愛知揆一の発言 (予算委員会)
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○愛知委員 そこで、所得の格差の是正の問題に入りたいと思うのでありますが、私はかねがね池田総理がお話になっている通りだと思うのでありまして、経済というものはできるだけ伸ばすことによっていろいろの所得の不均衡が是正されるものである、こういう確信に立ちたいと私は思うのであります。すなわち、経済が拡大すれば、弱い中小企業もだんだんに中堅的な企業に成長する機会が多くなる、農林漁業に過剰な人口がありとすれば、その過剰な人口も他の産業に移動することができて、経営が楽になるという考えができると思います。また経済が発展すれば財政が充実する、その財政や予算を通して農林漁業や中小企業の振興策を拡充することができるし、あるいはまた後進地域のいわゆる東北とか北陸とか南九州とかいうような地方の開発もできる、あるいはまた社会保障の充実もこれによって伸ばすことができる、経済成長のいわば理屈というものはそういうものであるに違いない、こういう私も確信に立つのであります。従いまして、社会党がよく言われるように、経済の成長発展があればそれは不可避的に所得の格差が拡大するというような議論は誤りである、私はこういうふうに考えるのであります。しかしこれはただいま申しましたように、経済成長論のいわば理屈であり、理論の構成、組み立てがそうであると私は言うのでありまして、しからばこの所得の格差というものについて具体的に先ほども前提として申し上げましたように、一般の国民大衆がいろいろの仕事に従事しておる、あるいはいろいろの環境におる、あるいはいろいろの地方に居住しておる、その国民の一人一人の立場に立ってみて、なるほどこうなれば経済成長になってわれわれの所得も格差なく伸びていくのだ、こういうふうにみんなが理解を強め、そしてそこから自信を持って前進ができるというようにしていくのが政治であると思いまするので、そこでこの格差の解消ということについてこれからどういうふうなやり方をやっていくかということが私どもの当面の問題である、かように考えるわけであります。
そこで、最も問題になりますのは、先ほども申しましたが、まず第一が農業とその他の産業との間における所得格差の是正ということを第一に私は取り上げてみたいと思うのであります。申すまでもなく、農業は土地によって制約されておりますから、工業生産のように増産するということはその性質上不可能な問題であると思いまするし、また生産性の向上にも限度があると思うのであります。従って農業就業者の一人当たりの所得を他産業並みに向上させるのには、可能な限り、従来もやっておりますような、たとえば土地の改良とか耕地の拡張であるとか、あるいはまた災害の予防であるとか、そういうことをはかることはもちろんでありまするが、それとともに従来農業に就業しておったような人たちであっても、他に適当なよりよき働き場所があります場合には、そこに移動して働けるようにしてやるということが必要なことでもありますし、またその前に現在の農家につきましても、それぞれの農家が安心して働けるようないろいろの施策を同時に従来にも増していろいろと工夫をこらしていくということが、私は必要であると思うのであります。同時にまたもちろんのことでありますが、一農家当たりの経営規模を拡大する、企業としてこれが成り立っていくようにするということも、もちろんこれは考えていかなければならない問題であると思うのであります。
ところでこういったことをいろいろと考えてみまする場合に、何としても農村地帯にできるだけ工場を誘致する、またそれを可能にするような施策というものが絶対に必要なことは、言うまでもないところでございます。これは問題が非常に多岐にわたるわけでございますが、今申しましたいろいろの問題の中で——これも経済審議会の答申を引っぱり出すことは恐縮でありますけれども、このような政策、このような取り上げ方についても実は審議会の答申は非常に不十分である。特に私は具体的な一つの問題を例にあげたいのでありますが、農業に対する行政投資というものが十年間に一兆円というように計算されておるのでございますが、これなどは他の行政投資との比較においても決して妥当なものではない、これは非常に低過ぎる。たとえば同じこの案の中で他の例を見ますると、道路投資については四兆九千億円、港湾に対しましては五千三百億円というような一、二の例を取り上げてみても、そのような数字があがっておるのに対しまして、これは非常に過小ではないか。そうすると、こういうようなところが取り上げられて、いろいろと農家に対する不安、あるいは農業政策に対して池田総理初め現内閣の配慮が非常に乏しいのではないかということの一つの具体的な例にこれはよく取り上げられる問題になるわけでございます。これらの点についてまず総理のお考えを総括的にお伺いいたしたいと思います。