日米安全保障条約等特別委員会
⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。
会
会議録情報#0
昭和三十五年六月十二日(日曜日)
午前十一時五十三分開会
—————————————
委員の異動
六月十一日委員青柳秀夫君辞任につ
き、その補欠として松村秀逸君を議長
において指名した。
本日委員青木一男君辞任につき、その
補欠として山本杉君を議長において指
名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 草葉 隆圓君
理事
井上 清一君
西田 信一君
増原 恵吉君
吉武 恵市君
委員
青木 一男君
木内 四郎君
木村篤太郎君
後藤 義隆君
笹森 順造君
下村 定君
杉原 荒太君
鈴木 恭一君
苫米地英俊君
永野 護君
鍋島 直紹君
野村吉三郎君
堀木 鎌三君
松村 秀逸君
山本 杉君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
法制局次長 高辻 正巳君
法制局長官総務
室主幹 関 道雄君
法制局第一部長 山内 一夫君
法制局第二部長 野木 新一君
法制局第三部長 吉国 一郎君
警察庁刑事局長 中川 董治君
自治庁税務局長 後藤田正晴君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
調達庁長官 丸山 佶君
調達庁次長 真子 伝次君
調達庁総務部長 大石 孝章君
調達庁不動産部
長 柏原益太郎君
調達庁労務部長 小里 玲君
法務省民事局長 平賀 健太君
外務政務次官 小林 絹治君
外務省アメリカ
局長 森 治樹君
外務省条約局長 高橋 通敏君
外務省条約局外
務参事官 藤崎 万里君
外務省国際連合
局長 鶴岡 千仭君
大蔵省主税局税
関部長 木村 秀弘君
文部政務次官 宮澤 喜一君
厚生大臣官房長 森本 潔君
水産庁次長 高橋 泰彦君
運輸省航空局長 辻 章男君
気象庁長官 和達 清夫君
郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君
郵政省電気通信
監理官 岩元 巌君
郵政省郵務局長 板野 学君
郵政省電波監理
局長 甘利 省吾君
労働省労政局長 亀井 光君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
説明員
大蔵省為替局企
画課長 村井 七郎君
日本電信電話公
社総裁 大橋 八郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約の締結につ
いて承認を求めるの件(内閣提出、
衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約第六条に基
づく施設及び区域並びに日本国にお
ける合衆国軍隊の地位に関する協定
の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約等の締結に
伴う関係法令の整理に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————
この発言だけを見る →午前十一時五十三分開会
—————————————
委員の異動
六月十一日委員青柳秀夫君辞任につ
き、その補欠として松村秀逸君を議長
において指名した。
本日委員青木一男君辞任につき、その
補欠として山本杉君を議長において指
名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 草葉 隆圓君
理事
井上 清一君
西田 信一君
増原 恵吉君
吉武 恵市君
委員
青木 一男君
木内 四郎君
木村篤太郎君
後藤 義隆君
笹森 順造君
下村 定君
杉原 荒太君
鈴木 恭一君
苫米地英俊君
永野 護君
鍋島 直紹君
野村吉三郎君
堀木 鎌三君
松村 秀逸君
山本 杉君
国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 井野 碩哉君
外 務 大 臣 藤山愛一郎君
運 輸 大 臣 楢橋 渡君
郵 政 大 臣 植竹 春彦君
労 働 大 臣 松野 頼三君
建 設 大 臣 村上 勇君
国 務 大 臣 赤城 宗徳君
国 務 大 臣 石原幹市郎君
国 務 大 臣 中曽根康弘君
国 務 大 臣 益谷 秀次君
政府委員
内閣官房長官 椎名悦三郎君
内閣官房副長官 松本 俊一君
法制局長官 林 修三君
法制局次長 高辻 正巳君
法制局長官総務
室主幹 関 道雄君
法制局第一部長 山内 一夫君
法制局第二部長 野木 新一君
法制局第三部長 吉国 一郎君
警察庁刑事局長 中川 董治君
自治庁税務局長 後藤田正晴君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 加藤 陽三君
調達庁長官 丸山 佶君
調達庁次長 真子 伝次君
調達庁総務部長 大石 孝章君
調達庁不動産部
長 柏原益太郎君
調達庁労務部長 小里 玲君
法務省民事局長 平賀 健太君
外務政務次官 小林 絹治君
外務省アメリカ
局長 森 治樹君
外務省条約局長 高橋 通敏君
外務省条約局外
務参事官 藤崎 万里君
外務省国際連合
局長 鶴岡 千仭君
大蔵省主税局税
関部長 木村 秀弘君
文部政務次官 宮澤 喜一君
厚生大臣官房長 森本 潔君
水産庁次長 高橋 泰彦君
運輸省航空局長 辻 章男君
気象庁長官 和達 清夫君
郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君
郵政省電気通信
監理官 岩元 巌君
郵政省郵務局長 板野 学君
郵政省電波監理
局長 甘利 省吾君
労働省労政局長 亀井 光君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 信雄君
説明員
大蔵省為替局企
画課長 村井 七郎君
日本電信電話公
社総裁 大橋 八郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約の締結につ
いて承認を求めるの件(内閣提出、
衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約第六条に基
づく施設及び区域並びに日本国にお
ける合衆国軍隊の地位に関する協定
