村山道雄の発言 (予算委員会)

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○村山道雄君 第二班は、平林剛先生と私との二委員をもって組織されました。一月十五日から六日間の日程によりまして、高知、徳島両県の、一般経済事情、地方財政の現況並びに公共事業の進捗状況などにつきまして調査をいたして参りました。この間、高知県庁、徳島県庁、四国財務局、高知財務部及び徳島財務部、四国地方建設局、渡川工事事務所、日本専売公社徳島地方局などから、資料に基づきまして詳細な説明を受け、公共事業の進捗状況につきましては、直接現地におもむきまして調査をいたしました。調査の結果につきましては、別紙報告書にとりまとめてございますので、以下概括的に要点だけを申し上げることにとどめたいと存じます。
 まず最初に、一般経済事情から申し上げます。高知、徳島両県における経済は、全国的な景気の上昇と、米の豊作を反映いたしまして、順調な発展を続けております。昭和三十四年産米は、高知、徳島両県ともに記録的な収穫をあげました。政府買い上げも順調に進んでおります。果樹、野菜なども需要の増大に伴いまして活況を見せております。また木材も、伊勢湾台風後の市況の高騰から堅調となっております。また鉱工業の生産につきましても、生産の上昇が著しく、月ごとに生産指数を更新いたしております。しかしながら、反面におきまして、一般的な景気上昇の恩恵に浴しておらない産業もございます。消費構造の変化に伴いまして、大規模生産と競合関係が生じて参りました地場産業、及び慢性的不漁が続いておりまする水産業は、地域経済として見のがすことのできない暗い面が現われておるのでございます。しかし、このような好況の波は、商店街や百貨店にも波及いたしまして、いずれも好調な売り上げを示しておるのであります。
 一方、物価は、昭和三十四年十二月におきまして、前年同月に比べまして二%程度の上昇を見せ、ジリ高傾向を示しております。銀行預金などの伸びも好調でありまして、手形交換も枚数、金額ともに大きく増加をいたし、取引量の拡大と経済の成長性を物語っておるのであります。また、金融機関の貸し出しもきわめて堅実な増加を示しまして、貸出金利につきましては、昨年末の公定歩合の引き上げに伴って上昇気運が見られましたが、地場銀行では、積極的には引き上げは行なわない意向でありまして、中小金融機関も、高金利是正の気運に進んでおるときでもあり、引き上げの意図は見られなかったのであります。
 次に、県財政について申し上げます。高知、徳島両県が経済的に後進性を脱し得ない根本的な原因は、農林水産業など、第一次産業の構成比が非常に高く、商工業などの第二次、第三次産業の構成比がきわめて低いという産業構造によると思われるのであります。すなわち、昭和三十一年度におきまして、第一次産業の所得の総生産所得に対する割合は、全国平均が一九%であるのに対しまして、高知県が三五・五%、徳島県が二八・二%を占めておる実情であります。また、昭和三十一年度における一人当たりの県民所得総額は、高知県が六万四千五百七十四円、徳島県が六万一千九百四十九円でありまして、全国国民所得一人当たり平均の八万一千九百九十九円に対しまして、高知県が七八・七%、徳島県が七五・五%という状況であります。このように両県はともに典型的な未開発後進県でありまして、その財政は、これを反映いたしまして、貧弱な財政収入のもとにおきまして、絶えず増大していく財政需要をまかなうべく苦闘を続けていかなければならない状態にあるのであります。昭和三十三年度の普通会計の決算を見ましても、よくその特徴が現われておるのであります。高知県は、昭和三十三年度決算におきましても、県独自の施策によりまして二億八千四百万円の実質的黒字額を計上いたしまして健全財政を堅持して参っておるのでありまするが、これに反しまして徳島県は、全国でも屈指の赤字県であり、財政再建団体でございまして、昭和三十年度には実質的な赤字が十二億二千五百万円の多額に上っていたのでありまするが、徹底した赤字建て直し政策によりまして、昭和三十三年度におきましては、実質的な赤字額を三億三千百万円にとどめることができまして、財政再建もようやく明るい曙光が見えて参った状態でございます。
 次に、歳入の構成を見ますと、高知、徳島両県とも、自主財源でありまする県税収入はきわめて少なく、わずか一〇%程度でありまして、収入の大部分を地方交付税など、国からの援助に依存している現状であります。
 昭和三十四年度の両県の基準財政需要額に対する基準財政収入額の割合を調べますと、高知県は二二・二%、徳島県は二一・八%でありまして、都道府県平均の五四・九%に比較いたしまして、はなはだしく低位にあり、未開発後進性を端的に現わしておるのであります。
 次に、歳出の構成を見ますと、人件費は両県ともに三九%程度でありまして、給与水準が全国水準よりも低い関係などで、全国平均の四四・八%よりも低率となっております。
 投資的な経費は、両県ともに三二%程度でありまして、全国平均の二九・一%を上回っているのでありまして、行政水準の引き上げに対する熱意のほどが看取されるのであります。
