相澤重明の発言 (本会議)
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○相澤重明君 私は日本社会党を代表いたしまして、爆発物その他危険物管理に関する緊急質問をいたすものであります。
去る十一月二十日午前十時三十分ごろ、横浜市金沢区釜利谷町一、東洋化工横浜工場、責任者は泰道三八社長、三国直福工場長、従業員は約四百人の火薬工場爆発事故等についてであります。
第一にお尋ねいたしたいのは、岸総理大臣に対してであります。前三十二国会におきまして、わが日本社会党の藤田進議員より、爆発物その他による事故対策について緊急質問をいたしたのでありますが、その際あなたは、花火工場あるいは火薬を貯蔵しておるところ等において爆発事故の惨害はまことに遺憾である、従って、より計画的に徹底して、ひんぱんに検査監督を励行し、さらに従来の規定において不備の点があれば十分検討して、将来そういう惨事を生ぜしめないよう未然に防ぐと、あなたは答弁されておったのであります。しかし、その答弁の終わった直後においても、すでに山口県においても宇部市において事故が起きております。一体あなたは、検討し、あるいは措置をすると言ったが、いかなる措置をなされたのか、御答弁を願いたいと思うのであります。
過去五カ年において、事故件数は三千百三件、死者八百三十九人、その他重軽傷者四千三百五十六人でありますが、本年に入って一月から六月までに全国で発生した火薬の爆発事故は二百六十一件、死者八十七人、負傷者六百五十四人といわれ、わが日本社会党は、人命の尊重と被害を最小限に食いとめるために、特に緊急対策、また予算上、立法上の措置を講ずるよう警告をいたしておったのであります。今日「真昼の恐怖」を起こした東洋化工の惨害は、被害区域二キロ半にも及び、一瞬にして同工場施設四棟一千六十七平方メートルを跡形もなく吹き飛ばし、同時に起きた火災で、全焼九棟二千二百四十四平方メートル、半壊六棟一千六百十平方メートルを出し、同工場は全滅、さらに強烈な爆風で付近の東急車両工場はガラス六万枚破損、製造中の国鉄車両等もその影響によって被害を起こしまして、これらの被害額は五千万円余といわれておるのであります。また、横浜市立大学は、この工場の裏山一つ隔てたところにありまして、約一千人の学生が授業を受けておったのでありますが、ガラス等の破片によりまして顔や手足に傷を受けた者が実に七百人にも及んだというのであります。学校の被害は二千万円余といわれておるのであります。さらに付近には、文教地区でありますので、金沢高校、金沢中学、六浦、釜利谷、大道小学校等の児童、かわいい子供が実に三百六十一人もこれによってけがをしておるのであります。しかも、かよわい子供は重軽傷を負い、血のついた教科書あるいはハンカチがその場に散乱をしていることは、まことに無残な状態であります。しかし、これでも当時この被害が最小限度に済んだというのは、受け持ちの教師が冷静沈着に児童の負傷を最小限度に食いとめたからであります。避難行動をとったからであります。現地においては、これらの教師については関係者から非常に激賞されておるのでありますが、岸内閣は、あるいは文部大臣は、勤務評定等の問題で口をあければ弾圧を考えておる、まことにけしからんのでありますが、こういうことをどう政府は考えておるか。また、横浜市立大学を初め各学校は、このために授業も行えない惨状であるが、その責任は一体どうするか、ただ、あなたが検討するというだけでは問題になりません。
また、東洋化工泰道社長は、一、医療費は会社側が持つ。二、家屋の破損については、警察、消防、区災害対策本部と会社側対策本部との合同調査によって公平な調査をして補償する。三、学校や隣接工場の被害は別途に補償の方法を講じる等、誠意をもって補償すると言っているが、横浜市の学校、住宅等の関係だけでも、今調査した結果によると九千万円ないし一億を必要とするというのであります。これらについて、一体この大きな被害あるいは補償をどうするというのか。総理、自治庁長官もこれは当然関係あるのでありますから、ぜひ一つ誠意ある答弁を願いたいと思う。
次に、池田通産大臣にお尋ねをいたしたいと思います。この東洋化工会社は、昭和二十七年九月旧海軍第二航空技術廠の施設を、戦時中は軍の被服を扱っておったミシン加工業の泰道三八君が引き継ぎ、泰道化工の名で創立をしたのであります。そうして土十八年三月東洋化工と名称を変更し、約二十万七千平方メートルの敷地に六十六棟の工場、事務所を作り、産業火薬の一種TNTの製造加工業を行なっておったのであります。この会社は、朝鮮事変中、中国火薬、昭和火薬等とともに年間五千三百トンのTNTを生産したというのであります。現在は米軍から五百ポンド爆弾あるいは防衛庁から耐用年限の切れた払い下げを受けた弾薬からTNT爆薬を取り出し、一部は民需、一部は台湾、東南アジア等の軍用向きに輸出されていると聞いているのでありますがどうか。また、鉄のスクラップと分離する解撤作業と、溶解がまでTNT爆薬からヘキスホーゲンを分離して、ハッパ用の産業爆薬を生産している通産省直轄工場であります。池田さん、あなたの直轄工場であります。従って、許認可、保安検査などの監督責任は、政府、通産省にあるのであります。東洋化工の創立当時、横浜の地元の人たちは、この工場ができることは反対である、こういう陳情があったのを、政府はどう処理いたしたのでありましょうか。また、操業を開始してから数回にわたって事故を起こしているのであります。その事故を起こしているにもかかわらず、今日まで漫然としておったその責任は免れません。監督者としていかなる措置を講じたか。保安設備、警報設備について監督指導を行なっているかどうか。