日米安全保障条約等特別委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十五年六月十日(金曜日)
午前十一時二十九分開会
—————————————
委員の異動
本日委員永野護君辞任につき、その補
欠として井川伊平君を議長において指
名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 草葉 隆圓君
理事
井上 清一君
西田 信一君
増原 恵吉君
吉武 恵市君
委員
青木 一男君
青柳 秀夫君
井川 伊平君
鹿島守之助君
木内 四郎君
木村篤太郎君
後藤 義隆君
笹森 順造君
杉原 荒太君
鈴木 恭一君
苫米地英俊君
永野 護君
鍋島 直紹君
野村吉三郎君
堀木 鎌三君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
法制局長官 林 修三君
法制局第一部長 山内 一夫君
防衛政務次官 小幡 治和君
防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
調達庁長官 丸山 佶君
外務大臣官房審
議官 下田 武三君
外務省アメリカ
局長 森 治樹君
外務省経済局長 牛場 信彦君
外務省条約局長 高橋 通敏君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
—————————————
本日の会議に付した案件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約の締結につ
いて承認を求めるの件(内閣提出、
衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約第六条に基
づく施設及び区域並びに日本国にお
ける合衆国軍隊の地位に関する協定
の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約等の締結に
伴う関係法令の整理に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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この発言だけを見る →午前十一時二十九分開会
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委員の異動
本日委員永野護君辞任につき、その補
欠として井川伊平君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 草葉 隆圓君
理事
井上 清一君
西田 信一君
増原 恵吉君
吉武 恵市君
委員
青木 一男君
青柳 秀夫君
井川 伊平君
鹿島守之助君
木内 四郎君
木村篤太郎君
後藤 義隆君
笹森 順造君
杉原 荒太君
鈴木 恭一君
苫米地英俊君
永野 護君
鍋島 直紹君
野村吉三郎君
堀木 鎌三君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君
厚 生 大 臣 渡邊 良夫君
農 林 大 臣 福田 赳夫君
通商産業大臣 池田 勇人君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 菅野和太郎君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
法制局長官 林 修三君
法制局第一部長 山内 一夫君
防衛政務次官 小幡 治和君
防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
調達庁長官 丸山 佶君
外務大臣官房審
議官 下田 武三君
外務省アメリカ
局長 森 治樹君
外務省経済局長 牛場 信彦君
外務省条約局長 高橋 通敏君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
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本日の会議に付した案件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約の締結につ
いて承認を求めるの件(内閣提出、
衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約第六条に基
づく施設及び区域並びに日本国にお
ける合衆国軍隊の地位に関する協定
の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約等の締結に
伴う関係法令の整理に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————
草
草葉隆圓#1
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから日米安全保障条約等特別委員会を開会いたします。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に関する法律案、以上衆議院送付の三案件を一括して議題といたします。
前回に引き続き質疑を続行いたします。これより通告順により質疑を許します。永野護君。
この発言だけを見る →日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に関する法律案、以上衆議院送付の三案件を一括して議題といたします。
前回に引き続き質疑を続行いたします。これより通告順により質疑を許します。永野護君。
永
永野護#2
○永野護君 私は、日本国民の生活に最も重大な影響を与えるであろうと思われまする新安保条約の第二条の意義と、この条約ができましたいきさつ及びこの二条を将来どういうふうに具体的に運営していかれるかという方針を総理大臣に伺いたいのでありますが、この問題に入ります前に、私はぜひとも日本国民とともによく了承しておかなければならないのは、日本経済の実態いかんという問題であります。と申しまするのは、この安保条約の締結に関しまして賛否いろいろ議論がありますけれども、その中に日本経済の実態とあまりに遊離した議論が非常に多いからであります。現在の日本の国民生活は、敗戦後の生活といたしましては、古今東西類例を見ないぐらい恵まれたる環境にあるのであります。従いまして、この今の日本国民の生活を日本の実力相当の生活をしておるという観点から出発いたしますと、この安保条約の意義につきましてもいろいろな議論が成り立ち得るのでありますけれども、日本経済の本質を十分に考えてみますると、そういう議論をする余裕のない日本経済の実態であると私は考えるからであります。
そこで、その総理の質問に入ります前に、企画庁長官に伺いたいのでありますが、日本経済は、はたしてこの日本に残されたる四つの小さな島の生産物で九千万人の人間を養い得るかどうかということを、一切の理論を抜きにして、あるいは世界観の問題を抜きにして、数字を示していただきたいのであります。一体、日本の経済の実態はどうかという問題をお聞きいたしますためには、どうしても、現在の日本の実情ばかりでなくて、さかのぼって、この徳川三百年の封建時代のいわゆる鎖国経済のときにさかのぼった説明を受けませんと、ともすると誤解が生じやすいのであります。と申しまするのは、徳川三百年の間、日本はどこの国のお世話にもならないで、いわゆる武陵桃源の夢を安らかにむさぼり得たために、日本人はほんとうに切実に日本の資源の不足を感ずる度合いが非常に薄かったのであります。しかし、この徳川三百年の間、日本人がどこの国の世話にもならないで生き得られたという裏には、いわゆる封建政治、封建経済でありまして、人民には何の自由もなく、職業選択の自由もなけらねば移動の自由もなく、個人の私生活に徹底した政府の関与ができまして、非常に徹底した人口制限政策と生活水準の抑圧政策があったからこそ、あの三百年の間の武陵桃源の夢が続き得たのであります。ところが、明治時代になりますると、この人口制限政策と生活水準の抑圧政策という二本の柱がくずれまして、資本主義経済に移りますと、自由を基礎にしたいわゆる民主主義政治になりましたので、徳川幕府の三百年の間のその夢を繰り返すことはできなくなったのであります。そこで、明治政府になりましたら、この標語が富国、強兵という二つの目標にしぼられまして、私ども子供時分に富国強兵ということを絶えず言い聞かされて参ったのであります。そうして強兵政策がある程度の火を結びますると、まずその強兵の結果得た武力によって軍旗を押し立てて海外に出まして、その軍旗のあとに経済人がついて参りまして、日本の経済権益を広げることによって、絶えざる生活水準の向上と人口の増殖に基づく衣食住に必要とする物資の総量を供給して参ったのであります。それで大戦前には、やや自給自足経済を営み得たのでありますが、ただどうにもならなかったのは石油問題であったのであります。アメリカが石油を日本に自由に供給してくれましたならば、あるいは第二次世界大戦というものは起こらなくても済んだかと思う程度に、ある程度の自給自足経済ができておったのであります。ところが、今度戦争に入りまして、戦時中の経済はもちろんでありますけれども、戦後になりますると、その様相が全く変わりまして、われわれの父祖が明治維新以来粒々辛苦して拡大してくれました私どもの経済権益は、一転して徳川幕府のときに残されましたる四つの島の生産力に頼って生きなければならないような状態が一瞬にして起こったのであります。今から考えますると、世界的の宝庫でありました満州を失い、台湾を失い、朝鮮を失い、千島を失い、樺太を失いまして、そして、そこに九千万……戦前から見ますると、内地の人口は六百何十万という消費人口だけがふえたという痛ましい現実がわれわれの前に残されたのであります。