岸信介の発言 (本会議)
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○国務大臣(岸信介君) 第一は、農政に対する基本的方策についての御質問でありました。御指摘がありましたように、日本のこの農業に対する政策というものについては、基本的に考えなければならぬ事態にきておると思います。過去における各産業別の成長率を見ましても、また産業別の所得の状態を見ましても、また日本の農業が非常な零細企業である点から考えましても、この農政に対する基本的な方策は、これは抜本的に考えるべき時期にきておると思います。従って、すでに御承知のように、農林漁業基本問題調査会が昨年の七月以来設けられておりまして、農業基本法を初め幾多の基本的な問題について検討をいたしておるわけであります。ただ、私は何と考えてみても、目標は、農林水産業に従事する人々の所得をいかにして増大し、その生活を安定し向上せしめるか、ということに主眼を置いて各種の政策を考えなければならぬと思います。従って、そのためには、いわゆる企業の体質改善の問題や生産性向上の問題であるとか、あるいは経営の合理化の問題であるとか、あるいは流通機構においての改善であり、価格の問題であるという各種の問題について、農家の所得を増大してその生活を安定し向上せしめるように、各種の政策を基本的に検討して強力に進めていく必要があると、かように考えております。所得倍増計画におきまして、われわれの特に注意しなければならぬことは、全体として所得が伸びましても、その内部的な構成において、あるいは地方的な格差であるとか、あるいは産業別の格差であるとか、あるいは企業経営の形態の間における格差というものが、どういうふうに平均化され、なるべくこれの格差を縮めていくというふうにして、国民全体に所得が増大するような方策を立てることが、この所得倍増計画において最も留意しなければならぬ問題である。その場合において、いわゆる農業というものの所得が、先ほど申し上げておるように、他の産業に比して少ないというこの格差を上げていくように諸政策を考えていかなければならぬと、かように思っております。
自由化の農業に及ぼす問題に関しましては、御指摘のように、自由化の問題が弱いところの産業に対していろいろな影響を及ぼすことは、われわれも十分考えて、農業あるいは中小企業であるとか、あるいはその他の弱小企業に対して、急激な悪影響を及ぼすということに対しては、十分な準備をして、そうして自由化というものを実現するという考えのもとに、すでに閣僚会議も設けております。これを民間の人も入れた審議会を作ったらどうかという御提案でありますが、私は、関係各大臣が協議をいたしまして、そうして各大臣の所管の産業につきましては、所管別に各大臣がそれぞれ民間の意見も聞き、そうしてその各産業に適するような準備をしていくことが、むしろ適当であるという考えを持っております。この自由化の問題に関して、何か外国からいろいろな要望があり、あるいはガットの問題をおあげになりましたが、言うまでもなくガットは、できるだけ貿易を増大する意味において、これを妨げているような障害を除くことを国際的に協議するところであります。為替の自由化というものは、世界の貿易を拡大し、そうして各国がそれによって繁栄していく面からいえば、自由化の方向に進めるべきであるというのが今日の一般の国際の風潮であります。別にこの問題を日本がやるについて、外国からいろいろな要望があり、その要望によってこれをやるという意味ではございません。治山治水事業について、これの重要性及び将来においてこの計画を強く変更せずにあくまでも推進する考えを持っておるかという御質問であります。私どもは、これはあくまでも基本的な里要事項として、今回の三十五年度の了算に取り上げたのみならず、われわれが立てておる十カ年計画の線に沿う、強力に推進していくつもりであります。これがために公債を発行する意思かあるかというようなお話でありますが、われわれは、一方において日本経済の拡大を、安定した成長を考えており、またそれを進めるところの方策をこっておりまして、これの治山治水の仕事は将来にあたっても最重点の仕事こして継続的にやる意思は持っておりますが、それがために特に公債を発行しなければならぬ必要というようなここは、今日においては認めておりません。(拍手)
〔副議長退席、議長着席〕
〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