予算委員会
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会
会議録情報#0
昭和三十五年十二月十四日(水曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 船田 中君
理事 愛知 揆一君 理事 青木 正君
理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君
理事 保科善四郎君 理事 井手 以誠君
理事 田中織之進君 理事 横路 節雄君
相川 勝六君 赤城 宗徳君
赤澤 正道君 稻葉 修君
臼井 莊一君 小川 半次君
上林山榮吉君 菅野和太郎君
北澤 直吉君 櫻内 義雄君
園田 直君 田中伊三次君
竹山祐太郎君 床次 徳二君
中曽根康弘君 中野 四郎君
羽田武嗣郎君 橋本 龍伍君
早川 崇君 前田 正男君
松浦周太郎君 松野 頼三者
松本 俊一君 三浦 一雄君
山崎 巖君 有馬 輝武君
淡谷 悠藏君 岡 良一君
川俣 清音君 木原津與志君
北山 愛郎君 小松 幹君
河野 密君 楯 兼次郎君
辻原 弘市君 堂森 芳夫君
野原 覺君 受田 新吉君
出席国務大臣
内閣総理大臣 池田 勇人君
法 務 大 臣 植木庚子郎君
外 務 大 臣 小坂善太郎君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
文 部 大 臣 荒木萬壽男君
厚 生 大 臣 古井 喜實君
農 林 大 臣 周東 英雄君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
運 輸 大 臣 木暮武太夫君
郵 政 大 臣 小金 義照君
労 働 大 臣 石田 博英君
建 設 大 臣 中村 梅吉君
自 治 大 臣 安井 謙君
国 務 大 臣 小澤佐重喜君
国 務 大 臣 西村 直己君
国 務 大 臣 迫水 久常君
国 務 大 臣 池田正之輔君
出席政府委員
内閣官房長官 大平 正芳君
法制局長官 林 修三君
総理府総務長官 藤枝 泉介君
外務事務官
(国際連合局
長) 鶴岡 千仭君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
十二月十四日
委員竹山祐太郎君及び島上善五郎君辞任につき、
その補欠として菅野和太郎君及び有馬輝武君が
議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)
昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)
————◇—————
この発言だけを見る →午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 船田 中君
理事 愛知 揆一君 理事 青木 正君
理事 重政 誠之君 理事 野田 卯一君
理事 保科善四郎君 理事 井手 以誠君
理事 田中織之進君 理事 横路 節雄君
相川 勝六君 赤城 宗徳君
赤澤 正道君 稻葉 修君
臼井 莊一君 小川 半次君
上林山榮吉君 菅野和太郎君
北澤 直吉君 櫻内 義雄君
園田 直君 田中伊三次君
竹山祐太郎君 床次 徳二君
中曽根康弘君 中野 四郎君
羽田武嗣郎君 橋本 龍伍君
早川 崇君 前田 正男君
松浦周太郎君 松野 頼三者
松本 俊一君 三浦 一雄君
山崎 巖君 有馬 輝武君
淡谷 悠藏君 岡 良一君
川俣 清音君 木原津與志君
北山 愛郎君 小松 幹君
河野 密君 楯 兼次郎君
辻原 弘市君 堂森 芳夫君
野原 覺君 受田 新吉君
出席国務大臣
内閣総理大臣 池田 勇人君
法 務 大 臣 植木庚子郎君
外 務 大 臣 小坂善太郎君
大 蔵 大 臣 水田三喜男君
文 部 大 臣 荒木萬壽男君
厚 生 大 臣 古井 喜實君
農 林 大 臣 周東 英雄君
通商産業大臣 椎名悦三郎君
運 輸 大 臣 木暮武太夫君
郵 政 大 臣 小金 義照君
労 働 大 臣 石田 博英君
建 設 大 臣 中村 梅吉君
自 治 大 臣 安井 謙君
国 務 大 臣 小澤佐重喜君
国 務 大 臣 西村 直己君
国 務 大 臣 迫水 久常君
国 務 大 臣 池田正之輔君
出席政府委員
内閣官房長官 大平 正芳君
法制局長官 林 修三君
総理府総務長官 藤枝 泉介君
外務事務官
(国際連合局
長) 鶴岡 千仭君
大蔵事務官
(主計局長) 石原 周夫君
委員外の出席者
専 門 員 岡林 清英君
—————————————
十二月十四日
委員竹山祐太郎君及び島上善五郎君辞任につき、
その補欠として菅野和太郎君及び有馬輝武君が
議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)
昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)
————◇—————
船
船田中#1
○船田委員長 これより会議を開きます。
昭和三十五年度一般会計予算補正(第1号)、同じく昭和三十五年度特別会計予算補正(特第1号)、以上両案も一括して議題といたします。
これより質疑に入ります。愛知揆一君。
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これより質疑に入ります。愛知揆一君。
愛
愛知揆一#2
○愛知委員 私は自由民主党を代表いたしまして、当面の重要問題につきまして質疑を行ないたいと存じます。
今回の総選挙におきまして、最大の争点となりましたのは経済政策でございます。この経済政策につきましては、国民も深い関心を持ったと思われるのでありますが、私は、池田内閣が経済成長政策をいわゆる新政策の中心といたしましたのは、国民経済の発展とそれによる国民生活の向上ということがまず第一に民心を安定させ、従ってそれによって国民文化と道義を高めることになる。そうして正しい民主政治を確立し、またそれによって国際信用を高める前提となる。こういう点から、経済成長政策というものが新政策の中心にされたものである、かように理解するわけでございます。また同時にこのことは、現実的な経済問題について野党と真剣な論議を重ねるということが、いわゆる共通の広場を国会に作り上げることになりまして、国会の正常な運営、国政の円滑なる運営ということについても非常にこれは有効なやり方である、私はかように考えて喜びとしておるところでございますが、それだけにこの経済政策の問題については、今後におきましても真剣にかつ具体的に取り組んで、こうした総選挙に臨まれた池田総理としての態度を、十分に伸ばしていっていただきたい。さような意味合いから申しましても、この予算委員会を通じまして、総理の信念とされておりますることをできるだけ具体的にまた親切に、くろうとだけがわかるというようなことではなくて、しろうとの一般大衆にも、ほんとうの総理のお考えというものが十分に理解できるように、言葉を惜しまずに、できるだけ行き届いた御説明をお願いをいたしたい。そうしてこの審議を通じまして、その意図というものが国民大衆の立場において理解ができ、そして協力が求められるようにしていただきたいものである、かように考えるわけでございます。そういう前提で以下若干の問題について質問を申し上げたいと思うわけでございますが、まず今私が申しましたこの前提について総理の御意見をお伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →今回の総選挙におきまして、最大の争点となりましたのは経済政策でございます。この経済政策につきましては、国民も深い関心を持ったと思われるのでありますが、私は、池田内閣が経済成長政策をいわゆる新政策の中心といたしましたのは、国民経済の発展とそれによる国民生活の向上ということがまず第一に民心を安定させ、従ってそれによって国民文化と道義を高めることになる。そうして正しい民主政治を確立し、またそれによって国際信用を高める前提となる。こういう点から、経済成長政策というものが新政策の中心にされたものである、かように理解するわけでございます。また同時にこのことは、現実的な経済問題について野党と真剣な論議を重ねるということが、いわゆる共通の広場を国会に作り上げることになりまして、国会の正常な運営、国政の円滑なる運営ということについても非常にこれは有効なやり方である、私はかように考えて喜びとしておるところでございますが、それだけにこの経済政策の問題については、今後におきましても真剣にかつ具体的に取り組んで、こうした総選挙に臨まれた池田総理としての態度を、十分に伸ばしていっていただきたい。さような意味合いから申しましても、この予算委員会を通じまして、総理の信念とされておりますることをできるだけ具体的にまた親切に、くろうとだけがわかるというようなことではなくて、しろうとの一般大衆にも、ほんとうの総理のお考えというものが十分に理解できるように、言葉を惜しまずに、できるだけ行き届いた御説明をお願いをいたしたい。そうしてこの審議を通じまして、その意図というものが国民大衆の立場において理解ができ、そして協力が求められるようにしていただきたいものである、かように考えるわけでございます。そういう前提で以下若干の問題について質問を申し上げたいと思うわけでございますが、まず今私が申しましたこの前提について総理の御意見をお伺いいたしたいと思います。
池
池田勇人#3
○池田(勇)国務大臣 愛知委員のお言葉の通りに考えております。私はやはり議会として最も重要な問題の一つは、日本の経済、国力をどう持っていくかということが一つの大きい問題でございます。しこうしてこれが真剣に論議されることが、やはり国民の納得を得、経済の発展を促す原動力だと考えておるのであります。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#4
○愛知委員 ところで、今の池田総理のお考えなりあるいは信念なりに対しまして、従来総選挙を通じましていろいろとお話しになりましたことについて、中には理解が足りない点もあるように思われます。また中には悪意の逆宣伝によりまして、一部の国民の中にはいわゆる経済の成長政策に対して相当の疑惑を抱いておる向きもあるということも、これは事実否定ができないことであると思うのでございます。先ほど来申しますように、私は経済成長政策というもので、池田内閣としても、また自由民主党といたしましても最大の公約でありますがゆえに、国民に疑惑を起こさせないように具体的な構想というものをこの際より一そう明らかにいたしたい、かように考えまして、まず第一に新しいこれからの経済の計画の策定について御質問をいたしたいと思うのであります。
御承知のように、去る十一月一日に経済審議会から答申されました国民所得倍増計画がございます。この計画は、前内閣の時代の諮問に応じまして、一年間にわたって各界の権威者を集めて検討立案されたものでありまして、まず第一に新しいこれからの経済の計画の策定についてご質問をいたしたいと思うのであります。
御承知のように、去る十一月一日に経済審議会から答申されました国民所得倍増計画がございます。この計画は、前内閣の時代の諮問に応じまして、一年間にわたって角界の権威者を集めて検討立案されたものでありまして、その内容については大いに傾聴すべきものもあり、また尊敬すべきものであると考えるわけでございます。ところがこれをしさいに通覧いたしますと、今回の総選挙において、池田総理あるいはわが党が国民に訴えました公約としての経済成長政策の構想から見ますと、やや消極的である。あるいはまたもっと率直に申し上げますならば、あまりにも手がた過ぎるという感じがするのであります。これをやや具体的に申しますならば、まず第一に経済の成長率についての問題でございます。昭和三十一年度から三十三年度までの平均を基準にして経済の成長率を取り上げておるわけでありますが、今申しました平均を基準にして経済成長率は七・八%という率をはじき出しておるのでありまして、十年後の目標年次において二十六兆円という国民の総生産は、三十五年度の国民総生産の当初見込み——これは三十三年度の価格で十三兆円となっておりますが、これを基準といたしますと、七・二%の成長率になるのでございます。ところが三十五年度の国民総生産は当初の見込みをすでに相当に上回っておるのでありまして、十四兆円をこすものと見られておるわけでございます。そこでこの実績を基礎として計算いたしますと、七・八%どころではなくて七・二%よりも低い成長率になる。ところが総選挙を通じまして総理の御説明になりましたところ、またわが党が公約いたしましたところは、今後三年間は毎年九%の成長率ということに相なっておりますことは、世間周知の事実でございます。この成長率の勘定の仕方を一つ取り上げてみましても、先ほど申しましたように、われわれの考え方、あるいはこれは池田総理のお考えになった考え方から見ると、あまりにも消極的である、あるいはあまりにも手がた過ぎる、こういう感じがするわけでございますが、まずこの点についていかなるお考えであるか、お確かめ申し上げたいと思います。
この発言だけを見る →御承知のように、去る十一月一日に経済審議会から答申されました国民所得倍増計画がございます。この計画は、前内閣の時代の諮問に応じまして、一年間にわたって各界の権威者を集めて検討立案されたものでありまして、まず第一に新しいこれからの経済の計画の策定についてご質問をいたしたいと思うのであります。
御承知のように、去る十一月一日に経済審議会から答申されました国民所得倍増計画がございます。この計画は、前内閣の時代の諮問に応じまして、一年間にわたって角界の権威者を集めて検討立案されたものでありまして、その内容については大いに傾聴すべきものもあり、また尊敬すべきものであると考えるわけでございます。ところがこれをしさいに通覧いたしますと、今回の総選挙において、池田総理あるいはわが党が国民に訴えました公約としての経済成長政策の構想から見ますと、やや消極的である。あるいはまたもっと率直に申し上げますならば、あまりにも手がた過ぎるという感じがするのであります。これをやや具体的に申しますならば、まず第一に経済の成長率についての問題でございます。昭和三十一年度から三十三年度までの平均を基準にして経済の成長率を取り上げておるわけでありますが、今申しました平均を基準にして経済成長率は七・八%という率をはじき出しておるのでありまして、十年後の目標年次において二十六兆円という国民の総生産は、三十五年度の国民総生産の当初見込み——これは三十三年度の価格で十三兆円となっておりますが、これを基準といたしますと、七・二%の成長率になるのでございます。ところが三十五年度の国民総生産は当初の見込みをすでに相当に上回っておるのでありまして、十四兆円をこすものと見られておるわけでございます。そこでこの実績を基礎として計算いたしますと、七・八%どころではなくて七・二%よりも低い成長率になる。ところが総選挙を通じまして総理の御説明になりましたところ、またわが党が公約いたしましたところは、今後三年間は毎年九%の成長率ということに相なっておりますことは、世間周知の事実でございます。この成長率の勘定の仕方を一つ取り上げてみましても、先ほど申しましたように、われわれの考え方、あるいはこれは池田総理のお考えになった考え方から見ると、あまりにも消極的である、あるいはあまりにも手がた過ぎる、こういう感じがするわけでございますが、まずこの点についていかなるお考えであるか、お確かめ申し上げたいと思います。
