愛知揆一の発言 (予算委員会)

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○愛知委員 私は先ほど申しましたように、この問題をあえて数字の上にとらわれて、人口がどういうふうな構成になるかというようなことを、この際いろいろとあげつらうよりは、むしろただいまも総理がお話になりましたように、農業は農業として意欲的に企業としてりっぱに成り立っていくようなりっぱな農業を作り上げる、これが農業基本法を制定されんとする精神であると思いますが、まずこれを一つ十分にりっぱなものに作り上げる、それから他面において九%の経済成長率ができ上がるような総合的な立地計画をもとにしたいろいろの計画が伸びていく、そうしてその方から需要される労働力等との関連におきまして、従来農家の立場にあり、農業に従事しておった人も、なるほどこれならば農業以外のところで十分自分も働いていける、そうして従来のような農業に依存していたよりは新しいその職場においてより多くの所得がとれ、それでりっぱになれるのだという確信のもとにおいて現実に移り得るような状態を早く作っていく、その上で十年たってから今日の状態を振り返ってみて、あの昭和三十五年の十二月十四日の予算委員会ではこういう論議もあったけれども、今からそれを振り返ってみればこういう差になったのだ、こういうふうに理解することが、物事がよりよく国民的にも大衆的にも理解されることではなかろうか、これは非常に常識的な言い方でありますが、そういうふうに私は考えるのでありまして、そういう点から私は次の問題に入りたいと思うのでございます。
 これは地域格差の問題と切り離すことのできない問題でございます。というのは、地域格差の是正の根本策というものは、いわゆる後進地域に可能な限り産業を分散することではないかと思うのであります。そのことが今も申しましたように農業と非農業とのいろいろの連関の問題を解明していく大きな手段であると私は思うのであります。ことに工業の地方分散ということは、もっともっと政府としても本腰を入れてお考えになってしかるべき問題ではなかろうかと思うのでございます。もちろん先ほどもちょっと触れましたように、総理のお考えになっておるところの所得倍増計画、あるいは経済政策の根本のかまえ方というものは、いわゆる社会党流の、重要な生産手段を国営にするとか、国管にするとかいうようなそういうやり方ではないわけでございます。考え方を整理をし、そうしてその考え方が、自然になだらかに国民の自主的な判断と努力によって効果が上がるような基礎を財政的、経済的に作っていくというのが、われわれの根本的な考え方だと思います。しかしそれにしても、地方に工業を分散させるという条件を整えるためには、たとえば道路とか水資源とか港湾とか住宅とか、そういうものの整備が財政的、政策的に絶対に必要なことは申すまでもございません。あるいは技能者の訓練というようなことが必要であることも申すまでもないわけでございますが、さらに私はこの際一段と考え方を進めまして、これは一つの私の私見にすぎませんけれども、たとえば後進地域における工業振興のための法律というような立法措置をお考えになることが私は必要ではなかろうかと思います。もちろんこの立法に際しましては、総合的な国土開発計画あるいは地域的な地方の開発計画というようながっちりした計画が基礎になければならぬことは申すまでもありませんけれども、やはりどうしても立法が必要ではなかろうか。たとえばこれにはどこどこの地方をもって後進地域にするかというような問題もございますが、常識的にいえば、たとえば東北とか北陸とか南九州とかいうようなところが考えられるかと思います。そういったところに工場を分散する、あるいは誘致するというようなことのためには、現在までも地方的には相当の努力が傾けられております。たとえば各県が条例を作りまして固定資産税その他の減免というようなこともやっておるわけでございますが、たとえばこれに一歩を進めて、政府としても固定資産税や不動産取得税や事業税やといったようなものが軽減されました場合に、これを当該県の立場におきまして、その軽減された額を基準財政需要として算入する、つまり国がそれだけの穴を埋めてやるというようなことであるとか、あるいはそうした県が工業の振興のために一定の起債をしたいという場合に起債の特例を設ける、そうして工場用地の確保等の資金のためにこれを充当するといったようなことについて、法的に奨励の方策を講ずることはいかがと考えるわけでありますが、さらにまた一歩を進めて考えますならば、国の税制自身の面におきましても、後進地域における工場新設による所得については、たとえば一定期間法人税の軽減の措置を講ずるというようなことまで一歩進んではいかがであるかというような考えを私は持つのでございます。すでに、たとえば現在行なわれておりまする法律におきましても、東北開発促進法においては、御案内のように重要事業について国庫負担の二割アップということが法制できまっておる。これのごときはたとえば基本的な公共事業等についていわゆる地方の負担を軽減するということが法律上すでにきめられて実行に移っておるわけであります。こういうことを単に従来できておる法律だけにとどめませんで、一般的に財政上あるいは税制上あるいは起債というような金融面におきまして、こういった立法的な措置をお考えになるということが、私はどうもこの池田総理の御構想を地について実現していくためには必要な措置ではなかろうかと思います。これは従来のオーソドックスの財政のやり方あるいはその他の考え方から言いますと、なかなか踏み切りのつかぬものであるかと思いますが、十年所得倍増、ことに後進地域との間の地域格差を是正する、そしてここに地方的な工場を振興して余剰労働力を吸収して所得を増加させるというような大きな構想から見ますと、その辺から意欲的な政策を政府においても展開されることが必要であるかと私は思いますが、このこまかいいろいろの具体的な、今数個の例をあげました、それらの点について、こまかい点はともかくといたしまして、私は立地計画に基づくこうした立法が必要であるというこの私の意見に対しまして、総理から一つ御所見をお伺いいたしたい。ここに積極的な意欲を総理みずから御開陳あらんことを私は切望するわけであります。

発言情報

speech_id: 103705261X00319601214_014

発言者: 愛知揆一

speaker_id: 34728

日付: 1960-12-14

院: 衆議院

会議名: 予算委員会