坂本昭の発言 (社会労働委員会)
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○坂本昭君 そこで今、両権威者の学問的な御説明を承って、従来私自身の持っておった知識もあわせて、まず考えられたことは、このABSという非常に特殊な物質、これはきわめて非分解性のものだということを聞いていますが、それが浸透あるいは吸収、その辺についてはまだ若干問題が残っているようです。しかしデータそのものからいうと、たとえば、柳沢博士の研究や、あるいは小谷教授の研究、それらを通して、何らかの作用を与えているという点は間違いない。それについて、先ほど池田博士は、御説明を通して、たとえばイギリスの説明などでは、たいして障害がない、あるいはたいしたことはなかろう、そういった表現が非常に多いのですね。それから、最後の結論としても、まず有害ではない、そういう非常にあいまいな言葉が私は多く聞こえた。これは非常に大事なことであって、こうした新しい、しかも非常にポピュラーな、一般家庭で常時使われるものについて、まずとか、たいしてということでは、非常にわれわれとしては不安を伴なわざるを得ない。ことにこの使用にあたって、ドイツあるいはアメリカ等においては手袋を使うとか、皿洗いには使うが、野菜などにはどういう程度にまで使っているか、そういう点を私は十分な研究をしてから厚生省としては行政指導をせられるべきだと思う。ところが、池田博士が一番最初にこのABSの実験をされた。このことについては、今、池田博士は触れられなかったのですが、この中性洗剤の第一号であるライポンF、このFの試験報告について、最後に、本検体、つまり検査する物体ですね、本検体の毒性は大であるとは考えられないというふうな結論を書いておられる。かつ、この研究の中では、いろいろな砒素だとか、そういったもの、——失礼しました。その点はまたあとで池田博士から御説明いただきましょう。
とにかく毒性は大であるとは考えられないということの結論に基づいて、厚生省としてはこの中性洗剤の第一号の使用、販売を許可されたと思う。しかも、その販売、使用を許可せられる場合のいきさつについて、特に昭和三十一年九月二十九日に、これは環境衛生部長の名前で各都道府県知事に通牒を出しておられる。この通牒を見ますというと、いろいろ長い説明が書いてありますが、洗滌力がすぐれ、通例の使用方法では無害、さらに野菜類という言葉が非常によけいあげられて、野菜類の洗滌に活用し、特に野菜のことについて非常に重点をあげてこの通牒の中で説明をしておられる。そうしてこれを集団給食だとか、飲食店、そういうところでも十分使うように指導されたいということが、わざわざ環境衛生部長の名で各都道府県知事あてに送られている。これは、こうした責任のある通牒が厚生省から出される場合に、一体どこまでの実験の根拠の上に立っているか。少なくとも私の承知している範囲内では、池田博士のこの実験をもととして、科学的の根拠に立ったと称してこの通牒を出しておられるが、一体そういうことをだれの責任をもって出されたか、また、さらにこの通牒の中には、有害な影響を与えるもの、これらの使用は望ましくない。つまりこれらの洗剤の中には、あるいは有害な影響を与えるものもあるかもしれぬが、そのような場合にはこれらの使用は望ましくないから、念のために申し添える。しかし、望ましくないといったって、一般の家庭の主婦にはわからぬ。望ましくない場合には、どうやってだれが行政的に決定し、そうしてそれを、各市民、国民に指導していくか、そういうことについても、私は、厚生当局の明確な行政的な責任をお尋ねいたしたい。特に奇怪なことは、今のようなことに基づいて実際に売り出されたこのライポンFの第一号、これを見ますというと、私もときどき女房の手伝いをいたしましてこれを使うことがあるので、今まではあまり関心がなかったのですが、あらためて見ますというと、奥さんたちがお使いになる理由もわかるのですね。ライポンFは、食品関係の専用洗剤として、厚生省や各種公共機関の厳密な審査により、最も優秀であることが証明され、推薦第一号を得ております。一体こういうことで厚生省は責任を持てるか、厳密な審査は一体だれがやっておるか、今、池田博士、あなたがこの厳密な審査を担当されておると思うのですが、厳密なあなた自身のデータをあげていただきたい。先ほどのような、イギリス、アメリカ、そんなことをいったって日本は日本なんですから、日本のデータがあるかないか、その点をあげられ、さらに環境衛生局長としては、こういうようなことでいいかということ。さらに、これを見ますと、一番上に、用途の中には、野菜のキャベツ、白菜の絵が載っております。これで一体正しく、これでいいか、特に池田博士は、御自身で「毒性は大であるとは考えられない」——「大であるとは考えられない」ということは、それが積もり積もったらどうなるかわかりませんし、その辺については、僕は責任を持っていただく必要があると思う。したがって、学問的な立場での池田博士の補足と、さらに局長の、今私の述べた点についての御答弁をいただきたい。