池
池田勇人#5
○池田(勇)国務大臣 お話の十年間所得倍増につきましての諮問を岸内閣のときに出しまして、各界の権威ある人から答申をいただいたのでございます。十年間倍増ということにつきましての御研究を願ったのでございます。しこうしてこの答申は、各権威者が十年間倍増というので各般の見地から一応お作りになったものでございます。愛知委員御承知の通り、昭和三十年でございましたか、経済計画を作りました。それからまた二回目に三十二年に作ったと思います。しかしこれらの計画は、御承知の通り一、二年にしてつぶれたと申しますか、その計画通りいっていないのであります。よほどテンポが早く進んでおる実績があるのであります。この答申は、所得倍増計画についてこういう点を考え、こういうふうな方法でいこうという一つの指針に私はしたいと思うのであります。この通りをやっていこうという気持はございません。この答申を一つの指針として、これを具体的にわれわれはどう持っていこうかということを検討しようとしておるのであります。従いまして、あれは十年間倍増ということになっております。私は十年以内に倍増したい、こういうことでございますから、愛知さんと私は同じ考えのようでございますので、少し消極的だという点も私はあり得ると思う。従いまして、私はあの指針を一応の参考といたしまして、今度具体的に十年以内に倍増をするのにはどういう方面にどういう考えでいったらいいか、どこに重点を置くべきか、また十年以内にするために、また事情の変化によって、どういうふうにあの方針を変えていったらいか、こういうことを検討していきたいと思っておるのであります。この九%というのは年平均九%で、三十一年度も三十七年度も三十八年度も九%にくぎづけするという考えは持っておりません。だから三年間で大体本年の当初見込みの十三兆六千億が十七兆幾らになる、こういう考えでいっておるのであります。御承知の通り昭和三十四年は予想外に一七・七%の上昇を示しております。今年も実質一〇%をこえる成長率でございます。私は三十六年度におきましても大体予定の九%程度はいくのじゃないか。しかし出入りのあることは前もって御了承願いたいと考えておるのであります。以上のような状態で、一つの指針でございまして、これによりまして、具体的に経済事情、そのときの情勢に合うような施策を講じていきたい、こう考えております。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#6
○愛知委員 その次に、やはりこの経済審議会の答申と総理のお考えの間に若干のそごがあるのではなかろうかという問題があるのであります。これは今回の総理の所信表明の演説の中にも取り上げられておることでもあり、また、たまたま実は昨年の十月に、自由民主党といたしましては倍増計画の構想というものを策定をいたしたわけでございますが、その策定をされました倍増計画の構想の中では、何よりもまず第一の基本的なかまえ方として農業と非農業との間、大企業と中小企業との間、それから地域相互間に存在するところの生活上及び所得上の格差の是正に努めるということが、まず第一の考え方の基本として取り上げられておるわけでございます。この格差の是正によって、国民経済と国民生活の均衡ある発展が期せられる、これがこの倍増計画の一番の基本の構想になっておるわけでございます。そうしてこの考え方は、たまたま総理の今回の所信表明の御演説の中にも非常にはっきりと出ておるのであります。この点は私も意を強うするわけでございますが、これをもっと率直に申しますと、実は今後十年間のわが国の経済の動向を考えますのに、国際的にあるいは国内的によほどの大動乱でもない限り、またそういうことはあろうとも思わないわけでありますが、そういうことがない限りにおいて、国民の総生産あるいは総所得が十年間に倍になる、あるいは国民の平均の所得が倍になるということは、これは言葉が足りないかもしれませんが、当然これはできることである。しかし問題は、いわゆる均衡のある発展を期することが大事なことであって、これが私は政治の課題であると思うのであります。ところがこういうふうな考え方に対しまして、この経済審議会の国民所得倍増計画の中には、この最初の目次だけを見ましても、そういう点ははっきり現われておりません。それからこの前提となる考え方の基本的の態度の中にも、この点がどうもぼやけているような感じがするわけでございますが、先ほどの総理の御答弁で明らかでありますように、この審議会の計画そのものはあくまで参考の指針である、政府としては別個にこれを参考にして倍増計画の策定をされるということでございますから、この点を追及するわけではございませんが、しかし私がここに明確にしておきたいと思いまするのは、今の倍増計画というものの取り上げ方の基本的な態度、いわゆる格差なき倍増、均衡ある倍増、この点が非常に重大な点であるということについての総理のお考えというものをいま一度ここで明確にしていただきたいと思います。
この発言だけを見る →池
池田勇人#7
○池田(勇)国務大臣 お話の通りでございまして、私は数百名の権威ある方方がお作りになりましたこの案を批評する意味ではございませんが、私の気がはっきり載っていないことは御指摘の通りでございます。私は倍増ということは、これは格差解消への有力な手段と考えておりまして、倍増するということは格差を少なくしていこうということの一つの手段と申しますか、こういうふうに考えておるのであります。従いまして、案そのものを見ますと倍増ということについてのいろいろな研究でございまして、政治的にこれをどうやっていこうかというところが少し欠けているような気がいたすのであります。しかし私は倍増計画についての指針を聞いただけでありまして、政治的にこれをどういうふうにやっていくかということは、これは政府のやることでございます。その点はここではっきり申し上げておきまするが、今ある所得格差をできるだけ少なくするための倍増ということは常に頭に入れていることをはっきり申し上げたいと思います。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#8
○愛知委員 そこで、所得の格差の是正の問題に入りたいと思うのでありますが、私はかねがね池田総理がお話になっている通りだと思うのでありまして、経済というものはできるだけ伸ばすことによっていろいろの所得の不均衡が是正されるものである、こういう確信に立ちたいと私は思うのであります。すなわち、経済が拡大すれば、弱い中小企業もだんだんに中堅的な企業に成長する機会が多くなる、農林漁業に過剰な人口がありとすれば、その過剰な人口も他の産業に移動することができて、経営が楽になるという考えができると思います。また経済が発展すれば財政が充実する、その財政や予算を通して農林漁業や中小企業の振興策を拡充することができるし、あるいはまた後進地域のいわゆる東北とか北陸とか南九州とかいうような地方の開発もできる、あるいはまた社会保障の充実もこれによって伸ばすことができる、経済成長のいわば理屈というものはそういうものであるに違いない、こういう私も確信に立つのであります。従いまして、社会党がよく言われるように、経済の成長発展があればそれは不可避的に所得の格差が拡大するというような議論は誤りである、私はこういうふうに考えるのであります。しかしこれはただいま申しましたように、経済成長論のいわば理屈であり、理論の構成、組み立てがそうであると私は言うのでありまして、しからばこの所得の格差というものについて具体的に先ほども前提として申し上げましたように、一般の国民大衆がいろいろの仕事に従事しておる、あるいはいろいろの環境におる、あるいはいろいろの地方に居住しておる、その国民の一人一人の立場に立ってみて、なるほどこうなれば経済成長になってわれわれの所得も格差なく伸びていくのだ、こういうふうにみんなが理解を強め、そしてそこから自信を持って前進ができるというようにしていくのが政治であると思いまするので、そこでこの格差の解消ということについてこれからどういうふうなやり方をやっていくかということが私どもの当面の問題である、かように考えるわけであります。
そこで、最も問題になりますのは、先ほども申しましたが、まず第一が農業とその他の産業との間における所得格差の是正ということを第一に私は取り上げてみたいと思うのであります。申すまでもなく、農業は土地によって制約されておりますから、工業生産のように増産するということはその性質上不可能な問題であると思いまするし、また生産性の向上にも限度があると思うのであります。従って農業就業者の一人当たりの所得を他産業並みに向上させるのには、可能な限り、従来もやっておりますような、たとえば土地の改良とか耕地の拡張であるとか、あるいはまた災害の予防であるとか、そういうことをはかることはもちろんでありまするが、それとともに従来農業に就業しておったような人たちであっても、他に適当なよりよき働き場所があります場合には、そこに移動して働けるようにしてやるということが必要なことでもありますし、またその前に現在の農家につきましても、それぞれの農家が安心して働けるようないろいろの施策を同時に従来にも増していろいろと工夫をこらしていくということが、私は必要であると思うのであります。同時にまたもちろんのことでありますが、一農家当たりの経営規模を拡大する、企業としてこれが成り立っていくようにするということも、もちろんこれは考えていかなければならない問題であると思うのであります。
ところでこういったことをいろいろと考えてみまする場合に、何としても農村地帯にできるだけ工場を誘致する、またそれを可能にするような施策というものが絶対に必要なことは、言うまでもないところでございます。これは問題が非常に多岐にわたるわけでございますが、今申しましたいろいろの問題の中で——これも経済審議会の答申を引っぱり出すことは恐縮でありますけれども、このような政策、このような取り上げ方についても実は審議会の答申は非常に不十分である。特に私は具体的な一つの問題を例にあげたいのでありますが、農業に対する行政投資というものが十年間に一兆円というように計算されておるのでございますが、これなどは他の行政投資との比較においても決して妥当なものではない、これは非常に低過ぎる。たとえば同じこの案の中で他の例を見ますると、道路投資については四兆九千億円、港湾に対しましては五千三百億円というような一、二の例を取り上げてみても、そのような数字があがっておるのに対しまして、これは非常に過小ではないか。そうすると、こういうようなところが取り上げられて、いろいろと農家に対する不安、あるいは農業政策に対して池田総理初め現内閣の配慮が非常に乏しいのではないかということの一つの具体的な例にこれはよく取り上げられる問題になるわけでございます。これらの点についてまず総理のお考えを総括的にお伺いいたしたいと思います。
この発言だけを見る →そこで、最も問題になりますのは、先ほども申しましたが、まず第一が農業とその他の産業との間における所得格差の是正ということを第一に私は取り上げてみたいと思うのであります。申すまでもなく、農業は土地によって制約されておりますから、工業生産のように増産するということはその性質上不可能な問題であると思いまするし、また生産性の向上にも限度があると思うのであります。従って農業就業者の一人当たりの所得を他産業並みに向上させるのには、可能な限り、従来もやっておりますような、たとえば土地の改良とか耕地の拡張であるとか、あるいはまた災害の予防であるとか、そういうことをはかることはもちろんでありまするが、それとともに従来農業に就業しておったような人たちであっても、他に適当なよりよき働き場所があります場合には、そこに移動して働けるようにしてやるということが必要なことでもありますし、またその前に現在の農家につきましても、それぞれの農家が安心して働けるようないろいろの施策を同時に従来にも増していろいろと工夫をこらしていくということが、私は必要であると思うのであります。同時にまたもちろんのことでありますが、一農家当たりの経営規模を拡大する、企業としてこれが成り立っていくようにするということも、もちろんこれは考えていかなければならない問題であると思うのであります。
ところでこういったことをいろいろと考えてみまする場合に、何としても農村地帯にできるだけ工場を誘致する、またそれを可能にするような施策というものが絶対に必要なことは、言うまでもないところでございます。これは問題が非常に多岐にわたるわけでございますが、今申しましたいろいろの問題の中で——これも経済審議会の答申を引っぱり出すことは恐縮でありますけれども、このような政策、このような取り上げ方についても実は審議会の答申は非常に不十分である。特に私は具体的な一つの問題を例にあげたいのでありますが、農業に対する行政投資というものが十年間に一兆円というように計算されておるのでございますが、これなどは他の行政投資との比較においても決して妥当なものではない、これは非常に低過ぎる。たとえば同じこの案の中で他の例を見ますると、道路投資については四兆九千億円、港湾に対しましては五千三百億円というような一、二の例を取り上げてみても、そのような数字があがっておるのに対しまして、これは非常に過小ではないか。そうすると、こういうようなところが取り上げられて、いろいろと農家に対する不安、あるいは農業政策に対して池田総理初め現内閣の配慮が非常に乏しいのではないかということの一つの具体的な例にこれはよく取り上げられる問題になるわけでございます。これらの点についてまず総理のお考えを総括的にお伺いいたしたいと思います。
池
池田勇人#9
