本会議

1962-01-23 参議院 全36発言

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会議録情報#0
昭和三十七年一月二十三日(火曜日)
   午後三時二十六分開議
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 議事日程 第五号
  昭和三十七年一月二十三日
   午後三時開議
 第一国務大臣の演説に関する件
  (第二日)
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○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関
  する件(第二日)
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松野鶴平#1
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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松野鶴平#2
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 去る十九日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。椿繁夫君。
  〔椿繁夫君登壇、拍手〕
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椿
椿繁夫#3
○椿繁夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、主として外交、経済問題を中心に、政府の所信をただしたいと思います。
 まず初めに、日本の平和と繁栄のために、外交の基本的な方向と、これに対する総理の姿勢についてお伺いをいたします。
 池田内閣が成立したころは、戦後最も評判の悪かった岸内閣のあとだっただけに、いわゆる低姿勢を看板にして、中国問題などでも前向きの姿勢をとらんばかりの様子が見えたのであります。これは、一つには、池田総理自身が外交政策について自信を持っていなかった上に、新しくできたケネディ政権の方向について疑心暗鬼の点があったからでありましょう。ところが、アメリカのキューバ侵略という事件が起きて、自民党と池田内閣は、やっと安心されたようであります。つまり、ケネディも反共の点ではアイクと全く変わりがないことがはっきりしたからであります。こうして、その後池田内閣は、ベルリン問題等の世界情勢の急激な変化と党内の突き上げなどから、急ピッチでアメリカ追随の外交に変わり、六月の日米会談以来は、全くそのレールに乗って、アメリカのアジアにおける反共軍事体制の立て直しにやっきになり、その姿は、まさにアジアにおける反共の闘士といった感が見られるのであります。そして最近の東南アジア旅行では、自由主義陣営に属する国々ではきわめてあいそがよく、中立主義諸国には、これをたしなめるような態度に出られたことは、周知の事実であります。
 そこで、まず伺いたいのは、日本がアメリカに追随し、中立を否定しておるため、国連において、軍縮交渉機関が、従来の十カ国に中立色の濃い八カ国を加えて新たにでき上がったのに、日本がその参加を拒絶されたことであります。これは、世界で最初にして最大の原爆被害国であるとともに、世界でただ一つの戦争放棄の憲法を持つ日本が、世界の平和のために果たさなければならない光栄ある任務を拒絶されたことであります。拍手このことについて総理の所見をまず伺いたいと思います。
 また、これと関連して伺いたいことは、池田内閣と自民党は、さきの国会で、わが党の提出いたしました完全軍縮の決議案に反対して、これを握りつぶしたのでありますが、今度の東南アジア旅行で、インドのネール首相を初め各国との共同声明では、「完全軍縮に関する協定を締結することの重要性を確認した」と書かれていることについてであります。これは今度の旅行の最大の成果でありまして、総理はぜひこれを推進していただきたいのでありますが、池田内閣及び自民党は、今後わが党が完全軍縮の決議案を提案いたしました場合に、率先して賛成する御意思があるかどうかということであります。拍手
 平和はひとりでやってくるものではありません。今日、一国の平和は世界の平和とつながっており、特に近隣諸国の国際環境を積極的によくしていく以外に、その国の平和はないと思います。われわれの中立主義はこの立場に立っておるのであって、最も現実的な政策であると信じておるのであります。ところが、池田内閣は、このわが国をめぐる国際環境をよくしていく平和のための努力をどれだけ行なったでありましょうか。事実は全くその逆であります。ことごとく平和の方向に反し、アジアの緊張を激化させる方向に進んでおるのであります。中国敵視政策を捨てず、日中国交回復を阻害し、日ソ平和条約を結ぼうとする真剣な努力を少しもいたしておりません。また、日韓会談を強行して、ますますアジアの緊張を激化させ、ラオス、ベトナム等の戦争の火種を消す努力もいたしておりません。これをわれわれは、日米軍事同盟体制あるいは安保体制の強化と呼んでおるのであります。
 総理は、国連の中国代表権問題について、日本が重要事項指定方式をとったことは、以前のたな上げ方式に比べて前向きの姿勢であると強弁しておられるのでありますが、この方式こそ、実は最も私は実質的なたな上げ方式にほかならないと思います。拍手それは三分の二の多数の議決を必要とするからであります。これは前向きでも何でもない、単に引き延ばしの戦術に変わったにすぎないのではありませんか。しかも、岡崎演説は、幾ら読み返してみても、重要事項に指定した後、どのように解決せねばならないかについては、全く不明であって、中国代表権が中国と台湾政府のいずれにあるのか、全くわからないのであります。外交は言葉の巧みさにあるのではなく、中身のある、国の進路をはっきり示したものでなければならないと思うのであります。何べんも聞くことでありますが、一体、政府は、中国の代表権が中国と台湾の国民政府のどちらにあるのか、明確にお答えを願いたいと思います。また、政府、自民党の中には、台湾独立を支持して二つの中国政策をとろうとする者もあるようでありますが、総理は、これを支持するお考えがあるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。
 以上のように、政府は、中国問題については足踏みしながら、対韓国交渉には非常な熱意を示しておられます。一体、対韓国交渉はどこまで進んでおるのか、これからのスケジュールは一体どうなっておるのか、明らかにしていただきたいと思います。近く財産請求権及び借款問題について妥結し、あとは、なしくずし的に国交正常化をはかるというようなことが伝えられていますが、このような重大なことを国会の承認を得ることなく行なうつもりであるのかどうか、明らかにしていただきたいと思います。われわれは、韓国のみと国交樹立を行なおうとする政府の方針は、南北朝鮮の分裂、これを固定化し、ますますアジアの緊張を高め、日本、韓国、台湾を連ねるNEATOの結成をねらうものとして反対いたしております。拍手また、その相手とする韓国政府は、クーデターでできた軍事政権であるばかりでなく、自分に反対する政党人、言論人を片っ端から極刑に処した極反動のおそるべきファッショ政権であります。池田内閣や自民党のいう自由民主主義陣営とは、どういう自由やどういう民主主義のある国を望んでおられるのか、隣国の非合法手段による政権に対し明確なる態度を示し得ないところに、国内における右翼クーデターの勢力を温存することになるのであって、まことに理解に苦しむところであります。拍手かかる軍事政権を相手に日韓会談を進めることは即時打ち切って、南北が統一され、民主的方法によって選ばれた政府と懸案の諸問題について交渉を再開すべきであると思いますが、政府の御見解を明らかにしていただきたいと思います。
