池田勇人の発言 (農林水産委員会)
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○国務大臣(池田勇人君) この自由主義経済を建前としておりまするわれわれといたしましては、一つの目標というものを作りますが、これを計画的にどうこう十年間見ることはこれは困難だ。共産主義国の今の直接統制をやって自由を無視してしまっているようなものでも狂いやすいのは御承知の通りでございます。また、わが国におきましても過去二回作りました。昭和三十年と三十二年、五年計画を作っても、御承知の通りもう一、二年で狂う、こういう状況でございます。従って十年後に、しかも非常な伸び方をしている日本におきまして、これの青写真ということは、私は何人も作り得ないと思います。そこで、所得倍増計画というのが企画庁のあれで出ましたが、これは一応の試算でございます。だから私はこれを閣議決定するときにおきましても、これは今までの経過から見ても、五年の分ももう二、三年立たないうちに狂ってしまうのだから、だから前の三十二年のあの狂った分に置きかえる、こういうことで、この通りにはなかなかいきません。ただ企画庁の関係で、前の三十二年の新経済五カ年計画、これというものをやめてしまわなければいかぬ。何にもならぬ。それにかわるものだとしてやっている。なかなか困難だ。ただ、私は個人的に総理になる前にいろいろ研究はいたしました。これは総理としての答えじゃないのですが、もしお許しを願えるなら、個人的なあれとして言うと、大体九%程の十年間の伸張があれば、私は第一次産業はまあ五〇%程度ではないか。それから第二次産業は大体三〇〇%、いわゆる三倍ちょっとこえるのではないか。第三次産業が三倍ちょっと以下ではないか、二倍七、八というふうになるのではないか、そうなってきますと、第二次、第三次産業への新規労働者を入れても、三倍になったときには、新規労働人口の一般のふえようでは足りない。そうして見ると、今の農村が、第二次、第三次は三倍になっている。片一方が五割ふえたくらいで、日本の経済の格好はどうなるということを考えて、今の当然の結果として、新規労働者のみならず、今の農民の方々が相当第二次、第三次産業に回らなければ、九%の十年間の増長率は、なかなかもう労働力の関係で行き詰まってしまうというので、私はあのときに、専業農家、第一種兼業、第二種兼業の区別をせずに、農業を主たる部分とするものは相当減ってくるであろう、こう私は言ったのであります。一一%の増の場合と、九%の増の場合と、七%の増の場合と、いろいろやってみましたが、三分の一になるというのは、一一%の増を続けた分の数字と九%の数字を言い間違いであったものですから、二時間後に訂正しておきました。そういう一応の格好は私個人としては作ってみたのでございます。しかし責任の地位におきまして、しかも今の現在の状況を見ますと、そういういろいろな試算はあるけれども、少なくとも三年間九%の増は見込めるのじゃないか、こういうので全体の分だけを今見てやったわけなんです。しかるところ、昭和三十五年を全体の総生産を一兆三千六百億として、九%の見積りを三年間でやりましたところ、三十五年の、私の当初の九%は実績においては一三、四%の増を来たしておるのであります。というふうな状況でございまして、十年後の青写真と申しましても、これは責任のある人は、これはなかなか申し上げかねる。で、私は責任のない立場のものを申し上げたのでございますが、なかなか困難、しかも、これはあなたが是認して下さったように、農村がよくなるかよくならないかということは、政府の努力もありますが、農民自体の熱意と行動力によってきまってくる。われわれはその熱意、行動力を伸ばすように道作りをしようというのでございますから、私はここで自由経済の立場におるわれわれといたしまして、青写真ということは、これは作ってみても、かえって今までの実績が示しておるごとく、その青写真は何にもならぬことになると思いますので、個人的の想像は申し上げておきますが、まあ三年間におきましてもそういうふうな状況でございます。ただ、私は成長過程においてのみ所得の格差の均衡が是正できる、こういう観念で言っておるのでございます。