中山伊知郎の発言 (大蔵委員会)
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○中山参考人 お答えを申し上げます。第一の点はたくさんの問題が含まれますので、今まで審議会を預かって参りましたわれわれとして、ことに委員の皆さんを差しおいて私の立場から希望だけを申し上げることはいささかはばかられると思うのでございますが、私個人の意見を率直に申し上げますと、どうも審議全体の経過を見まして、もう少しやはり根本的な問題を討議できるような委員構成が必要なのではないだろうか。と申しますことは、率直に申しまして、経験者という点に重点を置かないで、もう少し学識という方に重点を置いていただきたい。経験者の御意見、もちろんけっこうなのでございますし、ある段階には非常に重要なのでございますけれども、基本的な問題を攻めて参りますときには、そういうことを言っても間に合わぬとか、あるいは役に立たぬというような空気が出て参りまして、どうも少し根本的な議論が行なわれない傾向がございます。もし今後の調査会、審議会が、今残されておりますような、たとえば地方税の問題、それから先ほども御質問のありました直接税、間接税の比率の問題、そのような基本的な問題、さらに私がつけ加えました景気調整策としての税制体制、こういう問題になりますと、やはり問題になりますのは、海外のいろいろな税制との比較でありますとか、原理的な問題というふうなことになりますと、もう少し学識という点に重点を置いた人選が望ましいのじゃないか。それが第一点ですが、そういうようなことが問題になりますのは、あるいは問題にするためには、今度でき上がる審議会は、先ほど御指摘のありましたように、当年の減税あるいはその他の改正を重点に置かないで、やはり基本問題の検討ということに一つはっきり——もしそのような審議会の設置法というようなものがありますれば、規定をしていただきたい。その二つの点を申し上げておきます。例にあげられました電気ガス税につきましては、委員の少なくとも三分の一以上の人は全廃説であったのでございますが、これは正直に申し上げますが、それに対する一番強い抵抗は、地方の財源がなくなる、それでは見返り財源をよこすならオーケーしてもいいけれども、そうでないならばそれは困るということで、今のような暫定的な措置に終わったということを正直にここで申し上げておきます。
第二の点をお答えします。第二の点は直接税、間接税の比率の問題でございますが、これは先ほど少し申し上げましたように、日本の場合と、たとえばアメリカの場合と比べますと、アメリカの場合の所得税納税者の比率は日本の倍なのであります。つまり所得税を納めておる有業者がすでに七割以上を占めているというような国における税制と、それがアメリカの半分すなわち有業者に対して三七%しか占めていないという日本の現状では当然違って参ります。私は、今までのいろいろな日本の経験からいたしまして、ヨーロッパ並みにと申しますか五〇、五〇というようなところに一つの目安を置いて考えることが適当であろうと個人的には存じますけれども、しかしこれを戦前戦後のいろいろの変化というものを考えますと、場合によっては間接税がもう少し比率を増しても差しつかえないのではないかと思います。この点はしかし間接税の逆進性、その逆進性の及ぼします一番強い理由というのは低所得者層が多いということですから、その点を考えに入れますとある是正が必要であると思いますけれども、日本の国民所得がこれから上がっていく状態を考えますと、必ずしも五〇、五〇というものをフィックスされた——固定された比率と考える必要はないのではないか、このように考えます。
第三の点でございますが、これは今の御質問に対してはなはだ恐縮なのでございますが、やはり根本的には差引計算が正しいのだと私は考えます。なぜかと申しますと、税制の点からこの税をある率において軽減するとこれだけの金額が浮くのだということをどのように言われましても、最後に出てくるものは、国民に対して、国民の世帯あるいは個人々々の納税者に対してどのくらいの負担であるかという問題なのですから、これはあらゆる差引計算と、そしてその税改正の場合に起こるレパカッション、いろいろな副作用、反作用というものを考慮に入れた中のネットの数字でなければ私は意味がないのではないかと思います。従いまして、その段階において、あるいは税率の改正によってこれだけのものは浮くのだ、しかしそのレパカッションを考えるとこうなるのだということを考えます場合に、政党として看板を掲げられる場合にどちらをとるかといわれましたら、やはり正直にネットの数字をおあげになる方が、私はよろしいのではなかろうかと思います。
はなはだ愚見でありますが……。