 いま一つ、今年度の外交として重要なことは、国内の輸出振興策と関連した経済外交の面でございます。EECの目ざましい躍進は、アメリカにも動揺を与え、昨年暮れから保護貿易か自由貿易かの論争がアメリカに起こっており、ケネディ大統領の一般教書は、アメリカ経済がEECに接近する方向を示したものであります。これはEECとアメリカの新たな結合を意味する動きで、そうなった場合、はたしてわが国がこうした世界経済の新たな潮流についていけるのか、日本の輸出市場は一体どうなるのか、世界経済の中で孤立していくのではなかろうか、こういう心配が各方面から出ておるのであります。さらに、一方、わが国の今年度の貿易の赤字は、対米輸出の不振に大きな原因があったのであり、政府がせっかく日米箱根会談で友好ムードを作り上げたはずなのに、当のアメリカは、二週間もたたないうちに、これを裏切るようなAIDの肥料入札の締め出しや綿製品輸入関税の引き上げなどの冷厳な措置によって報いておるのであります。自民党内でも、何のための箱根会談かと皮肉る人さえいるのであります。池田総理が突然アジア外交を言い出したのも、一面ではこうした八方ふさがりの窮状打開のために東南アジアの市場に目をつけたことにあると思われますが、東南アジアは各国とも慢性的なドル不足に悩んでおり、商品流通の上でも有無相通ずる関係になく、日本に対する警戒心、大東亜共栄圏的な恐怖感もぬぐい去られてはおりません。総理は、以上のように大きな世界経済の動向に対して、どう対処されようとしておるのか、この機会に伺いたいのであります。今年度四十七億ドルの輸出をどう達成しようとしておるのか。特に、この際行き詰まった貿易を解決するためにも、日中日ソなどの共産圏との貿易拡大のため政府間協定まで踏み切る意思はないのか、明らかにせられたい。これらの国こそ、日本の重化学工業製品の大きな市場となり、日本が伸びていく最も合理的な道とお考えにならないのか。以上のような経済外交の点についての総理の確たる御方針を承りたいと思います。
 次に、経済問題について政府の見解をただしたいと思います。ことしは池田内閣にとっては、高度成長計画の第二年目でありますが、国際収支の逆調、金詰まり、株の暴落、企業の倒産、経済界は深刻な混乱の中に新年を迎えました。ことしは、三月ごろを一つのピークとして、その後も、輸出の伸び悩みを中心に、わが国経済は深刻な、なべ底景気を続けるだろうという見方が、政財界を通じて言われているのであります。しかも、こうした経済情勢は、今日突如として起きたものではありません。このことあるのを、われわれは強く昨年の通常国会の初頭において指摘し、警告したのでありましたが、総理は手放しの楽観論で耳をかそうともされず、ついに今日の事態を生んだのでありまして、総理の責任はまことに重大であると言わなければなりません。拍手過日の施政方針において、国民の協力を呼びかけておられますが、その前に、まず総理自身が、一ぺんかぶとを脱いで国民にわび、改悛の情をお示しになってはいかがでございましょう。御見解をただしたいところであります。
 ここで私は、少しく高度成長政策の持つ資本主義的な性格について触れてみたいと思います。たとえば国際収支の悪化にしても、これは起こるべくして起こったのであって、昭和二十八年、三十二年と、ほぼ四年週期の循環を示しているところに問題があろうと思います。そこに実は日本経済の巧妙な資本蓄積の秘密のかぎが隠されているのであります。総理は、一昨年の総選挙のテレビ討論の際、「今ここにある三個の卵をすぐ分けるより、六個にふやしてから分配したほうが国民のためになる」と、言葉巧みに話しかけられたのでありますが、確かに経済は成長して卵はふえたかもしれませんが、やっと分配するようになったころには経済危機が到来して、お家芸の引き締めをやり、分配はお預け、賃上げはがまんしてくれ、生活も耐乏だということになっておるのであります。こうして資本はますます蓄積され、二重構造は拡大され、生産力は世界一流だが消費生活は三流という、不思議な日本経済の生態ができ上がるのであります。高度成長政策は、まさに二重構造の拡大と高蓄積の別名にほかなりません。このように、高度成長政策のほんとうの罪悪は、巧妙なやり口で弱い者をいじめ、生産と分配のアンバランスを初め、社会のあらゆる面に二重構造の拡大を作り出すことにあると思いますが、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 以上のことからも、現在の経済危機の真犯人は、政府の高度成長政策にあおられた大企業の設備競争にあることは明らかであります。ところが、これに対する政府の政策は、大企業の投資抑制にはあまり効果がなくて、逆に、罪もない中小企業に打撃を与えるような、一般的な金融引き締め政策をとり、一方では賃金のストップや国民の消費抑制と貯蓄を呼びかけておるのであります。そこで私たちは、大企業の設備投資をねらい撃ちに削減する直接規制を行なって、二重投資、過剰投資を抑制することが、問題解決の基本であると考えますが、所見を伺いたいと思います。
 この五年間に民間設備投資のほうは年率三一%も伸びておるのに、個人消費のほうは年率わずか八%しか伸びておらず、また労働者に対する分配率の低下も明らかな数字になっております。消費物価の高騰と相待ちまして、その生活は実質的に低下いたしております。今次春闘における労働者の大幅賃上げの要求は、全く正当なものだと言わなければなりません。われわれはむしろ労働者農民その他の勤労者の所得を大幅に引き上げて、社会保障の拡充と相待って、国内の市場を積極的に拡大すべきだと思いますが、政府の見解をただしたいのであります。
 次に、政府は、三十七年度の輸出の見通しを四十七億ドル、輸入を四十八億ドルと見込んで、総合収支で年度末一億ドルの赤字という見通しでありますが、本年度の四十一億ドルが昨年に比べて四・六%しか伸びていないのに、来年度四十七億ドルと一五%も大幅に伸ばし得るかということは、すべての経済専門家、識者の一致して疑問とされておるところであります。特に世界経済が地域ブロック化し、アメリカのドル防衛は当分続く情勢にある現在、はたしてこの目標が達成できるでしょうか。輸出先を、わかっておりますれば、地域別に、品種別に、できるだけ明らかにされることを要求いたします。
 次に、国際収支の悪化と関連して、政府がさきに決定した本年十月までに九〇%という貿易自由化計画は、大幅に繰り延べるべきだと思いますが、政府の所見を承りたいと思います。国際収支の改善が最大の問題となっておるとき、輸入の増大に拍車をかけるような貿易自由化は、明らかに自殺行為と言わなければなりません。さらに、この自由化を目前に控えているため、政府は思い切って大企業の設備投資の削減に踏み切れず、そのしわを、投資総額の中でわずかな比重しか占めていない中小企業の投資削減や国民消費の抑制など、効果の少ない政策が露骨にとられておると思うのであります。
 次に、三十七年度予算案を見ますと、三十六年度に比べて二四・四%の膨張予算で、経済の成長率を五・四%に制御したのに比べて著しく矛盾しておることは、だれの目にも明らかなところであります。また、財政投融資の規模も前年度に比べて一五・七%の増加となり、経済情勢の変化に応じた予算とはとうてい申されないのであります。その内容からいっても、今度の予算は高度成長政策の結果生じたいろいろな不均衡是正を中心とすべきであるのに、この考慮を全く欠き、逆に参議院選挙目当ての政策の乱発が見られます。また、リバイバル調の恩給のべースアップ、旧地主補償が頭をもたげるなど、圧力団体にかき回された放漫総花予算であって、赤信号の出た日本経済に対する何らの反省が見受けられないのであります。拍手さらに、大さわぎされた減税も、年間総増加財源に比べてわずかに九・五%であって、物価の上昇を補てんすることもできず、減税の名に値しないものと言わなければなりません。しかも、減税の規模が小さいだけでなく、設備投資抑制の大目標からいって、当然削除すべき租税特別措置に何ら手がつけられていないことは、政府がだれの犠牲によって景気調整をやろうとしているかを端的に示すものであって、きわめて遺憾にたえないところであります。
 さらに、三十七年度予算に関連して、特に旧地主に対する農地補償について一言触れておきたいと思います。この問題に関しては、すでに二十八年の最高裁の判決において、解放当時の農地買上げの価格は妥当であったと国家の意思は定まっているのであります。だから、政府も農地補償は行ないませんということを今日まで言明を繰り返してきたのであります。ところが今回、わずかではございますけれども、二十億の旧地主だけを特別に対象とする補償が組まれておるのであります。(「社会保障だよ、困窮者の」と呼ぶ者あり)そこで、今出ておりますように、社会保障の一環だと体裁のいいことをおっしゃるでしょうが、一般困窮者の中から特に旧地主だけを引き出して救済の対象にしようとすることがわからない。このことを政府は明らかにしていただきたいと思うのであります。そこで伺いますが、自民党の政策を拝見いたしますと、ちょっと頭を出しておいて、この次には調査会の答申を待って地主補償を行なう、そのための財源として農地転用税を創設するやにうかがわれるのでございますが、政府にその考えはありますか。もう一つ伺いたいことは、この二十億を頭だけ出しておいて、来年度さらにこれをワクを広げるというようなお考えがあるかどうかということを伺っておきたいのであります。総理の衆議院での御答弁を拝聴いたしますと、憲法の問題については調査会の答申を待ってということでありますが、この旧地主補償の問題についても、被買収農地問題調査会設置法というのがあって、調査会がすでに設けられておる。その答申が何らなされていないときに、今年度二十億の特別ワクを設定するということは、多くの国民の理解できないところであります。拍手この点を明らかにされることを強く望んで、私の質問を終わります。拍手御清聴を感謝いたします。