私は昭和二十年の終戦の詔勅を拝承しましたときに、率直に申しまして、ほっと一息をつくとともに、次の瞬間には、これは大へんなことになった、日本国民は半分ぐらい餓死しなければならないような状態が起こりはしないかと心配いたしたのであります。それは終戦後に残された日本の生産力というものは、徳川三百年の間三千万以上の人間を養い得たことはただの一回もなかったからであります。三千万以下の人口にこれを押さえまして、そうしてその生活水準を非常に低いところに押さえて、それで辛うじて衣食住に必要とする物資を供給して参ったのでありますけれども、終戦まで向上を続けた日本の経済生活水準と、九千万の人間が必要とする物資の総量は、とうてい日本に残されたる四つの島の生産力では供給ができないということを実感しておるからであります。ところが、現実の問題として、餓死者が出るどころか、戦前よりもむしろ恵まれたる生活を継続し得たのであります。これはまさに世紀の奇跡と言わなければならぬと思うのであります。古今東西に、いくさに負けて、そうしていくさ前よりもいい生活ができたという例は、ただの一つも実例がないのであります。ところが、これは非常な奇跡として日本国民は恵まれた立場にあるのでありますけれども、危険なのは、その奇跡の上にあぐらをかいて、安座して、そうしてこれを既成事実として何らのこれに対する反省をすることなく、その明日の生活を設計するところに、その危険があると思うのであります。
そこで、私は、これから菅野長官に対しまして、明治時代、徳川時分はもちろんのこと、その時分のことを根掘り葉掘り聞きませんけれども、少なくも、日本の領土の四五%を失い、生産施設の四一%半を失ってぼう然自失しておりました昭和二十年以来の日本が、一体どうして生きてきたか。生き得ないと数字上どうしても思える日本が、単に餓死者がないばかりか、戦前よりもむしろ恵まれた生活をなし得たのは、一体どういうわけかということを、理論を加えないで数字についての御説明を願いたいのであります。日本人がどうして寒さ暑さに適応する衣料を十分に供給し得たか。腹の減らないように、腹一ぱい飯が食えたか。りっぱなああいうビルを初め、たくさんの住宅はどうして建ったか。建つはずがないじゃないかと一応思えるのでありますから、私は、その参考といたしまして、日本人が衣食住に今の生活水準を維持して、衣食住に必要とする物資の総量は一体どのくらいあるのか。そうして、それに対して衣食住に必要とする物資の総生産量はどのくらいあるのか。これがバランスが合っておればもう問題はないのであります。そのバランスが合わないとすれば、それは一体どうして過去十五年間日本は生きてくることができたかということを伺いたいのであります。
この発言だけを見る →そこで、その総理の質問に入ります前に、企画庁長官に伺いたいのでありますが、日本経済は、はたしてこの日本に残されたる四つの小さな島の生産物で九千万人の人間を養い得るかどうかということを、一切の理論を抜きにして、あるいは世界観の問題を抜きにして、数字を示していただきたいのであります。一体、日本の経済の実態はどうかという問題をお聞きいたしますためには、どうしても、現在の日本の実情ばかりでなくて、さかのぼって、この徳川三百年の封建時代のいわゆる鎖国経済のときにさかのぼった説明を受けませんと、ともすると誤解が生じやすいのであります。と申しまするのは、徳川三百年の間、日本はどこの国のお世話にもならないで、いわゆる武陵桃源の夢を安らかにむさぼり得たために、日本人はほんとうに切実に日本の資源の不足を感ずる度合いが非常に薄かったのであります。しかし、この徳川三百年の間、日本人がどこの国の世話にもならないで生き得られたという裏には、いわゆる封建政治、封建経済でありまして、人民には何の自由もなく、職業選択の自由もなけらねば移動の自由もなく、個人の私生活に徹底した政府の関与ができまして、非常に徹底した人口制限政策と生活水準の抑圧政策があったからこそ、あの三百年の間の武陵桃源の夢が続き得たのであります。ところが、明治時代になりますると、この人口制限政策と生活水準の抑圧政策という二本の柱がくずれまして、資本主義経済に移りますと、自由を基礎にしたいわゆる民主主義政治になりましたので、徳川幕府の三百年の間のその夢を繰り返すことはできなくなったのであります。そこで、明治政府になりましたら、この標語が富国、強兵という二つの目標にしぼられまして、私ども子供時分に富国強兵ということを絶えず言い聞かされて参ったのであります。そうして強兵政策がある程度の火を結びますると、まずその強兵の結果得た武力によって軍旗を押し立てて海外に出まして、その軍旗のあとに経済人がついて参りまして、日本の経済権益を広げることによって、絶えざる生活水準の向上と人口の増殖に基づく衣食住に必要とする物資の総量を供給して参ったのであります。それで大戦前には、やや自給自足経済を営み得たのでありますが、ただどうにもならなかったのは石油問題であったのであります。アメリカが石油を日本に自由に供給してくれましたならば、あるいは第二次世界大戦というものは起こらなくても済んだかと思う程度に、ある程度の自給自足経済ができておったのであります。ところが、今度戦争に入りまして、戦時中の経済はもちろんでありますけれども、戦後になりますると、その様相が全く変わりまして、われわれの父祖が明治維新以来粒々辛苦して拡大してくれました私どもの経済権益は、一転して徳川幕府のときに残されましたる四つの島の生産力に頼って生きなければならないような状態が一瞬にして起こったのであります。今から考えますると、世界的の宝庫でありました満州を失い、台湾を失い、朝鮮を失い、千島を失い、樺太を失いまして、そして、そこに九千万……戦前から見ますると、内地の人口は六百何十万という消費人口だけがふえたという痛ましい現実がわれわれの前に残されたのであります。私は昭和二十年の終戦の詔勅を拝承しましたときに、率直に申しまして、ほっと一息をつくとともに、次の瞬間には、これは大へんなことになった、日本国民は半分ぐらい餓死しなければならないような状態が起こりはしないかと心配いたしたのであります。それは終戦後に残された日本の生産力というものは、徳川三百年の間三千万以上の人間を養い得たことはただの一回もなかったからであります。三千万以下の人口にこれを押さえまして、そうしてその生活水準を非常に低いところに押さえて、それで辛うじて衣食住に必要とする物資を供給して参ったのでありますけれども、終戦まで向上を続けた日本の経済生活水準と、九千万の人間が必要とする物資の総量は、とうてい日本に残されたる四つの島の生産力では供給ができないということを実感しておるからであります。ところが、現実の問題として、餓死者が出るどころか、戦前よりもむしろ恵まれたる生活を継続し得たのであります。これはまさに世紀の奇跡と言わなければならぬと思うのであります。古今東西に、いくさに負けて、そうしていくさ前よりもいい生活ができたという例は、ただの一つも実例がないのであります。ところが、これは非常な奇跡として日本国民は恵まれた立場にあるのでありますけれども、危険なのは、その奇跡の上にあぐらをかいて、安座して、そうしてこれを既成事実として何らのこれに対する反省をすることなく、その明日の生活を設計するところに、その危険があると思うのであります。
そこで、私は、これから菅野長官に対しまして、明治時代、徳川時分はもちろんのこと、その時分のことを根掘り葉掘り聞きませんけれども、少なくも、日本の領土の四五%を失い、生産施設の四一%半を失ってぼう然自失しておりました昭和二十年以来の日本が、一体どうして生きてきたか。生き得ないと数字上どうしても思える日本が、単に餓死者がないばかりか、戦前よりもむしろ恵まれた生活をなし得たのは、一体どういうわけかということを、理論を加えないで数字についての御説明を願いたいのであります。日本人がどうして寒さ暑さに適応する衣料を十分に供給し得たか。腹の減らないように、腹一ぱい飯が食えたか。りっぱなああいうビルを初め、たくさんの住宅はどうして建ったか。建つはずがないじゃないかと一応思えるのでありますから、私は、その参考といたしまして、日本人が衣食住に今の生活水準を維持して、衣食住に必要とする物資の総量は一体どのくらいあるのか。そうして、それに対して衣食住に必要とする物資の総生産量はどのくらいあるのか。これがバランスが合っておればもう問題はないのであります。そのバランスが合わないとすれば、それは一体どうして過去十五年間日本は生きてくることができたかということを伺いたいのであります。
菅
菅野和太郎#3
○国務大臣(菅野和太郎君) 終戦後、日本の経済がこのように躍進してきたということについてのお話、お尋ねがあったように思うのでございますが、終戦後、このように日本の経済が発展したその根本の理由といたしましては、結局、私は人の問題だと考えておりますが、やはり日本人が経済力の点において優秀な素質を持っておったということ、これが原因だと思いますが、その日本人が優秀であったがために、今日、生産技術というものが非常に向上してきて、そのおかげで生産力が増してきた、こういうことが言えると思いますが、しかし、それよりも府にわれわれが忘れてはならないことは、終戦後におけるアメリカの対日援助であったと思うのであります。アメリカがわれわれ日本人の必要とする生活必需品を送ってきたり、あるいは日本の産業の必要とするところの原料を貸して、送ってきたりなどしたことが、そもそもの原因だと思うのでありまして、一例を申し上げますれば、終戦後、日本の産業がいち早く復興したのは、私は日本の紡績業だと思うのであります。この紡績業がいち早く復興したために、従って、これに関連して、いろいろの産業が私は勃興してきたと思うのでありますが、その紡績業を始めるについては、その原料である綿を買う資力はもちろん日本にはありません。幸い、アメリカがその綿花を貸してくれたというところに、日本の紡績業がまた再活動をしてきたのであります。そういう点において、アメリカが日本に対する対日援助ということは、これは、われわれ決して忘れてはならないことだと思うのであります。
