池田勇人の発言 (予算委員会)

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○池田(勇)国務大臣 手っとり早く申しますと、御承知の通り今農業所得と非農業所得は一対二くらいと言われております。非農業所得に対しまして農業所得は半分とかあるいはそれ以下ということを言われている。十年後の状況を見ますると、もし倍になった場合におきましてはどこが一番ふえるかと申しますと、第二次産業、第三次産業が一番ふえます。そうすると格差を少なくするということになりますと、農業所得は倍以上にしなければならぬ、こういうことに相なるわけでございます。倍以上にするときに農業自体でどのくらいふえるかと申しますと、私の見通しでは、相当努力いたしましても五割ふえることはなかなかむずかしいのじゃないか。他の第二次、第三次産業は私は二倍半から三倍くらいになるのじゃないか、こう考えて見ますと、意欲的にと申しまするか、農業人口というものは半分あるいはそれ以下にならないと他との権衡がとれない、これは非常に率直に常識的な考えなのであります。他面今の農業の状況を見ますると、六百万戸と申しましても、農業専業は二百万戸あるいは二百十万戸と言われております。そして第一種兼業、すなわち農業所得が非農業よりも多い、いわゆる主として農業所得の第一種兼業農家というものは二百一、三十万戸といわれております。そして残りの百六、七十万戸というものは第二種兼業、農家とは申しましても、もう農家の所得よりも他の所得が多い。私はこれは今後数年間において第二種兼業、いわゆる非農業所得の方が農業所得よりも多い農家がだんだんふえていくのじゃないか、こうなって、十年後におきまして第二種兼業というものはどうなってくるかということを考えますと、これはすでに農家じゃないんじゃないかという感じがするのでございます。こういう両面から考えて参りまして、数の問題にとらわれることなく農業というものは自然にそうなっていくのが所得格差をなくするもとなんです。私は意欲的にもそうするようにしなければならぬ、だから第二種兼業を多くする、そこで愛知さんのお話にもありましたように、第二種兼業にするのには、その土地を売り払って出る人もありましょうし、あるいはまたその土地におりながら他の非農業の所得を得るようにしなければならぬ、それが今の工場の分散と申しますか、農業自体の方にも、いわゆる農業以外の所得の源泉を政府が政治的に持っていくようにしていくべきである、こういう考えで言っておるのです。農業の行くべき道ということは他の産業の発展につれまして、それに応じて農業がりっぱな企業として成り立つような施策を講じなければならぬ。農業というものは前から国のもとといわれておりますが、これをつちかうことが政治的に一番重要なことであります。りっぱな農業を打ち立てていく、そうするためには、土地の集中もありましょうし、あるいは農業法人、あるいは共同作業、いろいろな点がありましょう。もちろん土地改良とか、いろいろな今までの施策を推し進めていくことは当然でございますが、新しい観点に立って、りっぱな企業としての農業を打ち立てることが必要である。そうやっていきますと、自然にそれは半分とかあるいは四割とか、いろいろな見通しがありましょうが、それは今後の成り行きで、政府の施策がいかによくいくかによっても変わることでございます。私は、こういう意味から他の所得がうんとふえるときに、農業を今のままにしてはおけない。しかも農業は第二種兼業がふえつつあるこの状況が、十年後におきましては第二種兼業はどれだけになったか、またそしてその所得の割合がどうなったかというときには、これはもうすでに農家ではなくなるという情勢がくるのじゃないか、またそうすることが所得倍増、しかも格差を少なくするための倍増というところから当然の帰結であると私は考えておるのであります。

発言情報

speech_id: 103705261X00319601214_013

発言者: 池田勇人

speaker_id: 8420

日付: 1960-12-14

院: 衆議院

会議名: 予算委員会