木村篤太郎の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○木村篤太郎君 次に、この新安保条約の性格であります。これは外国に対する攻撃力ではない、ただ防御的一方の目的である、また戦争抑止を目的とする体制である、きのうそういう質疑応答がありました。まことにその通りであると私は信じて疑いません。まず、この現安保条約の体制も、私はただ日本の安全と平和を維持するためにできたものと信じておるのであります。それをさらに今度の新安保条約において、片務的であったやつを双務的にし、アメリカをして日本を防衛せしむる義務を負担せしめる、そうしてアメリカか出動する場合にはすべて日本と協議をする、また軍備の装備、配置等についても日本と協議をしていくと、まことに私は適当なる改正であろうと信じておるのであります。ことに私は、アメリカは、きのうの質疑応答においてありました通り、いまだかつて世界に対して侵略を行なったことはない、しこうして、今度の安保条約においても一番の重大な点はいわゆる国際連合憲章にすべて基づくのだ、国際連合憲章は私から申すまでもなく、いわゆる国際紛争はすべて平和裏にやっていこう、武力は一切行使しない、不幸にして外部から武力攻撃のあった場合には、国際連合としての加盟国があるいは個別的、集団的にこれを防衛していこうというその趣旨にのっておる、この原則をどこまでも守っていって、その基盤の上に新安保体制を整えていこうというのでありますから、決してこれは攻撃していくものでも何でもない。反対論者は常にアメリカは帝国主義だということを言っておりまするが、アメリカは私は帝国主義国ではないと思います。かえって共産帝国主義と私は申したいのであるのであります。私、過般アメリカ極東海軍司令官でありますホーレルの案内を受けまして、世界的最新最大の航空母艦レンジャー号を見に参りました。実にすばらしい船であります。私も実は一驚を喫したのであります。その際、ホーレルはこう申しております。この船を作るために要した費用は日本の金に換算して七百億であります。登載しておる飛行機その他の武器はこれまた日本の金に換算して六百五十億であります。合せて千三百五十億、日本の一カ年の防衛予算をちょっと下回わるくらいの額、乗組員が約四千であります。かように多大な費用をかけて船を作り、かわいい青年をこれに乗せて極東のために何のために配置しておるか、われわれは戦争はまっぴらであります。決して戦争目的のためにやっておるのじゃありません。ただただ世界の平和と人類の自由を求めるために、またこれを擁護するためにやってきておるのであります。また作ったのであります。こういうあいさつであります。私はこの言葉を用いて非常に感銘したのであります。これであります。決してアメリカも他国侵略をするなんというような考えは毛頭ないと私は信じて疑いません。また先般朝鮮事変に参加したアメリカの青年と私は会って話したとき、私は彼に対して尋ねた。君たちは何のために遠く国を去って万里の波濤を越えて他国の戦争に参加したのか、何の目的で参加したのかと尋ねたら、彼は言下に答えていわく、われわれは世界の平和と人類の自由を守るためにやって来ておるのである、これは祖国を守るためであります。これにほかありませんとこう言うのです。私はやはりこのアメリカの青年も偉いものだなという感じをしたのであります。これであります。飜ってわが国の青年をみますると、現在うたた憂慮にたえないものが私はあります。大多数の青年はそうではないと思いまするが、一部の青年はきわめて安易にものを考え、また日本のこの運命共同体であります祖国を愛するという念が欠けておる。ことに安保条約なんかの問題は何らの関心を持たない。あの全学連の多数の者といえども、ほんとうの安保条約の内容を知っておるかどうか、私は疑わざるを得ないのであります。まことに憂うべき現象であろうと思います。
また、去年の春、西ベルリンの市長のブラントがやって参りましたときに、私ら数名の者が彼と会談していろいろ話し合ったのであります。被いわく、日本へ来て驚いたことが二つある。一つは、日本の経済力の復興したことである。われわれは西ドイツの復興はすばらしさをもって誇っておったのであるが、日本へ来て日本の経済力の復興には一驚を喫した。もう一つは、日本の国民は国際共産主義のおそろしさを知らない。われわれは共産主義同家と現実に境を接しておって、共産主義のおそろしさをまざまざと知っておる。従って国民は共産主義に対して警戒をしている。ところが、日本は幸か不幸か知らぬが、直接に共産主義国家と境を接していないからか、国際共産主義勢力のおそろしさを知らない。ブラント市長はこういうことを申されました。私はこの言葉を聞きまして、まことにそうだと、日本人はブラント氏の言うようにほんとうの共産主義のおそろしさを知らなければならないと思います。これはよけいなことでありますが、私はこの共産主義というものを青年に説いて回わっておるのであります。いろいろ議論はあるが、とにかく共産主義というのは、自分の考えたことを唯一無二のものとして、これに反するものは徹底的にやっつけよう、情け容赦はしない、まことにおそるべき主義であると私は思う。私はこれを称してにくしみの哲学と申しております。万一日本が共産主義化されれば一体日本の国民はどうなるであろうか、うたた憂慮にたえないのであります。私が申すまでもなく、かのハンガリーのブダベスト市が立ち上がったのは、学生、労働者、青年であります。何のために立ち上がったか、われわれに自由を与えよ、自由のないところに人間生活はあり得ない。パンのみではない、自由を欲する。これで立ち上がったのであります。われわれはこの自由を奪われるとどうなるかということを思えば、ほんとうに日本人がこの際このとき、心を新たにして日本の平和と自由を守らなければならないと私は信じます。これは、私は日本人として特に考慮すべき大きな問題であろうと信じて疑いません。総理初め閣僚諸公はおそらく私と同感の意を表せられるでありましょうが、どうか閣僚諸公よ、ほんとうに閣内は一致結束していただきたい。そうして日本国民の士気を鼓舞していただきたい。私は自衛隊を預かっておりましたが、自衛隊で何が一番必要であるか、装備ではありません。魂であります。われわれの運命共同体ということをどうして守るか、何がゆえに守るのかということの認識を十分与えることが私は一番の目的であり、またここに主眼を置かなければならないと考えておるのであります。どうか閣僚諸公は一致結束してこの困難打開に当たっていただきたいと思います。政府の所見をお伺いいたします。