岸信介の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(岸信介君) 国際情勢を正確に把握して、これに基づいて日本の進むべき道、施政の基本を明確にして、内政、外交あらゆる面にこれを実施していくべき必要のあることは、ただいま杉原委員の御指摘の通りであります。私は先ほど所信の一端を述べましたときにおきましても、これに対する基本的な考え方は申し述べたつもりであります。日本は、従来ややともすれば、この国政の基本的指導につきまして、国際情勢を正確に分析、把握して、これに基づいて国の進路を定め、内外の施政においてこれを具現化するという点において十分でなかったことは、遺憾ながら杉原委員の御指摘になったように、私も認めざるを得ないと思います。日本がその地理的の立場からいい、また歴史的の環境からいって、国際情勢に対する国民一般の認識が十分でなかった点も、これは率直に認めなければならぬ、しかし今日のこの国際関係からいい、また科学の発達からいって、日本におけるいろいろな事象というものは、直ちに国際的に影響を持ち、また国際的のこの動きは、直ちに日本のわれわれの国民生活にも密接な関係を持っている今日におきまして、国民の国際情勢に対する認識もよほど改まってきておりますが、さらにこれを一そう徹底することに政府が努むべきことは当然であります。何といっても国民に正しい国際の認識を深めるように、あらゆる点において努力すべきことは当然のことだと思います。さらに今日の国際情勢の問題は、今御指摘のありましたように、要するに、共産陣営と自由陣営との対立からきておって、その関係は、いろいろな国際情勢に応じてその戦術も変更されておるような、また複雑な様相をとっておるということも、これも十分に認めなければならないと思います。従って、ただ単に国際的にわれわれが外交の方針としてこういうものをとるんだということを明瞭にするばかりでなくして、これを内政面にも現わしてこなければならぬ。今日国会の政治の状態を見まするというと、いわゆるわれわれの念願しておる民主政治、議会政治が、一つの危機に面しているとさえ考えなければならぬような事態が起こってきておる、しこうしてその背後において、根底において、国際情勢の認識の違い、あるいは東西両陣営の対立からくるところの冷戦、これに基づく複雑なる戦術というふうなものがからまっておることは、これは明らかに認識しなければならぬ事態であると思います。従って、私は安保条約のこの改定にあたりまして、先ほども申し上げましたように、日本があくまでも自由主義の立場を堅持して、自由主義の国々との提携の上に日本の平和と安全と福祉を増進して、そしてこれが世界平和に貢献するゆえんであると信じておるわけでありまして、これができますれば、日本の立場なり日本の進むべき進路というものがきわめて明瞭になり、さらにこれを国内のいろいろな内政上の問題に結びつけて実現しなければならない方策も少なくない、私はかように思っでおります。私は、かつて、この安保条約の改定ということは一つのスタートであって決してゴールではないということを申したことがあります。私は、この安保条約の改定によってすべての問題が解決するというふうな考えは持っておりません。従って、国政の指導、内政上の諸問題につきましても、この日本の立場を明確にした上において、必要なる措置を実現していくということに、今後とも心がけていかなければならぬ、努力していかなければならぬ、かように考えております。