坂本昭の発言 (社会労働委員会)

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○坂本昭君 今の御答弁で、どうもまだきわめて不満足な点があるのです。それは二点ありますが、まず第一点は、郵便貯金が一兆億をこえておりますけれども、これも資金運用部資金に預託されていますが、これは郵便貯金というものと、それから厚生年金保険の積立金あるいは国民年金の積立金と、何か同格に、同一視して扱っておられる考え方自体が、これは基本的に間違っているのじゃないか。郵便貯金は郵便貯金でいいんです。これは大蔵省に預託されている方が、私は筋が通っていると思う。そうしてこれが大企業に使われたって、これについて私は何とも申しません。しかし、年金の積立金というものは、これは失業保険の積立金、あるいは労災保険の一これは正確にいって、積立金というと語弊があるかもしれませんが、これらのものと郵便貯金とは、質が全然違うということです。この正しい認識を持たないというと、厚生省当局が大蔵省と折衝する場合に、私は十分な力とならないと思う。これは次官に、誤解のないように申し上げておきますが、私は確かに、今の政府の国民年金運動を全面的にこれを取りつぶすために一生懸命やってきたんです。しかし、それは、社会保障をなくし、年金制度をなくすためにではなくて、もっといいものを作る、もっといい法律改正をやっていただきたい。その中で、この積立金の問題は、非常に大きな問題で、私は、この積立金は、大蔵省から取って、厚生省に何とか持ってきたいという点では、おそらく皆さん方の御賛同を得られると思うのです。でありますから、そういう点で、いろいろ私の申し上げる意見については、十分な御検討をいただきたいのですが、まず郵便貯金とこの年金の積立金とは違うということが第一点であります。
 それからその次の点は、年金の積立金の所有権の問題であります。これは当委員会でも、前に少し議論したことがあります。法制局の意見も聞いたことがあります。これは衆議院の社労で、こういうことが審議されたか、検討されたかどうか知りませんが、だんだんと積立金の所有権については、新しい考えが生まれてきているのです。それは、この厚生年金の積立金は、労使がともに出し合って積み立てられたもの、そうしてこれはだれがもらうかというと、一定の条件の後、特に一定の年数の後に、受け取るのは、労働者のみが受け取る。これは企業主の方は、受け取る権利はないのです。労働者のみが受け取る。それから国民年金については、もちろん政府も二分の一負担をしますけれども、その二分の一といえどもこれは税金でございますから、これは国民の側の出したものであって、それを受け取る者は、あくまで農民や中小企業の人が何年か後に受け取る、あるいは失業保険の積立金が現在九百四十億くらいありますが、これも労働者が失業した場合に受け取るのであって、雇い主は受け取る資格も権利もない、従って、だれが将来受け取るべきものであるかという考えからするならば、これらはすべて労働者やあるいはお百姓さんや、商売をしている人が受け取る資格と権利を持っているのであって、たまたまそれが、その条件に達するまでは、いわば預かって積み立てておくという性質のものであります。従って、今回、衆参両院で社会党から、国民年金に関連する法律案がたくさん出まして、そうして、その積立金の運用については、われわれは、事業主の側ははずしてしまったのです。それは、事業主の側には、これを運用するところの権限というものは、法的にいってもないはずだ。これらの権限があるのは、これは労働者の側であり、農民のだけしかないのだ。これは一部の法律専門家の中には、そういう意見が実は通っているのです。そういう考え方があるのです。何もわれわれが牽強附会の説を申し上げているのじゃなくて、そういう考え方もあるのです。でわれわれは、そういう立場では、この積立金について、厚生省は大蔵省に、もっともっと厚生省自身が強い意見を述べていただいてもちっともかまわぬどころじゃない、述べてもらわなければならないし、さらにそれは厚生省が述べるのじゃなくて、国民年金については、農民の代表がそういう意見を言うべきである。実はそういう考えを持っているのです。従って、今、あなた方の述べられた点では、郵便貯金の性格と、それからこの積立金の所有権の性格、そういう点でどうも大きな食い違いがある。そうしてこのことは、この年金の問題だけじゃなくて、日本の社会保障の基本的な問題の中で、非常に大きな問題をこれから出すだろうと思う。それは、医療保険についても同じなんです。きょうは実は、大臣あるいは次官に、中央医療協議会の問題あるいは臨時医療報酬調査会のこともお尋ねしたいと思っておったのです。で、先ほど速記をつけない機会に、若干、次官の御意見も伺ったのですが、医療問題についても、今日医療保険の保険金を出すものは、企業家、それから労働者、被用者保険の場合は、労働者、国民健康保険の場合は農民と、それからまた、国庫負担があるわけです。しかし、それを出すのは、出してそうしてそれを受け取るのは、労働者であり、農民である。そうして、それらの金は、あるいは積み立てられたり、あるいは医者に対して支払いをされている。ところが、現在、医師会がこの単価を引き上げて、医師の収入をふやしてもらいたいという交渉の対象はどこかというと、厚生省であり、場合によれば、自民党の三役である。私はこれは非常に不合理だと思うのです。当然今のこれは、年金の積立金とは性格がちょっと違いますが、やはり医療保険として拠出されたところのものであります。その額が足らない場合には、それをふやしてもらいたいという医療担当者側の要求を直接に交渉する者は、被用者保険の労働者であり、また農民であってしかるべきであって、私は、そういう点では、日本の今日の医療保険あるいは医療行政あるいは政治一般が、まだ民主化されていないと思う。そういう点では、イギリスのような、いわば組合管理主義といいますか、労使の中でだんだんと作られていったところの、組合的な医療の管理運営といった行き方が、日本にももちろん今日ございますが、まだまだ不十分である。たとえば国民健康保険についても、それぞれ各地には運営協議会があるけれども、こういう大事なこの医療費の問題などにあたっては、いつも農民や労働者というものは、のけものになっている。そういう点で、今後の日本の医療についても、従来の行き方を根本的に変えなければならぬじゃないかという考えを、私たちは持っておる。このことはこの積立金問題についても、基本的な問題として取り上げなければならない、そういうふうに考えているのです。非常にごたごたと申し上げましたが、この際、次官並びに局長から特に御意見を伺っておきたいのは、郵便貯金の性格と積立金の性格を、同じようにお考えになっておられる皆さんの見解は、私はおかしいと思う。さらに今の所有権の問題ですね。これはまあ法律的には非常に問題点が起こると思いますが、一応厚生省として、どういうふうな積立金というものに対して考えを持っているか、その考えに基づいて、これは大蔵省との折衝というものは行なわれなければならないと思う。その二点について、この際承っておきたいと思います。

発言情報

speech_id: 103814410X03419610606_022

発言者: 坂本昭

speaker_id: 17950

日付: 1961-06-06

院: 参議院

会議名: 社会労働委員会