大来佐武郎の発言 (建設委員会)

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○説明員(大来佐武郎君) 実は国土総合開発法に基づきまして、この全国総合開発計画を作る建前になっておりましたのですが、従来いろいろな事情がございましてこの計画の策定を見るに至りませんでおりましたが、昨年の七月に草案が一応まとまりまして、各方面この草案について御検討をお願いしておりましたが、だんだんとこの草案をもとにいたしまして本計画の取りまとめということになって参ったわけでございます。実は本日も午後から国土総合開発審議会の全国部会がございまして、原案を審議する予定になっておるわけでございます。さらに来週には国土総合開発の審議会をお願いいたすことになっておりますが、目下のところまだそういうこの審議の過程、中間段階でございまして、後ほど、今資料を取り寄せておりますので、お手もとにお届けいたしますが、まだ最後的に全部仕上がったという段階ではございません。大体各省との間の協議もほぼ終了いたしたというようなところでございます。
 この計画の考え方は、大体において昨年七月の草案に現われました趣旨をくんでおるわけでございますが、一つはこの国土総合開発の法律ができましたころの事情が、食糧不足、それから治山治水、あるいは水力電源開発と、今から十二年前でございますので、そういう点が非常に重点になっておったわけでございますが、その後御承知のように経済情勢も相当大きく変わって参りました。
 その次の段階といたしましては、とりあえずこの生産復興に対する隘路の打開、ある程度つぎはぎでございますが、とりあえずのそういう公共的な基礎施設の隘路の打開という段階がございました。
 最近ではこの過大都市の過度集中の弊害を是正するという問題、それから地域格差の是正、こういうところが非常に注目されるようになって参りました。今回の計画案もそういう点に重点のねらいを置いておるわけでございます。
 この地域格差の問題なり、過度集中の問題を扱います場合に、どうしてもその所得の違いを生み出す一番大きな原因が、工業の配置にある。で、大体この府県別の所得等を見ましても、総体的に工業に従事する人間の割合の低い県は所得も大体低い。工業に属する割合の多いところは所得が比較的高いというような事情もございますので、やはり工業の配置という問題を、地域格差を直していくという場合には、第一に考える必要があるということでございます。
  〔理事武内五郎君退席、委員長着席〕
 ただその工業の配置を考えます場合に、漫然と工業を全国にばらまくという形でございますと、一方において工業はほとんど全部が私企業、民間企業でやられておることでありまして、民間企業の採算として成り立つことでございませんと、事実上実行が行なわれないということにもなるわけでございまして、企業が地方にある程度分散すると同時に、その分散した企業が採算が成り立つと、こういう二つの面から考えていく必要があるわけでございます。そういう趣旨でこの計画では拠点方式という考え方を採用いたしております。結局工業というものが成り立つためには、いろいろな関連産業あるいはマーケットの関係、そういうものの集まりがある程度必要でございまして、ぽつんと孤立した形で工業はなかなか成り立たない、なるべくそういうある集積、集まりを作りながら連鎖反応的に地方の工業化を促進していくというような考え方、いわゆる拠点方式というものがこの計画でとられておるわけでございます。さらにこの拠点を考えて参ります場合に、既存の大経済中心というようなものとの関係を考慮いたしますと、たとえば東京、名古屋、大阪地区というようなものとの関連も考慮しつつ拠点を考えていく。で、大きく申しまして、この計画では日本全国を三つの地域に分けております。
 第一がこの計画で過密調整地域と申しておる地域でございまして、これはまあ東京方面、中京方面、それから関西阪神方面、それから北九州というようなところを中心にいたしまして、すでに過度密集の状況になっておる、いろいろな産業や仕事が集まり過ぎて弊害がいろいろ生じておるというような地域でございます。こういう地域を過密調整地域というふうに呼んでおります。
 第二は中央部整備地域。整備という言葉は、たとえば首都圏整備というような意味と通ずるものでございまして、大体において本州中央部、それが現在の既存の大経済中心、京浜方面、中京、阪神、こういうものと距離的にそれほど遠くない、こういう大経済中心と関連を持ちながら、中央部整備地域に工業を分散させていく、そういう可能性のある地域でございまして、これをまあ中央部整備地域というふうに呼んでおります。
