伊東正義の発言 (農林水産委員会)

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○伊東政府委員 私から農地法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明をさせていただきます。農協法につきましては別途農協部長からお願いすることにいたします。お手元に資料を差し上げてございますので、これにつきまして読みながら御説明申し上げます。
 御承知の通り、農業法人問題につきましては、最近果樹地帯等におきまして発生しておりまして、法人によります農業経営は、当初は税負担の軽減ということが強く叫ばれまして、それにつれまして経営の合理化をはかるというような目的で一戸一法人という形で行なわれて参ったのでございますが、その後におきまして、農機具でありますとかあるいはいろいろな農業用の施設等の資本装備の遊休化の防止でございますとかいうような生産費の節減あるいは労働力の調整というようなことを目的としました、たとえば立間のような例でございますが、そういうような共同化の法人の形も実は行なわれて参ったわけでございます。
 しかしながら、現行の農地法の体系からいきますと、不在地主の発生や土地の兼併を防止する規定あるいは小作料統制の規定を設けまして耕作者の地位を安定する、そういうことをいたしまして、農地改革の成果の維持をはかっているというのが現行の農地法の趣旨でございますが、この農地法の制定の当時は、現在問題になっておりますような法人による農業経営の発生というものをあまり予想しておりませんでしたので、この法人経営によって生ずるおそれのあります土地兼併の問題でありますとか、あるいは不在地主と同様な存在が発生しましたり、あるいは小作料の統制の実質的な逸脱というような弊害を防止する規定が実は欠けておりますので、現行法のままにいたしますと農地法制定の趣旨に反するおそれがあるというような考え方を持っておりまして、昨年の三月、徳島県下に百三戸の一戸一法人が出て参りまして、これが課税上問題になり、非常に国会等でも問題になりました場合に、この有限会社による農地の使用収益権の取得の許可の申請がありました場合に、実は、御承知のように、農業委員会に、著しく現行の農地法の制度のままでは不当であるからということで再議命令も出したような次第でございまして、その後、農民の創意を生かし、自作農の延長ということが考えられるものに限りまして法人によります農業経営が行なわれるようにということで、現在の法制の検討をいたして参ったわけでございます。そして、この検討はいたしておりましたが、御承知のように、昨年三月、当委員会におきまして、現行農地法の基本原則を変更しない、そういう範囲ですみやかに所要の法的措置を講ずべきだという御決議もございましたし、また、著しく不当だということにいたしておりまして、そのままにもいたしておけない、放置し得ない情勢もございましたので、その後、農林省におきまして、将来の農業経営のやり方といたしましてどういう法人形態のものがいいかということを種々検討いたしたわけでございます。実は、検討いたしておりました過程におきまして、基本問題調査会等ともいろいろ御連絡をいたしたのでございますが、現在は答申が出て参っておりますので、将来の農業経営のあり方につきましてはまた答申に片づきまして慎重に検討しようというように考えております。現在のところは、当面の農業法人問題に対処するという考え方から、農地法と農協法の一部改正を行ないまして、どういう形の法人を農民が選択するかということにつきましては農民の自主性にまかせることにいたしまして、実は、単独立法によります農業法人というようなものにつきましては、将来の農業経営のあり方を十分検討いたしました上で、どういう形をとるかということにしたいということにして、今申しましたように、農民がどういう形を選ぶかにつきましては農民の自主性にまかしまして、商法によります法人あるいは農協法による農協という法人、どちらでも選ばれるようなこととして、法人によります農業経営の窓を開いていこうということにいたしたわけでございます。
 今回改正を要します条文はだいぶございますが、以下実質的な問題に関係のあります条文について御説明申し上げます。
 一番大きいといいますか、第三条の関係でございますが、第三条は、現在は農地等の使用収益権の取得に関する場合の許可の基準を実は書いております。第三条は、その第一項で、農地または採草放牧地につきまして、所有権の移転とかあるいは地上権、永小作権のような物権でありますとか賃借権等の使用収益権の設定であるとかあるいは移転、こういう場合に行政庁の許可を得なければならぬということにいたしておりますが、許可のない場合は効力を生じないというような重要な規定でございます。そして、この中で、許可ができない場合ということで、実は第二応の一号から八号まで、こういう場合には農地の使用収益権の設定なり移転なりあるいは所有権の移転ができませんということで、たとえば、第一号によりますれば、小作地または小作採草放牧地につきましては小作農及びその世帯員以外の者には取得を認めない、あるいは、第三号に参りますと、世帯合算で内地平均三町歩であります。あるいは採草放牧地でありますれば内地平均五町歩というような最高の経営の限度を規定しております。こういうように、一号から八号まで許可ができない場合を規定いたしているのでありますが、このような規定の趣旨は、小作地をなるべく自作化しよう、あるいは、不耕作目的の土地の取得や土地の兼併やあるいは経営が極端に零細になりますことを防止しよう、あるいは、せっかく創設しました解放農地が再び小作地となることを防止するというような、自作農創設の方針に逆行したりあるいは耕作農民の地位を弱めたり農地改革の成果を無にすることのないような趣旨で規定をいたしておるわけでございます。
