池田良雄の発言 (社会労働委員会)
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○説明員(池田良雄君) まず皮膚に対する障害は大して影響はない。それから急性毒性、すなわち、誤って多量を飲むような機会も非常に少ないということ、それから慢性毒性もまあ大したことはなかろうというようなことであります。しかしながら、まだ長期の慢性毒性を検討する必要がある、そこで、ごく最近でございますが、アメリカのブランク及びボールドという学者が、これらの長期慢性毒性、すなわち白ネズミを使いまして二年間、二年間と申しますと、ネズミの一生を研究いたしまして、これでは人体に入り得る可能性がある量よりも数百倍の大量を二年間にネズミに与えまして、詳しい研究をしておりますが、その研究によりまして、何ら毒性が見られなかったということであります。そのほかに、ブランク氏らは子孫に及ぼす影響は、すなわちネズミを使いまして、三代にわたる影響を見ておりますが、それにおいても何ら影響がなかった、これは非常にやはり量が多いのであります。
それからもう一つは、皮膚から侵入するかどうかという問題でございますが、ちょっとここで訂正申し上げますが、先ほどのブランクと言いましたのは間違いでございまして、名前は後ほど訂正させていただきます。このブランク氏のは、皮膚から本剤が吸収するかどうかという問題を、アイソトープを使って研究したのであります。で、これによりますと、この人体の皮膚を切りまして、十八ないし二十四時間つけまして、その物質が移行するかどうかという研究をしておりますが、認むべき量の中性洗剤が浸透しなかったというふうに記載されております。
次に、柳沢博士らが研究されましたデータについてでございますが、先般、一月二十四日でございますか、東京医科歯科大学で行なわれました研究発表会におきまして発表されておりますが、野菜につけて、あとそのままあるいは洗濯しても若干残る、あるいは本剤をウサギの口から、あるいは注射により、あるいは皮膚に塗ると血液の変動があるということ、あるいは本剤が潜血、溶血反応がある、そういうような事実を発表しただけでありまして、このものが有害であるとかないとかは学会で発表されておらない。このデーターをまだどの学会におきましても詳しく検討しておらないのであります。柳沢博士らが行なわれました実験によりますと白菜を一定時間本剤につけましてどのくらい残るかという実験をされております。そうしますと、百グラムの白菜が三ミリグラムのアルキル・ベンゼン・スルフォン酸ソーダを含有している。それから一時間の場合には、さらに二倍量を含有する、すなわち、六ミリグラム程度であります。野菜を一日にどのくらい食べるかと申しますと、国立栄養研究所の実験によりますと、大体二百二十グラム前後だということであります。そうしますと、大体十二ミリグラム前後のものが体内に入り得る可能性がある。もちろんこの実験データを拝借しての話であります。そこで、このような量がはたして有害かどうかということであります。先ほど申し上げたアメリカの長期慢性実験、二年間あるいは三代にわたる実験から考えまして、これは有害であるとは全然考えられないのであります。それから、ただいま柳沢博士は、人体に有害かどうかということは、現在まで行なわれておりまする、いわゆる慢性中毒によってだけでは判断すべきものではなくて、新たな観点から判断をしなければならないというふうにおっしゃいましたですが、現在この毒性の有無、特に慢性毒性の有無を判断するには、長期の慢性毒性以外にはないのであります。これは全世界的な見解でありまして、この世界的な見解を、単なる個人的な学問的意見によってとうてい変えるわけには参らないのであります。それから、先ほど柳沢博士がお出しになりましたこの文章でございますが、このABSは血液に移行する、脳骨髄などにも移行する、アスピリンを飲んでも血液に移行します。脳にも移行します。カフェイン、コーヒーを飲みましても移行します。幾らでもわれわれは絶えずこのようなものを食べておるのであります。
それから、この二ページの一というところに、静脈注射をすると毒性が強いというふうに書いてあります。これは当然なことでありまして、界面活性を有するものは、口から食べた場合には毒性が弱いのでありますけれども、静脈注射をしますと毒性が強く、現に私どもの体内に胆汁酸という物質が毎日肝臓から約一グラム排泄されて、脂肪の乳化をいたしまして栄養素を吸収する働きをしております。この胆汁酸をかりに抽出して静脈注射しますと強い毒性を発揮する、また例をあげますならば、サポニンという、これはせきの薬でございますが、これは大体せき薬としまして、一日にわれわれは百ミリグラム以上飲むわけであります。これも静脈注射をしますと非常に強い毒性を出す。たとえばサルチン酸のようなものでも、静脈注射しますと運動麻痺が起こりますし、けいれんも起こります。このようなことから、これだけで毒性は論ぜられないということであります。
それから三番目の、界面活性剤が二十日ネズミに対し発ガン補助物質になるということでございます。なるほどこの発ガン補助物質というものは、一応は問題になっております。しかしながら、実際にほんとうの発ガン物質だけでも非常に問題、すなわち、動物実験の解釈が問題であります。食品にもちろん入ってはいけないのですけれども、非常に問題のあるところであります。そこで、昨年の十月に国際ガン会議がございまして、そのときに「食品添加物による発ガン性について」というシンポジウムがあったのであります。私もその委員の一人としまして出席したのでありますが、この発ガン補助物質については、現在何らきめ手がない、きめ手がないといいますのは、学問的にはそういうことは考えられても、実際面、あるいは行政面にこれをどのように解釈するかということにつきましては全然討議されない。非常にむずかしい問題で、これはもう各国の考え方が違いますので、特にこれが発ガン補助物質であっても、危険であるとは言えない。現にこのようなものは各国で使っているところもあるのであります。
それから、柳沢博士らの出された皮膚から浸透するという問題でございますが、昨日東京都の調査委員会がありまして、そのときの話で、皮膚から浸透するのか、あるいは浸透してから血液中に吸収されるのかという質問をしたのでありますが、柳沢博士は、吸収云々はいまだ実験不明でわかりませんということであります。
結論といたしまして、現在まで世界で行なわれておりまして、まず有害でないとされておりますものにつきまして、これを直ちに有害であるとするには、学問的には非常に根拠が十分でないと私は思うのであります。
それから、先ほどの訂正をいたしますが、最初の文献はチューディングその他の人の論文であります。