の締結について承認を求めるの件
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国とアメリカ合衆国との間の相
互協力及び安全保障条約等の締結に
伴う関係法令の整理に関する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————
草
草葉隆圓#1
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから日米安全保障条約等特別委員会を開会いたします。
まず委員の移動について報告いたします。
昨日、青柳秀夫君が辞任され、その補欠として松村秀逸君が選任されました。
—————————————
この発言だけを見る →まず委員の移動について報告いたします。
昨日、青柳秀夫君が辞任され、その補欠として松村秀逸君が選任されました。
—————————————
草
草葉隆圓#2
○委員長(草葉隆圓君) 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約等の締結に伴う関係法令の整理に関する法律案、以上衆議院送付の三案件を一括して議題といたします。
前回に引き続き質疑を続行いたします。これより通告順により質疑を許します。苫米地英俊君。
この発言だけを見る →前回に引き続き質疑を続行いたします。これより通告順により質疑を許します。苫米地英俊君。
苫
苫米地英俊#3
○苫米地英俊君 私は、各逐条についていろいろ伺いたいのでありますが、諸般の情勢にかんがみまして、きわめて少数の点だけお伺いいたしたいと思います。
まず第一にお伺いいたしたいのは、国際情勢の見通しにつきまして、私は総理の御見解が的中しておったと、かように感ずるのでございます。しかし、この日本が武力攻撃を行なわれる危険があるということにつきましては、野党は、何も日本を侵略しようとするような国が周辺にないではないか、それであるのに安保条約を強化して基地を提供しておる、この安保条約締結ということと基地の提供ということが、日本に武力攻撃を加えられる原因になっているのではないかということを申しておる次第であります。私は、第二次大戦以後の世界を見渡しますと、世界のいずれかの場所において砲声のとどろかなかった、戦争のなかった日は一日もない、これが現実であると思うのであります。従って、日本が国際連合の範囲において、また憲法の許す範囲において自衛の方策を立てるということは適当なことだと思うのでありますが、日本が武力攻撃を受ける危険がない、もし、ありとするならば、条約締結、基地の提供ということにあると申しておるのでありますが、この点について総理の御見解を伺いたいと思うのであります。
この発言だけを見る →まず第一にお伺いいたしたいのは、国際情勢の見通しにつきまして、私は総理の御見解が的中しておったと、かように感ずるのでございます。しかし、この日本が武力攻撃を行なわれる危険があるということにつきましては、野党は、何も日本を侵略しようとするような国が周辺にないではないか、それであるのに安保条約を強化して基地を提供しておる、この安保条約締結ということと基地の提供ということが、日本に武力攻撃を加えられる原因になっているのではないかということを申しておる次第であります。私は、第二次大戦以後の世界を見渡しますと、世界のいずれかの場所において砲声のとどろかなかった、戦争のなかった日は一日もない、これが現実であると思うのであります。従って、日本が国際連合の範囲において、また憲法の許す範囲において自衛の方策を立てるということは適当なことだと思うのでありますが、日本が武力攻撃を受ける危険がない、もし、ありとするならば、条約締結、基地の提供ということにあると申しておるのでありますが、この点について総理の御見解を伺いたいと思うのであります。
岸
岸信介#4
○国務大臣(岸信介君) 国際情勢の現状は、私は、東西両陣営の対立のもとにおけるこの関係は、緊張緩和の必要があるということをひとしく認めておりながら、なかなか実現の困難な情勢でございます。また、緊張緩和を進めういう場合に中共を入れるということをみんな考えておるようでございます。で、そういう考え方は、すなわち国連のワク内において十カ国委員会を作るという場合に、国連のメンバーでない中共をも入れ得るという考え方に立っておるわけでありまして、十カ国委員会ができますまでの——まあ国連と十カ国委員会設立のいきさつはいろいろございますけれども、現在はそういう意味において、各国とも十カ国委員会の成果によって、十カ国以外の他のすべての国を入れる、その中にはむろん中共を含めておるという考え方でございます。
この発言だけを見る →苫
苫米地英俊#5
○苫米地英俊君 次に事前協議の点についてお伺いいたしたいと思います。新安保条約は、条約の第一条で平和的の性格が明瞭に打ち出されており、第五条で、条約は純粋に防衛的のものであり、自衛行動については、その発動から終止までについて明らかに規定されております。で、現行条約の不平等性、片務性の諸点の改善をしてあるもので、新条約が特に危険性を持っておるとは私は考えないのであります。条約六条に基づく施設及び区域並びに日本における合衆国軍隊の地位に関する協定なども著しく日本に有利に改善されております。この点には何ら疑いがないのであります。しかるにもかかわらず、院の内外において、この事前協議は事前の同意とすべきであるという議論が相当あります。私は、同意ということは、これはアメリカの軍隊は日本の同意がなければ動かれないという形になりますので、受け入れることは非常に困難だと思うのであります。外交折衝は、各国民の平和、安全に対する理想と現実との両国の妥協点を見出すにあるのでありますから、現在の条約がアメリカにとっても理想的なものではなく、日本にとっても理想的なものではない。それが条約の当然の本質だと私は存ずるのであります。ところが、この事前協議ということについて、それでは日本は戦争に巻き込まれるという主張が根強く存在しており、国民の中にもこれに同調する者があるように思われるのであります。政府は、事前協議において日本が同意できない、日本に関係のないような場合には、これを拒否することができる、日本の基地から米軍が出動することを拒否することができる、従って、日本が不本意な戦争に巻き込まれることはないと反復して答弁しておられます。