 ところで、法人の一般につきまして今の制度のままでいきますと、おそらく、この七ページに書いておりますが、同一人が数個の法人を支配するというようなことで、土地の兼併を起こすようなこともございましょうし、あるいは、一応所有権等を出資いたしまして、市町村の外に出てしまうというようなことで、従来そういうことは認めておりません不在地主と同じような存在も出てきましょうし、あるいは、小作料につきまして実質的にもぐるというような弊害が出るおそれがあるというふうに考えまして、今出しております法律案では、農地法の根本原則は堅持するというようなことで、今申し上げましたような弊害の発生するような権利の取得は防止するということにしまして、耕作農民に労働の成果を公正に享受させるという考え方から、法人には、所有権の取得は認めませんで、賃借権、使用貸借による権利ということに限りまして、しかも実質的には自作農の延長というような形のものを考えたらどうかということで、非農民的な者による支配というものを極力排除していこうということで、これは、なるべく今の自作農なり今の農地法の根本原則を変えないというような決議もございましたし、そういうような考え方で法制を組み立てているわけでございます。
 このようにしました結果、一定の要件を備えました法人に対しましては、創設地の貸付でございますとか、あるいは小作地の転貸でありますとか、あるいは小作地の所有制限の問題、あるいは、取得の最高制限面積が従来の法人ですと三町歩になっておりましたが、これは構成員にかける平均の取得できます最高面積というようなことで、いろいろな特例も実は認めたわけでございます。
 そういうような関係で、第三条にはいろいろな規定を置いたのでございますが、先ほど申し上げましたように、所有権は認めないということがまず規定されております。これは、例外といたしましては、政令で、近く委員会に御提出できると思うのでありますが、市町村等とかその他の公共団体が公有・公共用で土地を取得しますとか、あるいはその土地においての耕作がその法人の主たる業務の運営に欠くことのできない試験研究あるいは農事指導であるというような場合には、例外的に所有権を認めるということを政令で出すつもりでございますが、原則としましては所有権は認めないわけであります。
 それから、先ほど申しましたように、なるべく自作農の延長という考え方をとっておりますので、法人につきましても、九ページに(1)、(2)、(3)と要点を書いてありますが、法人の事業が農業及びこれに附帯する事業に限られること、また、その法人のすべての構成員が、その法人に対して農地または採草放牧地を貸し付けている個人であるか、あるいはその法人に貸し付けるために許可の申請をしている個人であるか、あるいはその世帯員というようなことで全部がこれに加入しておること、また、構成員は常に農業に従事するという者に限定しました。要するに、非農民的なものでなくて、やはりこれは自作農の延長という考え方からいたしまして、なるべくそういうような要件を備えた者以外は認めない、特例は認めないということにしていこうという考え方でございます。
 それから、第三番目には、先ほど申し上げたように、現在の法律では法人につきましては特殊な例外を除きまして内地平均三町歩ということになっておりますが、今度は、その構成員の数に応じて、内地平均三町歩でありますれば、法人でやります場合には五世帯ならば十五町まではいいというような規定を置いております。これは今までは三町歩でございましたのに対しましてかなり積極的な面であろうと考えております。
 第四番目には、自作農の延長という形をとっておりますので、法人が経営する農地なり採草放牧地につきましてほとんど全部人から借りてやるという形ではまずいのではなかろうか、やはり、構成員がそこの法人に貸し付けます農地が半分以上ということがいいのではないかというようなことで、大部分を構成員以外の者から借りてきてやるということは認めないという規定を置いております。
 そのほかに、現在、解放しました創設農地につきましては、さらにほかに貸すということは認めておりません。また、小作地につきましても転貸を認めておらないのでありますが、両方につきまして法人にこれを貸し付けることができるという趣旨の規定を置きました。これは、小作農が法人に参加できないということではまずいので、小作農につきましても、小作地につきましては転貸を認めまして、法人に参加を許しておるというような制度であります。