○池田(勇)国務大臣 終戦後におきまして、ことに昭和二十四年からは米価を急速に毎年どんどん上げて参りました。従いまして農家の所得の増加というものは他産業に対してそうひけをとらなかった。しかるところ昭和二十九年、三十年ごろから米価は一応上がり方が少なくなった、ほとんど横ばい。片一方第二次、第三次産業は、非常な所得の増加になりまして、格差が出てきたのでございます。これをやはり直していこうというのが私の考えでございます。先ほど申し上げましたごとく所得倍増計画案というものは、倍増ということを主にいたしまして、その間の重点的と申しまするか政治的にどう配慮すべきかという点は、私はお話の通りにある程度欠けているのじゃないかと思います。従いまして、先ほど申し上げましたごとく格差を減少しつつ倍増計画をやろうという場合におきましては、あの案通りにいかないことは当然でございます。私は十分実情を勘案しながら施策を進めていきたいと思います。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#10
○愛知委員 ただいまお伺いいたしました中で、たとえば農業に対する行政投資が十年間に一兆円を計上されておるというようなこの具体的な問題について、農林大臣はいかにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →周
周東英雄#11
○周東国務大臣 お話の点、所得倍増計画に対する審議会の答申の内容でございますが、これは御指摘のように一応の答申案として政府は参考資料として持っておりますが、これに基づいてさらに政府の考えとしては新しく考え方が織り込まれるものと考えております。従って、もし私どもの考え方といたしまして、農業の所得、生産を上げるという立場からいたしまして、現在見込まれておりまする一兆円が正しいか正しくないかということは目下検討いたしております。より必要であると考えれば、これは政府としは増加すべきものであると考えますし、ただ申し上げておきたいことは、所得倍増に関しては単に公共施設の問題だけでは解決しないと思います。大きな問題としては新しい農業、新しい農村の行き方として、現在までの作物というものがそのままであっていいのかどうかということが、再検討さるべき時期に参っておると思います。そういう意味からいたしますと、それらに伴うて行なうべき施策に伴う政府の補助その他が必要になって参ります。私どもはそういうものを別に用意しておりまするので、それらはあわせて考えていきたい、かように思っております。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#12
○愛知委員 次に同じく農業問題でございますが、現在最も論議を招いておりまするのは、農業就業構造の問題であると思います。この点についてはすでに本会議等におきましても、あるいはまた総選挙前の国会におきましても、若干の論議が行なわれておったのでありますが、私は先ほど前提に申し上げましたように、なお一そうこういう今日の話題になっておりますることについては、その考え方や、あるいは説明の仕方というものをできるだけ親切に、また考え方の道程と申しますか、プロセス、あるいはこれに関連する今後の対策というようなものについて、農家の人たちにもわかりやすく納得ができるような御説明を、この際お願いいたしたいと思うのであります。この問題は、ほかでもございません、昨日の本会議でも総理からかなり明確な御意見の発表があったわけでございますが、世間ではいまだに池田総理は農業就業者の数を十年後には現在の四割程度になることができるというように御発言になったと理解をされております。それが、専門的に見まするならば、たとえば第二種兼業農家の就業者は含まないものであるというようなことを初めとして、いろいろの説明がその後も加えられておりまするが、それにもかかわらず今なお逆宣伝の材料に利用されておる、あるいはまた農民の間に無用の不安を与えておるというのが事実なのでございまして、この問題につきまして、ただいま申しましたように、この機会におきましてできるだけ詳細に御説明をお願いし、そして農家に対しても安心を与えていただきたい、かように考えるわけであります。
この発言だけを見る →池
池田勇人#13
○池田(勇)国務大臣 手っとり早く申しますと、御承知の通り今農業所得と非農業所得は一対二くらいと言われております。非農業所得に対しまして農業所得は半分とかあるいはそれ以下ということを言われている。十年後の状況を見ますると、もし倍になった場合におきましてはどこが一番ふえるかと申しますと、第二次産業、第三次産業が一番ふえます。そうすると格差を少なくするということになりますと、農業所得は倍以上にしなければならぬ、こういうことに相なるわけでございます。倍以上にするときに農業自体でどのくらいふえるかと申しますと、私の見通しでは、相当努力いたしましても五割ふえることはなかなかむずかしいのじゃないか。他の第二次、第三次産業は私は二倍半から三倍くらいになるのじゃないか、こう考えて見ますと、意欲的にと申しまするか、農業人口というものは半分あるいはそれ以下にならないと他との権衡がとれない、これは非常に率直に常識的な考えなのであります。他面今の農業の状況を見ますると、六百万戸と申しましても、農業専業は二百万戸あるいは二百十万戸と言われております。そして第一種兼業、すなわち農業所得が非農業よりも多い、いわゆる主として農業所得の第一種兼業農家というものは二百一、三十万戸といわれております。そして残りの百六、七十万戸というものは第二種兼業、農家とは申しましても、もう農家の所得よりも他の所得が多い。私はこれは今後数年間において第二種兼業、いわゆる非農業所得の方が農業所得よりも多い農家がだんだんふえていくのじゃないか、こうなって、十年後におきまして第二種兼業というものはどうなってくるかということを考えますと、これはすでに農家じゃないんじゃないかという感じがするのでございます。こういう両面から考えて参りまして、数の問題にとらわれることなく農業というものは自然にそうなっていくのが所得格差をなくするもとなんです。私は意欲的にもそうするようにしなければならぬ、だから第二種兼業を多くする、そこで愛知さんのお話にもありましたように、第二種兼業にするのには、その土地を売り払って出る人もありましょうし、あるいはまたその土地におりながら他の非農業の所得を得るようにしなければならぬ、それが今の工場の分散と申しますか、農業自体の方にも、いわゆる農業以外の所得の源泉を政府が政治的に持っていくようにしていくべきである、こういう考えで言っておるのです。農業の行くべき道ということは他の産業の発展につれまして、それに応じて農業がりっぱな企業として成り立つような施策を講じなければならぬ。農業というものは前から国のもとといわれておりますが、これをつちかうことが政治的に一番重要なことであります。りっぱな農業を打ち立てていく、そうするためには、土地の集中もありましょうし、あるいは農業法人、あるいは共同作業、いろいろな点がありましょう。もちろん土地改良とか、いろいろな今までの施策を推し進めていくことは当然でございますが、新しい観点に立って、りっぱな企業としての農業を打ち立てることが必要である。そうやっていきますと、自然にそれは半分とかあるいは四割とか、いろいろな見通しがありましょうが、それは今後の成り行きで、政府の施策がいかによくいくかによっても変わることでございます。私は、こういう意味から他の所得がうんとふえるときに、農業を今のままにしてはおけない。しかも農業は第二種兼業がふえつつあるこの状況が、十年後におきましては第二種兼業はどれだけになったか、またそしてその所得の割合がどうなったかというときには、これはもうすでに農家ではなくなるという情勢がくるのじゃないか、またそうすることが所得倍増、しかも格差を少なくするための倍増というところから当然の帰結であると私は考えておるのであります。
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愛知揆一#14
○愛知委員 私は先ほど申しましたように、この問題をあえて数字の上にとらわれて、人口がどういうふうな構成になるかというようなことを、この際いろいろとあげつらうよりは、むしろただいまも総理がお話になりましたように、農業は農業として意欲的に企業としてりっぱに成り立っていくようなりっぱな農業を作り上げる、これが農業基本法を制定されんとする精神であると思いますが、まずこれを一つ十分にりっぱなものに作り上げる、それから他面において九%の経済成長率ができ上がるような総合的な立地計画をもとにしたいろいろの計画が伸びていく、そうしてその方から需要される労働力等との関連におきまして、従来農家の立場にあり、農業に従事しておった人も、なるほどこれならば農業以外のところで十分自分も働いていける、そうして従来のような農業に依存していたよりは新しいその職場においてより多くの所得がとれ、それでりっぱになれるのだという確信のもとにおいて現実に移り得るような状態を早く作っていく、その上で十年たってから今日の状態を振り返ってみて、あの昭和三十五年の十二月十四日の予算委員会ではこういう論議もあったけれども、今からそれを振り返ってみればこういう差になったのだ、こういうふうに理解することが、物事がよりよく国民的にも大衆的にも理解されることではなかろうか、これは非常に常識的な言い方でありますが、そういうふうに私は考えるのでありまして、そういう点から私は次の問題に入りたいと思うのでございます。
これは地域格差の問題と切り離すことのできない問題でございます。というのは、地域格差の是正の根本策というものは、いわゆる後進地域に可能な限り産業を分散することではないかと思うのであります。そのことが今も申しましたように農業と非農業とのいろいろの連関の問題を解明していく大きな手段であると私は思うのであります。ことに工業の地方分散ということは、もっともっと政府としても本腰を入れてお考えになってしかるべき問題ではなかろうかと思うのでございます。もちろん先ほどもちょっと触れましたように、総理のお考えになっておるところの所得倍増計画、あるいは経済政策の根本のかまえ方というものは、いわゆる社会党流の、重要な生産手段を国営にするとか、国管にするとかいうようなそういうやり方ではないわけでございます。考え方を整理をし、そうしてその考え方が、自然になだらかに国民の自主的な判断と努力によって効果が上がるような基礎を財政的、経済的に作っていくというのが、われわれの根本的な考え方だと思います。しかしそれにしても、地方に工業を分散させるという条件を整えるためには、たとえば道路とか水資源とか港湾とか住宅とか、そういうものの整備が財政的、政策的に絶対に必要なことは申すまでもございません。あるいは技能者の訓練というようなことが必要であることも申すまでもないわけでございますが、さらに私はこの際一段と考え方を進めまして、これは一つの私の私見にすぎませんけれども、たとえば後進地域における工業振興のための法律というような立法措置をお考えになることが私は必要ではなかろうかと思います。もちろんこの立法に際しましては、総合的な国土開発計画あるいは地域的な地方の開発計画というようながっちりした計画が基礎になければならぬことは申すまでもありませんけれども、やはりどうしても立法が必要ではなかろうか。たとえばこれにはどこどこの地方をもって後進地域にするかというような問題もございますが、常識的にいえば、たとえば東北とか北陸とか南九州とかいうようなところが考えられるかと思います。そういったところに工場を分散する、あるいは誘致するというようなことのためには、現在までも地方的には相当の努力が傾けられております。たとえば各県が条例を作りまして固定資産税その他の減免というようなこともやっておるわけでございますが、たとえばこれに一歩を進めて、政府としても固定資産税や不動産取得税や事業税やといったようなものが軽減されました場合に、これを当該県の立場におきまして、その軽減された額を基準財政需要として算入する、つまり国がそれだけの穴を埋めてやるというようなことであるとか、あるいはそうした県が工業の振興のために一定の起債をしたいという場合に起債の特例を設ける、そうして工場用地の確保等の資金のためにこれを充当するといったようなことについて、法的に奨励の方策を講ずることはいかがと考えるわけでありますが、さらにまた一歩を進めて考えますならば、国の税制自身の面におきましても、後進地域における工場新設による所得については、たとえば一定期間法人税の軽減の措置を講ずるというようなことまで一歩進んではいかがであるかというような考えを私は持つのでございます。すでに、たとえば現在行なわれておりまする法律におきましても、東北開発促進法においては、御案内のように重要事業について国庫負担の二割アップということが法制できまっておる。これのごときはたとえば基本的な公共事業等についていわゆる地方の負担を軽減するということが法律上すでにきめられて実行に移っておるわけであります。こういうことを単に従来できておる法律だけにとどめませんで、一般的に財政上あるいは税制上あるいは起債というような金融面におきまして、こういった立法的な措置をお考えになるということが、私はどうもこの池田総理の御構想を地について実現していくためには必要な措置ではなかろうかと思います。これは従来のオーソドックスの財政のやり方あるいはその他の考え方から言いますと、なかなか踏み切りのつかぬものであるかと思いますが、十年所得倍増、ことに後進地域との間の地域格差を是正する、そしてここに地方的な工場を振興して余剰労働力を吸収して所得を増加させるというような大きな構想から見ますと、その辺から意欲的な政策を政府においても展開されることが必要であるかと私は思いますが、このこまかいいろいろの具体的な、今数個の例をあげました、それらの点について、こまかい点はともかくといたしまして、私は立地計画に基づくこうした立法が必要であるというこの私の意見に対しまして、総理から一つ御所見をお伺いいたしたい。ここに積極的な意欲を総理みずから御開陳あらんことを私は切望するわけであります。
