは全然力というものを無視して、力というものをそれでは全然捨てて話し合うかと、こう申しますというと、そうではないのでありまして、現実に自由主義国の国々は提携をかたくし、共産主義の団結に対してそういう力を背景として話し合いをして、そうして両方の共存の道を見出そう、こういう際でございますし、集団的安全保障体制というようなものも、決してこれを解消するというような現実の状況ではないのでございます。こういうことに基づいて、私どもは、決してこの改定がいわゆる国際情勢に逆行するものであるというような議論は当たらない、かように考えております。(拍手)
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