池田勇人の発言 (本会議)

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○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 まず第一に外交問題でございまするが、お答えする前にお断りいたしたいのは、関係大臣への御質問も相当ありますので、私の答弁は簡単に終わらせていただきたいと思っております。
 第一の軍縮委員会に対する問題でございます。従来、東西五カ国ずつで軍縮委員会を開いております。昨年の六月、米ソ間におきまして予備交渉が行なわれておったのであります。われわれ日本は、お話のとおり、原爆の唯一の被災国でありますので、われわれは当然ここに入ることを期待いたしておりましたが、米ソの予備交渉で、どちらかわかりませんが、日本の参加を拒否せられたようでございます。こういう事情でございます。
 次に軍縮問題でございますが、われわれは、お話のとおり、各国との間におきまして有効な管理査察を伴う完全軍縮には賛成でございます。われわれは、今後におきましても、その方向で進んでいきたいと思います。
 次に、中共との問題でございまするが、中国の代表権はどちらにあるかという御質問でございます。これは何人も答えることはできますまい。もし、答える人があったならば、中共は中共にあるというし、台湾政府は台湾にあるというでありましょう。またそのうち、共産圏の一部の国、あるいは自由圏の一部の国はあるかもしれません。しかしこの問題は、中国自身に関係するのみならず、世界の平和と極東の安全に重要な関係を持ちますので、私は国連において十分審議する必要があるということを提案いたしまして、国連内における圧倒的多数の支持を受けまして、日本の主張が通っておるのであります。私はあくまで、国連におきまして、この問題が、世界の平和、アジアの安寧と中国人の気持をくんで、適正な結論が出ることを心から期待しておるのであります。
 第三の日韓交渉につきましては、われわれは歴史的に、地理的に、文化的に、全体の朝鮮人三千六七百万のうち二千五百万の南鮮と早く交渉することが、両者のためにいいと考えております。もちろん朝鮮の統一を望みまするが、国連がいろいろ世話をいたしましても、北鮮は統一につきましていろいろな方法で反対いたしておるようでございます。われわれは、二千五百万の韓国人と今のままでおくことは、両国のためによくないという考えで、今交渉を進めておるのであります。今の軍事政権の問題につきましては外務大臣に譲ります。詳しく答えることと存じます。
 次に、国際的の経済交流につきましていろいろお話がございました。欧州経済共同体、そうして欧州の貿易連合、そうして貿易連合と共同体との関係、そうしてアメリカのこれに対する問題等々、またアフリカにおきまする仏領のアフリカと今のEECとの関係、また、アフリカにおける旧英領諸国と貿易連合との関係、いろいろございまするが、私は、施政方針演説で申し上げましたごとく、これら共同体とか連合が強力な力を持って、しかも、門戸を開放して、わが国との正常な貿易に移ることを期待し、それを望んで外交方針をやっていきたいと考えるのであります。
 次に、経済問題につきましていろいろお話がございました。昭和二十八年、三十二年、いろいろ私はその責任の衝にありましたが、国民の努力によりまして、世界の人の驚くほど高度成長をいたしまして、そうして日本の信用を高めておるのであります。私は今回のこの場合におきましても、国民の協力を得まして、前の二回と同様に、それ以上りっぱな乗り切りをして、そうしてこの上とも民族の発展と生活の向上をはかっていきたいと考えておるのであります。そのために、私は一時の現象に迷うことなく、自信を持って政府とともに進んでいっていただきたいとお願いしておる次第でございます。(拍手)
 また、お話のところに、経済の成長は最高であるが生活は三流である。——経済の成長は、世界の歴史にないほどの成長でございます。しかし、いかんせん、従来の明治以後日本の置かれた経済的立場がひどく低かった。しかし、これもだんだんよくなりまして、四、五年前には世界の各国で四十番程度の生活水準であったのが、今二十番以内に入りつつある。この点は国民の努力によるものでございまして、今世界の生活水準の三流であるから、これを一流にしようとするのが、経済倍増計画、所得倍増計画のねらうところであるのであります。
 また、設備投資につきましていろいろお話がございましたが、設備投資は将来の発展のもとでございます。設備投資と個人消費が同じ率だったら国が破産することを、ここに申し上げておきます。
 また、勤労者の賃金引き上げ、社会保障の拡充をやるべきだ。——やっております。日本ぐらい勤労者の賃金が急速に上り、社会保障が急速に拡充せられた国は、ほかにあまり例がございますまい。
 また、輸出の振興につきまして、一四%を非常に心配しておられますが、四、五年前には一七、八%の前年対比の増加も見ておるのであります。われわれは、今の全国総生産の一割程度を輸出することは、国を立てていく上にも当然のことでございます。フランスにいたしましても、イタリアにいたしても、総生産の一割前後をやっております。われわれは、従来、総生産の一割一、二分をやっておる。今度四十七億ドルにいたしましても総生産の一割足らずではありませんか。こんなことにひるんだら、ほんとうの日本の急速な再建はできない。大いにいろいろな工夫をして、これをなし遂げようではございませんか。これがわれわれの願望であるのであります。
 また、貿易の自由化が国際収支の悪化を来たすと言う。しかし、貿易を自由化せずに鎖国主義をとっておったら、日本の将来の国際収支が安心できますか。将来の国際収支をよくしようと思えば、貿易を自由化して世界の市場に乗り出すことが喫緊の要務であることは、識者のみな認めるところでありまして、(拍手)自由化が国際収支を悪くする、そんな近視眼的な見方は私はとりません。
 最後に農地問題でございますが、農地問題につきまして、調査会に付議し、いろいろな研究調査を願っておることはお話のとおりでございます。しかし、旧地主の今の状況を考えまして、われわれは、とりあえず生業資金につきまして、お困りの方が銀行から借り入れすることが困難な場合におきまして、国民金融公庫からある程度の生業資金を出すということは、お困りの方々に対するあたたかい政治であると確信いたしております。(拍手)
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍
  手〕

発言情報

speech_id: 104015254X00619620123_004

発言者: 池田勇人

speaker_id: 8420

日付: 1962-01-23

院: 参議院

会議名: 本会議