曾禰益の発言 (予算委員会)
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○曾祢益君 十一月十七日の当委員会における質問の際にも、私はこの点を質問したのでありまするが、中ソ両国は、日本が日米安全保障条約を持っており、そのもとにおいて日本にアメリカ軍が駐留しておるというこの事態については、いろいろの経緯はありましたが、簡単に申し上げるならば、たとえば日ソ共同宣言において、戦争状態を終結し、国交を回復するという段階においても、これは一応現状として認める、同時にまあ日本側も中ソ友好同盟、相互援助条約があるこの事態も一応認め合った上で、現状の上に立った国交回復という措置をとったわけである。また、中国側も、中共のことでありまするが、これまた安保条約を直ちに、即時に無条件で廃棄しろというような非現実的な主張はしておらない。従って問題は、この安保条約がある体制のもとに、しかし、お互いに、アメリカ陣営に加わった日本と中ソとの間の国交回復なり調整の道を講じていこうという方向でやってきたのであって、そこへ持っていって安保の改定をやるということは、今岸総理から言われたようないろいろな弁明はあるでしょうが、私はそれは現在よりも中ソが安心する内容とは必ずしも思えません。その内容の問題は別ですが、大きな方向、体制として、やはり彼らとしては、なるべく日本とアメリカとの軍事的関係が薄まってくることを希望していることは事実でございます。そういう面から見ると、軍事体制を強化するということについては、彼らがこれを好まないことも事実である。そういう情勢を承知の上で、特にこの際彼らが絶対に反対するような方向に安保改定を強行するのが、はたして賢明であるかどうか、そこが私は問題の中心であると思う。もちろん、民主社会党としては、たとえばソ連があの日ソ共同宣言にはっきりと歯舞、色丹の返還の唯一無二の条件は平和条約の締結である、その裏には国後択捉を捨てろということはあるでしょう、それだけの条件で、言いかえるならば、日米関係条約があること、またアメリカ軍が日本に駐留しているということ自体は問題にせぬという建前にかかわらず、今回、いかに岸内閣がわれわれからいっても望まない安保条約に調印したというその事態をとらえて、その理由で今度は、当時もう承知済みであった米軍の日本駐留そのものをけしからぬ、この米軍が日本から撤退しなければ歯舞、色丹は返さないという新たな条件を出したことは、全く不合理な大田主義であって、われわれはこのソ連の態度に対して強く抗議するのは当然であります。問題は中ソがああ言ったからこうだというよろめき外交を言っているのじゃない。初めから安保改定を、この際中ソとの関係がどうなっても、ただ口で言う弁明だけで、安保改定をあの内容でこの際強行するのが、日本の外交として賢明であるか。私はこれは決して賢明であるとは言えないと思う。特に一部の人が、少し先走った心配であるかもしれませんが、ソ連の出方はなかなかこれは端倪すべからざる、想像を絶するものがあると思うのです。言ってくることが非常にごつい。そういう意味で、ただ単に歯舞、色丹の返還について今や岸外交は、日本を非常な苦境に追い込んだ。かてて加えて、万が一にもソ連が、一体日ソ共同宣言まで、条件が変わったからこれは御破算だというような態度に出たとするならば、これはとんでもないことではないか。せっかくサンフランシスコ平和条約で独立を回復し、さらに平和が残っているソ連との間にも一応・国交を回復した、戦争終結宣言をやって、その積み上げてやってきた日本の外交に、もしそういうことがあったら大へんだということを心配する人がある。しかも、これは相当尊敬すべき傾聴すべき意見を持っている人の意見であります。そういう点を考えて、一体岸総理は、ただ安保の内容から考えて、核武装がどうの、極東に対する出動がどうの……、これはあとで論じますが、そういう言い逃れで日本とソ連、中国との関係が悪化してもかまわない、こういうお考えであるかどうかをはっきりお聞かせ願いたい。