木村篤太郎の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○木村篤太郎君 本論の安保条約の問題につきましてお尋ねいたしたい。もうすでに数日にわたり、同僚議員から各般の点から詳細な質疑が行なわれました、政府からも綿密な答弁がありました。私は、ごく簡略に、かいつまんで所見を披瀝しながら政府のお考えを伺いたいと思います。
 この安保条約の問題は、つづまるところ、日米安保体制が必要であるかどうか。次に、安保条約というものはどういう性格を持っておるものであるか。次は、安保条約によって戦争を誘発し、巻き込まれる危険があるのではないか。第四は、日米安保体制にかわるべき日本の平和と自由と独立を守る方法があるかどうか。この四点に私はしぼられるものと思います。
 そこで、日米安保体制はどういうわけで必要であるかということであります。反対論者は、この雪解けがだんだん行なわれてくるときに、かような体制はもはや必要じゃないんじゃないかという議論であります。われわれは、一日も早く世界平和のもたらされんことをこいねがっておる一員であります。また世界の人類もこの再び得難き人生を何とか平和に幕らしていきたい、こういうだれしも望みを持っていることは疑いの余地はありません。雪解けを切望するのであります。去年の一月ミコヤンがアメリカを訪問し、次いでマクミランがモスクワを訪問し、次いでコズロフがアメリカを訪問し、次いでニクソンがモスクワを訪問し、ここにだんだん雪解けの時期が来るんじゃないかとわれわれは考えていました。次いでフルシチョフがアメリカを訪問し、キャンプ・デービッドでアイゼンハワーと会談し、将来国際紛争は話し合いによって解決しよう、武力に訴えないことにしようという意見が一致したのであります。そこでわれわれといたしましては、これでもってパリの巨頭会談も無事にいくんじゃないか、ここで初めて世界の平和の曙光が見られるのではないかと期待をしておったのであります。ところが不幸にしてU2機の問題を契機として、がせんフルシチョフは強気に出てきた、この強気に出てきた原因については、いろいろ見方もありましょう、ソ連の国内事情あるいは中共の突き上げ、原因は想像されますが、とにもかくにもフルシチョフは、今申しまする通り対外強硬政策をとるに至りました。われわれの雪解けの夢は一朝にしてくずれたのでございます。こういう国際情勢のさなかにおいて、一体日本の平和と安全とをどうして確保していこうと考えますか、ここに問題の出発点があると私は信じます。結論から申せば、日本は自由国家と手を握り、アメリカと強力な体制のもとに平和と自由を維持していこうと、これであります。この点については同僚議員からの詳細なる質疑があり、これに対しまして政府からの明確なる答弁がありましたから、私は申しません。
 次は、一体日本を取り巻くところの軍事情勢が、日本に対して脅威を与えているかどうか、これであります。何らの脅威がなければ、かような日米安保体制は、私は必要ないと思います。何かの危機感が感ぜられるから、アメリカと手を握っていこうじゃないかということになるのであります。そこで、私は防衛庁長官にお尋ねをいたしたい。一体日本の周辺においてほんとうに日本に脅威を与えるような軍事情勢になっておるのかどうか、きのうも同僚議員からの質問に対して、世界軍事情勢をお説きになりました、お説きになりましたが、現実に差し迫った危機がどこにあるか、日本の周辺にどれだけの軍事情勢があるのかどうかという点についてはお触れになっておりません。私らの信ずるところによりますと、ソ連が終戦直後突如として日本との不可侵条約を破棄して占領いたしましたわが領土国後、択捉、この両島にどれだけの軍備を配置をしておるか、北海道と目と鼻であります。また南樺太にどれたけ軍事力が入っておるか、この択捉の単冠湾は、これはかつて山本連合艦隊があそこに集結をした千島における唯一の不凍港であります。現在ここにソ連が優秀なるシュノーケル型の潜水艦を基幹とする潜水艦隊を配置して、一朝事あれば太平洋に出動して、日本とアメリカとの交通路を遮断し、日本を経済封鎖する態勢を整えておると私は推測しておる。また飛行場もあり、陸兵も配置されておる。ソ連が直ちに日本に対してこういうような軍備配置をして日本に迫ってくるというようなことは、私はないと信じております。断じてそんなことはないでしょう。しかしながら、日本に対して脅威を与えておることは事実であります。もしソ連が将来日本とほんとうに手を握っていこう、友好関係を結んでいこうというなれば、かような日本と密接な関係にあるところの国後、択捉、もしくは樺太に、何がゆえにかくのごとき軍備配置をするのか、これをわれわれは心配するのです。また伝うるところによりますると、ソ連の定期航空便とか称せられまして、時々銚子沖まで偵察機が飛んできておるということを承っております。これらが私は日本の国民に危機感を与えておるのじゃないかと思います。日本の国民の大多数は、さような事実は知らぬでしょう。しかし、多少でも日本の国情について関心を持っておる者は、これらのことを私は知っておると考えております。また、私はこういうことを知っておらなければならぬと思うのであります。日米安保体制が必要でないという論者は、こういう日本に対する周辺の軍事情勢を、はたして知っておるのかどうか。かりにもこういう軍備配置であるということを知れば、おそらく反対論者もこれは反対論を取りやめるのじゃないか。これらが、私は日本に対する危機感として、何とか日本の平和と独立を守っていこうという考えのもとに新安保体制が考えられたわけではなかろうかと考えるのであります。この点について、赤城防衛庁長官にお尋ねいたしたいと思います。おそらく赤城防衛庁長官は、現職の長官として、国際関係についてのかような重大なことは、発言はお困りであろうと思います。お困りならお困りでよろしい。できないということであれば、それで私はあえて追及いたしません。ただ、日本にそういう危機感が与えられるような軍事情勢であるということだけは、お認めになるかどうか、ここではっきり言っていただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 木村篤太郎

speaker_id: 18154

日付: 1960-06-11

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会