 大体以上が第三条関係でございます。
 次に、六条、七条関係でございますが、実は、小作地の所有制限がございます。御承知のように、第六条の第一項では二つのワクを設けておりまして、小作地の所有制限を規定いたしております。第一番目に不在地主の排除、これは農地法の根本原則になっております。不在地主を認めっないということと。在村地主でも内地でありますと平均一町歩しか小作は認めないというふうになっております。それから、七条では、実は国とか地方公共団体が公有または公用の用に供しております小作地あるいは転用相当で知事の認可を受けた小作地、こういうものにつきましては実は所有制限の例外を定めております。また、六条の六項では、第七条に書いてある中で、焼き畑、切りかえ畑というようなものにつきましては収穫が著しく不安定でありますし、あるいはまたそのほかに利用権の設定によって新しく小作地になった土地というものは、その性質上所有者の所有面積に参入しないということになっております。六条の一項では、不在地主を抑え、それから、それとともに在村地主の小作地の所有面積は一町歩ということを規定して、第七条では若干これの例外を実は認めているわけでございますが、今度法人が農業経営を営みますにつきまして、在村一町歩しか認めぬということになりますと、たとえば二町持っている人が全部法人に土地を貸しますということはできなくなりますので、これにつきましては小作地の所有制限の例外を認めまして、第七条第一項に第八号を追加しまして、そういうものは在村している者につきましては所有制限の例外とするというような規定を置きまして、実質的に、たとえば二町持っている人が法人に参加します場合に、三町全部出しましても、従来のように小作地は一町だったからあとの二町はいかぬということにはならぬように、所有制限の例外をここで認めているわけでございます。
 それから、また、もう一つの例でございますが、十三ページでございますが、たとえば、ここに書いておりますように、自作兼地主であります。たとえば、二町歩は自分で耕している、そのほかに一町歩をほかの人に貸し付けているというふうな場合に、二町歩を法人に賃貸しますと、これは小作地が三町になってしまって、法人以外に貸してある一町歩は、これは国に買収されてしまうというようなことになりまして、法人参加ができなくなるという不都合が生じますので、こういう土地につきましては、自分が法人に入る分の二町のほかに一町貸しておりますれば、そういうものは所有面積の計算に算入しないというようなことで、法人に参加することによりまして不都合が生じないように、新しい規定をここに加えておるわけでございます。
 それから、もう一つ、次の出作の例外でございますが、実は、これは、出作をしておりましたものを法人に貸し付けます場合に、これは本来不在地主の小作地となりまして買収されるということにも心配がありますので、これも不都合な結果が生じますので、これも規定を追加いたしまして、出作の場合におきましても、所有者がこの法人に貸し付けます前一定期間引き続いて有していた住所のあります市町村区域内にそのまま住所を持っているという場合に限りまして、出作の土地を法人に貸しましても、それは不在地主としてじゃなくて在村というふうに見なしまして買収しないというふうな規定を加えているわけでございます。
 それから、また、現在は、小作地につきまして、疾病とかあるいは負傷による療養であるとか、あるいは就学あるいは公選による公職への就任というような特別な事情によりまして一時的に不在になります場合には、在村と見なして、不在地主の取り扱いをしないということにいたしておりますが、今述べましたように、出作の問題でありますとか、あるいは第八号で小作地に算入しないというようなものにつきましても、一時不在がございましても、これは例外として普通の小作地と同様に見なすというような——一時不在でありますが、在村と見なすというような規定を置きまして、不都合が生じないようにというようにしたわけでございます。
 それから、次に、第九条の関係でございますが、これは、法人が農地または採草放牧地の使用収益権を取得しました後に、法人が適格性を失いましたりまたは構成員が構成員でなくなったという場合に在村地主の小作地あるいは小作採草放牧地の所有の制限の例外規定というようなことの適用を受けなくなった場合にはどうするかというような規定が第九条に実は書いてあるわけでございます。現在は、第九条では、所有してならない小作地として公示をされます場合には、一定期間内にその小作地または小作採草放牧地を他人に譲渡しない場合には国が買収するということになっておりまして、所有の制限の趣旨を実効あらしめるようにいたしておるわけでございますが、これは、今度は、法人が適格でなくなりあるいは法人の構成員でなくなったという場合にすぐこれが発動しますことは不都合な場合を生じますので、この場合には、あとで申し上げますが、二十条によります賃貸借の解除、解約等の許可ができるように規定を置いたわけでございます。