加藤武徳の発言 (本会議)

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○加藤武徳君 ただいま議題となりました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案外四件につきまして、社会労働委員会における審議の経過並びに結果を報告いたします。
 まず、社会保険関係の四法案について申し上げます。
 この四法案は、それぞれの保険について、保険料率及び国庫負担を調整して、保険財政の均衡をはかるとともに、給付内容の改善等を行なおうとするものであります。
 失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案の要旨は、第一に、一般失業保険の料率千分の十六を千分の十四に引き下げること。第二に、保険給付に対する国庫負担の割合三分の一を四分の一に改めるとともに、一般失業保険と日雇失業保険の各別に保険収支を計算して、毎会計年度の収入が支出に不足するときは、保険給付に要した費用の三分の一相当額まで国庫が不足額を補うこと。第三に、失業保険金受給資格者の職業訓練を受けることを容易にするため、失業保険の支給期間満了後も、訓練の終わる日まで失業保険金を延長給付することができること。第四に、失業者の多い地域における求職者の就職を促進するため、労働大臣が広域職業紹介活動を命じ得ることとし、他の地域での職業のあっせんを適当と認める受給資格者に対しては、失業保険金を延長給付し得ることとし、この場合の延長給付に要する経費については、国庫が三分の一を負担すること。第五に、失業保険金受給資格者の再就職を促進するため、所定給付日数の二分の一以上を残して再就職した者に対し、保険金の三十日または五十日分相当額の就職支度金を支給すること。第六に、日雇失業保険金の受給要件の待期日数を一日短縮し、通算五日、継続三日とすること。第七に、保険料率、国庫負担の割合並びにその額の算定方法については、昭和三十四年度以降三年間の収支実績によって検討を加え、昭和三十八年三月三十一日までに所要の改正手続をとることなどであります。
 船員保険法の一部を改正する法律案の要旨は、第一に、老齢年金額及び職務外死亡の場合の遺族年金額を増加すること。第二に、修正積立方式による長期給付部門について、五年ごとの再計算を本年実施した結果によって、その保険料率を引き上げ、疾病給付部門、失業保険部門の保険料率を軽減すること。第三に、失業保険部門の給付に対する国庫負担の割合三分の一を四分の一に改めるとともに、毎会計年度における同部門の収入が支出に不足するときは、失業保険金支給費用の三分の一相当額まで国庫が不足額を補うことなどであります。
 厚生年金保険法の一部を改正する法律案の要旨は、第一に、標準報酬の月額の最高一万八千円を最高三万六千円に改め、その等級も改めること。第二に、保険給付の基本年金額は、定額部分二万四千円と報酬比例部分の合計額でありますが、報酬比例部分の計算において、被保険者期間の月数を乗ずる平均報酬月額の千分の五を千分の六に改め、現に老齢年金等の給付を受けている者についても同様とすること。第三に、本保険財政は、修正積立方式をとり、五年ごとに行なうべき再計算を、昭和三十四年に実施した結果によって保険料率を改めることなどであります。日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の要旨は、第一に、給付内容の改善をはかったこと。第二に、国庫負担の実質的増額をはかったことなどであります。なお、給付内容の改善に関する部分は、衆議院において修正追加されたものであります。
 以上の四法案につき、委員会におきましては、法案提出のいきさつ、社会保障制度の総合調整、社会保険の給付内容と保険財政、従業員五人未満の事業所べの社会保険の適用拡大、ILOの社会保障の最低基準に関する条約と国内制度、失業保険積立金の運用及び還元融資、日雇労働者健康保険における擬制組合、厚生年金保険における積立金の自主運用及び還元融資並びに保険財政の見通し、各種公的年金及び国民年金における相互間の通算調整等の問題について、終始きわめて熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知いただきたいと存じます。
 かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して藤田委員より、また民主社会党を代表して田畑委員より、それぞれ、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案に反対し、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に賛成する旨の意見が述べられ、また、自由民主党を代表して吉武委員より四法案に賛成する旨の意見が述べられました。
 かくて討論を終局し、四法案について順次採決に入りましたところ、失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案並びに船員保険法の一部を改正する法律案は、いずれも多数をもって原案の通り可決すべきものと決定し、厚生年金保険法の一部を改正する法律案及び日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案は、いずれも全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。続いて、自由民主党の吉武委員より、四法案に対して各派共同提案でそれぞれ次の附帯決議を付すべきであるとの動議が提出され、提案理由の説明がありました。これを朗読いたします。
   失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  失業保険は、被保険者が失業した場合にその生活の安定を図ることを目的とするものであることにかんがみ、政府は、一般失業保険を五人未満の事業所に拡大するとともに、長期失業者の救済と低額保険給付及び日雇労働失業保険の失業保険金日額等について、すみやかに検討の上、その改善について成案を得るよう努力すべきである。
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   船員保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は船員保険については左の事項に努力すべきである。
   一、船員保険の被保険者の標準報酬は最高三万六千円に据置かれているが、賃金の実態に即して引上げるようすみやかに措置すること。
   二、船員勤務の特殊な実態にかんがみ、療法給付における一部負担制度についてすみやかに検討すること。
   三、積立金の自主管理をはかり、船員の厚生福祉の向上のために運用される措置をとること。厚生年金保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、厚生年金保険に関し特に次の諸施策の実現に努力すべきである。
   一、給付内容の改善に努めると共に、他の年金制度の通算調整を図ること。
   二、適用範囲を従業員五人未満の事業所べ拡大すること。
   三、積立金の管理運用については、特に拠出者の意向を反映しうるよう自主管理を図るとともに、還元融資の枠を拡大すること。
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   日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  日雇労働者健康保険法は、今次の改正により給付内容について若干の改善が行われたが、なお不十分な点が多いので、皆保険の実を上げうる如く、政府は旦属労働者健康保険制度について根本的な検討を加え、一般健康保険との均衡を考慮し早急にその改善を図るべきである。
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 次いで、これらの動議について採決いたしましたところ、いずれも全会一致をもって附帯決議を付することと決定した次第であります。
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 次に、優生保護法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
 本改正案の要旨は、第一に、都道府県優生保護審査会の決定に基づく優生手術に関する費用につきまして、現行法では直接に国庫が支出することになっているのを改め、この費用を都道府県がまず支弁することとし、国庫はその費用を間接に負担することといたしました。第二に、都道府県知事の指定を受けて受胎調節の実地指導を行なう者が、現行法では、受胎調節のための医薬品を販売することができる期間が本年七月三十一日で切れることとなっておりますので、この期間をさらに五カ年間延長することといたしました。
 本案につきましては、発議者参議院議長谷口弥三郎君から提案理由の説明を聞いた後、最近における優生手術の件数及びこれに要する費用の推移について厚生省当局の説明を聞き、発議者及び政府委員に対し、人工妊娠中絶に対する見解等について質疑が行なわれたのであります。
 かくて質疑、討論を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
 以上報告いたします。(拍手)

発言情報

speech_id: 103415254X01419600330_010

発言者: 加藤武徳

speaker_id: 10286

日付: 1960-03-30

院: 参議院

会議名: 本会議