藤野繁雄の発言 (農林水産委員会)
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○藤野繁雄君 私はただいま議題となりました燃油によるのり被害の件に関しまして、三月十六日本委員会有志委員とともに千葉県下木更津、富津、大貫の沿岸地域における被害状況について現地視察をして参りましたので、その概要を御報告いたしたいと思います。
視察に参りました各位は、木島委員、清沢委員、東委員、天田委員、森委員並びに現地で参加されました野上(元)議員と片岡議員と私の八名であります。本件は本委員会におきまして、すでに三月二日及び同月十二日の二回審議を行なっておりますので、その際の質疑応答にありました事柄については、省略して御報告いたしたいと思います。
当日は富津町役場に参り、直ちに船にて被害現場を視察する予定でございましたが、西方の強風が浜の表砂を吹き飛ばすほどでありましたので、船による視察を取りやめ、役場において、県並びに地元関係者から実情を聞いた後に、近くの大堀漁港周辺における被害現場を視察いたしました。漁港に流れ込む水路に残っておる黒い油性物質、漁港岩壁の黒々とした油性物質の付着並びに二、三百メートル沖のノリさくの竹の水面より上が七、八十センチも黒く光って並んでいる状況等は、お手元に回覧しております被害状況写真をごらん下さればよくわかると思いますが、いかに被害が甚大であったかを想起させるに十分なものがあると存ずるのであります。
富津町役場における懇談で明らかにはなりました事件発生当時の状況は、二月十五日、たまたま第三海堡方面へ出漁した貝捲船が、油の漂流を発見、大急ぎ帰港、午後一時三十分ごろ横浜海上保安部第三課に連絡、この旨を報告している。午後三時ごろ木更津漁協に、横浜海上保安部より、座碓油送船の油が海上に流出漂流しているから警戒をしてくれ、また関係漁協に連絡を頼むとの連絡があった。同日は小潮のため、一般漁民はノリ採取に出漁しておらなかった。また、同日は西南西の強風であったが、夜半に至り北風に変わっている。このため富津、青堀、大貫沿岸沖合に漂流していた油が沿岸に流れ込んだものと思われ、二月十六日にノリさくへ付着しているのを、出漁した漁業者が発見した。またユナイテッド・マリタイム・コーポーレシヨンの代理店である飯野海運が、燃油の中和沈降剤をドラム一カン散布、同時に、ヘリコプターにより状況を視察、かつ燃料による被害が、これ以上拡大しないよう、各漁協に協力を依頼している。さらに、二月十九日には、富津沿岸に漂着している油が、西南の強風のため、木更津沿岸に流れ込み、ノリ漁業等に被害を与えた。
この木更津、富津地区は、昭和三十年一月三十一日にも、重油による被害を受けている。その被害状況は、今回と同様で、当時、海況等を調査しており、今回この被害の件も、この海況等の調査と気象状況等より、十二分に、イーグル・コーリヤ号の流出せる燃油によるものと推定されると、地元漁業者等から言われております。
被害地元では、県を初め、関係市町村と関係諸団体の協力のもとに、弁護士に依頼し、証拠保全等の措置をとるとともに、関係各方面に働きかけているのであります。
そのおもな事柄を日を追ってみますと、二月十九日、調達庁総務部補償課、外務省アメリカ局安全保障課、飯野海運本社、同横浜支店、横浜海上保安部へ陳情、同二十日、富津町に対策委員会を設置、同二十一日、水産庁、飯野海運本社、マッカイバー・カーフマン山本法律事務所、調達庁、横浜海上保安部、村田法律事務所へ陳情、同二十六日、水産庁、横浜海上保安部、飯野海運に実情を訴え、また同日、飯野海運とマッカイバー・カーフマン山本法律事務所が富津地区の現地調査をし、県は、通産省工業技術院資源技術試験所へ油の分析を依頼、三月三日、水産庁より、県に対策を出すよう要望、同五日、衆参両院国会議員並びに水産庁に陳情、また県では、横浜地方裁判所川崎支所に、イーグル・コーリヤ号に関する証拠保全措置を申請しております。県は、六日より十日まで再調査をし、十二日に被害の詳細並びに対策を水産庁に説明をしているのであります。
帰路、千葉県庁における知事との懇談で、県としては、被害者側が、被害を与えたのは、イーグル・コーリヤ号の流した燃油であると飯野海運でも認めているということは、過去のこの種事件の経験から、最終段階であいまいとなる。常識的には、イーグル・コーリヤ号の燃油であると、当地、他に油を流した船もなく、気象、海況等の状況から立証できる等のことから、話し合いによる円満な解決を望ましいが、他面、民事訴訟になることも考え、証拠等も整えることに最善の努力をいたしている。
また当面の対策として、第一に、被害漁民への立ち上がり復旧資金と、来漁期の資材購入資金のあっせん、でき得れば、長期低利でこれが利子補給の措置がとられるよう努力する。
第二に、漁場の清掃復旧をすみやかに実施する。このため、国の補助を願いたい。
第三に、アサリ、ハマグリ等のふたあけを早めるので、これが稚貝の手当をしなければならない。
第四に、油等の被害の今後の防止措置について、県も研究努力するが、国としても十分な対策が望ましい等を考えており、今後、関東方面の御協力を得たいとのことでありました。
以上であります。