そこで、現在、一体、この日本人の生活、衣食住についてどうなっておるかというお話があったと思うのでありますが、昭和三十四年度について、九千万の国民がその生活のために支払った金額は大体六兆六千七百五十億円と計算されておるのでありまして、一人当たり七万二千円ということに相なっておるのであります。この消費水準は、先ほどもお話がありましたが、戦前昭和九年から十一年に比べますと、三二%高い水準と相なっておるのであります。現在も毎年この消費水準は伸びておりまするし、また、今、私の方で国民所得倍増の長期経済計画を立てておりますが、十年後においてはおよそ二倍の消費水準になるのじゃないか、あるいは、二十年後においては三倍の消費水準になるのじゃないかというような計算をいたしておるのであります。そこで、このような消費需要に対しまして、米麦などはもちろん国内の供給力では絶対に不足いたしておりますから、その不足分は輸入いたしておるのであります。そのほか、原綿とか原毛などの多くの原材料を輸入いたしておるのでありまして、結局、わが国九千万の国民が生活するがためには、相当海外からの輸入に待たなければならないという情勢になっております。しからば、国民の生活需要に対してどれだけのものが輸入されておるかと申しますと、パーセンテージから申しますと、大体九%であります。これを金額で申し上げますと、十六億ドルであります。その十六億ドルの中で、消費財として輸入しておるのが五億ドルでありまして、原材料として輸入いたしておるのが十一億ドルということになっておるのであります。こういうような多額の輸入をしなければならぬという経済事情でありますからして、従って、その輸入をまかなうためには、どうしても輸出を奨励しなければならぬということが、日本の経済の実情なのでありまして、幸い、昨年来輸出が非常に増加いたしまして、国際収支が毎月黒字を呈したということは、すなわち、それだけ日本の輸出能力が伸びてきたということであるし、従って、また、それだけ輸入能力も伸びてきたということに相なっておると思うのであります。
なお、今後、しからば、日本の経済がどのように発展するかということにつきましては、国内生産がどのように伸びるかということをまず考えなければならないと思うのでありまして、国内生産がいかに伸びるかということは、これは生産技術がいかに伸びるかということに帰着するのでありまして、その点においては、今度の予算におきましても、科学技術の奨励ということに重点を置きまして、その科学技術の発達によって生産技術の向上をはかり、それによって生産の向上を来たしたい、こう考えております。それから、もう一つ考えられることは、貿易・為替の自由化によりまして、世界の経済交流というものが盛んになる。従いまして、それによって日本の今後における輸出輸入の状況が変わってくると思うのであります。この将来における世界経済の交流がどのように進展するかということによって今後の見通しを立てなければならない、こう考えております。でありますからして、国民所得倍増の長期経済計画は、自民党の政調会で作りました案によりますと、大体十年後には二十二兆四千万円ということになっておりますが、そのうち輸入も大体七十億ないし八十億ドルの輸入をしなければならぬ、輸出も大体七十五億から八十五億ドルの輸出をしなければならぬという計算をいたしておるのでありまして、まあそのような多額の輸出入をすることによって日本の経済をまかなっていきたい、こう考えておる次第であります。
この発言だけを見る →そこで、現在、一体、この日本人の生活、衣食住についてどうなっておるかというお話があったと思うのでありますが、昭和三十四年度について、九千万の国民がその生活のために支払った金額は大体六兆六千七百五十億円と計算されておるのでありまして、一人当たり七万二千円ということに相なっておるのであります。この消費水準は、先ほどもお話がありましたが、戦前昭和九年から十一年に比べますと、三二%高い水準と相なっておるのであります。現在も毎年この消費水準は伸びておりまするし、また、今、私の方で国民所得倍増の長期経済計画を立てておりますが、十年後においてはおよそ二倍の消費水準になるのじゃないか、あるいは、二十年後においては三倍の消費水準になるのじゃないかというような計算をいたしておるのであります。そこで、このような消費需要に対しまして、米麦などはもちろん国内の供給力では絶対に不足いたしておりますから、その不足分は輸入いたしておるのであります。そのほか、原綿とか原毛などの多くの原材料を輸入いたしておるのでありまして、結局、わが国九千万の国民が生活するがためには、相当海外からの輸入に待たなければならないという情勢になっております。しからば、国民の生活需要に対してどれだけのものが輸入されておるかと申しますと、パーセンテージから申しますと、大体九%であります。これを金額で申し上げますと、十六億ドルであります。その十六億ドルの中で、消費財として輸入しておるのが五億ドルでありまして、原材料として輸入いたしておるのが十一億ドルということになっておるのであります。こういうような多額の輸入をしなければならぬという経済事情でありますからして、従って、その輸入をまかなうためには、どうしても輸出を奨励しなければならぬということが、日本の経済の実情なのでありまして、幸い、昨年来輸出が非常に増加いたしまして、国際収支が毎月黒字を呈したということは、すなわち、それだけ日本の輸出能力が伸びてきたということであるし、従って、また、それだけ輸入能力も伸びてきたということに相なっておると思うのであります。
なお、今後、しからば、日本の経済がどのように発展するかということにつきましては、国内生産がどのように伸びるかということをまず考えなければならないと思うのでありまして、国内生産がいかに伸びるかということは、これは生産技術がいかに伸びるかということに帰着するのでありまして、その点においては、今度の予算におきましても、科学技術の奨励ということに重点を置きまして、その科学技術の発達によって生産技術の向上をはかり、それによって生産の向上を来たしたい、こう考えております。それから、もう一つ考えられることは、貿易・為替の自由化によりまして、世界の経済交流というものが盛んになる。従いまして、それによって日本の今後における輸出輸入の状況が変わってくると思うのであります。この将来における世界経済の交流がどのように進展するかということによって今後の見通しを立てなければならない、こう考えております。でありますからして、国民所得倍増の長期経済計画は、自民党の政調会で作りました案によりますと、大体十年後には二十二兆四千万円ということになっておりますが、そのうち輸入も大体七十億ないし八十億ドルの輸入をしなければならぬ、輸出も大体七十五億から八十五億ドルの輸出をしなければならぬという計算をいたしておるのでありまして、まあそのような多額の輸出入をすることによって日本の経済をまかなっていきたい、こう考えておる次第であります。
永
永野護#4
○永野護君 日本が餓死者が出るべきはずであるのに出ないで済んで、逆に戦前よりもいい生活をなし得たことは、アメリカの援助によるところが多いという今のお話でございましたが、参考に、しからばどのくらいの金額をアメリカから援助を受けたか。一番最初のガリオア、イロア、その後、毎年毎年特需という形その他いろいろの形でアメリカから日本に持って来ましたドルは、総計どのくらいになっておりますか。それを伺っておきたいと思います。
この発言だけを見る →佐
佐藤榮作#5
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
ガリオア、イロアの金額につきましては、ただいままだ正確な数字が出ておりません。ことに当初参りましたものはアメリカ軍関係で経理しておりますので、日本政府がタッチしておらないということもございますから、総額はわからないのでございますが、ただいままで言われておりますものは二十億ドルということが言われておるわけであります。
なお、経済の面についていろいろの御意見がございましたが、ただいままで戦後わが国産業が技術導入をした件数は全体で千二十三件、そのうち六百七十件はアメリカであります。また世銀その他民間資金等が資金の形で入り、外国が債権を持っておるその総額は七億四千万ドル近くになっておると思います。このうちからアメリカの民間資金そのものとして入っておりますものは、四億三千万ドル、従いまして世銀等を除きますと、外国から入って来た資金のうちの八九%はアメリカの民間から入っておるということであります。また株式投資の実情は今日まで約一億ドルと言われておりますが、そのうち七、八割はアメリカ資本と、こういうことに考えております。
この発言だけを見る →ガリオア、イロアの金額につきましては、ただいままだ正確な数字が出ておりません。ことに当初参りましたものはアメリカ軍関係で経理しておりますので、日本政府がタッチしておらないということもございますから、総額はわからないのでございますが、ただいままで言われておりますものは二十億ドルということが言われておるわけであります。
なお、経済の面についていろいろの御意見がございましたが、ただいままで戦後わが国産業が技術導入をした件数は全体で千二十三件、そのうち六百七十件はアメリカであります。また世銀その他民間資金等が資金の形で入り、外国が債権を持っておるその総額は七億四千万ドル近くになっておると思います。このうちからアメリカの民間資金そのものとして入っておりますものは、四億三千万ドル、従いまして世銀等を除きますと、外国から入って来た資金のうちの八九%はアメリカの民間から入っておるということであります。また株式投資の実情は今日まで約一億ドルと言われておりますが、そのうち七、八割はアメリカ資本と、こういうことに考えております。