ところが、政府がその答弁を繰り返し強調されればされるほど、世間や反対論者は疑義を深めているようなありさまであります。その理由は、二つあると考えるのであります。その一つは、今日は東風が西風を圧する、ソ連の軍事力はアメリカの軍事力よりもはるかに強いものであると、こういう考え方が、反対論者の間のみならず一般国民に普及されておるようであります。であるからして、こういう状況においては、安保条約があっても戦争の抑制力にはならないのだ、こういうことを盲信しておるのであります。いま一つは、極東に重大なる紛争が発生したときに、日本は平然として無関心でこれを眺めていられない。結局、事前協議で、日本は米軍基地からの発進に同意しなければならないような事情が起こることもあるだろう、また、日本が危険を感ずるときには、進んで同意しなければならないだろう、こういうときには戦争に関与せざるを得ない。ところが、いたずらにこの事前協議がある、極東の範囲はきまっておる、日本の欲しないものは拒否することができるというようなことを繰り返しておったのでは、国民は容易に納得しないのであります。極東に重大事件が起こったときに、戦争に巻き込まれまいという身勝手な非現実的な立場をとりますならば、有事の際における作戦遂行上の機動性を阻害し、日本の安全が保障せられない結果になることもあり得ると考えております。私は、今度の事前協議その他の点における改定の効果は、戦争を未然に押える運用に日本が若干の発言権を享有し得たというだけであって、これが六条によって、日本は戦争に巻き込まれるということが絶対ないと、こういうことにはならないのじゃないか、そういうことを主張することによって政府はごまかしているんじゃないかというような疑いを深めさせておるのが現状であります。この点について国民が明確に納得するように、総理なり外務大臣なり、どちらでもよろしゅうございますから、御説明を願いたいと思うのでございます。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#6
○国務大臣(藤山愛一郎君) 事前協議の場合に、この従来の交渉の経緯から申しましても、拒否できることは当然でございまして、私どもはいささかも日本の同意なくしてアメリカがそれを強行しようとは考えておりませんし、また、そうあるべきものであって、拒否することはできるわけでございます。ただ御指摘のように、日本の平和と安全を守りますことがこの条約の基本でございます。従って、日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすような事態が起きましたときに、それは当然その見地からこの事前協議を眺めて、また運用して参るわけでありまして、日本に関係のない場合には拒否することができることは当然でございます。また極東の場合におきましても、その混乱の起きたことが日本の平和と安全に影響するかしないかということが判断の基礎であります。でありますから、日本の平和と安全が脅かされるというような事態、及びそうでないような地域的な混乱というものが当然考えられるわけでありまして、そういう場合における事前協議の運用というものは、その見地に立ってこれを行なうのでありまして、従って事前協議自体につきましては、拒否し得る条項でございます。
この発言だけを見る →苫
苫米地英俊#7
○苫米地英俊君 ただいまの外務大臣の御説明によりまして、事前協議は、日本が安保条約の平和維持の、また、戦争に巻き込まれないための日本の発言権を確かめておるのであって、現実に日本が脅威された場合には、戦争に入ることもあるいはあるでしょう、日本が直接攻撃された場合にはあるでしょうし、また、米国が出撃する場合にもこれを承認することもある、こういうことが、これは当然のことでありますけれども、国民に従来理解されないで、反対をされておったと思うのであります。
次に移りまして、修正権という出題についてお伺い申し上げます。政府が調印を済まして条約の承認を国会に求めた場合に、国会にこれを修正する権利があるかどうかという論争が衆議院の段階においてありました。そして衆議院の議運で検討することになっておりますが、今日なお未解決のままになっております。この状態で参議院が安保条約を承認して批准の運びをつけることがいいことか悪いことか、一応反省してみる必要があると思うのであります。衆議院の段階の論争につきましては、私個人としては政府の御答弁を了承いたしております。ここで一つ明らかにしたいのは、この締結権の一部であるところの政府代表の調印ということの効果は何であるかということを、まず外務大臣にお伺いいたしたいのであります。
この発言だけを見る →次に移りまして、修正権という出題についてお伺い申し上げます。政府が調印を済まして条約の承認を国会に求めた場合に、国会にこれを修正する権利があるかどうかという論争が衆議院の段階においてありました。そして衆議院の議運で検討することになっておりますが、今日なお未解決のままになっております。この状態で参議院が安保条約を承認して批准の運びをつけることがいいことか悪いことか、一応反省してみる必要があると思うのであります。衆議院の段階の論争につきましては、私個人としては政府の御答弁を了承いたしております。ここで一つ明らかにしたいのは、この締結権の一部であるところの政府代表の調印ということの効果は何であるかということを、まず外務大臣にお伺いいたしたいのであります。
藤
林
苫
苫米地英俊#10
○苫米地英俊君 私もさように考えるのであります。条約の内容及びその条文まで確定するものである。従って調印というものは、条約をアザ・ホールして、総括一体として確定するものであると存ずるのであります。従って、その一部の修正は全部の不承認になる。おかしな例でありますが、見合い結婚の場合に、見合いをして、どうもあの目は工合が悪い、目がよくなったら結婚してもいいと言ったら、これは結婚全部を否認することであって、目だけを否認することにならない。私は、かように考えるというと、一部の修正は全部の不承認になると考えますが、この点はいかがでございましょうか。
この発言だけを見る →林
林修三#11