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#4
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 まず第一に外交問題でございまするが、お答えする前にお断りいたしたいのは、関係大臣への御質問も相当ありますので、私の答弁は簡単に終わらせていただきたいと思っております。
 第一の軍縮委員会に対する問題でございます。従来、東西五カ国ずつで軍縮委員会を開いております。昨年の六月、米ソ間におきまして予備交渉が行なわれておったのであります。われわれ日本は、お話のとおり、原爆の唯一の被災国でありますので、われわれは当然ここに入ることを期待いたしておりましたが、米ソの予備交渉で、どちらかわかりませんが、日本の参加を拒否せられたようでございます。こういう事情でございます。
 次に軍縮問題でございますが、われわれは、お話のとおり、各国との間におきまして有効な管理査察を伴う完全軍縮には賛成でございます。われわれは、今後におきましても、その方向で進んでいきたいと思います。
 次に、中共との問題でございまするが、中国の代表権はどちらにあるかという御質問でございます。これは何人も答えることはできますまい。もし、答える人があったならば、中共は中共にあるというし、台湾政府は台湾にあるというでありましょう。またそのうち、共産圏の一部の国、あるいは自由圏の一部の国はあるかもしれません。しかしこの問題は、中国自身に関係するのみならず、世界の平和と極東の安全に重要な関係を持ちますので、私は国連において十分審議する必要があるということを提案いたしまして、国連内における圧倒的多数の支持を受けまして、日本の主張が通っておるのであります。私はあくまで、国連におきまして、この問題が、世界の平和、アジアの安寧と中国人の気持をくんで、適正な結論が出ることを心から期待しておるのであります。
 第三の日韓交渉につきましては、われわれは歴史的に、地理的に、文化的に、全体の朝鮮人三千六七百万のうち二千五百万の南鮮と早く交渉することが、両者のためにいいと考えております。もちろん朝鮮の統一を望みまするが、国連がいろいろ世話をいたしましても、北鮮は統一につきましていろいろな方法で反対いたしておるようでございます。われわれは、二千五百万の韓国人と今のままでおくことは、両国のためによくないという考えで、今交渉を進めておるのであります。今の軍事政権の問題につきましては外務大臣に譲ります。詳しく答えることと存じます。
 次に、国際的の経済交流につきましていろいろお話がございました。欧州経済共同体、そうして欧州の貿易連合、そうして貿易連合と共同体との関係、そうしてアメリカのこれに対する問題等々、またアフリカにおきまする仏領のアフリカと今のEECとの関係、また、アフリカにおける旧英領諸国と貿易連合との関係、いろいろございまするが、私は、施政方針演説で申し上げましたごとく、これら共同体とか連合が強力な力を持って、しかも、門戸を開放して、わが国との正常な貿易に移ることを期待し、それを望んで外交方針をやっていきたいと考えるのであります。
 次に、経済問題につきましていろいろお話がございました。昭和二十八年、三十二年、いろいろ私はその責任の衝にありましたが、国民の努力によりまして、世界の人の驚くほど高度成長をいたしまして、そうして日本の信用を高めておるのであります。私は今回のこの場合におきましても、国民の協力を得まして、前の二回と同様に、それ以上りっぱな乗り切りをして、そうしてこの上とも民族の発展と生活の向上をはかっていきたいと考えておるのであります。そのために、私は一時の現象に迷うことなく、自信を持って政府とともに進んでいっていただきたいとお願いしておる次第でございます。拍手
 また、お話のところに、経済の成長は最高であるが生活は三流である。——経済の成長は、世界の歴史にないほどの成長でございます。しかし、いかんせん、従来の明治以後日本の置かれた経済的立場がひどく低かった。しかし、これもだんだんよくなりまして、四、五年前には世界の各国で四十番程度の生活水準であったのが、今二十番以内に入りつつある。この点は国民の努力によるものでございまして、今世界の生活水準の三流であるから、これを一流にしようとするのが、経済倍増計画、所得倍増計画のねらうところであるのであります。
 また、設備投資につきましていろいろお話がございましたが、設備投資は将来の発展のもとでございます。設備投資と個人消費が同じ率だったら国が破産することを、ここに申し上げておきます。
 また、勤労者の賃金引き上げ、社会保障の拡充をやるべきだ。——やっております。日本ぐらい勤労者の賃金が急速に上り、社会保障が急速に拡充せられた国は、ほかにあまり例がございますまい。
 また、輸出の振興につきまして、一四%を非常に心配しておられますが、四、五年前には一七、八%の前年対比の増加も見ておるのであります。われわれは、今の全国総生産の一割程度を輸出することは、国を立てていく上にも当然のことでございます。フランスにいたしましても、イタリアにいたしても、総生産の一割前後をやっております。われわれは、従来、総生産の一割一、二分をやっておる。今度四十七億ドルにいたしましても総生産の一割足らずではありませんか。こんなことにひるんだら、ほんとうの日本の急速な再建はできない。大いにいろいろな工夫をして、これをなし遂げようではございませんか。これがわれわれの願望であるのであります。
 また、貿易の自由化が国際収支の悪化を来たすと言う。しかし、貿易を自由化せずに鎖国主義をとっておったら、日本の将来の国際収支が安心できますか。将来の国際収支をよくしようと思えば、貿易を自由化して世界の市場に乗り出すことが喫緊の要務であることは、識者のみな認めるところでありまして、拍手自由化が国際収支を悪くする、そんな近視眼的な見方は私はとりません。
 最後に農地問題でございますが、農地問題につきまして、調査会に付議し、いろいろな研究調査を願っておることはお話のとおりでございます。しかし、旧地主の今の状況を考えまして、われわれは、とりあえず生業資金につきまして、お困りの方が銀行から借り入れすることが困難な場合におきまして、国民金融公庫からある程度の生業資金を出すということは、お困りの方々に対するあたたかい政治であると確信いたしております。拍手
  〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍
  手〕
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小坂善太郎#5
○国務大臣(小坂善太郎君) 外交に関しましての数々の御質問は、大体総理大臣からお答えになりましたので、一言二言補足させていただきまするが、まず、御質問の中に、例の中国代表権問題が、これはたな上げと同じではないか、こういうお話がございました。これは重要問題と指定したからというお話でございます。しかし、そうではないのでございます。国連憲章十八条によるこの重要問題の指定というのは、たとえばわが国が提案いたしました放射能の害悪について、これを総会に報告せよという議題も、これは重要問題となっております。さような意味において、中国の代表権、中国を一体だれが代表するかということは非常に重要な問題であって、一歩この問題の扱い方を誤れば、極東の平和あるいは世界の平和にも影響する問題でございます。これを重要問題でないと言うほうがよほどどうかしていると私は思うのでございます。