この発言だけを見る →これは地域格差の問題と切り離すことのできない問題でございます。というのは、地域格差の是正の根本策というものは、いわゆる後進地域に可能な限り産業を分散することではないかと思うのであります。そのことが今も申しましたように農業と非農業とのいろいろの連関の問題を解明していく大きな手段であると私は思うのであります。ことに工業の地方分散ということは、もっともっと政府としても本腰を入れてお考えになってしかるべき問題ではなかろうかと思うのでございます。もちろん先ほどもちょっと触れましたように、総理のお考えになっておるところの所得倍増計画、あるいは経済政策の根本のかまえ方というものは、いわゆる社会党流の、重要な生産手段を国営にするとか、国管にするとかいうようなそういうやり方ではないわけでございます。考え方を整理をし、そうしてその考え方が、自然になだらかに国民の自主的な判断と努力によって効果が上がるような基礎を財政的、経済的に作っていくというのが、われわれの根本的な考え方だと思います。しかしそれにしても、地方に工業を分散させるという条件を整えるためには、たとえば道路とか水資源とか港湾とか住宅とか、そういうものの整備が財政的、政策的に絶対に必要なことは申すまでもございません。あるいは技能者の訓練というようなことが必要であることも申すまでもないわけでございますが、さらに私はこの際一段と考え方を進めまして、これは一つの私の私見にすぎませんけれども、たとえば後進地域における工業振興のための法律というような立法措置をお考えになることが私は必要ではなかろうかと思います。もちろんこの立法に際しましては、総合的な国土開発計画あるいは地域的な地方の開発計画というようながっちりした計画が基礎になければならぬことは申すまでもありませんけれども、やはりどうしても立法が必要ではなかろうか。たとえばこれにはどこどこの地方をもって後進地域にするかというような問題もございますが、常識的にいえば、たとえば東北とか北陸とか南九州とかいうようなところが考えられるかと思います。そういったところに工場を分散する、あるいは誘致するというようなことのためには、現在までも地方的には相当の努力が傾けられております。たとえば各県が条例を作りまして固定資産税その他の減免というようなこともやっておるわけでございますが、たとえばこれに一歩を進めて、政府としても固定資産税や不動産取得税や事業税やといったようなものが軽減されました場合に、これを当該県の立場におきまして、その軽減された額を基準財政需要として算入する、つまり国がそれだけの穴を埋めてやるというようなことであるとか、あるいはそうした県が工業の振興のために一定の起債をしたいという場合に起債の特例を設ける、そうして工場用地の確保等の資金のためにこれを充当するといったようなことについて、法的に奨励の方策を講ずることはいかがと考えるわけでありますが、さらにまた一歩を進めて考えますならば、国の税制自身の面におきましても、後進地域における工場新設による所得については、たとえば一定期間法人税の軽減の措置を講ずるというようなことまで一歩進んではいかがであるかというような考えを私は持つのでございます。すでに、たとえば現在行なわれておりまする法律におきましても、東北開発促進法においては、御案内のように重要事業について国庫負担の二割アップということが法制できまっておる。これのごときはたとえば基本的な公共事業等についていわゆる地方の負担を軽減するということが法律上すでにきめられて実行に移っておるわけであります。こういうことを単に従来できておる法律だけにとどめませんで、一般的に財政上あるいは税制上あるいは起債というような金融面におきまして、こういった立法的な措置をお考えになるということが、私はどうもこの池田総理の御構想を地について実現していくためには必要な措置ではなかろうかと思います。これは従来のオーソドックスの財政のやり方あるいはその他の考え方から言いますと、なかなか踏み切りのつかぬものであるかと思いますが、十年所得倍増、ことに後進地域との間の地域格差を是正する、そしてここに地方的な工場を振興して余剰労働力を吸収して所得を増加させるというような大きな構想から見ますと、その辺から意欲的な政策を政府においても展開されることが必要であるかと私は思いますが、このこまかいいろいろの具体的な、今数個の例をあげました、それらの点について、こまかい点はともかくといたしまして、私は立地計画に基づくこうした立法が必要であるというこの私の意見に対しまして、総理から一つ御所見をお伺いいたしたい。ここに積極的な意欲を総理みずから御開陳あらんことを私は切望するわけであります。
池
池田勇人#15
○池田(勇)国務大臣 産業の地方分散と申しますと、あるのを分けるように聞こえますが、そうでなしに、今度ふえる産業、工場を地方に持っていくということは先ほど申し上げた通りでございます。従来わが国におきましても、たとえば電力の安いところ、福島県の郡山とかあるいは富山県等におきましては、動力が安いというので自然に工場が設けられたのであります。また労働問題にいたしましても都会地よりも安い。こういうところで産業の地方分散ということが経済的に行なわれておりましたが、今はそれがよほどなくなってきた。そういう好条件が地方になくなってきたから、これをやはり政府の手でいろいろ考えなければならぬというので、北海道開発法とかを初めといたしまして各地に地方振興の法律が出てきておるのであります。しかしこれをもってしてはなお足りません。お話の所得倍増計画案にいたしましても、太平洋地域のベルト地帯とか、あるいは現存の地帯をふやすというようなことにとどまっておりますが、私はそれでは今の格差の縮小するということに沿わないので、お話のような強力な手段をとらなければから念仏に終わるのではないかと私は思っております。イギリスにおきましては、以前に工場法を設けましてそういうことを意図しておったようでございます。私は地方分散につきましてのあなたの今の施策、たとえば地方税におきまして固定資産の軽減とか、あるいは基準財政需要にそれを入れるとか、あるいは国税におきましてもたとえば重要物産の免税措置を産業においてとるがごとく、こういう地方についての工場につきましては所得税を軽減するとか、特に重要なことは償却をうんと縮める。こういうふうにしてあらゆる面から税制において考えると同時に、金融におきましても、たとえば開発銀行からの貸付金利を軽くするとか、いろいろな方法で、あまりオーソドックスな考え方から出てこない今のお話のような点につきまして私はやっていきたい、こういう考えを持っておるのであります。これは経済的に申しますとなかなか困難であります。たとえば石油精製工場を設けますときには、電力——火力発電をどうするかとか、あるいは石油化学を一緒にしなければいかぬ、こういうところで、新しいところへ非常な大工場を設けるということは、経済的になかなか困難な点が多いようでございますが、それを政治的に財政的に金融的に見る措置を講じなければ、私の念願しておる、何と申しますか、農村の振興あるいは今の農民の方あるいは今後農家に生まれてくる二男、三男坊の方々のいい就職場所が手近に得られないことになる。私はオーソドックス的な考え方を変えまして、画期的な措置をとっていく所存でおるのであります。
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愛知揆一#16
○愛知委員 総理のオーソドックスな従来の考え方にとらわれずに画期的な努力をしていくつもりであるというお言葉は私も敬意を表しますが、同時にそのお言葉が現実に関係の各省その他にも徹底いたしまして、今のお言葉通り、すみやかにこれがいろいろの措置の上に現われることを私は特にお願いをいたしておきたいのであります。なおただいまのお言葉の中に、ベルト地帯の構想のことがちょっと出たわけでございますが、実はこの点も、先ほど問題にいたしました審議会の答申との間に私どもの考えが食い違っておるところでありまして、後進地帯の開発は、ベルト地帯の開発が済んでから、その後の、つまり十年の計画が済んだその後に積極的に取り上げるというような考え方が審議会の答申では出ておったのでありますが、それでは総理のおっしゃるような農村問題との関連において問題を解決することにはならない。少なくともなりにくいという点をここには指摘いたしまして、ただいまの総理の御答弁通りに、後進地域に対する施策が伸びることを私は期待をいたしまして、この点についての質疑は一応この程度にいたしておきます。
さらにその次の格差の問題は、大企業と中小企業との関係の問題でございます。この点につきましては、特にるる申し上げる必要もないのでございますが、一言にして申しまするならば、最近のわが国の経済が示した異常な成長の過程を顧みて見ますると、大企業は非常に高い投資水準を続けておる。欧米の先進国の先鋭企業にもまさるような近代設備をなし遂げております。そうしてたとえば重化学工業は急速に進展して産業構造がいわゆる高度化したわけでございます。ところが総体的におくれた生産設備あるいは安い労働力で形成されておる中小零細企業との間には、それだけに二重構造的な様相がきわめて顕著になってきたというのが偽らざる今日の実情であるわけでございます。従って、私はこうしたこの最近における二重構造が顕著になった点を可及的に解消するという立場から、中小企業対策については、従来のように、ただ一般的な金融を円滑にするとか、あるいは税において若干の軽減をするとかいうような、この中小企業全般についてまあこれならばというようなふうなところではなくて、各業態別にいわゆるきめのこまかい対策を法律的にも行政的にもぜひとっていく必要があるということを私は指摘しておきたいと思うのでございます。ことにまた、大企業が今後ますます発展する、そうして相当の高賃金でそこにおいて雇用が増大してくる。これに対して反射的に中小の企業はその面からも人を得ることが困難になってくる。また、人を得るためには高賃金にしなければならない。それがまたそれらの生産や商いの上のコストに響いてくる。そこに目をつけたいろいろの政治的、社会的な運動の芽ばえやいろいろのトラブルが起ってくる。こういう点についてもあわせて総合的な立場からのきめのこまかい対策というものを一つぜひ心がけていただかなければならないと思います。これらの点については関係するところが各省多岐にわたりまして、各大臣からそれぞれ御所見を伺いたいところでありますが、時間の関係もございまするので、総体的な考え方について総理の御所見を今日は伺うにとどめたいと思いますが、どうか今申しましたような点についての総理の率直なお考えと御決意のほどを一つお漏らし願いたいと思います。
この発言だけを見る →さらにその次の格差の問題は、大企業と中小企業との関係の問題でございます。この点につきましては、特にるる申し上げる必要もないのでございますが、一言にして申しまするならば、最近のわが国の経済が示した異常な成長の過程を顧みて見ますると、大企業は非常に高い投資水準を続けておる。欧米の先進国の先鋭企業にもまさるような近代設備をなし遂げております。そうしてたとえば重化学工業は急速に進展して産業構造がいわゆる高度化したわけでございます。ところが総体的におくれた生産設備あるいは安い労働力で形成されておる中小零細企業との間には、それだけに二重構造的な様相がきわめて顕著になってきたというのが偽らざる今日の実情であるわけでございます。従って、私はこうしたこの最近における二重構造が顕著になった点を可及的に解消するという立場から、中小企業対策については、従来のように、ただ一般的な金融を円滑にするとか、あるいは税において若干の軽減をするとかいうような、この中小企業全般についてまあこれならばというようなふうなところではなくて、各業態別にいわゆるきめのこまかい対策を法律的にも行政的にもぜひとっていく必要があるということを私は指摘しておきたいと思うのでございます。ことにまた、大企業が今後ますます発展する、そうして相当の高賃金でそこにおいて雇用が増大してくる。これに対して反射的に中小の企業はその面からも人を得ることが困難になってくる。また、人を得るためには高賃金にしなければならない。それがまたそれらの生産や商いの上のコストに響いてくる。そこに目をつけたいろいろの政治的、社会的な運動の芽ばえやいろいろのトラブルが起ってくる。こういう点についてもあわせて総合的な立場からのきめのこまかい対策というものを一つぜひ心がけていただかなければならないと思います。これらの点については関係するところが各省多岐にわたりまして、各大臣からそれぞれ御所見を伺いたいところでありますが、時間の関係もございまするので、総体的な考え方について総理の御所見を今日は伺うにとどめたいと思いますが、どうか今申しましたような点についての総理の率直なお考えと御決意のほどを一つお漏らし願いたいと思います。
池
池田勇人#17
○池田(勇)国務大臣 規模別の所得格差の問題につきましては、愛知委員のお話しの通りでございます。中小企業対策といたしましては、今まで法律的に金融的にいろいろ手をつくしております。ことに商工会法の制定を見ましてからもう外国のそれにまさるとも劣らない程度の施策はいたしておるのでございまするが、何分にも中途半端と申しまするか、金融の面にいたしましても、あるいは税制の面にいたしましても、きめのこまかいところを大胆にやる点がまだ十分でございません。私は先ほど農業について申しましたと同じような考え方で、たとえば中小企業の近代化資金にいたしましても、また金融の面につきましても、あるいは税制の面で、ことに問題の償却の点につきましても、あるいは事業所得の問題につきましても、いろいろ今度中小企業のための特別の考え方をもっと強く進めていって、そして格差の解消に努めたい、こういう考えでおるのであります。
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愛知揆一#18
○愛知委員 これらの問題については、先ほど申しましたようにさらにいろいろとお尋ねをいたしたいのでありますが、時間の制約がございますから一応この程度にとどめまして、次の問題に入りたいと思います。
次の問題と申しまするのは、いわゆるドルの防衛の問題についてでございます。この問題につきましても、一応本会議その他におきまして質疑応答はあったわけでございますが、本日は私は冒頭に申し上げましたように、できるだけ詳細に具体的に政府の考え方、あるいは見通し、あるいはそれらに基づくところの対策というようなものについて、やはりくろうとだけが知っておればいい、しろうとは黙っておれというようなことではなくて、国民大衆とともに自分の問題としてわかるように、また納得のできるように、この問題についての解説と、それからこれに対処する国民としての態度というものをお互いに真剣に考えて参りたいということを前提にして、以下数点をお伺いいたしたいと思うのでございます。
