田中榮一の発言 (本会議)
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○田中榮一君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題になりました地方税法の一部を改正する法律案について、原案に賛成の討論を行なおうとするものであります。(拍手)
御承知の通り、本年度当初におきまして、国税、地方税を通じて平年度七百億円の減税を行なうというわが党の公約に基づき、国税においては、所得税の三百七十九億円を中心として、初年度四百十三億円、平年度四百六十五億円の減税を行なうとともに、地方税におきましても、零細負担の排除と負担の均衡化を重点として、個人事業税の基礎控除額の引き上げ、法人事業税の軽減税率の引き下げと、その適用限度額の引き上げ、固定資産税の制限税率の引き下げと免税点の引き上げを行ない、これにより初年度百一億円の減税措置を講じたのであります。その際、住民税につきましても所得税の減税に対応して減税を行なう方針を決定し、これによって地方税全体として平年度二百二十九億円の減税を見込んだのであります。ただ、住民税につきましては、所得税の減税に伴い、その影響が翌年度において自動的に現われて参ります関係から、その機会において、また、その限度において減税を行ない、あわせて、これに伴う地方団体の減収の補てん措置を講ずることとし、従って、法の改正はこれを昭和三十五年度において行なうことといたしたのであります。
今回提出されましたこの改正案は、この前年度決定した方針を実施に移すことを主眼として提案されたものでありまして、そのほかに、昨年行なわれました所得税法及び法人税法の改正に伴い、必要なる規定の整備を加えたにすぎないのであります。すなわち、その内容は、住民税の減税方法として、まず第一に、道府県民税の所得割の課税総額算定の基礎となる標準率及び市町村民税の所得割のうち、所得税額を課税標準とする、いわゆる第一課税方式の標準税率はこれを据え置くこととして、所得税における扶養控除の引き上げ及び最低税率適用範囲の最高限度額引き上げによる減税の影響をそのまま受け入れることとするとともに、これと均衡のとれるよう、その他の課税方式の準拠税率を改めることとしておるのであります。なお、このほか、ただし書き方式を採用する市町村につきましては、扶養親族の数に応ずる税額控除額を引き上げるよう指導する方針をとったのであります。
以上のごとく、本改正案自体は、実質的にはすでに本年度当初において決定を見たものといえるのでありまして、当時すでに適切妥当な措置として各方面から歓迎せられ期待されて参ったところでありまして、今さらあらためて論議を繰り返すまでもないと思うのであります。この措置により、わが党の減税公約は完全かつ忠実に実現されることとなるのでありまして、私は双手をあげて賛意を表するものであります。(拍手)
ただ、ここで問題になりますのは、今回の改正によって生ずる減収に対し、いかなる措置を講ずるか、ということであります。御存じのように、この措置は、別途提案されておりまする臨時地方特別交付金に関する法律案によって行なわれることになっておるのでありますが、その額を国税三税の〇・三%相当額とし、これを、本年度から当分の間、減税によって生ずる地方財源の減少に対して、特別交付税の例によって交付することといたしておるのであります。この措置につきましては論議の余地があり、地方財政の現状に照らして、われわれも必ずしも満足するものではないのでありますが、明年度は幸い経済界の好況が持続するという見通しのもとに、地方税収入において、本年度当初計画に比し約八百億円の自然増収が見込まれており、また、地方交付税も増額されましたので、大多数の地方団体については、減税による影響はさして懸念すべきものではないと思われるのであります。ただ、税収のきわめて乏しい団体や、災害によって大きな被害をこうむった団体等にとりましては、相当な痛手となることが予想されます。また、昭和三十六年度以降の諸情勢の変化をも考慮せねばなりませんので、この補てん措置の実施につきましては、政府当局が特に慎重な態度をもって臨み、事態の推移に即応して適処されるよう要望してやまないのであります。
さらに、本案に関連しまして、かねてから懸案となっておりました大衆飲食及び宿泊に対する遊興飲食税の軽減、合理化を初め、一連の減税措置をこの際実施すべきであるという意見が各方面から主張されておりますことは御承知の通りであり、現に、日本社会党からは、これらを含めた相当広範な改正案が提出されているのであります。申すまでもなく、現行の地方税制につきましては、たび重なる改正にもかかわらず、今なお負担の過重な面、均衡を欠くに至っているものなど、是正を要する点が少なくないことは、われわれもよく承知いたしておるのでありまして、修正を主張される御意見の多くの部分につきましては、趣旨においてまさに同感であり、それゆえにこそ、その実現のためには年来努力を傾けて参ったのでございます。しかしながら、一方、地方財政の現状は、今なお赤字の再建過程にありながら、わが国産業経済の発展と国民生活水準の向上に即応できるよう、行政水準の維持向上をはからなければならないという強い要請のもとに置かれており、これに加うるに、本年度の大災害に伴う災害復旧、災害防除等の事業費は、明年度において大きな負担増となっているのでありまして、税の自然増収が相当程度見込まれるといたしましても、減税の余地については、われわれはなお慎重に考慮を要するものと考えるのであります。また、目下税制調査会または地方制度調査会におきまして、国・地方を通ずる租税制度の抜本的改革が鋭意検討されている段階でありますので、現行税制の部分的改正は、よほど緊急を要するもの以外は、増減税ともにこの際はこれを回避して、地方財政に無用の混乱を生ぜしめないよう努めることが適当であろうと思うのであります。
なお、この際、特に強調しておきたいことは、長い間の懸案であり、また、われわれの強く主張して参りました税外負担の解消という問題が、明年度から日の目を見るに至った、ということであります。御承知のように、従来、地方団体は、財源が乏しいために、本来公費でまかなうべき教育、消防等の経費の負担をPTAその他の寄付金に求めるという慣行が生じており、その額は、現在、明確なものだけでも二百五十億円に達しておるのでありますが、明年度より、これらの税外負担の漸進的解消のため、法令を整備するとともに、財政的にその実施を裏づけるため、約七十億円の財源措置を行なったのであります。その効果いかんは地方団体の今後の努力に待つところが大きいのでありますが、これは消極的ながら大きな減税方策とも考えるのでありまして、本来、あらゆる減税に先たって行なわれるべき措置であったとも言えるのでありまして、私は、その成果が今後十分に達成せられ、住民負担の軽減に、減税にかわって大きく寄与することを念願いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)