櫻井志郎の発言 (農林水産委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○櫻井志郎君 私は自由民主党を代表いたしまして、本案に賛成の意見を表明いたします。
長期展望の立場に立って、日本農業の将来を分析していきますならば、国民経済の高度成長という立場で、今後の果実に対する需要動向というものは、当然伸びていく、そういう背景を持って果樹農業は十分成長していく可能性はあるという点については、私はだれも否定する方はないかと思います。そうした果樹農業をめぐる内外の情勢とでも申しましょうか、というものの上に果樹農業振興特別措置法案が、前の三十四国会に提案され、いろいろ本委員会においても討議をされたのでありますが、その当時の廃案に対して、今度政府は新しく、過般の私どもの討論の結果もある程度加味されて、旧法案を修正して提案されたわけでありますが、極端な言い方をしますならば、果樹農業に関する融資特別指貫法案とでもいっていい程度の法案であったものに対して、今国会における提出法案は、新しく果実の需要及び生産の長期見通しを立てて公表するという条項、第二には、優良苗木等の円滑な供給をはかるためのもろもろの措置に関する条項、第三には、流通、加工の合理化等のための国及び県の援助措置、こうした新しい三点に関する条文を追加して今国会に提案され、本委員会において熱心な討議が重ねられたのであります。旧法案に比べて進歩した点は、私どもとしても十分了解できる。ただ卒直に言いますならば、別に審議されておる農業基本法案に比べて、いかにも格調の低い感じがするという点は私はこれは否定することができないと思うのであります。そのいろいろの点に対して問題があるのでありますが、たとえて言いますと、長期需要の見通しに立って、将来需要が伸びるであろう優良でかつ品種系統の明らかなような苗木の供給確保という問題についても、先ほど言ったように条文には確かに触れてはおりますけれども、現実のこの法案と見合っての三十六年度政府提出の予算案というものを見ますと、苗木に関連した予算としてはわずかに八百四十万、農林総予算の中で二万分の一にも満たない、こういう程度の予算で、私はこの法案で期待しておる将来の日本の果樹農業の発達ということと見合っていけるかどうか、これは一つの例でございます。もちろん、果樹農業の振興のためには、苗木に関する予算だけでないことは申すまでもございません。農林予算で一番大きく組まれている農業基盤整備費四、百六十三億というものは、当然果樹農業の発展のためにも、その基盤整備のために活用される予算ではございますけれども、たとえば今も安田委員から御指摘がありましたように、苗木の問題についてはなかなか現実の姿、あるいは近い将来の姿というものが、この法律が施行された暁に、われわれが期待するようなそういう姿と合っているかどうかという点を考えますと、政府の低調さとでも申しましょうか、その点に私どもはもっと力強い全国民的な、全農民的な意慾の展開というものをやはり期待したいと思うのであります。
いま一つ果樹農業の需要の拡大ということと密接不可分の問題としては、加工流通の合理化でございます。もちろんこれにつきましても新しく、旧法案に比べると条文ができたわけではありますけれども、現在の行政の実態を見ますと、非常になまぬるい、手ぬるい非常に極端な言い方をすれば放任された形がないでもない。私は先般そのごく一端に触れ果汁、ジュースの現状について深くは追及しませんで、その一端に触れたわけではございますが、将来の日本の果樹農業の振興という立場から見ますならば、優良なジュースが国民に消費され、あるいは外国に輸出されるということも大いに期待していかなければならないはずであるのにかかわらず、現状の果汁はむしろ何といいましょうか、着色、味つけ飲料といった程度のものが市場にはんらんして、優良なジュースに対して、その発展を阻害しているようなことも見受けられますし、また、そうした果樹農業の立場だけではなしに、国民保健の立場から見て、憂うべき現象が出てくるのではないかということも考えられます。
また、果実及びその製品に関する過去及び現在の輸出入関係を見ましても、生田木の輸出がある程度伸びてはきておりますものの、やはり将来の輸出という点から言いますならば、優良な加工カン詰、あるいはびん詰、こうしたものがますます外国市場に伸びていくような、そういう場も作り出さなければならない。あるいはまた、私はよく知りませんが、ホテル用という名前で若干の外国原料ですか、外国製品ですか、外国原料だと思いますが、によるジュースがホテル用という名前で外貨割当を受けている。しかもそうしたものがホテルだけではなしに、市場にはんらんしてくるということによって、国内の加工業及び果樹の需要に対して障害も見受けられるやうに考えられるのであります。
そうしたもろもろの現実の実態というものを直視し、把握して、この法案の趣旨というものを十分徹底していかれることを期待するのでありますが、同時に極突な言い方をしますならば、この法案は先ほども申し上げたように、いかにも低調な感じを否定することができないのであります。政府におかれては、この特別措置法案が成立の暁には、この法律を突破口として、やがて成立するであろう農業基本法と見合った格調の高い、日本の農業の中で成長する畜産と果樹こういう一つのものを背負って立つりっぱな法制上の措置というものを、できるだけすみやかに整備される、こういうことを要望いたしまして、賛成の意見を申し上げておきます。