この問題について、実は十二月十一日の朝日新聞の日曜論壇で中山伊知郎氏の所見が発表されておりまして、私はこれに非常に興味と同感を覚えたわけでございます。その中にこういうことが書いてございます。たとえば特需がなくなるとしても、あるいはまた対米輸出が減退するにしても、それはヨーロッパ向けに輸出をすればいいじゃないか、いろいろ方策はある、こういうふうな考え方もあるいはあるであろう。しかしそれはともかくとして、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくない。つまりあまりにも問題を重視し過ぎて、こうなったらどうなる、こうなったらどうなると、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくないが、反面において、極端な予想される場合におきましてもやれるという覚悟と用意とが必要である。そういう意味において、事態をよりよく分析し、あらゆる場合に対処する覚悟と用意とがほしいという趣旨がございますが、私は今の政府に望みたいのはこの言葉であり、態度であると思うのでございます。つまり事態をよりよく掌握し、そうしてこれをできるだけ言葉を惜しまずに説明をし、国民に納得を求めることが必要であると思います。同時に、中山氏はこういうこともその中で言っておられます。少なくともドルで困るのは米国だけではない、自由世界全般である。危機に処する各国の態度は当然に自国本位ではなく、協力主義的でなければならない。そうしてまたこうもいっております。そうした協力関係を持つべく日本の経済は十分な用意を持っているか、みずから問い、みずから答えることが今日の急務である。私はこの通りだと思うのです。そこで私はみずから問い、みずから答えるという意味において、この問題について若干の御質問をいたしたいと思うのであります。
まず第一に、これは事実のことでございますから、ここにあえて申し上げる必要もございませんが、十一月十六日のアイゼンハワーのディレクティブで、国際収支改善の一連の緊急措置を指定したわけでございます。これは前から当然予想されたことであるといってもいいかと思いますが、アメリカの全保有高が百八十億ドルを割ったことを機会として、ドルに対する信頼を維持することによって、従来アメリカが果たしてきた自由世界での責任と地位を持続しようとするのが、この根本の考え方ではないかと思います。そしてその重点を分析すれば、こういうことになるかと思います。まず一つは、自由化促進等によって米国自体の輸出を増大するということ。それから一つには、先進工業諸国による後進国の経済援助等を肩がわりをするということであるかと思います。それからその一つは、特需の域外調達の削減と軍人家族の引き揚げ等による対外支出の軽減ということにあると思います。そしてこれと同時に、アメリカ自体の長期の対策として、たとえば米国の輸出の問題にしてみるならば、相手国に対しまして関税とか貿易制限とかいうものの除去ということを要請することになろうかと思われます。また国際金融の面におきましては、いろいろの点においてすでに西欧諸国にも手を打っておるようでありますが、経済協力への支援を要請するということになろうかと思います。またアメリカ自体の国内対策とすれば、インフレの対策、あるいは労使問題の解決というようなことも、この長期対策の中には上げられておるようでございますが、さらにこのディレクティブによって、十二月十五日を期限にして、アメリカの関係各省に対して、具体的な細目が立案され、そしてこれがホワイト・ハウスに報告されることを期待しておるわけでございますから、今後におきましてもこの十五日を契期にしていろいろとこまかい指令が出てくることが予想されるわけでございます。従って今政府にいろいろのこまかい点について、これはどうだとお尋ねしても、答えられない点もあることは、これは事の性質上当然だと思います。しかし、十二月五日にハーター長官から国際協力長官に対して発出された指示だけ見てみましても、ICA資金による物資調達を秩序よく停止することということが示されておるわけで、これと先ほどの大統領のディレクティブの、私は勝手に三つの点にしぼってみたのでありますが、今まで明らかにせられたことだけでも、私は、やはり相当の日本に対する影響というものがあることは否定できないと思うのでございます。そうしてこれらに対しまして、たとえばICA資金による調達については秩序よく停止することと書かれてある、それから例外措置も若干は認めてあるというようなことではあるけれども、例外措置は多くなりそうなんだから安心だとか、あるいは部品の発注というようなものも認められるはずだから安心だというような、安易なサイドだけをこの際誇張せずに、先ほど私は中山氏の所説を引用いたしましたように、極端な場合だけを考える必要もないけれども、考え得るいろいろの場合を想定して、それでも日本の経済はこうやっていけばいけるのだというふうに、態度としてこまかく、何べんも申しますようでありますが、わかりやすく、一つ政府の態度というものを国民に対して御表明願いたいと思うのでございます。
そこで、前置きは長くなりましたが、まず総体的に、これらの措置に対してどれだけの具体的な影響が考えられるかということを、これは通産大臣からでも、あるいは事務当局からでもけっこうでございますが、一応御説明をお願いして、それからさらに質疑を進めることにいたしたいと思います。
この発言だけを見る →次の問題と申しまするのは、いわゆるドルの防衛の問題についてでございます。この問題につきましても、一応本会議その他におきまして質疑応答はあったわけでございますが、本日は私は冒頭に申し上げましたように、できるだけ詳細に具体的に政府の考え方、あるいは見通し、あるいはそれらに基づくところの対策というようなものについて、やはりくろうとだけが知っておればいい、しろうとは黙っておれというようなことではなくて、国民大衆とともに自分の問題としてわかるように、また納得のできるように、この問題についての解説と、それからこれに対処する国民としての態度というものをお互いに真剣に考えて参りたいということを前提にして、以下数点をお伺いいたしたいと思うのでございます。
この問題について、実は十二月十一日の朝日新聞の日曜論壇で中山伊知郎氏の所見が発表されておりまして、私はこれに非常に興味と同感を覚えたわけでございます。その中にこういうことが書いてございます。たとえば特需がなくなるとしても、あるいはまた対米輸出が減退するにしても、それはヨーロッパ向けに輸出をすればいいじゃないか、いろいろ方策はある、こういうふうな考え方もあるいはあるであろう。しかしそれはともかくとして、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくない。つまりあまりにも問題を重視し過ぎて、こうなったらどうなる、こうなったらどうなると、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくないが、反面において、極端な予想される場合におきましてもやれるという覚悟と用意とが必要である。そういう意味において、事態をよりよく分析し、あらゆる場合に対処する覚悟と用意とがほしいという趣旨がございますが、私は今の政府に望みたいのはこの言葉であり、態度であると思うのでございます。つまり事態をよりよく掌握し、そうしてこれをできるだけ言葉を惜しまずに説明をし、国民に納得を求めることが必要であると思います。同時に、中山氏はこういうこともその中で言っておられます。少なくともドルで困るのは米国だけではない、自由世界全般である。危機に処する各国の態度は当然に自国本位ではなく、協力主義的でなければならない。そうしてまたこうもいっております。そうした協力関係を持つべく日本の経済は十分な用意を持っているか、みずから問い、みずから答えることが今日の急務である。私はこの通りだと思うのです。そこで私はみずから問い、みずから答えるという意味において、この問題について若干の御質問をいたしたいと思うのであります。
まず第一に、これは事実のことでございますから、ここにあえて申し上げる必要もございませんが、十一月十六日のアイゼンハワーのディレクティブで、国際収支改善の一連の緊急措置を指定したわけでございます。これは前から当然予想されたことであるといってもいいかと思いますが、アメリカの全保有高が百八十億ドルを割ったことを機会として、ドルに対する信頼を維持することによって、従来アメリカが果たしてきた自由世界での責任と地位を持続しようとするのが、この根本の考え方ではないかと思います。そしてその重点を分析すれば、こういうことになるかと思います。まず一つは、自由化促進等によって米国自体の輸出を増大するということ。それから一つには、先進工業諸国による後進国の経済援助等を肩がわりをするということであるかと思います。それからその一つは、特需の域外調達の削減と軍人家族の引き揚げ等による対外支出の軽減ということにあると思います。そしてこれと同時に、アメリカ自体の長期の対策として、たとえば米国の輸出の問題にしてみるならば、相手国に対しまして関税とか貿易制限とかいうものの除去ということを要請することになろうかと思われます。また国際金融の面におきましては、いろいろの点においてすでに西欧諸国にも手を打っておるようでありますが、経済協力への支援を要請するということになろうかと思います。またアメリカ自体の国内対策とすれば、インフレの対策、あるいは労使問題の解決というようなことも、この長期対策の中には上げられておるようでございますが、さらにこのディレクティブによって、十二月十五日を期限にして、アメリカの関係各省に対して、具体的な細目が立案され、そしてこれがホワイト・ハウスに報告されることを期待しておるわけでございますから、今後におきましてもこの十五日を契期にしていろいろとこまかい指令が出てくることが予想されるわけでございます。従って今政府にいろいろのこまかい点について、これはどうだとお尋ねしても、答えられない点もあることは、これは事の性質上当然だと思います。しかし、十二月五日にハーター長官から国際協力長官に対して発出された指示だけ見てみましても、ICA資金による物資調達を秩序よく停止することということが示されておるわけで、これと先ほどの大統領のディレクティブの、私は勝手に三つの点にしぼってみたのでありますが、今まで明らかにせられたことだけでも、私は、やはり相当の日本に対する影響というものがあることは否定できないと思うのでございます。そうしてこれらに対しまして、たとえばICA資金による調達については秩序よく停止することと書かれてある、それから例外措置も若干は認めてあるというようなことではあるけれども、例外措置は多くなりそうなんだから安心だとか、あるいは部品の発注というようなものも認められるはずだから安心だというような、安易なサイドだけをこの際誇張せずに、先ほど私は中山氏の所説を引用いたしましたように、極端な場合だけを考える必要もないけれども、考え得るいろいろの場合を想定して、それでも日本の経済はこうやっていけばいけるのだというふうに、態度としてこまかく、何べんも申しますようでありますが、わかりやすく、一つ政府の態度というものを国民に対して御表明願いたいと思うのでございます。
そこで、前置きは長くなりましたが、まず総体的に、これらの措置に対してどれだけの具体的な影響が考えられるかということを、これは通産大臣からでも、あるいは事務当局からでもけっこうでございますが、一応御説明をお願いして、それからさらに質疑を進めることにいたしたいと思います。
椎
椎名悦三郎#19
○椎名国務大臣 ハーター長官の趣旨は、おそらく既契約の分については、これは破棄しないというようなふうに解釈されるわけでございます。でありますから、もし既契約を尊重して、それ以後の調達ということになりますと、影響の現われるのは三十六年度の後半ということになるようであります。
それから特需関係、これもいろいろ研究してみたのでありますが、さしあたり一億ドルないし一億二千万ドルというものが、三十六年度から三十七年度にかけて影響が現われてくるのではないか、かように考えております。
この発言だけを見る →それから特需関係、これもいろいろ研究してみたのでありますが、さしあたり一億ドルないし一億二千万ドルというものが、三十六年度から三十七年度にかけて影響が現われてくるのではないか、かように考えております。
愛
愛知揆一#20
○愛知委員 どうもそれだけのお答えではまことに納得ができないのであります。いま少しくいろいろの項目について、先ほど前提で詳しく申し上げましたような角度からお答えを願いたいと思うのでありますが、しかし野党とのお約束の時間もあるようでございますから、私は、この問題だけでこまかく時間をとられることがまことに残念でございますから、これは別の機会にさらにいろいろと詳細に伺いたいと思います。
しかし、本質的な問題については総理にぜひ一つ御意見の御開陳を願いたいと思うのでありますが、まず私は、これは日本の総理大臣に伺うのは非常に的違いかと思いますが、先ほども申しましたように、このドルの問題はアメリカだけの問題じゃない、自由主義国全体の問題であるし、そうしてまた、この問題についてはわがこととして、みずから問い、みずから答えるような必要の問題であると思う観点から、あえて伺いたいのでありますが、一体アメリカの経済が今後どういうふうになっていくのであろうか。これを端的に申しますと、今回のドル防衛の措置というようなものは、単純なセッションといいますか、波として、あるいは好景気、不景気というような、普通によく起こり得るところの景気、不景気の波というような意味における一つの後退なのでありましょうか、それとも、これはもう少し根本的な、アメリカ経済としての構造的な変動というようなものを意味するものでありましょうか。このあとの点については、評論家や経済学者の中にもいろいろの見方があるようでありますが、中には、たとえば欧州共同体等の非常な成長発展によりまして、アメリカの経済自体の中にも構造的な変化や見通しが予想される、今度の措置も、その根本的な変革に対処する一つの前提としての対策ではないかという見方もあるようでございます。それからまたもう一つの大きな見方としては、アメリカの世界政策、いろいろの防衛政策あるいは対外援助政策というようなものをも含めての世界政策的な変容、変貌というようなものも予想され、あるいはその一環ではなかろうかというような点をいろいろと問題にしている向きもあるようでございますが、やはりこのアメリカの全体の見通しについてある程度の見通しを持ちませんと、こちらとしてのみずからの答えというものは出にくいんじゃなかろうか。これはあとで私は、アメリカの世界政策というような点についても若干お尋ねをいたしたいのでございますが、まず今は、ドルの問題に関連いたしまして、この点についてもし総理に何らかのお考えがございますれば伺っておきたいのであります。
