1961-10-20
参議院
大沢実
決算委員会決算の提出手続及び審査方針に関する小委員会
大沢実の発言 (決算委員会決算の提出手続及び審査方針に関する小委員会)
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○説明員(大沢実君) 本日この小委員会で検査院の意見を述べろということでございまして、ただ、私がこれから申し上げますことは、あるいは当小委員会で、検査院に聞きたいと思っておられることと、ピントが狂っていやせぬかということを懸念するのでありますが、一応いろいろと申し上げまして、なお足りないところは御質問に応じてお答えいたしたいと思っております。なお、申し上げることは、そんなことは当然わかっているというようなことも申し上げるかもしれませんですが、その点も御了承願いたいと思っております。
これから申し上げようと思いますのは、憲法九十条の「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」というこの憲法の条文、これに盛られた内容について、会計検査院としての意見というものがまとまっておる点を申し上げてみたいと思っております。第一に、この「国の収入支出の決算」というものは、これはもう申し上げるまでもないのでありますが、どういうものかということに対しましては、これは財政法におきまして「歳入歳出決算」という言葉で表現されておりますのと内容は同じでありまして、一年間の国の収入または支出の実績を計数的に集計し、科目別に整理したところの計数の表現である。こう解しております。したがいまして、この収入支出の決算の確定ということに対しましては、これは大蔵省でこの決算を作成しまして、内閣が検査に付するために会計検査院へ送付する前、内閣で検査院へ送付することが決定するときには、すでに決算としては確定していると、こういう解釈をとっております。
戦前の——戦前といいますか、旧憲法におきまして、この決算を会計検査院が「検査確定」するという文句がありました。新憲法にはこの「確定」という言葉がなくなっているのでありますが、そうした点から、旧憲法下におきまして、決算は検査院が確定するのではないかという意見が一部にあったわけでありますが、旧憲法下におきましても、会計検査院の見解といたしましては、この「検査確定」という言葉は、のちに申します現在の会計検査院法にあります「確認」という言葉と同じ趣旨であって、決算はやはり検査院へ送付する前に確定しているのだ、これは「検査確定」という言葉は、決してそれによって、決算というものは、検査院が確定するのじゃないという見解をとっておりました。
こうした決算というものは、確定された決算が会計検査院に送付されます。そうしてすべて会計検査院がこれを検査するということになっている。これは検査ということの内容は、これもまた申すまでもないことでありますが、この決算に盛られた計数が、証拠書類に対比して正当な計算、あるいは数字の表示が正当であるかという点、それからその計数に盛られた内容——収入、支出の予算執行の結果の内容が、予算に違反していないか、あるいは法令に違反していないか、あるいは経済上妥当であるかどうか。こういう点を個々に調査して、それに対する当否を考えるということが、これは会計検査院の検査ということの内容に考えております。
そこで、この検査の結果を取りまとめまして検査報告というものを作るわけでありますが、この検査報告というものは、いわゆる検査の結果を取りまとめたところの一つの文書であって、報告という言葉は使っておりますが、特定人あるいは特定機関に対する報告という意味ではなくて、検査報告という一つの文書である、こういうように解釈しております。この場合に、この検査報告あるいは検査院法にもあるのでありますが、「決算を確認」という言葉を使っております。これは確認という言葉を使っておりますのは、ただいま申しました計数上の当否、それから予算執行の当否、そうしたものに対します個々の判定を終えるということを確認という言葉で表現いたしておるという解釈になっております。したがいまして、その年度の検査を終えまして、検査報告を作りますまでに、その当否のまだ判定が熟さない事態、それがあります場合には検査報告にいわゆる未確認、これだけのものはまだ確認ができないという未確認として一応報告いたしまして、年度の検査報告におきまして、その確認状況を報告する、掲げる、こういう様式をとっております。
そこで、この検査報告を作成いたしまして、これは先ほど申しましたように特定機関に対する報告ではありませんが、決算と同時に国家に提出することになっておりますので、これを内閣へ送付いたしまして、内閣が決算にこの検査報告を添えて国会に提出する。実質的にはそうでありましても、検査報告という一つの公表文書は、納税者たる国民に対する公表文書である。したがいまして、実質的には国会に対する報告、納税者たる国民の代表である国会に対する報告である、ということになろうかと思いますが、法文上は国会に対する報告というのではない、特定機関に対する報告ではないというように解釈をとっております。
それから、そうして決算と検査報告が国会に同時に提出されまして、国会が御審議になるのでありますが、国会の御審議に対しましては、会計検査院といたしましては、これがどうあるべきだということに対しての公式な意見、これは申し上ぐべき筋会いでもないと、こう考えまして公的な意見は差し控えたいと思っておりますですが、ただ非公式に会計検査院内部でいろいろと話の出ておりますところを総合いたしますると、国会に提出する意義といいますか、なぜ決算を国会に提出するのかという点につきましては、もうすでに御承知のいわゆる議案説、報告説、いろいろとありますですが、会計検査院といたしましては、憲法の文理解釈上、すなわち予備費の使用に関しましては第八十七条に「事後に国会の承諾を得なければならない。」、こう書いてあります。そして、先ほど読みました憲法九十条におきましては、決算は国会に提出しなければならないと書いてある。こうした文理解釈から見て、やはり今の憲法で承諾を求めるために提出するんだということを文理、法理的にそういう判定を下すことは、多少困難ではなかろうかということが非公式な見解であります。これは先ほど申しましたように、検査院としましては、この点は内閣または国会が有権的な解釈をお下しになるべき性質のものであろうと考えまして、公式の意見は差し控えさせていただきたい、かように考えている次第でございます。
それで、しかしながらその議案説をとりましょうとも、報告説をとりましょうとも、決算が国会に提出される、検査報告がこれに添附されて国会に提出される。そして、決算の審査ということが重大であることは、これはもう当然でもありますし、また会計検査院といたしましても、決算の審査を決算委員会において十分にやっていただくことが、会計検査院というものの組織の存在価値をより高める意味においてきわめて重大なことである、これはさように考えておる次第でありまして、できるだけこの検査報告に盛られた内容を縦横に検討していただきまして、またさらにあるいは検査報告に盛られていないことでも重大な事項もあろうかと思いますので、そうした点について決算を縦横に御審議願いまして、その結果は次の予算または行政の運営に大きな一つの改善資料になる、ということに進んでいくことを念願しておる次第であります。
はなはだ簡単で恐縮でございますが、一応冒頭に私の方から申します点、ピントの狂った点もあろうかと思いますが、以上をもちまして要約したところの検査院の見解というものを申し上げた次第であります。