 それから第三の地域といたしましては地方開発地域でございまして、これは北海道、東北、中国、九州、そういうような今までの大きな、産業経済の中心地よりある程度離れておる、こういう地域においては意識的にその地方の経済活動の中心になるような目を作っていく必要がある、すでに歴史的にも大体目になっておるという場合がいろいろあるわけでございますが、まあ政府のいろいろな施策を通じまして、意識的にそういう目を育てていってそれを拠点として、先ほど申しました連鎖反応的にその地方の経済発展、あるいは工業の発展を促進していくというような考え方をとっておるわけでございます。こういう地方開発地域につきましては、必ずしも工業の中心ということだけではございませんで、教育、文化、あるいは行政というようなものの中心という見方も成り立つわけでございます。工業の大拠点及びそういう地方開発の大拠点というものと、両者を考えておるわけでございます。それから、全般的にこの中拠点あるいは小拠点といいますか、こういうものもそれぞれの地域の特性に応じて考えて参るという建前をとっておるわけでございます。
 大体そういう考え方でございますが、一体それをいかなる手段によって実現していくのかという問題になりますが、これにつきましては、政府の持っております手段は幾つかあるわけでございますが、一つは公共事業費、つまり基盤整備的な仕事を大体において政府がやるわけでございます。交通、通信、用地、用水、電力あるいは港湾とか、そういうようなものがございますが、こういう仕事に政府が投資をして参ります場合に、今の全国的な国土開発の構想に従って進めていく、ということが第一の手段になるかと思います。
 それから、このほか住居とか、下水道、文教施設、観光施設というような生活環境施設、あるいは治水、利水というような面、国土保全関係の施設、こういうようなつまり倍増計画のほうで行政投資と申しておりますような仕事を通じまして、全国総合開発の構想の実現の重要な手段として役立てていく。
 それから第二は、財政上の助成措置ということで、この政府の金融機関による長期融資、たとえば開発銀行に地方開発の融資ワクというのがございますが、そういうものの融資の方針を、全国総合開発の構想に沿ってやっていただくというような問題。あるいは立法的措置といたしまして、現在新産業都市建設の法案が通過をいたしておりますし、低開発地域の工業開発の法律もございますが、そういうものの指定を通じまして、あるいはそれに伴いまして税制上の優遇措置もあるわけでございますから、こういう手段を通じて構想を実現をしていくというような、幾つかの方法が考えられるわけでございます。
 それから全般といたしましては、この計画は、一昨年にできました国民所得倍増計画の経済の全体の循環なり、ワク組みに従っておるわけでございます。まあその後の経済成長が非常に急速でございましたので、倍増計画の数字そのものにもいろいろの問題が出ておるわけでございますけれども、しかし倍増というものは十年ないしそれ以内に経済規模を倍増ずるという建前になっておりまして、初めの出発点のスピードは相当早かったわけでございますけれども、しかし、まあその早いスピードがそのまま続くわけではございませんで、ことしのようなある程度停滞的な時期もあるわけでございます。また倍増計画自体が十年ないしそれ以内で倍増、という弾力的な目標になっておるわけでございますので、まあそういう趣旨でこの総合開発計画のワクが用いられておるわけでございます。
 それからこの開発拠点というものが、先ほど申しましたようにこの構想の一つの中心になっておるわけでございますが、それを選びます考え方といたしましては、立地条件とか、ある程度すでに経済的な集積といいますか集中の力を持っているというような問題、あるいは既存の大経済中心とある距離を置いて結びつくという関係、それから地方におきましては、やはり歴史的にある程度中心的な重要性を持ち、しかも将来もそういう中心的な性格が発展し得るような条件を持っておる、というようなところを考えていくということになるかと思うのでございます。
 それからこの全国総合開発計画というものが国土総合開発法に従いましてでき上がりますと、これが一つのものさしになりまして、地方計画あるいは府県計画というようなものが、このものさしに照らして作られるというような格好になって参るかと思います。したがって、そういうさらにこれをブレーク・ダウンしたといいますか、各地域に具体的に置いて参りました計画に対して、この今回の全国総合開発が一つの基準を与える。そういう意味ではこの計画自体に個々の地点の問題を具体的に扱っておらないわけでございますが、これは今のような地方開発計画なり府県の計画なりに下がっていくという段階、及び先ほど申しました法律上の地域指定というような手段を通じまして、より具体的な姿になっていくものと考えております。
 以上、大体この計画の考え方の骨子でございますが、この程度で御説明を終わりたいと思います。

発言情報

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発言者: 大来佐武郎

speaker_id: 17223

日付: 1962-06-01

院: 参議院

会議名: 建設委員会