西田信一の発言 (本会議)
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○西田信一君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする昭和三十四年度一般会計予算補正外二件に対し、賛成の意を表するものであります。
申すまでもなく、今回の災害関係補正予算は、本年七月以降四次にわたる未曽有の台風、風水害に対処せんとするものでありまして、政府はこの事態に対処し、急拠臨時国会を召集して、これら災害復旧等の予算並びに特別立法の措置をとられましたことは、機宜に適し、かつ当然のことと存ずるのであります。政府は、今次補正予算の編成にあたりまして、被害の実態把握、財源の調達、明年度予算との関連、現下経済界への影響など種々の困難を乗り越えて、異常なる熱意をもってこれに臨み、きわめて短時日にその編成を了したことと、災害復旧内容の改善充実、事業進度率の引き上げ、その他特別な配慮が加えられましたことはまことに当を得たものと存ずるのであります。
私は賛成の理由を以下数点につき簡潔に申し述べてみたいと存じます。
第一は、今次の予算補正はその重点が災害対策に置かれているという点であります。まず災害対策費として一般会計に計上されたのは三百四十四億円でありますが、予備費の追加額八十億円の大部分も災害対策のために使用せられる予定でありますので、直接の災害対策費は四百億に上るわけであります。なお、このほかに災害復旧工事の促進並びに高潮対策の実施に資するために、国庫債務負担行為が三十六億円計上されており、さらに、地方交付税交付金の増加八十五億円のうち四十一億円は特別交付税として被災県に重点的に交付されるのでありまして、補正額の大部分は災害対策に充てられているわけであります。いわゆる災害予算と呼ばれている今回の予算補正の特色がここに明瞭に現われているものと存ずるものであります。
第二は、災害復旧のため特別に高率の補助ないし国庫負担を行なうことといたした点であります。今次災害の規模の大きさにかんがみまして、被害の実情に即して補助の範囲を拡大するとともに、補助率及び国庫負担につき特別措置を講ずることといたし、これら立法措置については別途それぞれ審議が行なわれておりますが、特に被害激甚地に対しましては昭和二十八年災の例と同程度の取り扱いをいたしておりまして、地方交付税の増加配分、地方債の政府引き受け増加等の措置とあわせまして、被災公共団体の財政の関係におきましても十分の配慮がなされておるものと言い得るのであります。
第三は、災害復旧の初年度進捗率を二八・五%といたしておる点であります。災害復旧工事の約七割に相当する緊要工事につきましては、いわゆる三・五・二の原則に従って実施され、従って初年度分予算は、従来、工事費の二五%を計上されて参ったのでありました。しかるに今回の補正にあたりましては、原則による二五%を計上いたしたほか、さらに三・五%に相当するところの債務負担行為を加えまして二八・五%といたしたことによりまして、前例のない高い初年度進捗率となるのでありまして、復旧の迅速をはかって明年度の再生産に支障なからしめるように取り計らっておりますることは、民生安定上特筆すべき点であると思うのであります。
第四は、いわゆる被害激甚地の指定につきまして、その基準が広く適用することを予定している点であります。台風による災害は全く特異なる突発的事件でありまして、その復旧のための経費は地方公共団体の一般の経費とはその性質を異にしていることは申すまでもありません。また、第十五号台風によりまして特に大きな被害を受けました地域は、わが国四大工業地帯の一つでありまして、その復興がすみやかに、しかも完全に行なわれるかどうかということは、ひいてはわが国産業の消長に影響するところも少なしといたしません。これらの理由によりまして、被害地方団体に対し広く高率の補助率を適用してその復旧の促進をはかったことは、きわめて適切な措置と申すべきであります。
