愛知揆一の発言 (予算委員会)

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○愛知委員 これらの問題については、先ほど申しましたようにさらにいろいろとお尋ねをいたしたいのでありますが、時間の制約がございますから一応この程度にとどめまして、次の問題に入りたいと思います。
 次の問題と申しまするのは、いわゆるドルの防衛の問題についてでございます。この問題につきましても、一応本会議その他におきまして質疑応答はあったわけでございますが、本日は私は冒頭に申し上げましたように、できるだけ詳細に具体的に政府の考え方、あるいは見通し、あるいはそれらに基づくところの対策というようなものについて、やはりくろうとだけが知っておればいい、しろうとは黙っておれというようなことではなくて、国民大衆とともに自分の問題としてわかるように、また納得のできるように、この問題についての解説と、それからこれに対処する国民としての態度というものをお互いに真剣に考えて参りたいということを前提にして、以下数点をお伺いいたしたいと思うのでございます。
 この問題について、実は十二月十一日の朝日新聞の日曜論壇で中山伊知郎氏の所見が発表されておりまして、私はこれに非常に興味と同感を覚えたわけでございます。その中にこういうことが書いてございます。たとえば特需がなくなるとしても、あるいはまた対米輸出が減退するにしても、それはヨーロッパ向けに輸出をすればいいじゃないか、いろいろ方策はある、こういうふうな考え方もあるいはあるであろう。しかしそれはともかくとして、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくない。つまりあまりにも問題を重視し過ぎて、こうなったらどうなる、こうなったらどうなると、極端な場合だけを積み重ねて考えることはよくないが、反面において、極端な予想される場合におきましてもやれるという覚悟と用意とが必要である。そういう意味において、事態をよりよく分析し、あらゆる場合に対処する覚悟と用意とがほしいという趣旨がございますが、私は今の政府に望みたいのはこの言葉であり、態度であると思うのでございます。つまり事態をよりよく掌握し、そうしてこれをできるだけ言葉を惜しまずに説明をし、国民に納得を求めることが必要であると思います。同時に、中山氏はこういうこともその中で言っておられます。少なくともドルで困るのは米国だけではない、自由世界全般である。危機に処する各国の態度は当然に自国本位ではなく、協力主義的でなければならない。そうしてまたこうもいっております。そうした協力関係を持つべく日本の経済は十分な用意を持っているか、みずから問い、みずから答えることが今日の急務である。私はこの通りだと思うのです。そこで私はみずから問い、みずから答えるという意味において、この問題について若干の御質問をいたしたいと思うのであります。
 まず第一に、これは事実のことでございますから、ここにあえて申し上げる必要もございませんが、十一月十六日のアイゼンハワーのディレクティブで、国際収支改善の一連の緊急措置を指定したわけでございます。これは前から当然予想されたことであるといってもいいかと思いますが、アメリカの全保有高が百八十億ドルを割ったことを機会として、ドルに対する信頼を維持することによって、従来アメリカが果たしてきた自由世界での責任と地位を持続しようとするのが、この根本の考え方ではないかと思います。そしてその重点を分析すれば、こういうことになるかと思います。まず一つは、自由化促進等によって米国自体の輸出を増大するということ。それから一つには、先進工業諸国による後進国の経済援助等を肩がわりをするということであるかと思います。それからその一つは、特需の域外調達の削減と軍人家族の引き揚げ等による対外支出の軽減ということにあると思います。そしてこれと同時に、アメリカ自体の長期の対策として、たとえば米国の輸出の問題にしてみるならば、相手国に対しまして関税とか貿易制限とかいうものの除去ということを要請することになろうかと思われます。また国際金融の面におきましては、いろいろの点においてすでに西欧諸国にも手を打っておるようでありますが、経済協力への支援を要請するということになろうかと思います。またアメリカ自体の国内対策とすれば、インフレの対策、あるいは労使問題の解決というようなことも、この長期対策の中には上げられておるようでございますが、さらにこのディレクティブによって、十二月十五日を期限にして、アメリカの関係各省に対して、具体的な細目が立案され、そしてこれがホワイト・ハウスに報告されることを期待しておるわけでございますから、今後におきましてもこの十五日を契期にしていろいろとこまかい指令が出てくることが予想されるわけでございます。従って今政府にいろいろのこまかい点について、これはどうだとお尋ねしても、答えられない点もあることは、これは事の性質上当然だと思います。しかし、十二月五日にハーター長官から国際協力長官に対して発出された指示だけ見てみましても、ICA資金による物資調達を秩序よく停止することということが示されておるわけで、これと先ほどの大統領のディレクティブの、私は勝手に三つの点にしぼってみたのでありますが、今まで明らかにせられたことだけでも、私は、やはり相当の日本に対する影響というものがあることは否定できないと思うのでございます。そうしてこれらに対しまして、たとえばICA資金による調達については秩序よく停止することと書かれてある、それから例外措置も若干は認めてあるというようなことではあるけれども、例外措置は多くなりそうなんだから安心だとか、あるいは部品の発注というようなものも認められるはずだから安心だというような、安易なサイドだけをこの際誇張せずに、先ほど私は中山氏の所説を引用いたしましたように、極端な場合だけを考える必要もないけれども、考え得るいろいろの場合を想定して、それでも日本の経済はこうやっていけばいけるのだというふうに、態度としてこまかく、何べんも申しますようでありますが、わかりやすく、一つ政府の態度というものを国民に対して御表明願いたいと思うのでございます。
 そこで、前置きは長くなりましたが、まず総体的に、これらの措置に対してどれだけの具体的な影響が考えられるかということを、これは通産大臣からでも、あるいは事務当局からでもけっこうでございますが、一応御説明をお願いして、それからさらに質疑を進めることにいたしたいと思います。

発言情報

speech_id: 103705261X00319601214_018

発言者: 愛知揆一

speaker_id: 34728

日付: 1960-12-14

院: 衆議院

会議名: 予算委員会