○国務大臣(林修三君) この条的の承認に関する国会の権能と申しますか、これに関しまして衆議院でいろいろと御議論がございました。また衆議院の議院運営委員会において御検討中でございますが、もっぱらこれは国会の権限の問題でございますから、そういう意味ではっきりしたことを申し上げるのもいかがかと思いますが、従来政府として考えておりますところは、今、苫米地委員がおっしゃった通りでございまして、やはり条約の承認というものは、まあ締結権を持つ政府がそれについてのイエス・オア・ノーを国会に諮る、国会においては結局全体としての承認、あるいは全体としての不承認と、こういうことではなかろうかと考えておるわけでございます。まあ修正という問題について、いわゆる法律案の修正というような意味の修正というものはないということは、おそらく衆議院の段階においても皆さん大体議論が一致されておるところだと思います。いわゆる現在言われております修正という意味は、多少違った意味の修正の問題が言われておるようでございまして、今おっしゃった点、いわゆる一つの確定した内容の条約の承認を求める以上、その一部の不承認ということは、やはりまあ全体に対する不承認であり、今後もう一ぺん内容を出し直してこいと、こういうことじゃなかろうかとわれわれ考えております。
この発言だけを見る →苫
苫米地英俊#12
○苫米地英俊君 私は参議院でこの修正権の問題についてどういう結論に達するか存じませんが、今法制局長官の言われた言葉に従って条約を取り扱っていくのが正当じゃないかと考える次第であります。これに関連いたしまして、条約の第十条に、条約の有効期間がきめられております。条約の有効期間十年は長過ぎる、こんな危険な条約で十年も縛られるのは国民としてたえられない、こういう議論が今でもあります。一年の予告で解消し得るように修正すべきだ、そのくらいの修正は重大な問題じゃないから当然できることだというような議論があります。そしてこれに同調する人々が保守系の人々の間にも相当あるように考えるものであります。で、一年の予告を正当化するために、これまですでに野党によって引用せられたのは、米比、米緯、米華、アンザス等の諸条約であります。これらはすべて一年の予告で解消することができるようになっておる、こういうふうに申しておりますが、私は、これらの条約と新安保条約との間には非常な差異がある、根本的に違っておる、このことがまだ明確に打ち出されて国民に徹底されておらないように感ずるのであります。その根本的の相違というのはどこにあるかと申しますと、先ほど申しましたような条約は、すべて永久条約である。無期限である。永久条約であって無期限であるがゆえに、一年の予告ということが、一つの条約を終了させる上において必要になってくるのである。日本のは十年と切ってあるのであるから、そういう必要はまずないと私は考えるのが一つであります。もう一つは、米国と日本との間には会計年度のズレがあります。従って、お互いに協力し、運営していくために、このズレのためにより多くの時間がかかる、次の年度にかかるというようなことがありますので、また、この安保条約が翌年どうなるかというようような危惧を持っておりましては、民間人がいろいろの企業的な計画を立てる上にも非常な困難を生ずるだろうと思うのであります。国と国との間においても、民間人の間においても、一年予告ということでは非常な不便がある。さらにまた、安保改正絶対反対を唱えております共産党員と名乗らない共産党員のすこぶる多い日本におきましては、一年の予告ということになっておれば、年がら年じゅう、毎年々々安保条約反対闘争を繰り返して、政局の混乱は絶え間ないと考えられるのであります。私はこの意味から申しまして、十年は適当だと思うのでありますが、外務大臣から、このアメリカの極東における諸外国との締結の条約と日本の条約との間に相違があることを、私の考えが間違っておるかどうか、その点をはっきりしていただきたいと思うのであります。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#13
○国務大臣(藤山愛一郎君) 条約の期限の問題につきましては、私どもこの条約の本質から申しまして、日本の平和と安全が維持されることを念願するものでありますから、従って、われわれの最も信頼する機関である国際連合が、日本区域において平和を維持する手段をとれば、これは当然こういう条約がなくていいということになりますので、第一段としてはそれを目標にして掲げたわけでございます。しかしながら、そういう措置がいつとれるかということは、なかなかわからないことでございます。従って、日米両国が相互に信頼関係に立ちます以上は、一定の期限を付しますことが適当であると考えるのでありまして、年々、御指摘のようにこれを続けるか続けないかというような不安があっては相ならぬわけであります。これは信頼関係の上に立ちますれば、当然一定の期限を付して、お互いに信頼し合いながら、その期限の中で運用していく。そこで、その期限をつけます場合に、何年が適当であるかということが問題になってくると思います。御承知のようにこの種条約には、三十年というものもございますし、二十年というのもございます。従って、われわれとしていろいろ考えてみました結果、やはり今日の国際情勢その他からも考えまして、そうして信頼関係の上に安全に条約を運営していく、しかも、それが日本地域における平和と安全を維持するということを考えてみますと、まず十年が適当であろうということで、この十年というものをきめたわけでありまして、われわれも、この条約期限の問題につきまして、ここに至りますまでの間に、今までのわれわれの考えを申し上げましたことは、苫米地委員のおっしゃったことと食い違っておらぬと私は確信いたしております。
この発言だけを見る →苫
苫米地英俊#14
○苫米地英俊君 私がぜひ外務大臣に認めていただきたいのは、米比、米韓、米華、アンザス等の諸条約は無期限であるから一年の予告というものが必要であるのだ、この点が日本の安全保障条約とは違っておるのだ、日本のは十年という最も適当の期間をきめて、その後は一年の予告で解消できるのであるから、この一年の予告説で、この無期限であるということを反対論が述べないで、一年予告になっておる、ほかの条約は一年予告になっておるのに、日本だけは一年予告はなぜいけないのかという議論について、はっきりしたお答えをいただいて、国民に納得させたいと、かように考える次第でございます。
この発言だけを見る →藤
藤山愛一郎#15