 その次に韓国の問題でございまするが、韓国の問題は、御承知のように、平和条約第四条において、韓国との請求権の問題を処理するということを日本は約束しておるのであります。それに基づきまして、近い隣国である韓国との間に、この問題、並びに例の李承晩ラインとの問題によってわれわれの同胞の漁業者が非常に難渋しておる問題、この問題を解決しようということでございます。朝鮮が南北統一されることは、これは非常に望ましいことでありますが、ほうっておいたらそれじゃ統一されるかという問題でございます。御承知のように、韓国においては国際連合の監視下で選挙をやって、そして統一しよう、こういうことを言っております。ところが、北鮮側では国連の権威を認めず、国連の監視下における選挙は反対であるということを申しております。したがって、その統一選挙はできないのであります。それじゃ、これはほうっておいたら統一選挙ができるという根拠は一体どこにあるかということでございます。すなわち、われわれは韓国との間に国交を回復して、そして、しかる後に全鮮が統一されることを、われわれとしてはその方法を待つということ以外にないということを、特に御承知を願っておきたいと思います。拍手
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、
  拍手〕
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藤山愛一郎#6
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私に対する御質問は、経済見通しにおける四十七億の輸出が可能かどうかということでございますが、先ほど総理も答弁されましたように、われわれとしては、ぜひこの目標を達成するように、政府、民間、あげて協力をして、そうしてこれが可能になるように努力していきたい。そうしてこの目標というものは必ずしも過大な目標とは思いません。しかし困難であることもむろんでありますから、これに対してできるだけの努力をいたして参りたい、こう考えております。
 なお、自由化の問題につきましても、国際貿易を拡大する上においては、私はこれは相当な輸出面においても効果があると思っております。しかし問題は、ただ自由化された場合の輸入におきます国内産業への影響でありまして、これらの問題は、貿易の拡大という命題を堅持しながら、国内の諸般の自由化に伴います特に中小企業その他に対する影響をできるだけ排除し、または中小企業の援護をして、そうしてその自由化に対処できるように国内問題として善処していかなければならぬと、こう考えておるのでございます。拍手
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#7
○国務大臣(佐藤榮作君) 総理大臣並びに藤山企画庁長官からお答えいたしましたので、大体尽くしたように思いますが、お尋ねのうちに貿易拡大、この立場から最近のEECの強化なり、あるいはアメリカのドル防衛なり、これが日本の貿易の拡大に非常な困難さをもたらすのじゃないかという御指摘がございました。しかし、これはいろいろな見方があると思いますが、EECやアメリカにいたしましても、自国の経済を拡大する、その意味においての貿易の拡大ということは、自由主義諸国といたしましてすべて努力しておるものでございます。いろいろの条件はもちろんついて参ります。かように考えて参りますると、この条件をいかにして排除して、そうしてこの貿易を拡大するか、アメリカなりあるいはEECの共同体に対して私どもがいかに働きかければいいか、これがいわゆる経済外交であり、またその他のわが国産業の拡大、こういう立場に立ちましての支払い方法その他等が考えられるのでございます。
 また、こういう際だから、いわゆる共産圏貿易も拡大をして、政府間のベースで協定できるようにしたらどうか、こういう御指摘でございました。すでに御承知のように、日ソ間におきまして、ただいま通商取りきめの交渉を持っている次第でございます。また、中共とはそういう段階にはなっておりませんが、すでに数回、私どもが申し上げておりますように、貿易を拡大されることについては、私ども心から願っているのでございます。ただ過去の共産圏とわが国との貿易の実態は、いずれの場合におきましても入超になっているのでございます。したがいまして、ただいま共産圏諸国との貿易を拡大する、こういう態度をとりましても、過去のような実績であることは、私どもとしては、これは満足すべき状態ではないのでありまして、今回の通商取りきめ等におきましても、互恵の通商協定、そしてバランスのとれるような貿易であることを心から願っている次第でございます。
 また、お尋ねのうちに、最近の産業構造から見て、景気の調整期に入って、二重構造を一そう拡大しているのではないか、こういう御意見が出たと思います。今回の調整期に入ります際あるいは経済の拡大をはかります際に、すでに政府は、格差をなくする、いわゆる地域的な格差あるいは業種間の格差、これをなくする、こういう指標を示して参っております。今回の経済の調整段階に入りましても、いわゆる弱い者にしわ寄せをしないように特に留意して参ったつもりであります。したがいまして、御承知のように、いわゆる金融引き締め等を通じ、大企業の設備抑制等をいたして参りましたが、そういう際におきましても、中小企業に対しては進んで資金の拡大をはかって、年末金融等におきまして八百億の資金の拡充をはかったことは、御承知のとおりでございます。なお、この一−三月等におきましても、資金の実情等について十分留意をいたしまして、いわゆる中小企業等が特にこの調整期間中に困難な状態に当面しないように、金融の面におきましてさらに工夫をするつもりでございます。拍手
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍
  手〕
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水田三喜男#8
○国務大臣(水田三喜男君) ことしの予算規模が経済の伸び率に矛盾しているという御批判でございましたが、私どもはそう考えません。国民経済計算上において、今年度輸入を幾らに見込む、輸出を幾らに見込む、設備投資は今年度よりは少し低目に押さえたい、財政の規模は今提出いたしましたあの程度の財政規模にしたい、これを織り込んだ結果、国民総生産が五・四%という控え目に見込まれるという結果になった次第でございまして、これが全く経済の伸び率と無関係な、矛盾した予算ワクであるとは今考えておりません。
 それから、租税の特別措置についてのお話でございましたが、御承知のように、こういう問題もございますので、三十六年度の税制改正におきまして、平年度百六十五億円の整理改廃をいたしました。しかし、その後、設備投資を押さえる必要、こういう情勢が出て参りましたので、昨年の六月に指定期限が来ました機械の種類が非常に多うございましたが、この適用期間を延長するとか、また新規に機種を指定してもらいたいという要望も非常に多うございましたが、一切六月以後これを見合わせることにいたしております。また、従来は適用期間は二、三年でございましたが、これをできるだけ今後短縮するというようなことをして、経済情勢に適応した運用をはかる考えでおります。で、特に合理化機械というようなものの特別償却制度の運用に関しては、経済情勢の推移にかんがみて、政府としても御指摘のような措置を今とっておるときでございますので、御了承を願いたいと思います。拍手
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松野鶴平#9
○議長(松野鶴平君) 古池信三君。(「議長、再質問々々々」「答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
  〔古池信三君登壇、拍手〕
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古池信三#10
○古池信三君 私は自由民主党を代表いたしまして……(「答弁漏れ」「時間なし」「時間じゃない、答弁漏れ」と呼ぶ者あり)
  〔古池信三君降壇〕
  〔椿繁夫君発言の許可を求む〕
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松野鶴平#11
○議長(松野鶴平君) 椿君の持ち時間はすでに過ぎております。——何ですか。
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椿
椿繁夫#12
○椿繁夫君 ただいま御答弁をいただいたのですが、御答弁漏れがございますので……。たとえば農地補償の問題につきまして、調査会の答申を待たないで、こういう措置をとられたことと、本日の衆議院において、調査会の答申がなければ憲法の問題などについては論議をしない政府の方針であると言われておることの矛盾について、御答弁をお願いしたのでありますけれども、それがございません。いま一点は、本年度は二十億の特別融資ワクが頭を出しておるが、来年度さらにこれを広げるような心配があるが、この点について政府はどうお考えか。この問題についての御答弁がございません。
