岸信介の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
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○国務大臣(岸信介君) 昨日羽田におけるハガチー氏に対する集団暴力が加えられたということは、まことに事態のきわめて重大であり、かつ、かくのごとき事態が日米関係の上に、さらに日本の国際的信用、また民族の誇りの上におきまして、それを大きく傷つけるものであると考えますときにおいて、かくのごとき事態が発生しましたことはまことに遺憾に存じます。また政府としては、昨夜臨時閣議を開きまして、アメリカ大使館に対して遺憾の意を表し、厚くお見舞を申し上げた次第であります。こういう事態を未然に防ぎ得なかったことにつきましては、政府としてまことに責任の重大なるを思うのであります。さらに、こういう事態がどうして起こっているかということを考えてみまするというと、ただいま木村委員もお話しになりますように、これは一朝一夕にかかる事件が突発したものでないことは言うを待ちません。その根底はきわめて私は根強いものがあり、さらにこの国際情勢における国際共産主義の自由主義国への浸透戦略ときわめて密接な関係のあることを見のがすことはできないと思います。私は、真の日本国民の自由の上に明るい民主政治を打ち立てるためには、いかなる意味におきましても一切の暴力を排除し、これを否定しなければならぬと思います。それは理由のいかんにかかわらないのでございます。のみならず、最近の情勢を見まするというと、言を時の政府の施政の善悪にかって、そうしてこれらの集団的暴力に妥当性を与えようとするような風潮すらあるのであります。私は、日本の民主政治を守り、日本国民の国際的信用とその将来の発展を期するためには、いかなることがあっても、私は政治上この暴力に屈したるがごとき印象を与えるような行動は政府として断じてとってはならないという見地に立ってこの問題を処置していきたいと思います。
近く日本の国をあげて歓迎すベきアメリカの元首アイゼンハワー大統領を迎えるにあたりまして、政府といたしましては、警備の問題はもちろんのこと、国民をあげて歓迎し、かくのごとき一部の無謀なる、無法な行動というものは、国民の常識によってこれを未然に押えるところの措置を各般にとりまして、万全を期して、私は日本の大半な国賓を迎えることによって、そうしてこれをりっぱに歓迎することによって、今回の失われたるところの国際的信用や、あるいは傷つけられた国民の気持というものを回復していくことが絶対に必要であると考えております。
また、国家の将来、民族の永遠の運命に関する教育の問題や、青少年の問題についての木村委員の所説に対しましては、私の従来考えておりますことと全然同様な御所見を承りまして、力強く感ずるものでありますが、さらに政府としても、そういう線に沿うて今後強力に施策を遂行しなければならない、かように考えております。なお、具体的の問題に関しましての御質問に対しましては、所管大臣よりお答えをすることにいたします。