この発言だけを見る →しかし、本質的な問題については総理にぜひ一つ御意見の御開陳を願いたいと思うのでありますが、まず私は、これは日本の総理大臣に伺うのは非常に的違いかと思いますが、先ほども申しましたように、このドルの問題はアメリカだけの問題じゃない、自由主義国全体の問題であるし、そうしてまた、この問題についてはわがこととして、みずから問い、みずから答えるような必要の問題であると思う観点から、あえて伺いたいのでありますが、一体アメリカの経済が今後どういうふうになっていくのであろうか。これを端的に申しますと、今回のドル防衛の措置というようなものは、単純なセッションといいますか、波として、あるいは好景気、不景気というような、普通によく起こり得るところの景気、不景気の波というような意味における一つの後退なのでありましょうか、それとも、これはもう少し根本的な、アメリカ経済としての構造的な変動というようなものを意味するものでありましょうか。このあとの点については、評論家や経済学者の中にもいろいろの見方があるようでありますが、中には、たとえば欧州共同体等の非常な成長発展によりまして、アメリカの経済自体の中にも構造的な変化や見通しが予想される、今度の措置も、その根本的な変革に対処する一つの前提としての対策ではないかという見方もあるようでございます。それからまたもう一つの大きな見方としては、アメリカの世界政策、いろいろの防衛政策あるいは対外援助政策というようなものをも含めての世界政策的な変容、変貌というようなものも予想され、あるいはその一環ではなかろうかというような点をいろいろと問題にしている向きもあるようでございますが、やはりこのアメリカの全体の見通しについてある程度の見通しを持ちませんと、こちらとしてのみずからの答えというものは出にくいんじゃなかろうか。これはあとで私は、アメリカの世界政策というような点についても若干お尋ねをいたしたいのでございますが、まず今は、ドルの問題に関連いたしまして、この点についてもし総理に何らかのお考えがございますれば伺っておきたいのであります。
池
池田勇人#21
○池田(勇)国務大臣 世界の経済の変革、ことに各国の通貨の価値その他の問題につきまして、今から三十年足らず前のあのケインズの学説が出まして、よほど変わって参ったのでございまするが、三十年後の今においてこのドルの問題が起こって、私はちょっと名前を忘れましたが、画期的な金融、為替の変革が起こるんだと唱える学者がおるのであります。そういう一部の学者、それに相当共鳴しておる実際家もおるようでございますが、私は、このIMF中心に別の通貨というものをこしらえるというふうなことは、これはまだやはり学者の議論じゃないか、こういうふうに考えます。今度のドル問題の経過を考えますると、今から四、五年くらい前までは、アメリカがドルを持ち過ぎておる、西ヨーロッパあるいはアジア等ドル不足で困っておるから、何かこれを解消して、アメリカに金が集まらないようにすべきじゃないか、こういうことを西ヨーロッパでも言っておりますし、われわれもそう言っておった。まあ共同市場、貿易連合の発生以来それが成功いたしまして、そうしてアメリカからの金の流出が見られ、またわが国におきましても、ドル準備が相当多くなった。その原因は、やはりアメリカの何といいますか、お話しになりました労働事情その他によって、いわゆるクリーピング・インフレーションがずっと続いておった。それで、このクリーピング・インフレーションも、一九五六年、五七年ぐらいまでは、アメリカの輸出入の関係を見ますと、五六年はやはり七十億ドル、五七年は八十億ドル近い輸出超過、だから六十億程度の軍事援助、経済援助をやりましても、なお金がアメリカに集まるという状況でございましたが、五八年からはその七、八十億の輸出超過が五十億くらいになりました。五九年には、去年は輸出超過が二十億、だから六十億の経済援助、軍事援助で、そこで三十億前後の赤字が二年出てくるようになった。今年におきましても、その傾向があるのであって、これは私は、われわれが念願しておったアメリカヘの金の集中ということを排除して、西欧も日本も金を持とう、こういう念願が達せられて、アメリカの金が西ヨーロッパ、日本へきたという状態なのであります。われわれとしては、自由国家群、ことに世界経済の安定的発展をはかっていく上におきましてはドル価値の維持の問題は、アメリカ人のみならず、西ヨーロッパもわれわれも、自由諸国全体の問題でございます。従いまして、私は先の新聞記者会見におきましても、その意味のことを話し、ドルの価格維持はアメリカのことばかりでなしに、ヨーロッパ、われわれのことである。だから、この維持に対して協力しよう、こう私は答えておったのでございます。
今回のドル問題に対しまする三つの点、私はあなたと全く同感です。第一は、アメリカの輸出入の関係がそうなりましたから、輸出を伸ばさなければならない、そのためにはやはり為替管理をやめ、自由貿易に立っていかなければならない。しかし、この自由貿易主義と申しましても、もうすでに御承知のごとく、西欧におきましては、もうドルに対しましては九十数パーセントまで自由化をしております。自由化をしていないのは日本、私はこの情勢を察知しておりましたから、昨年来、自由主義に日本が移りかわらなければいけない、自由貿易で立っていかなければ日本の経済の伸展、貿易の発展は行き詰まるぞという考え方で自由貿易、自由化ということを唱え出しておるのであります。日本はおくれておりまするが、この問題につきましては、私は、ドル防衛の問題のあるなしにかかわらず、日本としてやらなければならぬという決意をいたしておるのであります。しかしドル防衛があったからといって、むちゃくちゃに進める、急がねばならぬという考え方が強化されたわけではございません。だから、第一の自由化という問題につきましては、これはわれわれには相当のことでございますが、全体としてあまり大きい問題ではございません。第二の、経済援助あるいは軍事援助につきまして、アメリカが、とにかく西ヨーロッパが持てる国になったのだから、低開発国への開発の肩がわりをしてくれなければならない、私は当然なことだと思います。また西ドイツは持ちすぎるほど持っていると申しますか、イタリーなんかも相当持っているのだから、これはやはりお互いにドルを防衛する立場から考えていくべきじゃないか。われわれといたしましても、単にドルを蓄積するのが本願じゃないのでございますから、東南アジア開発、その他低開発国には今までよりも一そうの決意を新たにして出ていくべきだと私は考えております。また軍事援助につきましても、たとえば西欧諸国につきましては、アメリカは軍事援助を少し減らすか、肩がわりというふうなことも言っておるようでございます。これはなかなかむずかしいと思うのです。これはアメリカ自体の問題、相手のあることでございますから、この点は今後各国がどう出るか、低開発国に対する開発、これは大いに肩がわりしていくことがわれわれとしての務めじゃないか。
第三の問題の、ICAとかあるいはアメリカ軍の経費を減らす、これはやむを得ざることでございます。しかし、この問題につきまして、日本に一番こたえるのはICAの問題、これは全体の二割以上日本は持っておるわけでございますが、この問題につきましては、たびたび申し上げておるように、一億一、二千万ドル、これがどういうような減り方になるか、これはまだわかりません。全部減るように新聞にも出ておりますし、あるいはいろいろなことがありますが、しかし問題は、せんだって新聞によりますると、値段が高くてもアメリカのものを経済援助で持っていくのだ、こういうことを言っておりますが、たとえば肥料の問題にいたしましても、これは肥料会社に非常に影響がある。今、肥料が大体外国への輸出は七、八千万ドルと思っておる。そのうちICAによる輸出が二千七、八百万ドルと思います。これだけ減るか減らぬかという問題であります。これは主として朝鮮、台湾、一部ベトナムでございます。朝鮮の方に今度はアメリカが硫安を持っていくか、あるいは尿素を持っていくかということになると、アメリカの肥料の製造能力がこれを肩がわりするだけ製造能力があるか、あったにしても、設備を拡張して日本の肥料のかわりにアメリカが肥料を生産するかどうかという問題、そしてまた日本ほど朝鮮に安く売れるかという問題、フレートの問題等々がございます。また季節的な関係もあります。今十二月から一月に対して要る肥料が今すぐアメリカに間に合うかというようないろいろな問題がございまして、ICAの一億一千万ドル、二千万ドルにつきましても、なかなか今のところ計算ができませんか、四十億ドルの輸出だから、これは大した問題じゃない、こういう考え方もありますが、これは一つ大きな問題としてその内容と時期を検討しなければいけません。それからICA以外のいわゆる軍需関係で円セールの問題は二億ドルばかりでございます。二億ドルばかりでございまするが、今日本に駐留しておるアメリカ軍人が五万人でございます。家族が五万五千、これがどれだけ減るか、大体一人の消費を千ドルと計算いたしまして、大体その五万五千のうちどれだけ減るかでございますが、私の計算では大体六、七千万ドルくらいの減りようじゃないか、ICAが全部減りましても二億ドル足らずじゃないか、こういう計算をいたしております。
それからアメリカ軍のいわゆる円の預け勘定、この分がどれだけ減るかということでございますが、これは私はあまり大して減らぬのじゃないか、軍人あるいは軍の設備がある以上はそう減ることはない。私の計算では大体何ぼいっても二、三年後に二億ドルくらいじゃないかという考え方を持っております。
そういたしますると、過去の例で申しますると、一番特需の多かったのは昭和二十六年と二十七年、このころは八億ドルくらい特需があった。そして日本の輸出は十一億ドル、十一億ドルに対して特需が八億ドルあった。今は四十億の輸出に対して特需全体が四億七、八千万ドル、それが二億ドル減る、まあ五%足らずということになると、前の朝鮮事変前後のピークからだんだん下がっていったときの様子から見ると、十一億ドルの輸出能力のときに八億ドルあった。四十億ドルのときにこれが二億ドルくらいになる。こういうことを考えてみると——それは心配する人もありましょう。われわれも心配いたしまするが、この程度というものはおわかりいただけると思うのであります。それから一ぺんに二億ドル減るわけじゃございません。たとえば昨年中アメリカに対しての輸出は、御承知の通り一昨年に対しまして三億数千万ドル——四億ドルふえておる、アメリカに対する輸出だけでも。本年はあまりふえておりませんが、今年に入りましてヨーロッパに対する輸出は四、五割ふえておる。こういうことを考えてみるならば、二、三年後に二億ドル減るとした場合において、われわれはこれは踏み越え得ない難関かどうかということを考えますと、私が本会議で言っておるように、二億ドル程度のものは大体踏み越え得るのじゃないか、日本の貿易の伸長から申しましても、世界貿易の毎年のふえ率は四%ないし五%、しかし昨年の日本の輸出入のふえ率というものは二〇%をこえております。世界の貿易におきまして日本の輸出の伸び方というものは各国の四倍ある。大体倍ぐらいのものは続け得るのじゃないか、すなわち前年に対して一割ぐらいの輸出の増は今までの実績からいって期待し得る。そうすると、四億ドルふえるということになれば、来年は二億みな減るわけじゃないのでございます。これは私は自分に問い自分に答えるという中山先生のあの論文も読みましたが、大体問い、答え得ると考えます。日本の国際収支の問題は、正確に申しますと通常取引において一億数千万ドルの黒字でございますが、日本に対する信用は非常に高まってきて、御承知の通りユーロー・マネーも今二億ドルをこえている。こういうふうな状態でありまして、日本の外貨事情というものは世界の一流とは申しませんが、中以上になっております。たとえば四十二、三億の輸入に対しまして十七億六千万ドル、あるいは今年末にはユーザンスの期間を延ばしましたから、大蔵省あるいは通産省、企画庁の方では、今年度は二十億になるだろうと見ております。そうしますと四十億余りの輸入に対して二十億の外貨を持っているという国は、イギリスは輸入額に対して二五%、フランスより上でございますが、ドイツ、イタリア、日本くらいじゃありますまいか。こういうふうな状況を考えてみますと、繰り返して申しますが、私は自分に問い、自分で答え得る。だからこの問題について、ICAは日本に非常に重要でございますが、各国におきまして日本ぐらい大へんだ、大へんだと言う国はあまりないと私は思います。やり方につきましても、あるいはアメリカのやり方が少しきつ過ぎるとかいう議論がございますが、アメリカの身になってみると、上手下手は別問題といたしまして、当然のとるべき処置であります。そしてドルを中心として立っておる国々は、このドル防衛に対して協力すべきであり、また日本も協力するだけの力があるかというと、協力するだけの力がある。そして日本はこういうことを考えながら輸出の振興をやり、世界の信用を高め、そして円に対する東南アジア諸国の信用を高め、ドル、ポンド、円というふうなことでやっていくことがわれわれの進むべき道じゃないか。こういう機会は一つのいい試練としてこれをうまく乗り切っていこうというのが私の考え方なのであります。時間の関係で十分申し上げられませんが、具体的にお聞き下さればまたお答えいたします。
この発言だけを見る →今回のドル問題に対しまする三つの点、私はあなたと全く同感です。第一は、アメリカの輸出入の関係がそうなりましたから、輸出を伸ばさなければならない、そのためにはやはり為替管理をやめ、自由貿易に立っていかなければならない。しかし、この自由貿易主義と申しましても、もうすでに御承知のごとく、西欧におきましては、もうドルに対しましては九十数パーセントまで自由化をしております。自由化をしていないのは日本、私はこの情勢を察知しておりましたから、昨年来、自由主義に日本が移りかわらなければいけない、自由貿易で立っていかなければ日本の経済の伸展、貿易の発展は行き詰まるぞという考え方で自由貿易、自由化ということを唱え出しておるのであります。日本はおくれておりまするが、この問題につきましては、私は、ドル防衛の問題のあるなしにかかわらず、日本としてやらなければならぬという決意をいたしておるのであります。しかしドル防衛があったからといって、むちゃくちゃに進める、急がねばならぬという考え方が強化されたわけではございません。だから、第一の自由化という問題につきましては、これはわれわれには相当のことでございますが、全体としてあまり大きい問題ではございません。第二の、経済援助あるいは軍事援助につきまして、アメリカが、とにかく西ヨーロッパが持てる国になったのだから、低開発国への開発の肩がわりをしてくれなければならない、私は当然なことだと思います。また西ドイツは持ちすぎるほど持っていると申しますか、イタリーなんかも相当持っているのだから、これはやはりお互いにドルを防衛する立場から考えていくべきじゃないか。われわれといたしましても、単にドルを蓄積するのが本願じゃないのでございますから、東南アジア開発、その他低開発国には今までよりも一そうの決意を新たにして出ていくべきだと私は考えております。また軍事援助につきましても、たとえば西欧諸国につきましては、アメリカは軍事援助を少し減らすか、肩がわりというふうなことも言っておるようでございます。これはなかなかむずかしいと思うのです。これはアメリカ自体の問題、相手のあることでございますから、この点は今後各国がどう出るか、低開発国に対する開発、これは大いに肩がわりしていくことがわれわれとしての務めじゃないか。