 公債費は、高知県が八・六%、徳島県が一二%でありまして、ともに全国平均の六%をはるかに上回っております。高知県の場合は、県税収入が十一億九百万円のところ、公債費の支出が九億円でありまするから、県税収入はほとんど公債費に食われているような状況であります。徳島県の場合も県税収入に非常な力を入れておるのでありまするが、しかし金額が十億一千五百万円でございます。ところが公債費の支出が十二億五千七百万でございまするので、県税収入だけでは公債貨の支出をまかなうことができないような状況でありまして、両県ともに財政運営上の困難さが如実に現われておるのでございます。県当局といたしましても、自主財源の増大をはかりますために、電源の開発、道路港湾施設整備、工場誘致奨励条例の制定など、受け入れ体制の整備をはかりまして、工場誘致に非常な力を入れておるのでございます。しかし、今後、給与の改訂、国の長期計画による公共事業への協力、県の総合開発の促進、行政全般の近代化充実など、財政需要が大きく、県税収入が財政規模の一割程度の財政構成のもとでは、その財源を捻出することは、現行制度を建前とする限り、とうてい不可能であります。従いまして、県当局も、地方交付税につきましては特別態容補正の強化をはかるか、または、面積を測定単位とする需要の算定において財政力の補正を用いるなど、後進県に対する財源措置の強化を強く要望していたのであります。しかしながら究極におきましては、現行制度の根本的な改善合理化に期待せざるを得ないのでありまして、地方団体といたしましては安定性、普遍性のある制度が一日も早く実現することを望んでいるのでございます。
 次に、国庫補助金について申し上げます。国庫補助金につきましては、その効果の確認しがたい補助金、零細化している補助金、補助率が不均衡となっている補助金など、整理合理化を行なわなければならないものが多く見られるのであります。県及び市町村も未開発後進県に対しては国庫補助率を引き上げ、零細補助金など、補助金全般について整理合理化を行ない、補助単価、補助基本額については実態に即するように改訂をいたし、もって地方負担額を軽減をするように強く要望しておりまするので、補助金行政につきましては全面的に再検討を行なうべき時期ではないかと思われるのであります。
 次に、公共事業の進捗状況について申し上げます。徳島県が施工いたしておりまする今津坂野海岸助成工事は、昭和二十九年度着工以来、工事は順調に進捗いたし、昭和三十五年度には八千五百五十六メートルの堤防護岸が完成する見込みであります。この堤防護岸は海岸浸蝕を防止するだけではなく、徳島県の穀倉地帯を守る生命線でありまして、完成の暁には経済上、民生安定上、その効果は非常に大きなものがございます。
 これに反しまして、建設省四国地方建設局渡川工費事務所が施行いたしておりまする渡川改修工事は、昭和四年度着工以来三十年になりますが、工事は遅々として進まず、昭和三十五年度以降なお十三億八百万円の工事費を必要といたしまするにもかかわりませず、年間六千万円程度の予算の配賦を受けているような現状から見まして、完成までには二十年余りの年月を要することとなりまして、せっかくの改修工事も効果が失われるおそれがあるのであります。地元中村市からも、渡川水系治水工事の早期完成促進につきまして強い要望がございまして、重点的な予算配賦が望まれておるのでございます。なお、本川につきましては、第八回の電源開発調整審議会におきまして電源開発株式会社の調査河川に指定されました。白来会社において開発計画を検討いたし、昭和三十四年の十一月に、最大出力十八万キロワット、総事業費三百二十五億円の開発計画案が作成され、通商産業省及び経済企画庁に報告されたのでございます。ところでこの計画によりますると、現在工事中の国鉄窪江線は、開発計画の湛水区域内に入るごととなりまして、つけかえの問題などで国鉄との調整が必要となっております。そのほか渡川水系治水計画との調整など、工事着工までには解決すべき問題が山積をいたしておるのであります。
 最後に、専売事業について申し上げます。徳島地方局における製造たばこの売り渡し高は三十七億七千二百万円でありまして、全国的に見ますと一・五%に過ぎないのでありまするが、それでも地方公共団体に納付しておりまするたばこ消費税は七億六千八百万円でありまして、財源難に悩んでおりまする地方財政に対して大きな貢献をなしております。現在までのたばこ販売状況を見ますと、人口の増加率の低調と喫煙傾向が上級品へ移行したことなどによりまして、数量面は横ばい状態を続けておりますが、代金面では上昇の一途をたどっております。従いまして、きざみ及び両切り下級品は漸減をいたし、これにかわりましてピースの伸長は目ざましく、十本当たりの単価も昭和三十年度には十七円六十八銭でありましたのが、昭和三十三年度には二十一円二十七銭と著しく上昇を示しておるのであります。
 以上をもちまして私の報告は終わらせていただきまするが、調査結果の詳細につきましては、報告書に取りまとめてございまするので、先例によりまして報告書を会議録に掲載していただきまするように、委員長にお願い申し上げる次第でございます。

発言情報

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発言者: 村山道雄

speaker_id: 17986

日付: 1960-02-09

院: 参議院

会議名: 予算委員会