第五は、伊勢湾高潮対策として、新たなる構想によって災害防止の完璧を期することといたした点であります。伊勢湾台風の悲惨きわまりない激甚なる被害を生んだ、この不幸なる事実と体験とにかんがみ、伊勢湾沿岸の堤防につきましては、原形復旧の観念を捨てまして、災害防止の立場から科学的検討を加え、本格的な改良工事を実施いたしまして、万全の防御体制を整備することといたしました。これがために、災害復旧部分については、いわゆる公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法によるところの全額国庫負担を行ない、関連事業部分につきましても特に八割の高率補助を行なうことといたしまして、工事の完璧を期している点をあげなければなりません。
第六には、公私立文教施設、公営住宅施設等の公共事業以外の災害復旧につきましても、ほぼ二十八年災同様の措置を講じましたほか、今回、特に部落共同化施設ないしは共同利用小型漁船復旧、緊急排水事業等につきまして、それぞれ高率補助の道を開いたという点であります。
第七に申し述べたいのは、財政投融資によるところの災害対策でありますが、政府は、現在見込み得る原資をあげて充当するほか、資金の捻出に努めまして、所要の追加を行なっているのであります。すなちち、災害対策のために、中小企業対策として百六十億円、農林漁業対策としては四十一億円、住宅復旧対策といたしまして四十億円、さらに災害に伴うところの地方債百六十億円、合わせまして四百一億円の追加は、被災地の産業復興上きわめて有効適切なものと考えるのであります。
次に、私は炭鉱離職者対策について申し述べたいのでありますが、これが対策費といたしまして七億二千八百万円が計上されております。経済の変動によりまして石炭鉱業から多数の離職昔を生ずるに至ったことは、まことに遺憾にたえません。かかる石炭不況の根本原因は、世界的な傾向としてのエネルギー革命によるところが多いのでありまして、この危機打開のためには抜本的な対策を必要といたしますことは申すまでもございません。今回の補正予算におきましては、当面急を要する離職者対策のみが取り上げられておることもやむを得ないところであります。その内容といたしましては、広域職業紹介、職業訓練によって、新しい職場への移動を楽にするとともに、現住地に残留する者については、地方公共団体が緊急就労事業を行なって吸収することといたしているのでありまして、妥当な措置と考えるのであります。政府のすみやかなる、しかも積極的なるところの対策樹立を特に要望いたしますとともに、労使双方におかれましても、大乗的立場から、問題の本質的解決に対し、一そうの努力を払われますることを期待してやみません。
次に、私は追加補正の財源措置について一言いたします。
今回の追加補正額は六百十四億円でありますが、その財源として法人税を主体とする四百九十一億円の租税収入と、専売納付金等四十八億円の税外収入が計上されております。しかも、なお不足する財源に充てるために、既定経費の節減によって七十五億円が生み出されているのであり、災害対策を重視した政府の苦心のほどを十分察することができるのであります。この財源調整につきましては、税の自然増収に関する見積り過少論ないしは既定経費節減不要論等もあるようであります。しかしながら、自然増収の額につきましては、今回の台風被害から生ずるところの約百二十億円に及ぶところの減収をも当然考慮すべきでありましょう。経済界は好況を続けているとは申しながら、今回の補正につきましてすら景気過熱警戒の世論もあるのでありまして政府案は妥当なものと考えるのであります。なお、既定経費の節約については、世界災害史上まれな惨害に対しまして、国民はあげて義援金品を拠出し、さらにまた諸外国からもあたたかい援助の手が差し伸べられておりまするとき、国の予算の中から比較的不急の経費を節約いたしまして若干の財源を生み出すことは、むしろ当然の処置であると信ずるものであります。
以上、私は本補正予算案に対し賛成の理由を明らかにいたしたのでありますが、最後に私は、本予算の完全なる執行並びに将来の防災対策につきまして万全を期せられまするように政府当局に強く要望いたしまするとともに、今回の荒々しい台風の爪あとがすみやかに拭い去られまして、被災者の方々が一日も早く立ち直られまして。復興から発展への躍進を遂げられまするように祈り、かつ期待をいたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
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