永野護の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○永野護君 時間の関係もございますから、逆に、私はこうしたらいいと思うのだけれども、それに対して総理の御所見はどうかというふうな質問の仕方をさしていただきます。
私はこの日米の間の新しい条約は、軍事問題に重点を置き過ぎる、実際上われわれの国民生活にまっこうから影響のあるのは経済問題だと私はそう考えておるのであります。昨日以来の質問応答を通じて見ましても、軍事的のこの条約の実際の効力を発効するのは、あってはならず、またなかなか実際はない、こう考えておるのであります。今の武群の発達の上から見ますると、かりにこの条約があっても、ほんとうに戦争が始まったならば、この条約に基づくアメリカの援助を得ましても、おそらくそれはザッツ・オールになるような気がするのであります。従いまして、そういうことはあってはならぬ。しかしながら、経済的の提携の問題は、今日ただいまから幾らでもアメリカと協力をし、その実効を日本が享受し得るケースが非常に多いのであります。そこで私は、最初の軍事の方に合同委員会を作って、どういうふうな援助を具体的に相互にしようというようなことを研究される機関ができておるのでありますから、それよりもっと実際上効果の多い経済面の提携を、どうして具体化しようじゃないかという両国の機関をお作りになって、この経済委員会と軍事委員会の二本の柱でこの安保条約を運営される必要があり、またいろんな世間の思惑に対しましても、それができておれば、安保条約即軍事同盟というような非難を緩和することもできるであろうと私は考えるのであります。
そこで私は、今度の全権の中に実業界における最も練達堪能な藤山外務大臣が加わられ、さらに現役の足立商工会議所会頭が加わりましたので、必ずや今度の安保条約を調印されるときには、この経済委員会の構成をお作りになって、具体的に日米間の経済提携は、どこにどういう形でできるかということを研究する機関をお作りになって、結論的にこういうことをやるというようなことまでまとめてお帰りになるという期待にいたしておりませんでしたけれども、どうすることがいいかということを研究する機関くらいは作っていただけるものと期待しておったのであります。遺憾ながら今日まで政府間のそういう経済問題に関する合同委員会はなかなかむずかしいというふうに承っておりまして、せめて民間ベースでというようなお話が進んでおるとのことでありますが、これは国と国との約束で、国と国とがどうして提携していこうかということを研究する機関を作ることは、民間の問題ではなくて国と国とでやるべきことがたくさんある。もちろん民間にもあります。ありますけれども、それは国と国とで約束する大きなワクの中で個々に具体的な運営を、これは民間の両方の委員で研究するということが適当であるかもしれません。しかし軍事委員会に匹敵する国と国との責任者が出て話し合う一つの経済的の相談の広場を作ることは、この安保条約に画龍点睛の意義を与えるためにぜひ必要だと、私はこう考えるのであります。
そこで、結果においてはそれは今できておりませんのですけれども、今申し上げるような観点から、私はそれを期待しておったのであります。そこでこの問題について、一面において政治的感覚を十分お持ちでありながら、同時に実業界の最長老であり、経験豊富な藤山外務大臣が、この問題についてどういう努力をされ、今日どういう現状になっておるかということを承りたいのであります。