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御説のように、他のアンザスでありますとか、米韓、米華、米比等につきましては、今のお話にもございましたように、十年とか、二十年とかいう期限がついておりません。そして単に一年の予告ということでありますから、その意味において無期限━━期限なしであって、そして一年の予告でもっていつでも解消できる、こういうことになっております。われわれは、この信頼関係の上に立ってやります以上は、一定の期間を限ってやることが必要であるのでありまして、御指摘のありましたように、毎年々々、もう一年の予告でやれば、いつでもこれはやめようとか、やめまいとかいうことが、両者の間に議論が出ると思います。そのことは、こういう条約を安定的に運営するゆえんではございません。そして、その結果というものは、日本におきましてもアメリカにおきましても、政治上の問題となろうと思います。でありますから、やはりこういう問題につきましては、一定の期限をつけまして、そして運営することがいいということなのでございまして、今、苫米地委員のお話と、私どもの考え方、その通りだと思っております。
この発言だけを見る →苫
草
草
草葉隆圓#18
○委員長(草葉隆圓君) ただいまから委員会を再開いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として山本杉君が選任されました。
—————————————
この発言だけを見る →まず、委員の異動について御報告いたします。
本日、青木一男君が委員を辞任され、その補欠として山本杉君が選任されました。
—————————————
草
草葉隆圓#19
○委員長(草葉隆圓君) 次に、去る八日の委員会において、公聴会の公述人の数及び選定その他の手続につきましては、これを委員長に御一任いただいておりましたが、公示の結果、応募者が二十五名ございました。その内訳を申しますと、賛成十六、反対七、賛否不明が二でございます。右の中から賛否おのおの三名の方を公述人に選定いたしましたので、御報告申し上げます。大谷定男君、鈴木駒雄君、金井和男君、谷口次生君、田口寅雄君及び今村良幸君。以上でございます。
—————————————
この発言だけを見る →—————————————
草
下
下村定#21
○下村定君 私が本委員会のために一般事項として質問を考えておりましたことは、今朝までの間に大部分出尽くしたと思いますので、ただいまから私は、主として本条約の内容、付属協定並びに交換公文の内容につきまして御質問をいたそうと存じます。また、本委員会には自民党以外の委員諸君が欠席せられておりますので、従来、衆議院等におきまして野党側から質問のありました事項に触れて、政府側の御意見を確かめたいと存じます。
まず、新安保条約と国防基本方針並びに国防会議との関連について、総理大臣の御意見を承りたいと存じます。
去る三月十五日、衆議院における委員の質問に対しまして、総理大臣は、新しい安保条約によって国防基本方針を変える必要はないから、条約案を国防会議にかけなかったというお答えがあったと記憶しております。私は、この御見解に同意を表するものであります。と申しますのは、現在の国防方針の第四に、将来国連が有効に侵略を阻止する機能を果たすに至るまでは、日本はアメリカとの安全保障体制を基調として対処するということが明記されておるからであります。
それはそれといたしまして、現在の国防方針を見ますると、これは策定以来すでに三年を経過しておりまして、この間における国際情勢の動き、科学兵器の進歩等は注目すべきものがあると存じます。ことに、いわゆる世界戦略は、一昨日、鹿島委員が言及されました通り、従来の軍事を主体とする様式から軍事にあらざる手段に移る傾向がありまして、軍事のほかに、心理戦、経済戦、科学戦等の分野に大いに拡大されたように感じます。この点から見ますると、現在の国防方針は、従来よりも広い視野に立って再検討を要すると考えるのであります。ことに、承るところによりますと、近く第二次防衛五カ年計画が策定せられるということでありますから、なおさらもってこの再検討は必要であろうと考えます。なお、同じ意味におきまして、国防会議の構成につきましても、同じ考慮が必要でないかと存ずるのであります。この点につきまして、総理大臣の御意見を拝聴いたしたいと存じます。
この発言だけを見る →まず、新安保条約と国防基本方針並びに国防会議との関連について、総理大臣の御意見を承りたいと存じます。
去る三月十五日、衆議院における委員の質問に対しまして、総理大臣は、新しい安保条約によって国防基本方針を変える必要はないから、条約案を国防会議にかけなかったというお答えがあったと記憶しております。私は、この御見解に同意を表するものであります。と申しますのは、現在の国防方針の第四に、将来国連が有効に侵略を阻止する機能を果たすに至るまでは、日本はアメリカとの安全保障体制を基調として対処するということが明記されておるからであります。
それはそれといたしまして、現在の国防方針を見ますると、これは策定以来すでに三年を経過しておりまして、この間における国際情勢の動き、科学兵器の進歩等は注目すべきものがあると存じます。ことに、いわゆる世界戦略は、一昨日、鹿島委員が言及されました通り、従来の軍事を主体とする様式から軍事にあらざる手段に移る傾向がありまして、軍事のほかに、心理戦、経済戦、科学戦等の分野に大いに拡大されたように感じます。この点から見ますると、現在の国防方針は、従来よりも広い視野に立って再検討を要すると考えるのであります。ことに、承るところによりますと、近く第二次防衛五カ年計画が策定せられるということでありますから、なおさらもってこの再検討は必要であろうと考えます。なお、同じ意味におきまして、国防会議の構成につきましても、同じ考慮が必要でないかと存ずるのであります。この点につきまして、総理大臣の御意見を拝聴いたしたいと存じます。
岸
岸信介#22
○国務大臣(岸信介君) 国防の基本方針につきましては、国際の情勢に対応して、われわれとしても常に考えていかなければならない問題であることは言うを待ちません。現在われわれは、国防会議において日本の国防の根本方針を決定いたしておるのでありますが、これを決定するにあたりましても、もとより、ただ単に軍事面だけの見地からこれを検討したのではございませんで、広く国の施策全体、国際情勢等も頭に置いて、これを広い見地から策定をいたしておりますことは、国防方針に明示されておる通りでございます。しかし、さらに最近の軍事科学の非常なる発進、国際間においても、この軍備の問題が大きく取り上げられておる。また、一般に科学技術の発達や、あるいは経済事情の進展、また東西両陣営の間におけるところの関係というものは、いろいろな面において現われてきておる際でありますから、日本の国防の万全を期する上から申しますというと、さらにこれが検討を加える必要は、私どもも考えていかなければならぬと思います。今日のところ、直ちに国防会議の構成、組織等の問題について検討を加えて、すぐこれが、今、下村委員のお話のような意味において再検討するということに関しましては、なお政府としては、慎重に各国の事情も検討の上、最後の考え方をきめたい、かように思っております。