永
永野護#6
○永野護君 ほとんど大部分がアメリカの援助によって、先ほど申しますような日本国民が生活を維持し得たというふうに了承して差しつかえないだろうと思います。
しからば、これは過去そういうアメリカの援助によって来たのでありますが、現在日本は、かりにアメリカの援助が全然なくなったと仮定すると、日本の経済はどういうふうな現象を起こすと経企長官はお考えになりますか。
この発言だけを見る →しからば、これは過去そういうアメリカの援助によって来たのでありますが、現在日本は、かりにアメリカの援助が全然なくなったと仮定すると、日本の経済はどういうふうな現象を起こすと経企長官はお考えになりますか。
菅
菅野和太郎#7
○国務大臣(菅野和太郎君) 輸出について申しますと、大体、全体の輸出に対してアメリカの輸出が三割であります。輸入について申しますと、やはり三割弱であります。でありますからして、貿易関係においてはアメリカの占める重要性が三割ということになっております。もしかりに、全然アメリカとの経済交流を断つとすれば、それだけ日本の経済が三割——三割というわけにも参りませんが、まあそれがいろいろ波及すると思いますけれども、貿易面においては三割減少するということになりますからして、日本の経済にとっては非常な打撃になると考えておる次第であります。
この発言だけを見る →永
永野護#8
○永野護君 これが全く何も話のなかった場合に、この安保条約というものが新しくできなかったのならば、まあ今のままでいいという、今のままでとどまり得るということが想定できますけれども、事ここまできて、これでかりにこの安保条約が否決されて、そうしてアメリカが日本を自分の身内と思わないような気持になったといたしまして、自然アメリカの少なくも好意を期待はできない、こういうことになりますと、一割足らなくても、足りない場合にはそれが十割に影響を起こして参ります。ことに経済現象は将来を割引きますから、かりにアメリカと一切経済断行をしたという臨時ニュースが飛びましたら、私はその瞬間に、今百花繚乱のような形の各デパートにあるたくさんの商品は一瞬にして姿を消して、またこの間のような石けん一つに涙を流してもらい、一握りの砂糖に手を今わせて拝むような経済現象が起きる、私はそう判断しているのであります。で、この事実は、数字的に実は私、多少の調べを持っておりますので申し上げ得るのでありますが、あまりくだくだしくなりますから数字は省きますが、非常に大きな影響が起きてくると私は思うのであります。そこで、軽々しくアメリカとの経済断交というような言葉を、アメリカ全部帰ってくれ、われわれは中共、ソ連に頼れば生きられる、あるいは中立主義というようなことを軽々しく口にすることはできない。それを言うためには、よほど数字の根拠のある対案を持たなくして言うべき言葉ではないと私は確信いたすのであります。今の長官のお言葉でアメリカを離れての日本、今の生活はないということがわかれば、それで一応私のその点に関する質問は了承いたします。
そこで、どこかの国の援助がなければ日本の国は生きられない、そういう国情であるということを、総理はきっと十分に認識されておったと思います。従って、今度の安保条約のときに今まではなかった第二条というものを入れて、この問題の安心して経済が自立ができる方向に進み得るように努力をされた結果が、この第二条だろうと思うのでありますが、総理大臣に御所見をお伺いいたします。
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岸
岸信介#9
○国務大臣(岸信介君) 安保体制のねらいは、しばしば申し上げておりますように、日本が他から侵略されない、国民が平和のうちにそれぞれの生活を営んでいって、そうして経済の復興なり国民生活の向上なりを期していく、いわゆる繁栄を期していくという考えから、この安保条約、安保体制というものが考えられるのであります。一たび他から侵略され、そうして戦争に巻き込まれるというようなことがあれば、すべてのこのわれわれの願望はこれでくずされる。従って、ただ単にこういうものが、何か戦争だけに関する、侵略だけに関する条約というようなものではなくして、ほんとうに平和なそうして豊かな生活をする。文化の面においても経済の面においても、われわれの生活を向上していくということが私は安保体制の基礎でなければならぬ。また、そういうことについてほんとうに両国が信頼し、協力していくのにふさわしい相手とのみこういう条約は成り立つものだと思います。先ほどからいろいろ日本経済の問題、国民生活の問題に関しての御質問ですが、戦後のあのみじめなことから、この短い期間の間にこれだけ回復したということについて、また将来われわれが願っておるような国民生活を向上せしめるという目標で国民所得を倍増するような発展をしていくためには、この資源の少ない、しかも人口の多い日本の経済というものを、どういうふうに持っていくかといえば、私は、過去のわれわれの経験から見ても、また経済の実態から見ましても、日本経済の実質を検討してみましても、日米の経済協力というもの、また日米が協力して他の低開発国の経済を開発する、各面において一そう緊密な協力関係に置くことが、国民の平和を守ると同時に、その国民の生活を豊かにし、安保条約の真の目的を達するゆえんである、かように考えまして従来こうした条約上の取りきめなくしても、日米間においてすでに先ほど来お話のように、日本経済に対するアメリカの援助、協力というものがあったのを、そう有効適切ならしめるために、本条約に定めたのでございます。
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永野護#10
○永野護君 大体総理の御説明に私も同感なのでありますが、まだニュアンスには違いがあるような感じがいたしておるのでありまして、もっと豊かな生活をするというような余裕のある問題ではなくて、もっと切実な、アメリカを離れたら日本は現在のではない、もっともっとひどい生活になるというふうに、非常にこの点をきびしく私どもには身に感ずるのであります。
そこで、今のような御趣意のほどはわかりましたが、しからば、この第二条を読んでみましても、またこの前文を読んでみましても、その文句は非常に抽象的であります。最初の前文の方にも「両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、」と書いてありますが、非常に抽象的な文句であります。また二条に入りましても、「平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。」、経済的「安定及び福祉の条件を助長することによって」云々と、こう書いてありまして、その「両国の経済的協力を促進する。」という、このさわりの文句が、具体的には何らの示唆が与えられておらないのであります。そこで私はこの抽象的のこの文句をどうして具体化するように総理はお考えになっておりますかということを伺いたいのであります。
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岸
岸信介#11
○国務大臣(岸信介君) 経済協力に関する条約の規定は、御指摘のように非常に抽象的になっております。私はアメリカとの済経協力という面を考えてみますると、日米相互の間の経済交流の問題が第一に考えられます。先ほどから言われております貿易の問題、外資の導入、資本交流の問題、あるいは技術の交流の問題、これらについて、従来も行なわれておりましたが、今後一そうこれを積極化していくのにはどうしなければならぬか。また貿易の問題も、昨年は御承知の通り非常に改善されましたが、こういうふうに急激に日本の輸出が伸びることによって、アメリカにおきましてもいろいろな摩擦を生じておる面もあるようであります。こういうことを未然に防ぎながら、安定した基礎のもとに常に輸出入とも上昇していくためにはどうしなければならぬかという問題がある。次には、直接に日米の関係ではなくして、対国際的と申しますかの問題があると思います。たとえばそれの一つの大きな現われは、ヨーロッパ共同市場に対して日米がどういう考えでもって臨んでいくか。日米ともに共通の利害を持っておることもあるし、また多少歴史的、地理的、また経済的の意味からいっても違うこともありますけれども、しかし大きな観点から見るというと、共通した私は基盤を持っておると思います。これがどういうふうにしてヨーロッパの共同市場と協力をし、摩擦をせずに世界全体の経済を発展せしめるかというふうな問題に関する日米協力の問題がございます。さらにまた、今問題になっておる低開発地域に対する経済の開発ということは、世界、特に自由主義国だけではなしに、共産国も興味を持っており、非常に関心が深い問題であります。われわれとしてこれに対して技術、資本の面においてさらに有効な協力を進めていかなければならぬが、これらのことをどういうふうに日米において協力をしていくかという問題、これらの問題を通じまして、あるいは国際会議であるとかあるいは従来の正式の外交ルートを通じて、一そう緊密にしていくことはこれはもちろんであります。しかしさらに、このアメリカ経済の実体を動かしておるものは自由経済でございますから、いわゆる言葉は適当であるかどうか知りませんが、アメリカの経済界とか財界というものと、日本もやはり自由経済でありますから、また日本経済あるいは財界との間における緊密な関係を結んでいくことが私は必要である。現にそういう点については足立日商会頭を中心として日本の側においてもいろいろな考えが進められており、アメリカ側もこれに対応していろいろなことが進められておりまして、この秋には向うから相当有力な人を招いて、これらのことについて話し合うというようなことを実現する運びになっております。そうしたいわゆる政府の従来の関係における外交的なレベルにおける活動を一そう有効にすると同時に、また民間におけるそうした関係を一そう緊密にすることによって、以上申し上げました各般の経済協力を進めていくことが必要である、かように考えております。