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松野鶴平#13
○議長(松野鶴平君) 池田内閣総理大臣。
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#14
○国務大臣(池田勇人君) 憲法に関する問題と農地に関する問題とは、おのおの性格が違います。これを調査会なるがゆえに同一に取り扱うということは、政治につきまして画一主義であって、私のとらないところであります。そうしてまた、今年、国民金融公庫を通じまして地主の生業資金として出しますが、再来年度どうするかというときには、再来年度の問題として、そのときにお答え申し上げます。拍手
    —————————————
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松野鶴平#15
○議長(松野鶴平君) 古池信三君。
  〔古池信三君登壇、拍手〕
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古池信三#16
○古池信三君 私は、自由民主党を代表いたしまして、池田内閣総理大臣並びに関係閣僚に対して若干の質問をいたしたいと存じます。
 戦後、特に最近のわが国の経済は、世界の注目のうちに目ざましい発展を遂げ、国民の生活水準も漸次向上して参るとともに、わが国の世界的信用は増大し、国際的地位もおのずから高まって参りましたことは、まことに御同慶にたえないと存ずるのであります。しかしながら、この狭隘な国土のうちに膨大な人口を擁するわが国といたしまして、今後、真に平和国家、文化国家として健全な発達を遂げ、わが民族の輝かしい繁栄を期すると同時に、広く世界の平和と人類の幸福のために偉大な貢献をなさんとするならば、目前に横たわっておる内外幾多の困難を克服して、この大理想を実現せんとする、不退転の勇気と確固不抜の信念がなければならぬと思うのであります。
 私は、まず第一に、国政担当の最高責任者として指導的立場にあられる池田総理大臣に対し、かかる崇高なる理想のもとにわが国に課せられた使命を達成するために、今後いかなる決意を持って国政遂行の任に当たられるか、総理の御決意のほどをお伺いいたしたいのであります。
 次に、第二といたしまして、政治運営の正しいあり方について御所見をお伺いいたします。近来、わが国内の情勢を見ますると、極左、極右を問わず、その勢力の中に破壊的暴力主義が台頭して、法秩序を無視する集団あるいは個人の暴力行為、あるいは犯罪等の社会悪が増加する傾向にありますることは、まことに遺憾にたえないところであります。このままに放置するならば、わが国の民主主義は脅かされ、やがては議会政治の危機が訪れないとは、何人も保証し得ないのであります。かような破壊的暴力行為を初めとする各種の社会悪の一掃のために、政府は一そう適切な措置を講ずべきことはもちろんでありまするが、一方において、政治の正しい姿勢を確立して、国民が真に信頼し安心することのできる民主政治を築き上げることが、今日の急務であると私は考えるものであります。しからば、議会政治の正しいあり方とは何か。池田総理が常に申されておりまする、寛容と忍耐の精神をもってお互いに話し合う、この話し合いによって事を解決していく、まことにけっこうであります。与党たると野党たるとを問わず、虚心たんかいに誠意を披瀝し合って論議を進めていく、このことはまことに望ましいことであります。しかしながら、論議を尽くしてもなおかつ意見の一致を見ないような場合には、民主的に多数決の原理によって事を決して、やがて世論の判断を待つ、こうあるべきであろうと私は考えるものであります。話し合いの場合におきましては、多数党は常に少数党の意見に耳を傾けるべきは当然でありまするが、これと同様に、少数党の方も、採決にあたりましては謙虚に多数意見に従うということを忘れてはならないのであります。結論に至る過程における話し合い精神の発揮と、最後は多数決原理の尊重こそ、議会民主政治の正しい姿であると私は考えるのでありまするが、この点に関しまして、総理大臣の率直な御見解をお伺いいたしたいのであります。
 次に第三は、外交政策においてであります。現下の世界情勢は、自由、共産両陣営のきびしい対立下にあることは申すまでもありません。しかし実体は、むしろ民主主義と独裁主義との対立であると思うのであります。今や人類は、自由かあるいは隷属か、この二者択一を迫られているのでございます。今日一応の平和を保ち得ているのは、世界の力の均衡であります。昨年ソ連は、東西間の均衡を打破せんとして、世界をあげての反対にもかかわらず、五十メガトンの核爆発を行なうという暴挙をあえていたしました。また理不尽にもベルリンの東西境界線を閉鎖するに至ったのであります。かように、世界の各地においてきわめて困難なる問題が続々と発生しつつある かような事実はまことに重大であります。わが自由陣営におきましては、物心両面にわたる実力を高めると同時に、この危機打開のために、すみやかに問題解決のめどを見出す努力を尽くさねばならぬと思うのでありますが、かような重大な国際情勢に対処すべき基本的態度において、総理の所信を明らかにしていただきたいのであります。
 最近、われわれの最も遺憾といたしまするところは、鈴木氏を団長とする社会党訪中使節団の日中共同声明であります。この共同声明の中において、アメリカに対して悪意に満ちた中傷を繰り返し、さらにまた、「米帝国主義は日中両国人民の共同の敵である」という、いわゆる浅沼発言を再確認しているのみならず、これを称揚さえしているのであります。社会党は、かねて「中共、ソ連とも、アメリカとも仲よくするのだ」と、かように称して、これを国民に訴えてきたのであります。しかるに、この共同声明に現われた社会党の態度は、全くこの言辞を裏切り、容共反米をもって一貫しているのであります。拍手社会党のいうところの積極中立政策の本質は、ここに完全に暴露されたものと言わざるを得ないのであります。国民は、社会党のかかる態度に強い反感を抱き、きびしくこれを非難しておることは、御承知のとおりであります。かような事態に対して、総理大臣並びに外務大臣の御所見を承りたいのであります。さらにまた、政府においては、すみやかに国論の帰趨を洞察して、国民大多数の意見に基づいて、強力な自主外交を展開さるべきであると考えますが、政府の所信をお伺いいたしたいのであります。
 次に、第四といたしまして、私は政府の財政経済政策について、若干ただしたいのであります。
 その第一点は、経済成長政策の遂行に関する基本的態度についてであります。経済成長政策は池田内閣の重要政策の一つであり、これが成否は池田内閣の試金石であるとさえ言われておるのであります。しかるに、昭和三十六年度の経済の成長は予想以上に急速なテンポをもって進行し、民間設備投資の行き過ぎによりまして、国際収支に赤字が累積するに至ったのであります。政府としましては、これがために一連の引き締め措置を講ずるに至ったのでありまするけれども、世間の一部におきましては、この際政策の転換をはかるべきであるというような声も聞かれるのであります。また一部においては三月危機などということも口にされておるのでありまするが、かような点について政府はいかにお考えでありましょう。思うに、経済成長政策の実施にあたって何よりも大切なことは、安定した成長を確保するということであります。昭和三十七年度に予想されておる五・四%の成長率は、これをアメリカやイギリスに比較いたしますると、なおかつ相当に高度の成長率であります。しかしながら、わが国の前年度あるいは前々年度の成長率に比べますると、かなり低い数字になっておるのであります。もちろん、経済は生きものでありますから、長い間には山もあり谷もある、これはやむを得ない現象であると思いまするけれども、経済の成長に伴って生ずるかような波乱は、極力なくするような努力が必要であると思うのであります。そこで私は、経済成長政策は政府の基本的な重要政策として、あくまでこれを推進するという、その方針に、もちろん変わりはないと思いまするけれども、この点をはっきりと言明していただきたいと思うのであります。それと同時に、経済の成長が今後安定した順調なコースをたどることについて、政府ははたして十分な成算があるかどうか、この点もはっきりとお答えをいただきたいのであります。