第三の問題の、ICAとかあるいはアメリカ軍の経費を減らす、これはやむを得ざることでございます。しかし、この問題につきまして、日本に一番こたえるのはICAの問題、これは全体の二割以上日本は持っておるわけでございますが、この問題につきましては、たびたび申し上げておるように、一億一、二千万ドル、これがどういうような減り方になるか、これはまだわかりません。全部減るように新聞にも出ておりますし、あるいはいろいろなことがありますが、しかし問題は、せんだって新聞によりますると、値段が高くてもアメリカのものを経済援助で持っていくのだ、こういうことを言っておりますが、たとえば肥料の問題にいたしましても、これは肥料会社に非常に影響がある。今、肥料が大体外国への輸出は七、八千万ドルと思っておる。そのうちICAによる輸出が二千七、八百万ドルと思います。これだけ減るか減らぬかという問題であります。これは主として朝鮮、台湾、一部ベトナムでございます。朝鮮の方に今度はアメリカが硫安を持っていくか、あるいは尿素を持っていくかということになると、アメリカの肥料の製造能力がこれを肩がわりするだけ製造能力があるか、あったにしても、設備を拡張して日本の肥料のかわりにアメリカが肥料を生産するかどうかという問題、そしてまた日本ほど朝鮮に安く売れるかという問題、フレートの問題等々がございます。また季節的な関係もあります。今十二月から一月に対して要る肥料が今すぐアメリカに間に合うかというようないろいろな問題がございまして、ICAの一億一千万ドル、二千万ドルにつきましても、なかなか今のところ計算ができませんか、四十億ドルの輸出だから、これは大した問題じゃない、こういう考え方もありますが、これは一つ大きな問題としてその内容と時期を検討しなければいけません。それからICA以外のいわゆる軍需関係で円セールの問題は二億ドルばかりでございます。二億ドルばかりでございまするが、今日本に駐留しておるアメリカ軍人が五万人でございます。家族が五万五千、これがどれだけ減るか、大体一人の消費を千ドルと計算いたしまして、大体その五万五千のうちどれだけ減るかでございますが、私の計算では大体六、七千万ドルくらいの減りようじゃないか、ICAが全部減りましても二億ドル足らずじゃないか、こういう計算をいたしております。
それからアメリカ軍のいわゆる円の預け勘定、この分がどれだけ減るかということでございますが、これは私はあまり大して減らぬのじゃないか、軍人あるいは軍の設備がある以上はそう減ることはない。私の計算では大体何ぼいっても二、三年後に二億ドルくらいじゃないかという考え方を持っております。
そういたしますると、過去の例で申しますると、一番特需の多かったのは昭和二十六年と二十七年、このころは八億ドルくらい特需があった。そして日本の輸出は十一億ドル、十一億ドルに対して特需が八億ドルあった。今は四十億の輸出に対して特需全体が四億七、八千万ドル、それが二億ドル減る、まあ五%足らずということになると、前の朝鮮事変前後のピークからだんだん下がっていったときの様子から見ると、十一億ドルの輸出能力のときに八億ドルあった。四十億ドルのときにこれが二億ドルくらいになる。こういうことを考えてみると——それは心配する人もありましょう。われわれも心配いたしまするが、この程度というものはおわかりいただけると思うのであります。それから一ぺんに二億ドル減るわけじゃございません。たとえば昨年中アメリカに対しての輸出は、御承知の通り一昨年に対しまして三億数千万ドル——四億ドルふえておる、アメリカに対する輸出だけでも。本年はあまりふえておりませんが、今年に入りましてヨーロッパに対する輸出は四、五割ふえておる。こういうことを考えてみるならば、二、三年後に二億ドル減るとした場合において、われわれはこれは踏み越え得ない難関かどうかということを考えますと、私が本会議で言っておるように、二億ドル程度のものは大体踏み越え得るのじゃないか、日本の貿易の伸長から申しましても、世界貿易の毎年のふえ率は四%ないし五%、しかし昨年の日本の輸出入のふえ率というものは二〇%をこえております。世界の貿易におきまして日本の輸出の伸び方というものは各国の四倍ある。大体倍ぐらいのものは続け得るのじゃないか、すなわち前年に対して一割ぐらいの輸出の増は今までの実績からいって期待し得る。そうすると、四億ドルふえるということになれば、来年は二億みな減るわけじゃないのでございます。これは私は自分に問い自分に答えるという中山先生のあの論文も読みましたが、大体問い、答え得ると考えます。日本の国際収支の問題は、正確に申しますと通常取引において一億数千万ドルの黒字でございますが、日本に対する信用は非常に高まってきて、御承知の通りユーロー・マネーも今二億ドルをこえている。こういうふうな状態でありまして、日本の外貨事情というものは世界の一流とは申しませんが、中以上になっております。たとえば四十二、三億の輸入に対しまして十七億六千万ドル、あるいは今年末にはユーザンスの期間を延ばしましたから、大蔵省あるいは通産省、企画庁の方では、今年度は二十億になるだろうと見ております。そうしますと四十億余りの輸入に対して二十億の外貨を持っているという国は、イギリスは輸入額に対して二五%、フランスより上でございますが、ドイツ、イタリア、日本くらいじゃありますまいか。こういうふうな状況を考えてみますと、繰り返して申しますが、私は自分に問い、自分で答え得る。だからこの問題について、ICAは日本に非常に重要でございますが、各国におきまして日本ぐらい大へんだ、大へんだと言う国はあまりないと私は思います。やり方につきましても、あるいはアメリカのやり方が少しきつ過ぎるとかいう議論がございますが、アメリカの身になってみると、上手下手は別問題といたしまして、当然のとるべき処置であります。そしてドルを中心として立っておる国々は、このドル防衛に対して協力すべきであり、また日本も協力するだけの力があるかというと、協力するだけの力がある。そして日本はこういうことを考えながら輸出の振興をやり、世界の信用を高め、そして円に対する東南アジア諸国の信用を高め、ドル、ポンド、円というふうなことでやっていくことがわれわれの進むべき道じゃないか。こういう機会は一つのいい試練としてこれをうまく乗り切っていこうというのが私の考え方なのであります。時間の関係で十分申し上げられませんが、具体的にお聞き下さればまたお答えいたします。
愛
愛知揆一#22
○愛知委員 総理の非常に自信満々でかつまた詳細な御答弁でありましたが、私は先ほど申し上げましたように、さらに今後もいろいろな具体的なアメリカ側の措置の展開もあることと思いますし、また先ほどの通産大臣の御答弁のような程度では、政府の本問題に対する取り組み方が非常に甘いと私は思いますので、なお一段と真剣にお取り組みになっていただきたいと私は思います。
そこでこの問題についての最後のお尋ねとして端的に総理に伺いたいのでありますが、かねがねわが国としては外資の導入という点について非常に熱心にやって参ったわけでございますが、今後における外資導入という問題についてのお考えを伺いたいということが一つでございます。
それから第二に、これも多年の懸案でございますが、ガリオア、イロアの問題について最近における何らかの交渉がございますか。またそれのあるなしにかかわらず、今後の御態度というものを承りたいと思います。
それからいま一つは、ただいまもお話がございましたが、低開発国に対する援助の日本への肩がわりの問題で、たとえば海外経済協力基金の出資を増額するというようなこともあるかと思いまするが、さらにそれ以外に、たとえば第一にお尋ねいたしましたガリオア問題等とも関連いたしまして、低開発国援助の日本のこれからの考え方。
さらにもう一つ、時間の関係もございますからこれも端的に伺いますが、今後の日本の防衛計画というようなものについて、今回のアメリカのドル防衛措置との関連で何らか変化が予想されますか。あるいはそれらの点についてお考えがあれば承りたいと思います。
以上四つの点につきまして総理からお答えを願いたい。
この発言だけを見る →そこでこの問題についての最後のお尋ねとして端的に総理に伺いたいのでありますが、かねがねわが国としては外資の導入という点について非常に熱心にやって参ったわけでございますが、今後における外資導入という問題についてのお考えを伺いたいということが一つでございます。
それから第二に、これも多年の懸案でございますが、ガリオア、イロアの問題について最近における何らかの交渉がございますか。またそれのあるなしにかかわらず、今後の御態度というものを承りたいと思います。
それからいま一つは、ただいまもお話がございましたが、低開発国に対する援助の日本への肩がわりの問題で、たとえば海外経済協力基金の出資を増額するというようなこともあるかと思いまするが、さらにそれ以外に、たとえば第一にお尋ねいたしましたガリオア問題等とも関連いたしまして、低開発国援助の日本のこれからの考え方。
さらにもう一つ、時間の関係もございますからこれも端的に伺いますが、今後の日本の防衛計画というようなものについて、今回のアメリカのドル防衛措置との関連で何らか変化が予想されますか。あるいはそれらの点についてお考えがあれば承りたいと思います。
以上四つの点につきまして総理からお答えを願いたい。
池
池田勇人#23
○池田(勇)国務大臣 先ほどお答えするのをちょっと忘れておりましたけれども、各国の、ことに西欧諸国のドル防衛についての協力でございまするが、低開発国のみがまだきまっておりません。ドイツは相当真剣に考えております。ドル防衛の問題といたしましては金利の問題がある。イギリスはこのドルの状況を見まして、十月二十七日に中央銀行の金利を六%から五・五%に下げた。またフランスも四%から三・五%に下げておる。ドイツは十一月に五%から四%に一%下げた。イギリスは八日に五分五厘から五分に再度下げております。この下げた理由を聞きましても、これは下げるような状況じゃないのだけれども、今度金利政策を弾力的にやっていこうと表明しておりまするが、アメリかの金利とヨーロッパの金利との差をここである程度是正して、ドル防衛に協力する態度でこういう措置をとったと私は考えております。私は日本の金利については申し上げませんが、とにかく西欧諸国はこういうふうに協力関係になっておる。私は、こういうのはやはり他山の石としてわれわれが外交あるいは経済政策に考えなければならぬ問題だと思っております。
次に外資の問題です。アメリカからドルの流出があるからこれをとめるのじゃないかという考え方を持っておる人もありますが、私の聞くところでは、そこまでいってはいないのじゃないか。これは専門家から申しますと、たとえばフォードの会社がイギリスにおける自動車製造会社の株を過半数くらい持っておったけれども、今度全株を引き受ける。そういうことになると、三億ドルくらい出ていく。こういうようなものにつきましてそれが行なわれておることを見ますと、外資の導入に対してどれだけの影響があるかということはまだ即断できない。願わくはあまり影響のないことを私は願いたい。しかし、アメリカ側の導入がいかなければ、われわれとしても今度はヨーロッパ諸国からの導入を考えるべき事態にきておるのじゃないか。しかし私は御質問について答えるのは、日本の外資導入について大した影響はないのではないか。今のイギリスの例等を見ましてそう考えております。
それからガリオアにつきましては、どちらかの本会議でお答えしたように、私は以前から債務と心得ております。総理大臣に直接のお話はまだございません、今後の問題として検討いたしたいと思います。
それから低開発国への出資、これは私はせんだってもフィリピンとの通商航海条約を締結し、また昨日もパキスタンの大統領に、パキスタンの経済五カ年計画に対して日本の援助をほしい、こういう申し出がありましたから、それならばパキスタンと早く通商航海条約を結びましょう。日本人が自由に出入りできないし、行ったって短日月しか滞在できないというのでは経済交流もできないから、早く通商航海条約を結びましょう。また先般インドネシアの大統領が来ましたときも、私は、通商航海条約を結ぶことが日本が低開発国に対して力を入れるもとなんだから、この通商航海条約を結ぶべく話をいたしまして、賛成を得まして、近日中条約を結べることと思いますが、私は、低開発国に対する援助はドル防衛があるなしにかかわらず、われわれはできるだけやっていくことが日本の東南アジアにおける立場から申しまして、日本自体を伸ばしていく上におきましても非常に必要なことでございます。従いまして、御審議を願っております輸出入銀行に対する出資も、やはり低開発国、中南米に対しましての経済援助ということが加わっておるのであります。そうしてまた御審議願っております五十億の開発基金につきましても、わが国の事情が許すならば、これをできるだけふやしていきたいという気持を持っております。しかし、何分にも相手のあることであります。また日本もお話しの通り外資を導入しておるような状況でありますから、その点の関係をはかりながら私はできる限り低開発国への協力を進めていきたいと考えております。
なお、ドル防衛につきまして防衛計画という問題、防衛計画というのはアメリカの軍事援助による日本の防衛の問題と思いますが、私は、アメリカの軍事援助は先ほど申しましたごとくそう大して影響はないのじゃないか。しかし、技術的にいろいろな変化もありますので、一がいには申せませんが、日本の防衛に対しましてのアメリカの物的援助の問題につきましては、われわれは今まで通り行くことを望んでおるのでございます。また日本自体の防衛計画につきましては、ドル防衛の問題とは別個の問題でございます。これは十分国情に沿った計画を立てたいと思っております。