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永野護#12
○永野護君 時間の関係もございますから、逆に、私はこうしたらいいと思うのだけれども、それに対して総理の御所見はどうかというふうな質問の仕方をさしていただきます。
私はこの日米の間の新しい条約は、軍事問題に重点を置き過ぎる、実際上われわれの国民生活にまっこうから影響のあるのは経済問題だと私はそう考えておるのであります。昨日以来の質問応答を通じて見ましても、軍事的のこの条約の実際の効力を発効するのは、あってはならず、またなかなか実際はない、こう考えておるのであります。今の武群の発達の上から見ますると、かりにこの条約があっても、ほんとうに戦争が始まったならば、この条約に基づくアメリカの援助を得ましても、おそらくそれはザッツ・オールになるような気がするのであります。従いまして、そういうことはあってはならぬ。しかしながら、経済的の提携の問題は、今日ただいまから幾らでもアメリカと協力をし、その実効を日本が享受し得るケースが非常に多いのであります。そこで私は、最初の軍事の方に合同委員会を作って、どういうふうな援助を具体的に相互にしようというようなことを研究される機関ができておるのでありますから、それよりもっと実際上効果の多い経済面の提携を、どうして具体化しようじゃないかという両国の機関をお作りになって、この経済委員会と軍事委員会の二本の柱でこの安保条約を運営される必要があり、またいろんな世間の思惑に対しましても、それができておれば、安保条約即軍事同盟というような非難を緩和することもできるであろうと私は考えるのであります。
そこで私は、今度の全権の中に実業界における最も練達堪能な藤山外務大臣が加わられ、さらに現役の足立商工会議所会頭が加わりましたので、必ずや今度の安保条約を調印されるときには、この経済委員会の構成をお作りになって、具体的に日米間の経済提携は、どこにどういう形でできるかということを研究する機関をお作りになって、結論的にこういうことをやるというようなことまでまとめてお帰りになるという期待にいたしておりませんでしたけれども、どうすることがいいかということを研究する機関くらいは作っていただけるものと期待しておったのであります。遺憾ながら今日まで政府間のそういう経済問題に関する合同委員会はなかなかむずかしいというふうに承っておりまして、せめて民間ベースでというようなお話が進んでおるとのことでありますが、これは国と国との約束で、国と国とがどうして提携していこうかということを研究する機関を作ることは、民間の問題ではなくて国と国とでやるべきことがたくさんある。もちろん民間にもあります。ありますけれども、それは国と国とで約束する大きなワクの中で個々に具体的な運営を、これは民間の両方の委員で研究するということが適当であるかもしれません。しかし軍事委員会に匹敵する国と国との責任者が出て話し合う一つの経済的の相談の広場を作ることは、この安保条約に画龍点睛の意義を与えるためにぜひ必要だと、私はこう考えるのであります。
そこで、結果においてはそれは今できておりませんのですけれども、今申し上げるような観点から、私はそれを期待しておったのであります。そこでこの問題について、一面において政治的感覚を十分お持ちでありながら、同時に実業界の最長老であり、経験豊富な藤山外務大臣が、この問題についてどういう努力をされ、今日どういう現状になっておるかということを承りたいのであります。
この発言だけを見る →私はこの日米の間の新しい条約は、軍事問題に重点を置き過ぎる、実際上われわれの国民生活にまっこうから影響のあるのは経済問題だと私はそう考えておるのであります。昨日以来の質問応答を通じて見ましても、軍事的のこの条約の実際の効力を発効するのは、あってはならず、またなかなか実際はない、こう考えておるのであります。今の武群の発達の上から見ますると、かりにこの条約があっても、ほんとうに戦争が始まったならば、この条約に基づくアメリカの援助を得ましても、おそらくそれはザッツ・オールになるような気がするのであります。従いまして、そういうことはあってはならぬ。しかしながら、経済的の提携の問題は、今日ただいまから幾らでもアメリカと協力をし、その実効を日本が享受し得るケースが非常に多いのであります。そこで私は、最初の軍事の方に合同委員会を作って、どういうふうな援助を具体的に相互にしようというようなことを研究される機関ができておるのでありますから、それよりもっと実際上効果の多い経済面の提携を、どうして具体化しようじゃないかという両国の機関をお作りになって、この経済委員会と軍事委員会の二本の柱でこの安保条約を運営される必要があり、またいろんな世間の思惑に対しましても、それができておれば、安保条約即軍事同盟というような非難を緩和することもできるであろうと私は考えるのであります。
そこで私は、今度の全権の中に実業界における最も練達堪能な藤山外務大臣が加わられ、さらに現役の足立商工会議所会頭が加わりましたので、必ずや今度の安保条約を調印されるときには、この経済委員会の構成をお作りになって、具体的に日米間の経済提携は、どこにどういう形でできるかということを研究する機関をお作りになって、結論的にこういうことをやるというようなことまでまとめてお帰りになるという期待にいたしておりませんでしたけれども、どうすることがいいかということを研究する機関くらいは作っていただけるものと期待しておったのであります。遺憾ながら今日まで政府間のそういう経済問題に関する合同委員会はなかなかむずかしいというふうに承っておりまして、せめて民間ベースでというようなお話が進んでおるとのことでありますが、これは国と国との約束で、国と国とがどうして提携していこうかということを研究する機関を作ることは、民間の問題ではなくて国と国とでやるべきことがたくさんある。もちろん民間にもあります。ありますけれども、それは国と国とで約束する大きなワクの中で個々に具体的な運営を、これは民間の両方の委員で研究するということが適当であるかもしれません。しかし軍事委員会に匹敵する国と国との責任者が出て話し合う一つの経済的の相談の広場を作ることは、この安保条約に画龍点睛の意義を与えるためにぜひ必要だと、私はこう考えるのであります。
そこで、結果においてはそれは今できておりませんのですけれども、今申し上げるような観点から、私はそれを期待しておったのであります。そこでこの問題について、一面において政治的感覚を十分お持ちでありながら、同時に実業界の最長老であり、経験豊富な藤山外務大臣が、この問題についてどういう努力をされ、今日どういう現状になっておるかということを承りたいのであります。
藤
藤山愛一郎#13
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の条約締結にあたりまして、お話のように、われわれとしては、総理が先ほど申されましたこの安保条約の基礎条件としての大きな柱であります社会的、経済的な両国の関係を打ち立てるという条項を、NATO、SEATOその他に照らし合わせましても作業することが適当であると思いまして、その点について交渉の過程で妥結を見たわけでございます。しこうして、これが実際的な具現のための問題として今御指摘のような経済委員会等の問題もございます。大体この条約を作りますときに、多数国間の条約でございますと、原則として多数国の合意を要する問題でございますから、従って、個々の折衝を多数国間にいたしますことは、なかなか意志疎通の上で十分でない。従って、経済委員会なり、あるいはNATOでやっておりますような、理事会において経済問題を取り上げるという形がとられておりますけれども、二国間の場合には、平常の外交ルートをもって絶えず緊密な連絡をいたして参るのでありますから、特に経済問題等につきまして、時々刻々に情勢の動いております問題を扱いますために、必ずしも常設委員会を作る必要もない、むしろ敏速に外交ルートを通じて話し合う方が適当でないかという考え方を一面では持ったわけであります。しかしながら、今御指摘のありましたように、何か日米両国の経済首脳者、あるいは外交の首脳者が時々会合をいたしまして、そうして話し合いをするということも、さらに一そう有益であることは、これは申すまでもないことでありますので、今日までの経過においては、われわれ条約作成の上において、右申し上げましたようなことで、条約作成と同時に何かそういうものを考慮はいたさなかったのでありますが、そういう点についてわれわれも今後御指摘のありましたようなことを十分考慮しながらとの安保条約の運営に当たって参りたい、こう存じております。
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永野護#14