これは、あくまで、法人に参加しているという個人につきまして重く見ていこうというような趣旨からしまして、法人が適格性を失ったということだけで直ちに小作地の例外規定がなくなりまして国が買収するというようなことでも困りますので、二十条によりまして、その個人が賃貸借の解除、解約等の申し入れをするというような規定をしまして、その場合はある程度不都合を救っていこうというような規定を置いたわけでございます。それで、法人に貸し付けております小作地または小作採草放牧地等が、法人が適格性を失いまして所有制限に該当してくる、そうして所有してはならないというような公示がありました場合には、一定期間——まあ三ヵ月ぐらいを考えておりますが、二十条の許可を受けまして賃貸借の解約の申し入れをするという場合には、国はその買収をしないこととしている。あるいはまた、その期間内に解約の許可の申請がございまして、期間経過後もまだ処分がないという場合におきましては、処分があるまでは買収しないというようなことにしまして、その個人を保護していこうというような規定でございます。
 それから、次の十五条の二は、創設農地につきましての例外規定の効力を失った場合にどうするかということでございますが、これにつきましては、大体の考え方は小作地の例外規定の場合と同様でございまして、これも現在の法律では直ちに買収をされるというようなことになりますが、これも二十条の規定を置きまして、やはり解約の申し入れをするというようなことをしまして、ある一定の期間内には直ちに国が買収するというようなことをしないで、創設農地を法人に貸しました個人の保護をしていくという規定を十五条の二でやっているわけであります。
 それから、次に、十九ページには、二十条の関係が出てございますが、今回の法的措置では、実質的には自作農の延長と見られるような法人に農業経営の道を開いていこうというようなことでございますので、そのような法人が条件を欠いたというような場合におきましては、そこに貸しておる個人につきましては、なるべく自作地としてまたその返還を受けましてみずから耕作できる機会を与えるのが適当であるというような考え方からいたしまして、この二十条第一項に第四号を追加したわけでございます。
 さらに、最後に、八十条の改正でございますが、これは若干法人とは違うのでございますが、現行の八十条では、農地改革の際に国が買収いたしました農地でありますとか未墾地等で耕作者に売り渡さないで国が管理をしているもののうちで、その後の事情の変化によりまして、その農地につきまして自作農の創設をしない、または土地の農業上の利用の増進の目的に使わない、要するに、農地、未墾地等を農地として利用しないということが相当であるということを認めました場合には、特別の場合を除きまして、その農地や未墾地は買収前の所有者に売り払うということに実はなっているわけでございます。しかし、買収前の所有者が死亡したり、あるいは法人でありますとその法人が合併によって消滅をしているというような事態が起きますと、買収前の所有者がないということになりして、他の者に時価で売り渡すということになるわけでございます。農地法の制定当時はこういうことでもよかったのでありますが、実は、その後、市町村合併の促進でありますとか、あるいは宗教法人の組織がえを国の政策として強力に推進しましたというような関係で、たとえば合併後の新しい市町村でございますとかあるいは旧宗教法人の一般承継人である新宗教法人に対してこれを売ることができないというようなことになりまして、いささか不都合を来たしているということもございますので、これを改めまして、また、それとの均衡という点で、個人につきましても法人との均衡をとるというようなことで、これを旧所有者の一般承継人にまで売ろうという考えでございます。これは、従来は買収前の所有者とありましたものを、所有者の承継人にまで売れるという拡大をしたわけでございまして、これによりまして今までの農地とか未墾地をよけい売るという問題とは別でございまして、農地とか未墾地を農業上の利用に使うか使わぬかということの判定は、これによっては何にも左右されるわけではございません。そういうように判定されたものにつきまして、今言いましたような一般の承継人にも売ることができるというような規定を、これは法人とは直接の関係はございませんが、一条を挿入いたしたわけでございます。
 最後は附則の関係でございますが、附則では、農業委員会等に関する法律、あるいは有畜農家創設特別措置法、あるいは土地改良法の一部を改正する法律、あるいは今御審議を願っております果樹農業振興特別措置法案でございますが、こういう法律が関係いたしておりますので、これについての改正を実は附則でいたしているわけでございます。