この発言だけを見る →次に外資の問題です。アメリカからドルの流出があるからこれをとめるのじゃないかという考え方を持っておる人もありますが、私の聞くところでは、そこまでいってはいないのじゃないか。これは専門家から申しますと、たとえばフォードの会社がイギリスにおける自動車製造会社の株を過半数くらい持っておったけれども、今度全株を引き受ける。そういうことになると、三億ドルくらい出ていく。こういうようなものにつきましてそれが行なわれておることを見ますと、外資の導入に対してどれだけの影響があるかということはまだ即断できない。願わくはあまり影響のないことを私は願いたい。しかし、アメリカ側の導入がいかなければ、われわれとしても今度はヨーロッパ諸国からの導入を考えるべき事態にきておるのじゃないか。しかし私は御質問について答えるのは、日本の外資導入について大した影響はないのではないか。今のイギリスの例等を見ましてそう考えております。
それからガリオアにつきましては、どちらかの本会議でお答えしたように、私は以前から債務と心得ております。総理大臣に直接のお話はまだございません、今後の問題として検討いたしたいと思います。
それから低開発国への出資、これは私はせんだってもフィリピンとの通商航海条約を締結し、また昨日もパキスタンの大統領に、パキスタンの経済五カ年計画に対して日本の援助をほしい、こういう申し出がありましたから、それならばパキスタンと早く通商航海条約を結びましょう。日本人が自由に出入りできないし、行ったって短日月しか滞在できないというのでは経済交流もできないから、早く通商航海条約を結びましょう。また先般インドネシアの大統領が来ましたときも、私は、通商航海条約を結ぶことが日本が低開発国に対して力を入れるもとなんだから、この通商航海条約を結ぶべく話をいたしまして、賛成を得まして、近日中条約を結べることと思いますが、私は、低開発国に対する援助はドル防衛があるなしにかかわらず、われわれはできるだけやっていくことが日本の東南アジアにおける立場から申しまして、日本自体を伸ばしていく上におきましても非常に必要なことでございます。従いまして、御審議を願っております輸出入銀行に対する出資も、やはり低開発国、中南米に対しましての経済援助ということが加わっておるのであります。そうしてまた御審議願っております五十億の開発基金につきましても、わが国の事情が許すならば、これをできるだけふやしていきたいという気持を持っております。しかし、何分にも相手のあることであります。また日本もお話しの通り外資を導入しておるような状況でありますから、その点の関係をはかりながら私はできる限り低開発国への協力を進めていきたいと考えております。
なお、ドル防衛につきまして防衛計画という問題、防衛計画というのはアメリカの軍事援助による日本の防衛の問題と思いますが、私は、アメリカの軍事援助は先ほど申しましたごとくそう大して影響はないのじゃないか。しかし、技術的にいろいろな変化もありますので、一がいには申せませんが、日本の防衛に対しましてのアメリカの物的援助の問題につきましては、われわれは今まで通り行くことを望んでおるのでございます。また日本自体の防衛計画につきましては、ドル防衛の問題とは別個の問題でございます。これは十分国情に沿った計画を立てたいと思っております。
愛
愛知揆一#24
○愛知委員 それでは次の問題に入りまして財政、予算の問題について一、二お尋ねをいたしたいと思います。
その一つは、今回の補正予算の問題でございます。今回の補正予算は一般会計千五百十四億円というような相当大きな規模の補正予算でございまして、これはわが国の経済の予想以上の繁栄の結果であるということも言えるわけでありますから、一面においては喜ぶべきことであるということもできると思います。ところがその伸び方の問題なんでありますが、そもそもこの三十四年度の見込みが当初過小であった。その過小であった見込みに対して、成長率を六・六%というようなところに見積もったところに一つの根拠が、こういうような自然増収が出てきたところの根拠でもあるし、同時に私は、千五百十四億円というような程度のものではないのじゃないかと思うのです。これは私は歳入見積もりの具体的な各税目の見積もりについてまだ十分詳細に研究をしておりませんので、各税目にわたって個々に質疑を申し上げるだけの用意はございませんが、全体の観測として、私はこの程度のものじゃないと思うのであります。もし私の感じのようにこの程度のものでないという場合におきまして、さらに増収が確実になると見込まれる場合には、当然私は第二次の補正予算が組まれるものかと思うのであります。まず私は、その自然増収が見積もり過小ではないか、この点と、それからもしこれが過小であって、さらに増収が予想される場合には、第二次補正予算を組まれる用意があるのかどうかということを、大蔵大臣からお答え願いたいと思います。
この発言だけを見る →その一つは、今回の補正予算の問題でございます。今回の補正予算は一般会計千五百十四億円というような相当大きな規模の補正予算でございまして、これはわが国の経済の予想以上の繁栄の結果であるということも言えるわけでありますから、一面においては喜ぶべきことであるということもできると思います。ところがその伸び方の問題なんでありますが、そもそもこの三十四年度の見込みが当初過小であった。その過小であった見込みに対して、成長率を六・六%というようなところに見積もったところに一つの根拠が、こういうような自然増収が出てきたところの根拠でもあるし、同時に私は、千五百十四億円というような程度のものではないのじゃないかと思うのです。これは私は歳入見積もりの具体的な各税目の見積もりについてまだ十分詳細に研究をしておりませんので、各税目にわたって個々に質疑を申し上げるだけの用意はございませんが、全体の観測として、私はこの程度のものじゃないと思うのであります。もし私の感じのようにこの程度のものでないという場合におきまして、さらに増収が確実になると見込まれる場合には、当然私は第二次の補正予算が組まれるものかと思うのであります。まず私は、その自然増収が見積もり過小ではないか、この点と、それからもしこれが過小であって、さらに増収が予想される場合には、第二次補正予算を組まれる用意があるのかどうかということを、大蔵大臣からお答え願いたいと思います。
水
水田三喜男#25
○水田国務大臣 この三十五年度の税収の見込みが過小であったということは、今御指摘の通り三十四年度から五年度への経済の伸び率を非常に過小に見たためでございまして、想像以上に本年度の経済が順調に拡大しておりましたために自然増収が多くなったのでございますが、私どもは、従来の課税状況、収入実績というようなものを十分に見て検討して、現在判明している資料のもとではこれくらいに見積もるのが確実な見積もりだという考えで大体今のところは千六百五十億円前後の増収を見たわけでございます。そのうちでガソリン税の八十億円は今度の補正の中に入れておりませんし、それからきのう御説明しましたように、一月から減税をする五十八億円分も歳入に立てておりませんので、それらを差し引いて千五百十四億円、ここらが今見込み得る確実な見込みであると思っております。従って、今のところ第二次の補正予算というようなものは考えておりません。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#26
○愛知委員 水田大蔵大臣のお立場として、今第二次補正予算を出しますということも言いにくかろうかと思いますが、私は、これはもちろん愛知個人の見通しでございますが、増収は必ずこれより多かろうかと思います。そうしてその場合には、そのときの状況において第二次補正予算を組まれることと思います。そういう前提でお聞き取りを願いたいと思いますが、私は、そういった場合におきましては、インベントリーと申しますか、そういうものに組み込んでおかれて、予算の弾力的な運営、あらゆる情勢に対処し得るような心づもりでやられることが望ましいのではないかと思うのであります。実を申しますと、補正予算のただいま審議されておりまする中で、たとえば産投への繰り入れが、やはり私見でございますが、少なかったのではなかろうか、そういうこととも考え合わせまして、もしそういう場合には、今申しましたような考えでやっていただくことが望ましいかと、私、私見として思いますが、一つ私の意見に対しまして、水田さんの御意見を承りたいと思います。
この発言だけを見る →水
水田三喜男#27
○水田国務大臣 今申しましたように、現在見込まれる確実なところは、千六百五十億円前後の自然増だということでございますが、これにはまだ不確実な要素を今後持っておりまして、九月期の決算法人の申告納付状況とか、あるいは年末賞与の支給状況がどうなるか、年末年始における酒類の消費状況がどうなるか、あるいは申告所得税の確定申告状況がどうなるかということによって、今の見通しが今後どう狂っていくかわからないという要素を持っておりますが、大体私どもはそう大きい予想の狂いはないだろうと今思っております。ただ、そういう不確定要素を持っておりますので、私どもの見込み違いでまた自然増がもう少しふえるという事態があるかもしれませんし、そういうことを仮定した御質問であると思うのでございますが、私どもも、今度の補正予算において産投会計への繰り入れをもう少し多くしたかったということもございますので、そういう場合に愛知さんのようなお考えで対処するということについては、私ども賛成でございます。
この発言だけを見る →愛
愛知揆一#28
○愛知委員 引き続きましてこの予算の問題でございますが、実はこの千五百億円にしても、あるいはそれ以上にいたしましても、これは近来にない非常に大規模な補正予算でございます。従ってこうした場合には、補正予算を提案されるというよりは、むしろ来年度予算ともあわせて、いわゆる十五カ月予算というような、全体を通じての財政計画というものが、本来ならばここに提示されてしかるべきじゃなかったかと私は考えるのであります。これは総選挙の直後でもございますし、また国際的その他にもいろいろと新しく考えなければならない要素もある状態でありますから、あえて十五カ月予算ということに固執するというわけではないのでありますけれども、私は本来そう考えるべきものであると思うがゆえに、大よそ三十六年度予算の編成についてはどういう構想でお考えになっておるかということぐらいは、政府としてもこの際意見の開陳があってしかるべきじゃなかろうかと思うのであります。特に総選挙を通じまして減税、公共投資、社会保障、三大柱の公約を一方においてしておるわけでございますから、それとの関連におきましても、三十六年度の予算の編成の方針というものを大よその構想としてはどう考えておるかということについて政府のお考えを伺いたい。これはできれば総理から大体のお考えを伺いたいと存じます。
この発言だけを見る →池
池田勇人#29
○池田(勇)国務大臣 大蔵大臣が答えるべきところでございますが、特に御指名がございましたので、私の見通しを申し上げますが、今年補正予算を加えまして一兆七千数百億。今大蔵大臣が答えましたように、法人の大部分を占める九月期決算の状況、そして給与の増額による年末の賞与、また一般の経済界の好況による賞与等々を見ないと、三十六年度の税収入というものがつかめません。これは状況によって非常にふえる部面もありましょうし、そうふえないのもあると思いますが、これを見てから大体租税収入を考えて、そして切り盛りをすべきであると思います。しかし、今までの状況を見ますと、三十六年度の収入は、私はある程度ふえるのじゃないか。すなわち、この九月、十月ごろは今年の自然増収はガソリン税を入れて千二、三百億、来年度は二千二、三百億、こう言っておりましたが、今言ったように今年度の収入もガソリン税を入れて千六百何十億、こうなって参りますと、三十六年度の収入増加金額は三千億円をこえるのじゃないか、こうなって参ります。しかし三千億円としますと、交付税を差っ引いたり、あるいは前年度剰余金等々をやりますと、社会保障あるいは経済基盤強化の方へ持っていく金が少なくなる。平年度千一、二百億円になりますか、今度所得税を一月からあれいたしますから、三十六年度はほとんど平年度近くなりますから、千億円程度の減を引きますと、公共投資あるいは社会保障が思うように出ないのじゃないか。しかし少なくとも私が九月ごろ申しました社会保障制度に対して力を入れる、この分につきましては、今の増加所得の分が減税を押えておりますから、私は九月に考えておった社会保障制度の金額は相当ふえてくると思います。御承知の通り税制調査会からの減税案につきまして、七十万円以上の税率を動かさぬことにいたしました関係上、七、八十億税制調査会の減税案よりも少なくなっておる。少なくともこの七、八十億というものは、政府が減税分をふやさぬようにしたために、社会保障の方に向ける金が、九月ごろに予定しておった分よりもふえるのじゃないか、こういう関係で、一部で社会保障制度が後退したんだといわれますけれども、平年度千億円以上という減税の分が、規模がふえましたから税率をそのままにすると、千億円の減税というものは、経済基盤がふえましたから千五百億円になります。それをずっと押えて、第一にそれを社会保障に向けよう、こういうのでいっておるのであって、初め考えたよりも経済基盤が非常にふえたために、社会保障に関する予算が相当ふえる、前よりもふえる、また前よりもふやそうということで減税を押えてきたのであります。これはどうも皆さんによくおわかりにならぬで、池田は後退した、後退したと言いますが、これは愛知さんにはよくわかっていただけると思います。
そういう関係で、私は三千億円をこえる——これは大蔵大臣に対して申しわけないのですが、御指名がありましたから、三千億円をこえると見ております。どのくらいこえるかは、今の九月の決算、三十六年度の経済事情を見なければわかりませんが、三千億円をこえる、そうして交付税とかあるいは国債償還等々を引き、減税を引いてみると、おのずから出てくる。三千億円をこえれば、減税分はきまっておりますし、交付税もぴしゃっとはじき出せますから、あと公共投資と社会保障にどれだけ力を入れるか、社会保障は当初の私の組閣のときよりもよほどふえるということを申し上げ得ると思います。
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