野田卯一の発言 (予算委員会)

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○野田(卯)委員 次に中国問題に触れたいと思います。
 総理大臣は先日の施政方針の演説におきまして、中国代表権問題に触れて、中国大陸の国民に親近感を感じつつも、すでにわが国と平和条約を結んで友好関係にある中華民国の将来に至大の関心を持たざるを得ない、こう言っておられます。また、これが世界的規模を持つ重要問題であり、国連で十分討議され、世界世論の納得のいく公正な解決を期するために努力する考えだ、かように述べておられまして、表現に非常に苦心の跡が見られるのであります。しかしながら、かつて朝鮮動乱以来、国連においては中共は侵略者として取り扱われており、今日私どもが東南アジアの方面に参りましても、中共の侵略的態度を著しく感ずるのであります。現に私どもが先般インドに参りましたときに、インドの青年諸君が十数人私たちのそばを通り過ぎたのでございますが、その青年諸君が私ども一行を中国人と見誤りまして、痛烈な罵声を投げかけて通ったのでありまして、インド大衆の中共に対する反感をまざまざとわれわれは見せつけられたのであります。チベット問題あるいは中共の国境侵犯の問題でさんざんな煮え湯を飲まされて参りましたインドのネール首相は、最近中共の侵略的な態度が改まらない場合には戦争も辞せないというふうなことも漏らしておると聞いておるのであります。従来中共と友好関係にあると言われておりましたビルマにおいても、最近ウー・ヌー首相は著しく反中共の態度に変わってきております。中共のまことに強圧的な態度と国内撹乱工作に対する怒りより発したるものと認められるのであります。世界の視聴を集めていますラオスの騒乱と中共との関係については今さら説明を要しません。カンボジアの国家主席であるシアヌーク殿下は従来共産圏に対しましても友好的な態度を持しておりましたが、最近一たん辞職されまして第五次内閣を組織されたのでありますが、それ以来共産主義に対してきわめて警戒的なる態度を示すに至られました。それはラオス、ベトナムにおける共産分子の活動がひたひたとカンボジアに押し寄せて参りまして、カンボジア政府のこれまでの共産主義者に対する穏やかな態度を硬化させるに至ったものと言われておるのであります。また南ベトナムの治安は共産ゲリラであるベトコンの跳梁によっていたく撹乱され、同国の政治経済に大きな影響を与え、ベトナムの前途に暗雲を漂わしておるのであります。このような中共政府の近隣諸国を脅威する侵略的ともいうべき態度について、アジアの一員であり、アジアの国のうちでは兄さん分と見られております日本の総理大臣として、いかなる見解を持たれておりますか、お尋ねをいたしたいと思います。
 また私たちは本年三月台湾を訪問いたしまして、親しく現地の実情に触れる機会を得ましたが、現在台湾には千百万人の住民がおりまして、これらの人々は、それが戦前から居住しておる台湾人でありましても、また蒋介石総統とともに台湾に渡って参りました中国人でありましても、いずれも共産主義に対しましては徹底的な反対の態度をとっておりまして、またわが国に対しましては大きな信頼と親近感を持っておるのでございます。またこの際私たちの思い出すべきことは、終戦の際に中国大陸にいた数百万人に上る軍人や民間の人々の運命が最も案ぜられたのでございますが、その際暴に報いるに暴をもってしてはならぬと国民を教えてわが同胞の生命を守ってくれたのは蒋介石総統であります。また北海道の東北半分を、釧路、留萌ライン以北をソ連が占領したいという要望に対しまして、これを拒否してわが国内に三十八度線を設けさせなかったのは、マッカーサーのごとく伝えられておりますけれども、ほんとうの主張者は、ほんとうにこれを実現させたのは、まさに蒋介石総統でございます。また多年にわたりまして膨大なる損失をこうむりましたにもかかわらず、真の友愛の精神からわが国に対する賠償の権利を放棄をいたしましたのも、実に蒋介石総統であるのであります。
 中国問題の処理にあたっては、それらの事情につき十分なる考慮を払うべきものと思いますが、これに関する総理の御見解を承りたいと存じます。
 なおもう一点ありますが、昨日のニューヨーク発共同通信の報道によりますと、国連の日本代表部は、中国代表権問題に関しまして、積極的に重要問題として議論するが、結局は中共の国連加盟するのを認め、その結果中共だけ国連加盟となっても、国府が国連外の独立国として存在するならやむを得ないという構想で進むかのごとく伝えておりますが、この報道はまことに重大でございますから、これに関する政府の見解を御表明願いたいと存じます。

発言情報

speech_id: 103905261X00219611003_016

発言者: 野田卯一

speaker_id: 14624

日付: 1961-10-03

院: 衆議院

会議名: 予算委員会