 次に、第二点といたしまして伺いたいのは、明年度予算の規模と景気の動向についてであります。昭和三十七年度一般会計予算の規模は、前年度に比して二四・三%、財政投融資計画は一七・九%の増加となるのであります。ともにかなりの膨張を来たしております。明年度の経済についての政府の見通しといたしましては、同年度下期中に国際収支の均衡が回復されるもの、かように予想されておるのでありますが、昭和三十七年度予算は、この経済の見通しと完全に一致しておるかどうか。膨張した予算が国内消費を増大させ、刺激しまして、そのために国際収支が一そう危険な状態になって、今よりも、さらにきびしい引き締めの措置をとらねばならぬというようなことはないかどうか。この点について、ひとつはっきりと御答弁をお願いしたいのであります。私は、これは単なる杞憂に終わるということを確信いたしまするけれども、この点についての政府の自信のほどをお示し願いたいのであります。
 第三点は、輸出並びに輸入の動向についてお伺いをいたします。高度の経済成長政策を進める上において、国内の健全な消費を伸ばすということもある程度は必要であるということは認めます。しかしながら、基本的には、国内の消費の抑制、貯蓄の奨励ということが緊要であることは申すまでもないのであります。元来、所得が増加すれば、黙っていても消費は自然に伸びて参ります。資源に乏しいわが国といたしましては、輸出の振興こそ何よりもこの際重要なことと申さねばなりません。今日、世界の貿易の伸び率が年に五%ないしは六%にとどまっておる際に、わが国が一五%にも近い増加を実現しようとする。しかも、単に明年度一年だけではなく、今後長期にわたって高い増加率を維持せねばならぬとするならば、そこにはなみなみならぬ努力が必要であると考えるのであります。さしあたって、明年度の輸出目標四十七億ドルの達成について、政府としては、はっきりした成算があるかどうか。また同時に、将来にわたって世界の貿易拡大率を相当に上回る程度のこの日本の輸出の伸びが続けられるために、政府はいかなる構想を持っているか。こういう点について、関係大臣の御所見を伺いたいのであります。また一方、輸入につきましても、わが国経済の規模が拡大すれば、これにつれて、特に資源に乏しいわが国としましては、輸入に対する依存度が高まって参る傾向を示すことは、これは当然のことであります。しかしながら、この事実はそのままに放置することはできないのであります。きわめて重大な問題であります。今後の貿易為替の大幅な自由化に対処いたしまして、輸出はこれをどんどん伸ばしながら、輸入に対する依存度は高めない、むしろあるいはこれを下げていこう、こういうことは、非常にこれはむずかしい問題であり、しかもまた、重大なわれわれに課せられた課題であると思うのであります。これらの点につきまして、関係大臣のお考えを承りたいのであります。
 さらにまた、明年度の輸入見込み四十八億ドルのことは、今年度に比べますると、一・六%の減少になるのであります。政府とされましては、中小企業その他に対する影響を考慮し、十分なる配慮を加えて、その程度に押え得る確信があるかどうか、この点もあわせてお答えを願いたいのであります。
 第四点としましては、物価の問題についてお伺いいたします。
 物価の問題が国会における論議の対象となりましたことは、すでに今まで二、三にとどまらないのであります。その際の政府の答弁を要約いたしますと、卸売物価は比較的安定した推移をたどっており、消費者物価はかなりの上昇が見られるけれども、しかし、その一部はサービス料金の値上がりによるものであって、これは人間の労働に対する評価が高まっているのであるから、これはやむを得ないことであるし、また消費者物価の値上がりは所得の増加に吸収されておる、かような趣旨のものでありました。確かに卸売物価の趨勢は政府の言われるとおりであり、昭和三十七年度には、その低落さえ予想されるのであります。しかしながら、消費者物価のほうは、本年度に引き続いて、明年度にもかなりの上昇が予想されておる。消費者物価のかような引き続く上昇傾向は、決してこれは安易に見過ごしてはならない現象であると思うのであります。消費者物価の上昇並びに旺盛な労働力需要は、一面においては賃金水準の上昇を刺激するものであります。鉱工業生産におきましては、労働生産性の向上によって賃金の上昇分を吸収し、コストの上昇となって現われない場合も多々ありましょう。しかし、それがある一定の限度を越えますと、どうしてもコストを上昇させ、したがって物価を押し上げるという、悪循環を発生させるおそれがあるのであります。かような事態を発生させないように適切な措置がとられる必要があると思うのでありまするが、これに対して政府はいかにお考えでありましょうか、お尋ねをいたすのであります。また、流通部面におきましては、中間経費の縮小ということが今後ますます大きな問題となってくるでありましょう。この問題については、今のところほとんど大した手がつけられておらぬように思うのであります。私は、物価問題を今後の重要な課題の一つとして政府は真剣にこれが検討を進められるように要望いたす次第であります。以上の点について総理大臣並びに経済企画庁長官の明確なる御所見を承りたいと存ずるのであります。
 第五点といたしましてお伺いしたいことは、所得格差の問題についてであります。
 経済成長政策は、経済成長の過程において、各階層間、業種間、地域間の所得格差を是正し、漸次縮小させていくということを、一つの大きな課題としておるのであります。昭和三十六年版の「国民生活白書」によりますと、地域間、業種間の所得格差はなお相当に大きなものがあるのであります。今後、所得格差の是正という見地から特に重視すべき問題は、申すまでもなく社会保障政策の拡充強化、農林漁業対策の推進、また、中小企業対策の推進であろうと思うのであります。明年度の社会保障関係予算は、生活保護費を初め、その他各般にわたって相当大幅な改善が予想されておるのでありまするが、所得格差を縮小させる上において、はたしてこれで十分なものであるのかどうか。また、農業基本法はすでに制定されましたけれども、その目的を十分に実現するためには、今後非常な努力を必要とすると考えるのであります。ことに、欧州経済共同体が農業面においてもそのブロック化を進めておりまする現在、わが国農業の近代化はきわめて喫緊の問題となっておるのであります。わが国農業の近代化、その国際競争力の強化につきまして、政府はいかなる構想をお持ちであるか。この問題については、農林大臣の忌憚のない御所見をお伺いいたしたいのであります。
 また、中小企業につきましても同じような問題が伏在しております。昭和三十七年度の中小企業関係予算は、従来に比して相当大幅な増額が行なわれておるのでありまするが、はたしてこれで中小企業対策として十分とお考えであるかどうか。また、業界において多年要望しておる中小企業基本法については、今国会において政府は提案の御用意があるかどうか。これらの点について、通商産業大臣の御所見を承りたいのであります。
 次に、後進地域の総合開発、僻地、離島の振興、新産業都市の建設、その他、地域間の所得格差の縮小ないし解消に役立つべき施策は、はたして現在の程度で十分であるかどうか。総合的な観点に立った産業立地計画を樹立して、強力にこれを推し進めていく用意を政府はお持ちであるかどうか。これらの点について政府の御所見を承りたいのであります。
 最後に、私は文教政策について若干お伺いいたしたいと存じます。
 最近における設備投資の増大、特に高度科学技術産業の伸展によって、産業界における技術者の需要は旺盛をきわめて参りましたことは申すまでもないのでありますが、その結果といたしまして、理工系の学生はもちろんのこと、この系統に属する学校の教職員までも続々と産業界に転身しつつある状況であります。かような事態に対処して、科学技術者の養成について、政府はいかなる対策をお持ちになっておるか。これをお伺いいたしたいのであります。
 最後に、青少年の教育問題については、これは立国の根本に関するきわめて重大なる問題であると考えまするがゆえに、総理大臣並びに文部大臣の率直な御意見を伺いたいのであります。
 冒頭に述べましたように、戦後わが国の経済の発展はまことに驚異的とさえいわれておるのでありまするが、一歩退いて国内の現実を注視いたしますと、そこには物の生産と経済の成長のみが重要視されて、民族繁栄の基本である教育問題が実際上はとかく軽視されていたのではなかろうかと、かような考えすら起こるのであります。今日なお民主主義の危機が叫ばれ、また一面、青少年の犯罪は実におそるべきものがあります。戦後のわが国においては、とかく形而下の問題にのみとらわれて、国家の将来をになうべき青少年の訓育については、どこかに大きな抜けたところがあったのではなかろうかとさえ私は思うのであります。このままの状態を続けていきますならば、たとえよき技術者は生まれようとも、真にりっぱなよい日本人と呼び得るかどうか、りっぱな次代の形成は望むべくもないのであります。国家百年の将来を思うとき、まことに深憂にたえないものがあります。総理大臣並びに文部大臣から、事教育に関するかたい御信念を承りたいと思うのであります。