この発言だけを見る →下
下村定#23
○下村定君 次に、新条約の第三条に関連しまして、外務省当局にお伺い申し上げます。
かねて承っておるところによりますと、本条約が締結されますると、日本の支出する防衛分担金に廃止されると承っております。しかるに、一昨日の新聞報道によりますと、アメリカ国防総省のオドンネル氏が、将来における日本に対するMSA援助は、防衛分担金を相続して、これと引きかえに行なうというようなことが出ております。この情報の確度並びにその意義につきまして外務省からの御答弁を願います。これは大臣をわずらわす必要はないと思いますから、どなたでもお答えを願います。
この発言だけを見る →かねて承っておるところによりますと、本条約が締結されますると、日本の支出する防衛分担金に廃止されると承っております。しかるに、一昨日の新聞報道によりますと、アメリカ国防総省のオドンネル氏が、将来における日本に対するMSA援助は、防衛分担金を相続して、これと引きかえに行なうというようなことが出ております。この情報の確度並びにその意義につきまして外務省からの御答弁を願います。これは大臣をわずらわす必要はないと思いますから、どなたでもお答えを願います。
森
森治樹#24
○政府委員(森治樹君) 先般来、外務大臣から御説明のございましたように、新条約、新協定が発効いたしますると、防衛分担金はなくなる次第でございます。ただいま御指摘になりました最近におきまするアメリカの議会におきます関係者の言明は、おそらく日本に対する援助方式に関する言明だと私どもは承知いたしております。すなわち、援助方式といたしまして、無償援助ではなくして、日本側も特定の兵器の生産につきまして費用を分担する、アメリカ側も分担するというような、過去においても二、三の事例がございましたようなことを申しておるわけでございまして、防衛分担金のことを申しておる次第ではないと、かように承知いたしております。
この発言だけを見る →下
下村定#25
○下村定君 了解いたしました。
次は、条約の第四条並びにこれに関連する条項について、総理大臣、外務大臣及び防衛庁長官にお伺い申し上げます。
第四条には、緊急の場合における事前協議並びに両国間において条約の実施に関して随時協議すべきことが規定されております。私は、この随時協議なるものを常続的に、かつ、最も効果的に行なうことを特に重要視するものであります。一昨日、永野委員は、経済協力の見地から常設的な協議機関を設けることを強く要望されましたし、また鹿島委員もこの点に言及されました。私は、新条約の一つの特色は両国の経済協力を約束しておる点にあることを思いまして、永野委員の御説に全面的の賛意を表しますとともに、軍事上の見地からは、一そうこの随時協議の必要を痛感ずるものであります。
次に、その理由の大要を申し述べます。
第一の理由は、条約の第五条に基づきまして、日本の領域内において日米両軍が共同して防衛作戦に任ずる場合のため必要であるということであります。本条約の目的は、もとより戦うためのものではなく、戦争を防止するための有効なブレーキを形成するにあることは申すまでもありません。しかして、このブレーキを最も確実なものにするためには、単に両国が防衛上必要な兵力を保有するだけでは不十分でありまして、両軍の当事者が平素からお互いによく話し合って、有事の場合に、両軍が、たとえばどれだけの兵力を出すか、共同作戦はいかなる要領でやるか、補給はどうする、また両軍間の連携をいかにするかというようなことを、具体的に約束しておくことが必要で、これをいざ鎌倉という場合にあわててやったんでは目的を達することはできないと思います。もしこのことがなくしては、日本の自衛隊自身も作戦計画を立てることも困難であろうと存じます。
随時協議を必要とする第二の理由は、事前協議との関係であります。事前協議につきましては、本条約において第四条にもあります。また本年一月十九日の交換公文に基づきまして、重要な配置もしくは装備の変更並びに日本の基地からする米軍の戦闘作戦行動に関する事前協議ということが述べられてあります。事前協議につきましては、これまでもいろいろな議論が行なわれましたが、私は、拒否権があるとかないとか、協議と合意がどう違うとかいうことは、そもそも末節の議論であって、要は、今朝外務大臣が御説明になりました通り、また、いやしくもアメリカの大統領が米軍は日本の意思に反して行動することはないと言明しております以上、常識的に見れば、これ以上信頼する約束はないと存ずるのであります。しかしながら、事前協議をやりましても、長いものに巻かれる心配があるとか、火急の場合に間に合うまいという素朴な不安は、これはある程度うなずけると存ずるのであります。かくのごとき不安を除くためにも、平時から日米合同の軍事委員会を作りまして、互いによく腹を合わせることが最も必要であろうと思うのであります。すなわち、この随時協議によりまして、お互いの国の立場を理解し、情報を交換し、意思の統一ができておりますれば、配備とか装備の変更ぐらいでは、わざわざそれについて事前協議を開く必要がないかとも思われます。そういう場合も生ずるだろうと思います。また、ことに米軍が日本の基地から出発する場合の事前協議でも、この随時協議を平時から厳密に励行しておりますれば、万が一にも両軍の意見が一致しないようなことは生じないであろうと思われるのであります。