 まず、農業委員会等に関する法律でございますが、これは、現行法の八条によりますと、北海道は三反でありますが、内地は一反歩以上の農地につきまして耕作の業務を営んでおります者は農業委員会の選挙による委員の選挙権及び被選挙権を有するわけでございますが、今回の改正によりまして、ある個人がその法人に農地の一部なりまた全部を貸し付けました結果、今申しました資格の一反、北海道は三反でございますが、未満になりますと、選挙権なり被選挙権を失うということになります。これは同居の親族、配偶者も同じでございますが、これでは非常に不都合になりますので、このような事態を生ずるのを防ぎますために、法人による農業経営に移りました後でも、やはり選挙権、被選挙権を認める必要がありますので、このように改正をいたした次第でございます。
  次に、有畜農家創設特別措置法の改正でございますが、これも、現在の法律では「農家」ということになっております。農家ということになりますと、家族の労力を中核体とした農業生産体というふうに農家を考えますれば、数個の農家が集まって法人経営を行なう場合には「農家」に含まれないというような問題がございますので、これは最近の法人経営の実情なり組織なりといったことを考えて、法人によります農業経営の道を開こうという措置の趣旨からしますと、法人経営を行ないます場合にもやはり家畜の導入を認めた方がいいという考え方からいたしまして、これが可能となりますような規定の整備をはかったわけでございます。
 次に、土地改良法の一部改正でございますが、これは、御承知のように、三十二年に改正になりました際に、従来埋め立てまたは干拓に必要な土地の買収を農地法でやっておりましたのを、今度は特定土地改良事業として行なうということにいたしまして、今まで自作農創設措置特別会計に属しておりました埋め立てまたは干拓に必要な土地を、特定土地改良事業特別会計に移したわけでございます。でありますので、この土地につきまして、先ほど八十条で申し上げましたと同じような事情がございますので、これも従前の所有者に加えまして一般承継人ということをつけ加えたわけでございます。
  最後に、果樹農業振興特別措置法案が今出ておりまして、これの改正でございますが、これは目下御審議をいただいておりますが、これは、果樹農業者の二人以上からなる集団または果樹農業者が構成員となっている法人が都道府県知事の認定にかかわりますところの果樹園の経営計画に基づいて果樹の栽培を計画的かつ効率的に行なおうとする場合に、果樹農業振興資金を長期・低利で貸し付ける、これによりまして樹園地の集団化あるいは生産から販売までの諸過程の共同化を促進していこうというような目的になっておりますが、この場合に、「果樹農業者が構成員となっている法人」ということがございますと、これは、総合農協あるいは特殊農協その他たとえば立間方式のように、個別経営をそのまま残しておきまして、法人が農機具なり施設を持っておって、それを労働力とともに個人に提供するというような内容の法人でありますればこれはさしつかえないのでございますが、農業経営のみを行なう法人というふうになりますと、これはこれに含まってこないのじゃないかということもございます。これは、農業法人問題の発端が果樹園の経営というようなことからも来ております趣旨からも、当然これは含ましめる必要があるというようなことで、附則の第五項を設けたような次第であります。
 以上、はなはだ簡単でございましたが提案理由を説明いたしましたが、実は、その後、農林漁業基本問題調査会から答申案が出ております。これにつきましては、実は、構造政策の問題としまして、農地制度につきましてかなり具体的な改正の方向といいますか示唆を受けております。これは農地法全般にわたりますような大きな問題をかなり具体的に示唆をされております。われわれといたしましても、答申にもございましたように、答申が出ましてから一年内にぜひ結論をつけるようにというような要望もございますので、実は、答申を受けまして、農地法全般をどういうふうに構造政策なり何なりと合わせて改正すべきかということにつきまして検討を進めることにいたしております。農業法人問題につきましても、御承知のように、あの中で、農業経営でありますとかあるいは農業組織というような名前でもかなり議論されておりまして、協同組合の役割でございますとか、あるいは会社によります農業法人の役割というようなことにも触れてございます。でありますので、私どもとしましては、基本問題調査会から出ましたいろいろな答申につきましては、慎重に検討いたしまして、実は農業法人問題も含めまして全般的に農地法の改正につきまして検討するという態度でおるわけでございますが、今御審議願います法律につきましては、先ほど申し上げましたように、法人の形態というものにつきまして、ある一定の形態をきめまして全部それでもって指導していくというような形をとりませんで、これにつきましては、今申し上げました基本的な問題もございますので、もう少し時間をかしていただいて検討したい、その間は、今申し上げましたように農民の自主的な選択にまかせるというような態度でこの問題は暫定的に処していきたいというような考えでおる次第でございます。

発言情報

speech_id: 103405007X02919600517_022

発言者: 伊東正義

speaker_id: 26691

日付: 1960-05-17

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会