従業員の多くの人たちに婦人がいるのでありますが、保安、安全教育というものが十分行なわれているかどうか。保安、安全教育が行なわれておらない臨時工の人たちにまで解撤作業を行なわしめたというのが、との大きな事故を起こし、あるいはまた、その原因になると思うのでありますが、監督官庁としてはいかに考えるか。爆発事故現場である第二溶工場に対する通産省の最大許可量TNT一トン半が適切であったかどうか。爆発によって生じた同工場跡の漏斗孔の大きさから見て、一トン半以上の爆薬を扱っていたと思われるが、監督官の検査をした時期、その結果、これはいかにあなたに報告をされているか。また、一トン半以内であったとすれば、火薬の強さ、この工場のまわりにおける土手の強度、保安物件から見て、通産省に判断の誤りがあったのではないか。また、死亡した安藤君の試験がその原因になっているのかどうか。半径二キロ半にも及ぶ被害を及ぼしたということは、どうしてもそれらのいわゆる監督上の誤りがあるのではないか、こう思われるのであります。
今日の事故にかんがみまして、火薬取締法の不備を認めていると思うが、法及び規則の改正を行なう意思があるのか、関係大臣にお尋ねいたします。国会の答弁で言いわけだけをしても、決して火薬惨事は防げないのであります。自民党の諸君といえども、現地調査をして、このいいかげんであるということにはあきれたといろのであります。警察庁はこの五日、火薬取締法を改正して、警官の随時立ち入り、監督、安全管理を監視できるよう申し入れたと聞くが、通産省は一体どうしたか、役所間のなわ張り争いによって一般国民大衆の生命財産をないがしろにされてはたまりません。また、今回の事故を含め、この種の事故について国の災害救助法の適用はないが、どうするというのか、具体的な御説明を願いたいと思うのであります。
次に労働大臣にお尋ねいたします。横浜市の消防局、神奈川労働基準局は、東洋化工の工場管理が非常にずさんであるとして、本年六月、配電関係、廃液処理などについて、二十三項目にわたる改善要求をしたというが、一体どうなっているか。労働者に対する安全教育は、どうしてあなたは指導されているか。さらに、花火工場、火薬工場等、爆発物を扱うところの労働者の低賃金は目にあまるものがあると思うのでありますが、これら労働者に対する低賃金、労働条件の悪化の是正の指導監督はどうしているか。さらに、東洋化工以外の労働者の災害について伺いたいのであります。けたたましいサイレンの音とともに、救急車が作業者のままの血まみれなけが人を病院に運んできました。病院は、どす黒くよごれた人々と、家族の安否を気づかう人たちでごった返しておったのであります。死なないでくれ、こういって泣き叫んだおばあさんたちもおります。家族も全く言いようのない気持であったと思うのであります。しかし、自分の工場の場合には災害補償が受けられます。自分の工場でない、もらい事故の工場の人たちには、業務外ということで言われているのであります。東急車両、日本製鋼、木川製作所、蒲地組等、これらの人たちの補償はどうするというのか。また学生、児童等、被災者に対する補償は一体どうするのか。これは総理大臣も通産大臣も真剣に考えて答弁をしてもらいたいと思うのであります。特に労働大臣は、業務外災害補償について、現在も病院に入院して苦悶している人たちが非常に多いのでありますが、けい肺法の改正と関係して御答弁を願いたいと思うのであります。
次に、赤城防衛庁長官にお尋ねをいたします。この東洋化工は、米軍及び防衛庁の払い下げによる作業を行なっておるというが、年間幾らの払い下げを行なっているのか、また、TNT爆薬は、一部を台湾、東南アジアに向けておるというが、数量、価格を明らかにしてもらいたいと思うのであります。防衛庁としては、本年七月、藤田議員の質問に対して、あなたは十万トン以上の弾薬を貯蔵しているというが、事故発生は絶対にないと言えましょうか。国民は、現在のこのような政府の無施策によって、全く火薬庫の中に住んでいると言わなければならないのであります。国民が安心できるように、具体的な措置を明らかにしてもらいたいのであります。
最後に、大蔵大臣がいなくなったから総理大臣にお願いしますが、火薬の爆発事故はまことに悲惨きわまりないものであります。本院において、七月、警鐘を乱打した直後、これは先ほど申し上げましたように、宇部市においても醸造工場が爆発しているのであります。この二工場を見ましても、大小数えれば、これは枚挙にいとまがありません。要は、これら関係経営者も、資金的あるいは財政的に思うにまかせず、現状に苦悩していると思うのであります。従って、との抜本的対策として、国費あるいは金融措置により、都市近郊よりこれら爆発物工場を山間地帯に移転するよう措置できないものかどうか。
また、国家公安委員長等は、総理大臣みずからもそうでありましょうが、今回の事故を最小限に食いとめたのは十七人の消防官の決死隊がいたからであります。そうして山火事を防ぎ、その次のたくさん貯蔵してあるところの誘爆を阻止したからであります。また同時に、火の燃えている中に警察官が飛び込んで、そうしてけがをしている人たちを救い出し、先ほど申し上げましたように、かわいい子供を、先生が適切な処置によって誘導をしたからこそ、この被害というものが少なくて済んだのであります。これらの挺身的な努力をされた人たちに対して、政府はいかなる謝意を表そうとするのか、これをお聞きしたいのであります。また、今後危険物管理に対し、立ち入り検査等についていかなる措置をとるか、具体的に説明されたいと思うのであります。
最後に、地元学生あるいは商店、住民等が、東洋化工の操業再開に絶対反対をいたしております。婦人等も街頭に出て署名運動も行なっている。まことにもう心から、これらの人たちは惨状を再び繰り返してはいけないと叫んでおります。