 以上各般の問題にわたりまして質問を試みましたが、要するに、国際社会にあっては、平和の維持に貢献しつつ、わが国の国際的地位を向上させ、国内におきましては、安定した経済の成長によって、国民全部がひとしく福祉国家の恵沢に浴するとともに、よき子孫を育成して、民族永遠の繁栄をこいねがうからにほかならないのであります。総理大臣並びに関係大臣が腹蔵ない御意見を披瀝せられんことを要望いたしまして、私の代表質問を終わります。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#17
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 私の施政に対する根本理念は、施政演説で申し上げましたとおりでございます。人間の形成、そうして民主主義の確立、経済の成長による福祉国家の建設、これが根幹をなすものでございます。しこうして、これを実現して参りますためには、あくまで民主主義の議会制度を守らなければなりません。私が国会の正常化を各党各派にお願いするゆえんのものも、ここにあるのであります。しこうして、国会の正常化のためには、われわれは自由な意見の発表はこれを十分聞かなければなりません。しかし、自由な意見の発表を聞くということは、多数決の原則を破るものではない。私は、民主主義は、その根幹はあくまで多数決でいくべきだということを、ここではっきり申し上げたいと思います。
 なお、外交方針につきましては、すでに申し上げましたごとく、アジアの一員であり、そうして自由国家群の一員として、国連を中心に処理して参りたい。もちろん共産圏との友好関係を阻害することはいたさないのであります。
 また、日中問題につきましての御質問中、社会党の訪中使節団の声明、中共との共同声明につきましては、私は、米国と特別の友好関係にあるわれわれといたしましては、あの声明はまことに遺憾でございます。まことに遺憾であり、かかることは、日ごろ積極中立を唱え、平和を愛好される社会党さんの態度としては、どうも読み切れぬところがあるのであります。拍手私は、この点につきまして、国家のため、アジア、世界の平和のために、十分お考え願いたいと思います。
 なお、今回の予算におきまして明年度の経済成長を五・四%と見ております。過去二年、三年、非常に高度成長をいたしておりますので、明年はある程度その速度をゆるめていくことが、将来日本の安定成長、経済の高度成長のために役立つものと考えておるのであります。
 なお、財政規模につきましての御質問でございまするが、私は高度成長を避けて五・四%でいたしましたが、これによって不景気が来ることは、これは避けなければなりません。私は、日本の現状から申しまして、社会資本、いわゆる公共投資が非常におくれていることを考え、また国土保全の点からも、そうして将来の日本を背負っていかなければならぬ青少年の教育、あるいは今の不十分な社会保障制度拡充のためには、そうしてまた将来の景気を維持するためには、この程度の歳出は必要であると考えておるのであります。
 なお、輸出目標につきまして、一四、五%の目標は、世界の大体の輸出の増加が年四、五%のときに一四、五%を見積るのは、非常に多過ぎるじゃないかというお話、ごもっとものようでございまするが、日本の経済成長というものは過去十年間にわたって非常な高度の伸展をいたしておるのであります。およそ各世界の一般の全体の輸出というものは年に三、四%、四、五%しかふえない。過去十年間の実績中、日本の輸出は、多いときには二〇%、一五、六%の例は多いのであります。もちろんそれまで行かぬ年もありますが、総じて日本の輸出は世界の輸出増加率の倍以上平均行っておるのであります。こういう意味から考えまして、努力目標として一四、五%の分はぜひ実現したいと、国民の御協力を得まして実現さすべく努力を重ねていきたいと思います。
 なお、輸入が四十八億ドルでは少し減っているではないか。これは当然のことでございまして、貿易自由化のために相当大規模に機械の輸入が行なわれております。これははだんだん私は減ってくると思います。また、高度成長で相当原材料の輸入も行なわれましたが、適正化すれば大体四十八億ドルくらいで進んでいくのではないかと思います。
 物価の問題につきましては、お説のとおり、お考えを十分実現するよう努力していきたいと考えております。
 それから所得格差の問題は、各方面におきまして起こっておりますので、この解消を実現していくには、今ようやく緒につきつつあるこの効果は、どうしても五、六年、七、八年、十年を待たざるを得ぬと思います。しかし、われわれはできるだけ早く所得格差の解消を実現すべく格段の努力をいたしたいと思います。
 文教問題につきましては、私は施政の根本を、りっぱな人間の形成に第一に置いておる。これでおわかりいただいたと思いますが、やはり国民が民族と国土と文化を愛し、そうして高い人格と良識を持たし、世界の、国際的の信用と尊敬を受けられる人間を形成することが、私は教育の面において国を立てていく根本だと考えておるのであります。拍手
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍
  手〕
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水田三喜男#18
○国務大臣(水田三喜男君) 予算と景気の問題についての御質問でございましたが、財政が経済にどういう影響を及ぼすかという問題は、予算の規模で判断することはできないのじゃないかと思います。予算の規模だけを問題にしますれば、今度の予算は国民所得に対して一五、六%の規模でございますが、これは欧州先進工業国の予算規模に比べたら、まだ日本の規模は国民所得に対しては非常に低いということになりますし、また、本年度の補正を含めた予算額に比べれば、そう大きい伸びではございません。私はことしの予算が非常に大きい予算であるとは思っておりません。問題は、通常歳入でこの支出を全部まかなっているかどうかという健全性の問題、それから内容の問題、また金融政策との関係において判断さるべきものだと思いますが、そういう意味から見ましたら、先ほど総理が御答弁されましたように、公共投資の立ちおくれ、社会保障制度そのほか文教政策の充実の必要が現に迫られておりますし、そういう財政本来の使命を果たすために必要な経費を計上する。そうしてまた金融政策は御承知のとおりでございますし、この三十六年の自然増が相当多いと見込まれるときに、私どもは補正予算を必要最低限にしぼって、相当大きい剰余金を次の年に持ち越そう、こういう考慮をしておるわけでございますので、そういう一連の考慮によってできた予算であることを考えましたら、私は御心配になるような経済を刺激する予算では絶対ないと確信しております。拍手
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 中小企業振興対策につきまして、三十七年度の予算に計上されております予算総額、もちろんこれをもって十分というものではございません。申すまでもないことですが、この中小企業はわが国経済の発展に対しまして重大な役割を果たしておるのでございますから、これが近代化等については一そう今後とも政策を推進して参るつもりでございます。同時にまた資金的にも、いわゆる調整の際に不幸を見ることのないように、一そうのきめこまかな配慮を講じて参る考えでございます。
 また中小企業基本法を制定するかどうかというお尋ねでございましたが、御承知のように、中小企業は規模あるいはその階層等におきましてもまことに複雑多岐でございまして、現状を十分把握し、また問題の所在も明らかにいたしまして、しかる後でこれが対策を樹立すべきだと思います。十分そういう意味で調査研究を進めているというのがただいまの段階でございます。もちろんこの国会におきましても、準備が済み次第、私ども提案することについて最善の努力をいたしたい、かように考えております。拍手
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、
  拍手〕
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藤山愛一郎#20
