苫米地英俊の発言 (日米安全保障条約等特別委員会)

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○苫米地英俊君 次に事前協議の点についてお伺いいたしたいと思います。新安保条約は、条約の第一条で平和的の性格が明瞭に打ち出されており、第五条で、条約は純粋に防衛的のものであり、自衛行動については、その発動から終止までについて明らかに規定されております。で、現行条約の不平等性、片務性の諸点の改善をしてあるもので、新条約が特に危険性を持っておるとは私は考えないのであります。条約六条に基づく施設及び区域並びに日本における合衆国軍隊の地位に関する協定なども著しく日本に有利に改善されております。この点には何ら疑いがないのであります。しかるにもかかわらず、院の内外において、この事前協議は事前の同意とすべきであるという議論が相当あります。私は、同意ということは、これはアメリカの軍隊は日本の同意がなければ動かれないという形になりますので、受け入れることは非常に困難だと思うのであります。外交折衝は、各国民の平和、安全に対する理想と現実との両国の妥協点を見出すにあるのでありますから、現在の条約がアメリカにとっても理想的なものではなく、日本にとっても理想的なものではない。それが条約の当然の本質だと私は存ずるのであります。ところが、この事前協議ということについて、それでは日本は戦争に巻き込まれるという主張が根強く存在しており、国民の中にもこれに同調する者があるように思われるのであります。政府は、事前協議において日本が同意できない、日本に関係のないような場合には、これを拒否することができる、日本の基地から米軍が出動することを拒否することができる、従って、日本が不本意な戦争に巻き込まれることはないと反復して答弁しておられます。ところが、政府がその答弁を繰り返し強調されればされるほど、世間や反対論者は疑義を深めているようなありさまであります。その理由は、二つあると考えるのであります。その一つは、今日は東風が西風を圧する、ソ連の軍事力はアメリカの軍事力よりもはるかに強いものであると、こういう考え方が、反対論者の間のみならず一般国民に普及されておるようであります。であるからして、こういう状況においては、安保条約があっても戦争の抑制力にはならないのだ、こういうことを盲信しておるのであります。いま一つは、極東に重大なる紛争が発生したときに、日本は平然として無関心でこれを眺めていられない。結局、事前協議で、日本は米軍基地からの発進に同意しなければならないような事情が起こることもあるだろう、また、日本が危険を感ずるときには、進んで同意しなければならないだろう、こういうときには戦争に関与せざるを得ない。ところが、いたずらにこの事前協議がある、極東の範囲はきまっておる、日本の欲しないものは拒否することができるというようなことを繰り返しておったのでは、国民は容易に納得しないのであります。極東に重大事件が起こったときに、戦争に巻き込まれまいという身勝手な非現実的な立場をとりますならば、有事の際における作戦遂行上の機動性を阻害し、日本の安全が保障せられない結果になることもあり得ると考えております。私は、今度の事前協議その他の点における改定の効果は、戦争を未然に押える運用に日本が若干の発言権を享有し得たというだけであって、これが六条によって、日本は戦争に巻き込まれるということが絶対ないと、こういうことにはならないのじゃないか、そういうことを主張することによって政府はごまかしているんじゃないかというような疑いを深めさせておるのが現状であります。この点について国民が明確に納得するように、総理なり外務大臣なり、どちらでもよろしゅうございますから、御説明を願いたいと思うのでございます。

発言情報

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発言者: 苫米地英俊

speaker_id: 11467

日付: 1960-06-12

院: 参議院

会議名: 日米安全保障条約等特別委員会