須藤五郎の発言 (本会議)
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○須藤五郎君 私は日本共産党を代表して、岸総理並びに藤山外相に質問をするものであります。明確にお答えを願いたいと思います。
まず、冒頭に指摘しておかねばならぬことは、ただいまの外務大臣の中間報告なるものは全く国民を愚弄したものであります。アメリカとの間にすでにやみ取引を済まし、それを国民に押しつけようとするものであり、外相の態度は許すことのできないものであります。
この点を指摘し、第一に聞きたいことは、フルシチョフ、アイゼンハワー両首脳が、その共同声明の中で、未解決のすべての国際問題は、力を用いずに、交渉という平和的方法によって解決されるべきであるということに同意したと述べておるが、総理と外相は、この一大歴史的事実を一体何と見ているのでありましょうか。これを、全世界に向けての厳粛な不戦の誓い、すなわち戦争をしないという誓いであると、まじめに受け取っているのかどうか。それとも、これは米ソ両首脳の一片の気やすめであり、ごまかしの言葉と受け取っているのであるか。まず、この点を聞きただしたいと思います。
第二に、フルシチョフ首相が国連に提案し、日本もその参加国の一員として、世界八十数カ国によって採択され、十カ国軍縮委員会によって討議されることになった全般的で完全な軍備撤廃の計画を、総理並びに外相は、はたして真剣に遂行しようと決意しているのかどうか。この点を私は、しかと確かめておきたいと思います。
平和を愛し、冷戦のすみやかな終結を願う全世界の国民は、米ソ両首脳のこの不戦の誓いと、フルシチョフ首相の全面軍縮の提案を、心から喜んで迎え、これに励まされて平和共存のために、軍拡競争の重荷をはねのけるために、一そう決意を新たにし、ますます団結を固めて戦い抜こうとしてやるのであります。イギリスを初め、アメリカにおいても、西欧資本主義諸国においても、今やこの方向に向けて確実に大きな変化が起こり始めている。こうして世界は、今、真に新しい国際関係の局面に入りつつあると確信をもって言えるのであります。この国際情勢の力強く新しい変化を正しく認識せず、すでに古くさくなり、破産したところの力の政策と、いわゆる自由陣営の結束だけにしがみつこうとする国家は、世界の大勢からは置き去りにされ、孤立し、経済的発展の活路を見失ってしまうことは、もはや、だれの目にも明らかであると言わなければなりません。ただいまの中間報告においても、総理と外相は、新たな安保条約の締結を、もはや既定の事実としてしゃにむに国民に押しつけようとしております。すなわち、一部のアメリカ帝国主義者とますます結託を固くし、その隷属のもとに、日本と日本国民を、この古くさい、破産した政策に縛りつけ、中国やソ連を初めとする社会主義諸国を敵視して、冷戦の終結どころか、むしろ、それをそそのかし、わが国の核武装化に道を開こうとしているのであります。めくらヘビにおじずとは言いながら、総理と外相のこのような態度は、まさしく世界の情勢の変化に目をおおい、世界の大勢にまっこうからそむくものと言わざるを得ません。
私は最後に聞きたいと思います。新安保条約の内容は、わが国の独立をますますおくらせ、わが国をアメリカ帝国主義者の原子戦略体制の極東における最先端に縛りつけ、しかもわが国の核武装化を進めるものであり、中国との国交回復の道を閉ざすものであることは、ここで私が繰り返すまでもなく全く明らかであります、
私がここで特に指摘しておかねばならないと思う点は、第一に、安保条約の実体ともいうべき行政協定の基本点は、そのまま残されていることであります。たとえば基地管理権がそれである。これこそは、占領の継続であり、アメリカの日本に対する軍事支配の拠点をそのまま残そうとするものである。それだけではない。日米間の軍事協力と日本の軍事力の増強のため、日本の人力、資源、産業をあげてその目的に使用することを規定したMSA協定に至っては、一指も触れようとしておりません。この事実は、総理と外相の安保改定の意図を最も露骨に示しているものであります。第二に、憲法の範囲内でというごまかしについてであります。総理はみずからも広言するごとく、天下周知の憲法改悪論者である。しかも、すでに事実上幾多憲法を無視し、じゅうりんしてきていることも、これまた国民のあまねく知るところであります。それだけではなく、政府は、憲法よりは条約が優先するという立場をとっております。このように憲法改悪を前提とし、憲法を条約に従属させる立場をとっている総理が、幾ら憲法の範囲内だと言ってみても、これこそ全くの飾り文句であり、国民をごまかすためのものであることは明らかであります。
岸内閣のこのような意図とごまかしが明らかになるにつれて、安保条約改定反対、廃棄の要望が、わが国民の間に日増しに増大しているだけではなく、今日アジアの諸国においては、各国共産党を初め十億の人民がこぞって強大な統一戦線を結成して、岸内閣の政策、日米安保条約の粉砕に立ち上がり、わが国民の反対闘争の支援を誓っている事実を何と見るか。このような打ちかちがたい強力な反対の力に抗し、これにまっこうから挑戦してでも、なおかつ安保改定を強行しようとするのであるか、岸総理の所信を聞きたいと思う。わが党は、日本国民並びに十億のアジア諸国民とともに安保条約粉砕と平和のために戦うことをここに誓うものであります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇、拍手〕