以上二つの理由からいたしまして、この種の協議は、単に政府の高官、日本におけるアメリカの代表者、また太平洋軍司令官及びその代理者等おえら方が、ときどき会って話し合いをせられるとか、あるいは正常の外交ルートを通じてやられるといったくらいのことでは、満足に行なわれるかどうかは私は疑問を持ちます。どうしても、前に申しました経済問題に対すると同様に、この頂上機構のもとに専門の下部組織を常設する必要があると思うのであります。なお、このことは単に理屈の上から申すのではありません。私はこれに類する幾多の資料を調査しました。また、私自身も、短期間ではありますが、かつて第一次大戦後ヴェルサイユ条約の実施に関して、ドイツ国の違反を監督するために、フランスのフォッシュ元帥を主宰者として、アメリカ、イギリス、イタリア、ベルギー、それと日本から、それぞれ専門委員が出まして、この随時協議に類するものを二カ年間続けてやった経験を持っております。申すまでもなく、これらの諸国はドイツを共通の敵として戦ったのでありますが、その立場はそれぞれであります。みな違います。問題の起こることに意見が反しましたが、この随時協議によりまして、先ほど私の申しましたような意思の疎通が常にできておりましたために、私の見るところでは、その結果として、ドイツに要求されたことはおおむね妥当であったと存じております。浅薄な私の経験まで申し上げまして、はなはだ失礼でありますが、これに対しまする政府のはっきりした御意見を承知いたしたいと思います。
この発言だけを見る →次は、条約の第四条並びにこれに関連する条項について、総理大臣、外務大臣及び防衛庁長官にお伺い申し上げます。
第四条には、緊急の場合における事前協議並びに両国間において条約の実施に関して随時協議すべきことが規定されております。私は、この随時協議なるものを常続的に、かつ、最も効果的に行なうことを特に重要視するものであります。一昨日、永野委員は、経済協力の見地から常設的な協議機関を設けることを強く要望されましたし、また鹿島委員もこの点に言及されました。私は、新条約の一つの特色は両国の経済協力を約束しておる点にあることを思いまして、永野委員の御説に全面的の賛意を表しますとともに、軍事上の見地からは、一そうこの随時協議の必要を痛感ずるものであります。
次に、その理由の大要を申し述べます。
第一の理由は、条約の第五条に基づきまして、日本の領域内において日米両軍が共同して防衛作戦に任ずる場合のため必要であるということであります。本条約の目的は、もとより戦うためのものではなく、戦争を防止するための有効なブレーキを形成するにあることは申すまでもありません。しかして、このブレーキを最も確実なものにするためには、単に両国が防衛上必要な兵力を保有するだけでは不十分でありまして、両軍の当事者が平素からお互いによく話し合って、有事の場合に、両軍が、たとえばどれだけの兵力を出すか、共同作戦はいかなる要領でやるか、補給はどうする、また両軍間の連携をいかにするかというようなことを、具体的に約束しておくことが必要で、これをいざ鎌倉という場合にあわててやったんでは目的を達することはできないと思います。もしこのことがなくしては、日本の自衛隊自身も作戦計画を立てることも困難であろうと存じます。
随時協議を必要とする第二の理由は、事前協議との関係であります。事前協議につきましては、本条約において第四条にもあります。また本年一月十九日の交換公文に基づきまして、重要な配置もしくは装備の変更並びに日本の基地からする米軍の戦闘作戦行動に関する事前協議ということが述べられてあります。事前協議につきましては、これまでもいろいろな議論が行なわれましたが、私は、拒否権があるとかないとか、協議と合意がどう違うとかいうことは、そもそも末節の議論であって、要は、今朝外務大臣が御説明になりました通り、また、いやしくもアメリカの大統領が米軍は日本の意思に反して行動することはないと言明しております以上、常識的に見れば、これ以上信頼する約束はないと存ずるのであります。しかしながら、事前協議をやりましても、長いものに巻かれる心配があるとか、火急の場合に間に合うまいという素朴な不安は、これはある程度うなずけると存ずるのであります。かくのごとき不安を除くためにも、平時から日米合同の軍事委員会を作りまして、互いによく腹を合わせることが最も必要であろうと思うのであります。すなわち、この随時協議によりまして、お互いの国の立場を理解し、情報を交換し、意思の統一ができておりますれば、配備とか装備の変更ぐらいでは、わざわざそれについて事前協議を開く必要がないかとも思われます。そういう場合も生ずるだろうと思います。また、ことに米軍が日本の基地から出発する場合の事前協議でも、この随時協議を平時から厳密に励行しておりますれば、万が一にも両軍の意見が一致しないようなことは生じないであろうと思われるのであります。
以上二つの理由からいたしまして、この種の協議は、単に政府の高官、日本におけるアメリカの代表者、また太平洋軍司令官及びその代理者等おえら方が、ときどき会って話し合いをせられるとか、あるいは正常の外交ルートを通じてやられるといったくらいのことでは、満足に行なわれるかどうかは私は疑問を持ちます。どうしても、前に申しました経済問題に対すると同様に、この頂上機構のもとに専門の下部組織を常設する必要があると思うのであります。なお、このことは単に理屈の上から申すのではありません。私はこれに類する幾多の資料を調査しました。また、私自身も、短期間ではありますが、かつて第一次大戦後ヴェルサイユ条約の実施に関して、ドイツ国の違反を監督するために、フランスのフォッシュ元帥を主宰者として、アメリカ、イギリス、イタリア、ベルギー、それと日本から、それぞれ専門委員が出まして、この随時協議に類するものを二カ年間続けてやった経験を持っております。申すまでもなく、これらの諸国はドイツを共通の敵として戦ったのでありますが、その立場はそれぞれであります。みな違います。問題の起こることに意見が反しましたが、この随時協議によりまして、先ほど私の申しましたような意思の疎通が常にできておりましたために、私の見るところでは、その結果として、ドイツに要求されたことはおおむね妥当であったと存じております。浅薄な私の経験まで申し上げまして、はなはだ失礼でありますが、これに対しまする政府のはっきりした御意見を承知いたしたいと思います。
藤
藤山愛一郎#26