○永野護君 先ほど申しますように、今日の日本は、安保条約を承認してもいい、しなくてもいい、自由に考えたらいいのだというような日本の経済の実質ではないと私は判断しておるのでありますが、しかし日本も独立国である以上、一日も早くそういう考えが自由にできるような立場になりたいということは衷心念願しておるのであります。つまり経済的に自立して、そして日本がソ連側に付こうとアメリカ側に付こうと、あるいは全くどこの世話にもならぬ、中立の政策をとろうと自由に考え得る実力を、一日も早く持ちたい。私は先ほどお話のありましたように、国内の所得倍増計画、日本国民の生活をもっと自由にしようというような目標もまことにけっこうでありますけれども、具体的にいえば、日本の経済をどこの国のお世話にもならない、国として自立のできる経済を一日も早く作りたい、こう考えておるのであります。それまでは隠忍自重いたしまして、どうしても心ならずもどこかの国のお世話にならなければならぬ。たとえが卑近で非常に失礼でありますが、非常に優秀な子供——これは大学を出ればりっぱな大金持ちにもなり、あるいは隆々たる位置にもつき得る人でありましても、子供で、まだ小学校に通うようなときに、将来非常に伸びる素質のある子供だからといって、今すぐその重任をそれに背負わせることはできない。先ほど菅野長官も言われましたように、私も同感で、日本民族の本質には非常な期待を持っております。必ずや、人様のお情けにたよらなければ生きていけないというそんないくじのない国民ではないと考えておりますけれども、しかし、その間にタイミングの問題のあることだけは、いかんともしがたいと思うのであります。私どもは、よくアメリカのいろんな雑誌や新聞、あるいは議会の論議の中に、日本人はアメリカの納税者の負担において飯を食っておきながら、何んてなまいきなことを言うというような記事を見ますときには、ほんとうに憤慨するのであります。一日も早くそんなことを言われないように、りっぱに日本国民の自力で食っていける時代を念願しておりますけれども、それまでは、そのある一定の期間までは、どうしてもアメリカの力を借りて、そういう時期が一日も早くくるようにしなければならぬ、こういうこと、これが同時にアメリカの利益だと思うのであります。すなわち、アメリカの納税者の負担が少しもなくなって、そうしてアメリカにそういう親近感を待つ国が東洋にできるということは、これはアメリカの利益になると思うのでありますから、そういうことを、どうしたならば日本が一日も早くアメリカの世話にならなくて自立ができるという方途を、具体的に研究する委員会があってもいいじゃないか。私は、こういう経済委員会でも作ると、すぐ関税率の問題や割当の問題なんかで何か文句を言ってくるであろうというようなことをアメリカ人が心配するのは、これはとんでもないこと、そんなことを考えておるのではございません。日本経済自立のためにやることは、アメリカとの今の貿易の割当とか関税の問題とかを抜きにしてもたくさんあります。先ほど総理も言われましたけれども、東南アジアとか、あるいはアフリカ、まあAA地域、さらに南米におきましても、たくさんの仕事が今、日本にきております。日本の優秀なる技術と、それらの土地の天然物、これはそろっておるのでありますけれども、残念ながら資金が足りない。これをアメリカの力によって、その資金と技術と物資と、この三位一体の運営ができましたならば、日本の経済の将来というものは実に明かるい期待が持ち得ると思うのであります。私は東南アジア各地を歩きましていつも感ずることでありますけれども、今までの日本の東南アジア経済政策が、すぐそこから何か持ってくるものがないと、経営の価値がない、あそこには一体何があるか、何を持ってこれるのだということで、その先方の価値判断をしておったのでありますけれども、それは非常な近視眼的な方法であって、まずその国を金持ちにすることによって、そしてその国の生活水準を向上することによって生ずる購買力を日本の商品の市場にする以外に、安定した輸出振興策というものはないと、私は現地についていろいろ見聞きしまして、そういうふうな確信を持っておるのであります。で、現地を金持ちにするためには、今申しましたように、日本の技術で応援することはもちろんでありますけれども、その資金をアメリカの資金にたよる。ことにこれらの地方においては、白人種に長いこといじめられておりましたために、アメリカの資金を直接に借りますと、また再びあの奴隷生活に戻る何かのそれが結びつきになりはしないかということを、日本人には想像もつかぬぐらいおそれております。私はかつて東南アジアの向うの有力者に会ったときに、金が非常になくて、のどから手が出るほど金がほしいときに、アメリカがポイント・フォアの資金を国会で議決して出してやろう、無償で出してやろうというようなことができましたので、なぜ飛びついてあれを借りないのかと申しましたときに、お前はあの小さな三つの子供にその前で土下座をさされたような、あの苦しい体験を持たぬから、すぐそんなことを言うのだ、あの苦しい生活体験を思い出すと、再びああいう目にあうかもしらぬという懸念のあるものは、どんなにのどがかわいても手が出ないのだ、お前はその苦しみを知らないからだと、その土地の財政当局に言われたことがあるのであります。ああそんなものかなと、今さらのごとく感じたのであります。従いまして、これらの資金も、日本というルートを通りますると、非常に受け取りやすいのであります。ことに、いろいろなことは申しますけれども、少数のいろいろな例外がありますけれども、大多数は、この東南アジア一帯の新しい独立国は、今日自分たちが独立し得たのは日本の尊い犠牲のおかげだということは、十二分に了承いたしております。従いまして、日本の技術や日本の資金の援助を受けますときには、今申しましたような奴隷生活の再現に結びつくというような懸念はほとんどないと言ってもいいのでありますから、アメリカが直接に出ていくよりは、日本というワン・クッションを通っていく方がアメリカのためにもいいと思うのであります。そういう意味におきまして、単にアメリカの国内産業に関する影響のある点ばかりでなくて、広く世界の資源開発のために、今申しましたようなアメリカと日本との協力を考える余地がある。それを具体的に考える機関が何かあってもいいのじゃないか。もちろん外交ルートの道は開けております。けれども、何と申しましても外交官はいわゆる専門の領域がございまするので、そのいう経済に限られましたことを専門に研究するというような時間もありませんし、また知識、経験にも乏しいところがありますから、そういう経済問題を中心にして研究する委員会をぜひ作っていただきたいということを念願いたすものでございます。これは私の希望を申し述べておきます。
で、きわめて小さいことでありますけれども、立ちましたついでに一つ伺っておきたいのは、第二条に、「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め」と書いてありますが、この条文をお作りになりますときに、日本の経済政策と、アメリカの経済政策との間に、どういう食い違いがあるというふうに認識せられて、この条文ができたのかということを、ちょっと参考に伺っておきたいと思います。
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藤
藤山愛一郎#15
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日米安保条約におきます国際経済の第二条の「くい違い」ということは、文章自体は、同種のNATOに大体これはならったわけでございますが、しかし、NATOにおきましても日米間におきましても、その基本の経済政策というものは自由主義にあるということは、これはもう根底において同じでございますから、その意味におけるいわゆる食い違いというものは、これはないわけでございますが、しかし同時に、自由主義経済を採用しております場合には、その国の置かれております立地条件なり、資源の状態なり、あるいは経済発展の段階なり、そうしたいろいろな観点から見て、おのずから経済政策に段階もあり、あるいはその時期等について、諸般の考え方の違いが出てくるのではないかと思います。そういうものに関しまして、十分な調整をとることが必要であろうと思うのでありまして、アメリカがヨーロッパの先進国と結んでおりますこの種条約の経済条項の中には、この問題が入っておるのでございまして、日本もそれにならったと申すとおかしいのでありますが、SEATOでありますとか、あるいは米台条約等にはこういう表現はございません。日本もどうやら国際経済の中に立ち得る立場に立ってきておりますので、私どもはその立場の意味から申しましてもこういう字句をとることが適当である、こう考えておるわけでございます。
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永野護#16
○永野護君 私の質問と申しますか、希望と申しますかは、大体以上で尽きたのでありますが、繰り返して申しますけれども、日本の一日も早き自主独立に進むべき道を考えるために、ぜひ日米協力したそういう経済目的を達成するための委員会を作ることに、この上ともの御努力をしていただきたいことを繰り返して申します。私は、私自身の経験といろんな計画から見まして、このAA地域における資源開発をすることによって、現在アメリカから受けておりますような援助は受けなくても成り立つような経済の達成には、やはりどうしても十年かかる、こう考えておるのであります。たまたまこの条約が十年ということになっておりますので、その意味におきまして、私はこの十年ぐらいはぜひ引き続きめんどうを見てもらいたいと、こう考えておるのでありまして、この十年の期間の問題が長いとか短いとかいう議論がありますが、私は経済面から見ましても、この十年はぜひ必要だと、こう考えておるのであります。
