荒木正三郎の発言 (予算委員会)

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○荒木正三郎君 重ねて総理の釈明でございますが、やはり私はこれを了解するというわけには参らないのであります。と申しますのは、この日華条約が結ばれるときに、伊達委員からこういう質問がなされております。「台湾を中華民国のものと承認したのであるか、」こういう質問に対しまして、岡崎国務大臣は、日本としては「中国に属するというふうに考えております。」こういう答弁をいたしているのであります。さらにこの日華条約について、中国という言葉と中華民国政府という言葉とが出て参ります。その中で岡崎国務大臣は、「中国全般に関する事項に触れた場合には中国」いわゆる台湾とか、中国大陸とか、そういう区別をして考えないで、これをまとめた全般として考えた場合は中国という言葉を使っている。「それから全般でなくして現在中華民国政府が支配している地域に関する事項については、中華民国という特に区別した名前を付けてこの条約の中で表現しておるというふうに御了承願いたい。」と言っているわけであります。すなわち岡崎外務大臣は、中国という場合は、これは台湾とか大陸とかいう区別なしに、まとめた中国全体をさして総称する言葉である。そうして台湾及び澎湖島に関して特別な区域に限定した場合に中華民国、こういう使い分けをしていることを了承してもらいたいと言っているわけであります。そういう立場に立って、台湾の帰属問題について、これが中華民国に属するのか、こういう質問に対して、「中国に属する」というふうに、帰属すると考えている。こういう答弁をいたしているのであります。そうすると、これは岸総理が言われるように、台湾が中華民国政府に帰属する、こういう見解をとっておらない。これは中国に帰属するものだ。こういう見解をとっていると思われるのであります。そこに今の御答弁と相当に食い違いがあるということが第一点。それから第二点として、この点は中国を代表する政府として中華民国政府というものを認めた。こういうお話ですが、日華条約についてはその点はずいぶん論議されております。結局吉田総理と曾祢益君の質疑において、この中華民国が中国全体を代表する政権というふうに認めていないということが明瞭であります。私はここで速記録を読む煩を避けたいと思うのですが、これは明瞭にするために申し上げたいと思うんですが、曾祢委員が質問の要旨は、「日華条約によって日本政府は、この中華民国政府を全面的な中国の主人として承認したものではない、こういうふうに考えるが、その点は総理はどうか。イエス・オア・ノーではっきり答えてもらいたい。」こういう質問に対して吉田総理は、「これは条約にもはっきり書いてありますが、現に中華民国政府の支配しておる土地の上に行われる事実を認めて、その支配せられておる領土を持つ中華民間との間に条約関係に入る。将来は将来であります。併し目的は終りに一中国全体との条約関係に入ることを希望して止まないのであります。」さらに曾祢委員が「ずばりと言えば、全面的な承認ではないとこういうことでございましょう。」こういう質問に対して、当時の吉田総理は「そういうことです。」こういうふうに答えている。ですから、日華条約が結ばれた当時の政府の責任的な解釈からいえば、中華民国を中国を代表する正当な政府としてこの条約が結ばれていないということは明白であります。そういう点で、今御答弁になりました総理の考えというものが非常に変わってきている。こういうふうに思いますので、私としてはなお了承できないと申しているのであります。

発言情報

speech_id: 103415261X01019600308_006

発言者: 荒木正三郎

speaker_id: 23355

日付: 1960-03-08

院: 参議院

会議名: 予算委員会