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の条約は、日米双方が対等の立場に立って、そうして運営していくという趣旨から申しましても、条約の実施にあたってすべてを協議——両国の間の協議で円滑に進行させていこうということは申すまでもないわけでございます。従って、条約第四条に掲げておりますように随時に協議し、また必要な場合には要諸によりまして会議を開くということを規定しておるわけで、その規定は条約全体に関係いたしておるわけでありまして、この協議をいたします機関として、付属の交換公文で日米安全保障協議会というものを設けることにいたしました。そうして日本側から外務大臣と防衛庁長官、アメリカ側から太平洋軍司令官とアメリカの大使ということで、一応基本になります形を作ったわけでございます。そうしてこの機関を活用していく。しかし、今、下村委員のお話のございましたように、特に自衛隊とアメリカ軍との間のいろいろな協議もございます。その他諸般の問題を条約実施の上で扱って参らなければならぬのでありますから、これらをただいま交換公文にきめました委員会の中に——中にと申しますか、下部あるいはそれに付設したいろいろな委員会ができまして、そうして運営されることは必要なことだと思っております。そういうことにつきましても、今後この委員会等で話し合いをして十分適切な方法をとっていきたいと考えておりますので、一応交換公文等には、ただいま申したような最高の機関を定めただけにいたしておるのでございます。今後そういう点につきまして十分両者で話し合いの上で、実際に適応するように運営して参りたい、こう考えております。
この発言だけを見る →赤
赤城宗徳#27
○国務大臣(赤城宗徳君) 全く私どもといたしましてもお説の通りに考えております。第四条によって、平常時におきましても、常に作戦その他につきまして緊密なる随時協議をしていくことが大事だと思います。そういう随時協議をしていくことによって、御指摘のような事前協議の配置の重要なる変更につきましても、あるいは装備の重要なる変更につきましても、特に事前協議という切迫した形をとらないでも、随時協議において解決できる問題が相当あると思います。戦闘作戦行動に日本の基地を使う場合等につきましても、随時協議をしておけば、非常にこれは事前協議にもためになると考えます。そういうことから考えまして、安全保障協議委員会ができることになっておりますけれども、その下部といいますか、その中にやはり専門的な防衛の立場からそういう場を作って、常々検討をし、連絡を緊密にしておくということは、私は必要であるというふうに考えます。
ただ、その機構、構成等につきましては、まだできておりませんで、検討いたしておりますが、発効いたしましたならば、そういう方向でいくのが適当であろう、こういうふうに考えております。
この発言だけを見る →ただ、その機構、構成等につきましては、まだできておりませんで、検討いたしておりますが、発効いたしましたならば、そういう方向でいくのが適当であろう、こういうふうに考えております。
下
下村定#28
○下村定君 了承いたしました。
まだ少し割当の時間がありますので、防衛庁長官に一言お伺い申し上げたいと存じます。それは、戦後におきますわが国民感情の憂うべき面の一つといたしまして、戦争の惨害にこりました余り、大衆の中に、また一部知識階級の中に、国の安全保障に必要な方策あるいは防衛上必要とする安全措置等につきまして、あたかもそれが戦争を誘致するかのような錯覚のもとに、ことごとに絶対反対を唱え、あるいは協力を拓否するものが少なくありません。また、核兵器の残虐性をおそるる結果でありましょうが、新しい兵器といえば、危険性のないものまでも一律にこれを排撃する例が乏しくありません。かくのごときことは、現在世界各国のいずれにも見られない変態的な状態であると私は思います。このような状態が続きます限り、自衛隊そのものにいかなる新鋭な兵器を与えましても、その効力を発揮することはおぼつかないと思うのであります。これにつきまして、国民の国防意識を涵養するという必要を痛感するのでありますが、これは政府の全般のお仕事と存じますけれども、防衛の主務官庁であります長官の御意見、並びにこれに関して何か御腹案がありましたらば、拝聴をいたしたいと存じます。
この発言だけを見る →まだ少し割当の時間がありますので、防衛庁長官に一言お伺い申し上げたいと存じます。それは、戦後におきますわが国民感情の憂うべき面の一つといたしまして、戦争の惨害にこりました余り、大衆の中に、また一部知識階級の中に、国の安全保障に必要な方策あるいは防衛上必要とする安全措置等につきまして、あたかもそれが戦争を誘致するかのような錯覚のもとに、ことごとに絶対反対を唱え、あるいは協力を拓否するものが少なくありません。また、核兵器の残虐性をおそるる結果でありましょうが、新しい兵器といえば、危険性のないものまでも一律にこれを排撃する例が乏しくありません。かくのごときことは、現在世界各国のいずれにも見られない変態的な状態であると私は思います。このような状態が続きます限り、自衛隊そのものにいかなる新鋭な兵器を与えましても、その効力を発揮することはおぼつかないと思うのであります。これにつきまして、国民の国防意識を涵養するという必要を痛感するのでありますが、これは政府の全般のお仕事と存じますけれども、防衛の主務官庁であります長官の御意見、並びにこれに関して何か御腹案がありましたらば、拝聴をいたしたいと存じます。
赤
赤城宗徳#29
○国務大臣(赤城宗徳君) 何といたしましても、国を守るという気持を国民全体が持つようなことになりませんければ、自衛隊のみによってこれを全うするというわけには参らぬことは申し上げるまでもありません。そういう立場から私ども考えておりますが、今のお話のように、第二次大戦の結果、あるいは核による惨害等から考えまして、何か自衛隊あるいは日本の国防というものが、戦争をあえてしていくような、第二次大戦以前に一部にあった考えのよらな考えでやっておるんじゃないかという誤解といいますか、あるいはまた純真にそういうふうに考えている人もあるかもしれませんけれども、そういう情勢があることは、私どももまことに残念でございます。私どもは、何といたしましても、みずからがみずからを守るという体制ができなくて、それがなくて、国際的な連係とか、国際的な信用というものはあり得ないと思います。そういう点から考えまして、私どもも極力、日本の国は日本で守るんだという自主的な、独立的な気分を持ってもらいたいと、せっかく努力いたしておるわけであります。そういう点につきまして、私どもといたしましても、この防衛庁に勤務しておった者でやめた人の組織とか、あるいは父兄の組織とか、あるいは一般の教育関係等を通じまして、そういうしっかりした気持を持つような努力をいたしておる次第であります。
この発言だけを見る →