それからもう一つ、これも非常な老婆心でありますけれども、中立論を言う人に私会っていろいろ聞いているうちに、二つの違ったグループがあると思うのであります。一つは、今の現実の日本の経済生活が非常に恵まれておるのに目がくらんで、日本はやっていけるんだ、やっていけるんであるから、まあなるたけあぶない橋を渡らぬ方がいいというような意味における中立論と、もう一つは、日本がやっていけないということは十二分に承知をしておるのであります。どこかの世話にならなければ日本は生きていけないということは知りつつ、なお中立論を言ってアメリカは帰ってもらってくれというのは、取りもなおさずアメリカから切り離しますと、日本の経済は立ち行かぬという現実が出て参りますから、そうしますと、本音を吐いて、それでは一つソ連と結ぼうじゃないか、中共とどうとかという、その切り札を出す前提としての中立論とがあることを痛感いたしておるのであります。従いまして、どちらにいたしましてもこの中立論というものぐらい危険なものはないと、こう私は考えておるのであります。
以上、はなはだまとまらぬ話でございましたけれども、これをもちまして終わります。
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以上、はなはだまとまらぬ話でございましたけれども、これをもちまして終わります。
草
草
草
草葉隆圓#19
○委員長(草葉隆圓君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
ただいま委員の異動がございました。永野護君が委員を辞任され、その補欠として井川伊平君が選任されました。
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草
鹿
鹿島守之助#21
○鹿島守之助君 私は、新安保条約にはぜひとも経済援助並びに協力に関する規定を挿入してもらいたいことを、機会あるごとに、岸総理大臣、藤山外務大臣、自民党の幹部、財界要路の各位に要望していた次第でありますが、今回これが実現せられたことを衷心より喜ぶものであります。ところが、衆議院審議の過程においては、ほとんど経済問題について十分満足な審議が行なわれなかったばかりでなく、また新聞、雑誌、放送、世論等も、はなはだしくこれを軽視するように見受けられますが、まことに遺憾に考えておるものであります。実際この条約が批准せられ、成立した暁には、真に国民の生活を保障し、富の程度を絶えず向上せしめ、社会福祉を増進せしめるものはこの経済規定であるとかたく信ずるものであります。さらにまた、最近ソ連のフルシチョフが平和共存と競争の新しい政策を打ち出して以来、この経済問題は国際政局の上において非常な重要性を帯びてきたのであります。アイゼンハワー大統領のごときも、その重要性を感知することのおそかったことを後悔しておるのであります。すなわち、すでに二年前、アイゼンハワー大統領は、その年頭一般教書において、軍事的抑制力を論じた後に、続いて、われわれに向かって、すでに開始されておる別種の戦争、すなわち共産帝国主義者が自由諸国に対して開始した巨大な経済攻勢について、次のように真剣な意見を述べております。「共産帝国主義政権は、最近ようやく、直接武力に頼って拡張しようとする企てで大きな挫折をなめてきた。その結果、彼らは政治的支配の前提として、特に新しく開発途上にある諸国の経済的浸透に大いに力を集中し始めた。この非軍事的な活動を過小評価するならば、それはわれわれの軍事力にかかわらず、自由世界を打ち負かすことができるであろう。われわれのうちの多くのものがこのことを認めず、あるいは認めようとしないこと、それ自体のゆえに、この危険はいよいよもって強まっている。最初の人工衛星の打ち上げが世界に与えた心理的衝撃を、われわれの大多数が予期していなかったことは認めなければならない。ソビエトの経済攻勢の持つはるかに重大な衝撃を予想しないがために、いま一つの分野で同じあやまちを犯さないことにしよう。」また、それとほぼ同じころ、ニクソン副大統領も、国防における非軍事的要素の重要性について、次のように指摘しております。「共産主義が過去において成果をおさめてきた非軍事的領域での脅威にわれわれが対処できなければ、世界最強の軍事力をもってしても米国の自由は救えないであろう。そして、もしわれわれ米国民が世界の対立に対して近視眼的見解をとり、対外援助を縮小し、互恵貿易をかたわにし、かつ宣伝企画を怠るならば、われわれが、ミサイルや潜水艦や航空機のために使う膨大な金はどぶに捨てるようなものであると、私は諸君に申し上げたい。さらにまた、英国においても、決して経済問題の重要性を看過していないのであります。たとえばイギリスのソ連通ハリー・ウェルトンは、その近著「第三次世界大戦」において、「新なる戦場は貿易と産業」という副題が示しておる通り、フルシチョフの新しい経済宣戦を重視しておるのであります。ソ連の真の意図を正しく把握し、国際共産主義のストと破壊活動使嗾の実態と、その貿易攻勢のからくりを、おそきに失しないうちに的確に認識することの必要を強調しております。彼の見解では、第三次大戦は二つの経済制度をめぐってすでに始まっておるのであり、貿易と産業が戦いの場となっておる。この戦いに破れるならば、イギリスなどの貿易国は直ちに経済的破滅の運命をたどることになると申しております。しかるに、日本においては日本の平和並びに安全を確保する上において、経済問題の重要性があまり感じられていないことは、はなはだしい認識不足と思うのであります。かような見地から、新安保条約前文、第二条並びに岸・アイゼンハワー共同声明に関し、主として経済問題並びにその運用について若干の質疑をいたしたいと存ずるのであります。
午前中、永野委員からこの経済問題について質疑が行なわれましたが、それは主として国内問題としての経済問題でございますが、私の質疑は、主として国際経済の観点から、国際競争力の観点からお伺いする次第でございますから、主として藤山外務大臣から伺いたい。それで足らぬ分は通産大臣その他の方から承ることができれば幸いと思います。
まず第一に、日本国の経済協力を規定しておる新安保条約第二条は、NATO北大西洋条約第二条、SEATOすなわち東南アジア集団防衛条約第三条、アメリカ合衆国と中華民国との間の共同防衛条約第三条と全く同趣旨の規定のごとく認められますが、これら諸条約との間に何らかの相違点がありますか。あれば承りたい。
この発言だけを見る →午前中、永野委員からこの経済問題について質疑が行なわれましたが、それは主として国内問題としての経済問題でございますが、私の質疑は、主として国際経済の観点から、国際競争力の観点からお伺いする次第でございますから、主として藤山外務大臣から伺いたい。それで足らぬ分は通産大臣その他の方から承ることができれば幸いと思います。
まず第一に、日本国の経済協力を規定しておる新安保条約第二条は、NATO北大西洋条約第二条、SEATOすなわち東南アジア集団防衛条約第三条、アメリカ合衆国と中華民国との間の共同防衛条約第三条と全く同趣旨の規定のごとく認められますが、これら諸条約との間に何らかの相違点がありますか。あれば承りたい。
藤
藤山愛一郎#22
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の安保条約におきます経済条項と同種のものがありますのは、御指摘になりましたように、北大西洋条約の第二条、それからSEATOの第三条、今お話のありましたような米華条約の第三条でございまして、大体SEATOと安保条約との間ではほとんど同じ表現が用いられておりますが、SEATOの第三条には技術援助について言及をいたしておりますし、また、米華条約におきましては国際経済の食い違いがないということについての規定がございません。これはそれぞれ日米関係が、NATO諸国の関係と同じく、いずれも政治的にまた産業的に発達した国家間の関係であるということに基づくわけでありまして、われわれもそういう意味においてこれらの取り扱いをいたしたのでございまして、経済問題に例をとって考えてみますれば、経済援助の問題よりは、むしろ経済協力の問題が中心的なものとして考えられておるのがそういう意味における相違だと思うのであります。
この発言だけを見る →鹿
藤
藤山愛一郎#24
○国務大臣(藤山愛一郎君) NATO条約の発効の当初におきましては、御承知の通り軍事機構の整備等が問題になっておりましたので、あまり経済条項の活用ということは関係いたしておりませんが、軍事機構の整備に伴いまして、一九五一年の九月にオタワで開催されました第七回の理事会において、広範な大西洋共同体内の協力強化についての検討が行なわれたわけであります。その結果、いわゆるオタワ宣言が発表されたのでありまして、ベルギー、カナダ、イタリア、オランダ、ノルウエー五カ国代表よりなる閣僚級の委員会が、NATOの理事会に対しまして、その実施について、経済上の実施についていろいろ勧告をいたしております。経済的な、金融的かつ社会的協力を緊密化することが書かれておるのでありまして、同委員会の報告の中では、貿易の発展と自由化、OEECとの協力関係の強化等が特に強調されております。その後、一九五六年五月のパリ会議におきましても、再び大西洋共同体の共通利益の増進という課題が取り上げられておるのでありまして、経済問題の政治的な面について定期的な検討を行なうこと、NATO締約国間における国際経済政策の食い違いの除去に努めること等が合意されております。さらに広く条約第二条のもとにおける非軍事的協力一般について検討をいたし、報告すべき閣僚委員会の設立がございまして、イタリア、ノルウエー、カナダ三カ国によって構成され、同年の十二月のパリ会議にその報告書が提出されております。その報告書の次第を申し上げますと、健全かつ発展する経済を建設するための国際的かつ個別的な行動、貿易支払い及び労働力、長期資本の移動についての可能な限り最大の自由、後進国経済援助等が特に必要と認められるということでございました。なお昨年の十二月のNATO総会におきまして、主として今後の情勢から、経済問題がNATO理事会の相当な大きな議題になったことは御承知の通りでありまして、その結果が後進国援助問題というのに発展しつつあることは御承知の通りだと思うのであります。
なお、SEATOにおける経済協力問題はNATOの場合と異なりまして、主として後進国に対する経済援助の問題が中心となっており、アメリカの経済援助は特にSEATO加盟国に対するものとは限らないものでございますけれども、SEATOのワク内でもできるだけのことを考えていく、またオーストラリアは独自にSEATOのワク内で現に援助を行なっておるのでございます。一九五九年八月バンコックにSEATOの技術専門学校が開設されまして、米英仏合同の援助のもとで今日経営をされております。条約機構としては、SEATOの理事会のもとに経済問題について諮問に応じます経済専門委員会が現に置かれておるわけであります。
栄華条約につきましては、特に運用の点で見るべきものは今日までは外部からはわからないのでございます。
この発言だけを見る →なお、SEATOにおける経済協力問題はNATOの場合と異なりまして、主として後進国に対する経済援助の問題が中心となっており、アメリカの経済援助は特にSEATO加盟国に対するものとは限らないものでございますけれども、SEATOのワク内でもできるだけのことを考えていく、またオーストラリアは独自にSEATOのワク内で現に援助を行なっておるのでございます。一九五九年八月バンコックにSEATOの技術専門学校が開設されまして、米英仏合同の援助のもとで今日経営をされております。条約機構としては、SEATOの理事会のもとに経済問題について諮問に応じます経済専門委員会が現に置かれておるわけであります。
栄華条約につきましては、特に運用の点で見るべきものは今日までは外部からはわからないのでございます。
鹿
鹿島守之助#25
○鹿島守之助君 次に、新安保条約第二条とMSA協定との関係を伺いたい。新安保条約第二条は非軍事的援助だろうと思います。MSA協定は軍事援助でありますが、NATO、SEATOみなその中にMSAと同種の規定が入っておりまするが、これはどういう関係でなぜMSA規定を新安保条約に入れなかったかということを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#26
○国務大臣(藤山愛一郎君) 特別にMSA協定と今度の第二条との関連はございません。従って、今回の場合におきましても、MSA協定—の安保条約に言及いたしておりまする字句に対する読みかえの規定を置くことにいたしただけでありまして、MSA協定の運用と平和的な経済協力の基盤を築きます問題とは同一視しない方が適当だと思います。
この発言だけを見る →鹿
鹿島守之助#27
○鹿島守之助君 次に、日米間の経済的協力は現在どういう実情にありますか。これは非常に限りもない大きな問題になりますが、ごく簡単に大きな線だけ一つ承ってけっこうですが。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#28
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日米間における経済協力の問題と申しますか、あるいは経済の問題については、先ほど総理も答弁されたように、二国間の問題と、それから二国が他の地域に対する協力の問題、経済開発の問題と、二つあると思います。
二国間の問題につきましては、貿易関係を主としてその国内におきます諸般の事情を勘案して、それから来る両国間におけるそのいろいろな紛争の是正をいたしますと同時に、貿易拡大に向かっての方向に対する施策を進め、話し合いをすることによって協力の実をあげていきたいと、こういうことで努めておるわけであります。
東南アジアその他低開発国に対しまする経済援助の問題は、日米両国が深く関心を持っておる問題でございまして、これらの問題につきましては、両国が緊密な連絡をしながら問題の進展をはかっていくことが必要であることは、これは申すまでもございません。ただ、日本の経済力の回復というものも今日まで逐次充実はしてきましたけれども、過去の段階においては必ずしも十分でなかった点がございますので、そういうことに日本自体が強力に進める程度が、まあ今後は強くなって参りますけれども、今日まで必ずしも日本国内の経済事情のためにそう活発ではございませんから、日米間における協力体制というものも必ずしもそう活発に動いてきたとは申せないと思います。が、しかし、日本の経済の充実してきました今日、積極的に、特に先ほど御指摘のありましたようないわゆる軍事上の冷戦にかわります経済上の争い、競争と申しますか、敵国からの攻勢に対するわれわれの方の動きも活発にしていかなければなりません関係上、日米のこの面における協力というものは非常に重要なことだと思います。むろん過去におきまして、アメリカの経済援助等に対する東南アジア方面の何かひもつきというような印象もございますし、あるいは日本の経済的の東南アジアにおける活動がいろいろ若干過去の基盤の上から誤解されるような傾きもあったと思いまするが、今日ではそれからの問題も払拭しつつありますので、両者が協力してやって参ることが必要だと思います。先般も申し上げましたように、インドの鉄鉱石等に対する経済協力、ああいう形のものはアメリカ政府においても非常に心強くかつ希望をいたしておるわけであります。日本が将来そういう問題についてアメリカと緊密な連絡をとりながら活動し得る分野は非常に多いと思います。その他コロンボ計画とか、あるいはそういう国際取りきめによるワク内においての活動は一そう緊密にやって参らなければならぬと思います。なお日米経済の協力関係の大きな筋といたしまして、昨年来問題になってきておりますいわゆるヨーロッパの共同市場、あるいはそれに対するアウター・セブンの問題等も直接的に関連いたしまして、またそれらの経済圏のような形における将来の発展というものが自由貿易の上に影響を与えて、域外地域に対する影響というものに対しては日米相互において共通の関心を持っておりまするので、これらに対しての共同行動というものがとられ得る手段があるわけでありますから、そういう点については、やはり将来大西洋経済の問題を扱います何らかのそのような会議なり協約なりができるような場合には、日本としてもそういうところに参加し得るような状態にアメリカの協力等を求めますことは必要なことであろうと、こう考えております。
この発言だけを見る →二国間の問題につきましては、貿易関係を主としてその国内におきます諸般の事情を勘案して、それから来る両国間におけるそのいろいろな紛争の是正をいたしますと同時に、貿易拡大に向かっての方向に対する施策を進め、話し合いをすることによって協力の実をあげていきたいと、こういうことで努めておるわけであります。
東南アジアその他低開発国に対しまする経済援助の問題は、日米両国が深く関心を持っておる問題でございまして、これらの問題につきましては、両国が緊密な連絡をしながら問題の進展をはかっていくことが必要であることは、これは申すまでもございません。ただ、日本の経済力の回復というものも今日まで逐次充実はしてきましたけれども、過去の段階においては必ずしも十分でなかった点がございますので、そういうことに日本自体が強力に進める程度が、まあ今後は強くなって参りますけれども、今日まで必ずしも日本国内の経済事情のためにそう活発ではございませんから、日米間における協力体制というものも必ずしもそう活発に動いてきたとは申せないと思います。が、しかし、日本の経済の充実してきました今日、積極的に、特に先ほど御指摘のありましたようないわゆる軍事上の冷戦にかわります経済上の争い、競争と申しますか、敵国からの攻勢に対するわれわれの方の動きも活発にしていかなければなりません関係上、日米のこの面における協力というものは非常に重要なことだと思います。むろん過去におきまして、アメリカの経済援助等に対する東南アジア方面の何かひもつきというような印象もございますし、あるいは日本の経済的の東南アジアにおける活動がいろいろ若干過去の基盤の上から誤解されるような傾きもあったと思いまするが、今日ではそれからの問題も払拭しつつありますので、両者が協力してやって参ることが必要だと思います。先般も申し上げましたように、インドの鉄鉱石等に対する経済協力、ああいう形のものはアメリカ政府においても非常に心強くかつ希望をいたしておるわけであります。日本が将来そういう問題についてアメリカと緊密な連絡をとりながら活動し得る分野は非常に多いと思います。その他コロンボ計画とか、あるいはそういう国際取りきめによるワク内においての活動は一そう緊密にやって参らなければならぬと思います。なお日米経済の協力関係の大きな筋といたしまして、昨年来問題になってきておりますいわゆるヨーロッパの共同市場、あるいはそれに対するアウター・セブンの問題等も直接的に関連いたしまして、またそれらの経済圏のような形における将来の発展というものが自由貿易の上に影響を与えて、域外地域に対する影響というものに対しては日米相互において共通の関心を持っておりまするので、これらに対しての共同行動というものがとられ得る手段があるわけでありますから、そういう点については、やはり将来大西洋経済の問題を扱います何らかのそのような会議なり協約なりができるような場合には、日本としてもそういうところに参加し得るような状態にアメリカの協力等を求めますことは必要なことであろうと、こう考えております。
鹿
鹿島守之助#29
○鹿島守之助君 次に、日米両国間の経済委員会の設置は米国側の消極的な態度によりまして困難な由に承っておりますが、その理由を承りたいのでありますが、アメリカとカナダとの間に経済閣僚委員会が設けられておるように、同種類のものが設けられるべきものであろうと期待するものでありますが、御所見を伺いたいと思います。
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