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価問題は本年取り組まなければならない非常な大きな問題であることは申すまでもございませんし、特に短期的な問題としても早急にこれらの問題を取り上げて参らなければなりませんが、同時に長期的な、高度成長の今後の問題を考えてみましても、この問題につきましては相当十分な関心を持って準備をして参らなければならぬと思います。成長過程におきまする物価、特に消費者物価というものはむずかしい点が多々あるわけでございまして、経済が成長して参ります場合に、当然労働賃金その他の上昇を見て、所得の十分な確保をはかって参りますことは、これは当然でございますが、そのために合理化もしくは生産性の向上によって吸収できないような部面も起こり得るわけでございまして、それらの問題をあわせ考えながら合理化できる、あるいは生産性の向上できる製品の価格の低落を期待しながら、それらのものが平均していくように考えて参らなければならぬと思います。
 また生鮮食料品の問題等につきましても、季節的な関係もございますし、需給の関係もございます。これらの問題につきましても、農村の所得を十分確保するような農業の構造上の変化、その他に対応して考えていかなければならぬ部面もあるわけでございまして、そうした面を考慮しながら物価問題を考えて参らなければいかぬと思います。なお、消費と生産とのアンバランスのあるような問題につきましては、緊急輸入その他あらゆる特段の方策を講じて、そうして、それらの問題の解消に努めて参らなければなりませんと同時に、中間的な経費の節約というような問題については、単に市場の組織問題、従来いわれております問題ばかりでなく、今日のような交通困難な事情のような場合における交通費の問題等も、農産物その他の輸送においては相当影響がある問題でございまして、これらの問題とも取り組んで参らなければならぬと思うのですが、要は、総合的にこれらの問題と取り組んで参りまして、そうして、経済成長の過程におきまして著しき物価騰貴が起こらないで、その結果としてスムーズな経済成長ができるような政策も進めて参らなければならぬ。ところが昨年来、相当な消費者物価の騰貴を見ましたことはまことに遺憾でございまして、それらの点について本年は一そうの検討をいたして、そうして総合的対策をもってこれらに対処して参るように、われわれも努力して参りたいと思っておる次第でございます。拍手
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
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河野一郎#21
○国務大臣(河野一郎君) わが国の農業が非常に零細な農業でございまして、設備その他も非常に貧弱である。そのために他産業との格差がなかなかうまく縮まっていかない。これまでは主としてこういう方面に重点を置いて考えまして、農村の構造を改善いたしまして、経営の規模を増大するとか機械化するとかというような点について、主として考えて参りました。御指摘のとおり、最近国際情勢の変化が急激に起こって参りまして、これまででございますれば貿易の自由化という面で、しいて申し上げますならば、農業に対する影響、圧迫は、比較的他産業ほどではなく考えられて参りましたけれども、お話のような最近の国際情勢、国際競争の緊迫化というようなことを考えますると、よほど国内における農業のあらゆる面から生産性をあげて、そしてそれらの競争に耐えるようにして参らなければならぬだろうと考えておるのでございます。たとえて申し上げますならば、地域農業を確立いたしまして、適地適産、さらにまた申し上げますならば、あらゆる角度から農業技術を刷新高揚いたしまして、これらの技術を基盤にして生産性の向上をはかる、さらに考えますならば、従来の土地田畑の上に形成されております農業に、さらに何がしかの資本を加えて、ここに設備を取り入れて、そうしてその上に農業経営をして参るというような、あらゆる角度から現在の農業経営に対してこれ改善して参りまして、国際的な競争力をつけて参るというようにして参ることも必要であると考え、せっかく努力いたしておる次第であります。拍手
  〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍
  手〕
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荒木萬壽夫#22
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 まず第一点は、いわゆる技術革新の時代の要求に応じて、科学技術者の養成が重要であるが、その対策はどうだという事柄であったと思います。すでに昨年来、当議場におきましてもいろいろ御論議をいただいた問題でございますが、さしより科学技術者の養成について、昭和三十六年度いわゆる一万六千人増員計画を策定いたしまして、計画第一年度としては国公私立合わせまして三千二百二十人の増員をはかりました。ところが、今申し上げるように、産業界からの御要請もあり、また所得倍増はもちろんのこと、技術革新に応ずるためには、さらに特別の考慮を必要とするということも種々検討を加えまして、私学のほうの御協力を極力仰ぐことにいたしますと同時に、過ぐる国会で御決定をいただきました高等専門学校を創設いたしまして、昭和三十七年度においては、大学のほうも合わせまして計画を繰り上げ実施することにいたし、高等専門学校は十二校創設することといたしまして、数字的にちょっと申し上げますと、大学は、国立、公立、私立合わせまして合計三千三百六十人、高等専門学校は、国立十二校、公立二、私立五、合わせまして合計二千二百九十人、総計五千六百五十人の増員養成計画を実施する考えであるわけであります。また、工業高校の新増設につきましては、八万五千人の入学定員の増員計画に基づきまして、高等学校入学志願者の急増も勘案して、昭和三十七年度におきましては、そのうち二万八千人の定員増をはかる予定にいたしておりますので、いろいろと御懸念のあるお話ございましたが、今後の科学技術者の養成には万全を期し得る態勢がスタートし得るものと存じております。
 第二点は、教育の問題、なかんずく青少年の犯罪続発を御指摘になりまして、その重大さをお話しございましたが、総理からすでにお話があったとおりと心得ます。ただ、この青少年犯罪の原因が何だということになりますと、いろいろな原因が考えられ得るかと存じます。少なくとも教育の面で青少年犯罪の激増の要因があるんじゃないかということが懸念されるわけでございますが、これにつきましては、過ぐる国会でも触れたことでございますが、不幸にして、終戦直後のアメリカ軍の指令によって義務教育課程における地理、歴史、道徳教育なすべからずということが、十数年そのままでやってこられましたために、一番がんぜない、感じやすい律令の義務教育課程の学童が、特に道徳教育を行なわれないために、是非善悪の弁別力なくして上の学校に行く、社会に出るということが、私は青少年犯罪の原因を形成しておろうかとおそれるのであります。それに対しましては、すでに御承知のとおり、昨年から小学校で、本年から中学校で、三十八年度は高等学校で、道徳教育ないしは倫理等の特設教科を通じまして十分の教育をするという建前になりましたことは、おくれながら御同慶に存じておるところであります。拍手いずれにいたしましても、新教育課程を実施するものは学校の先生でございますから、先生がほんとうに青少年のために人間形成に情熱を傾けてやって下さらないことにはどうにもならない。私は、六十万の小中学校の先生の大多数が、りっぱな先生であることをかたく信じますが、遺憾ながらその一部に心得違いの者がおる。拍手そのことを私は国民の一人としてはなはだ遺憾に存じてきましたが、日教組の幹部を形成する一部の人々の猛省を、私は今後も促し続けて参りたいと思っておるのであります。拍手のみならず、学校教育だけでなしに、やはり学校を出ました青少年社会教育の面でも、やはり同じような考慮が払われることは当然のことと存じます。さらに加えまして、私は、各家庭におきましても、子供の親御さんたちが遠慮しないで、先に生まれた者としての体験に基づくしつけを十分にしていただきたい。さらには、宗教家も、外国におけるがごとく、宗教情操教育を通じての青少年教育のために御協力をもっと願えないものか。さらにはまた、学窓を出まして社会に出れば、いきなり待っておるものはパチンコである、あるいはエロでありグロであり、二丁拳銃であるということも、これまた考えものでございまして、そういう意味から申せば、私は、マスコミあるいはラジオ、テレビのスポンサーの側におきましても、十分の御理解と御協力をお願いすることによって、国民全体が青少年のためにあたたかい気持をもって接することによってのみ、この青少年の犯罪増加の趨勢を食いとめ得るものではなかろうかと思うわけでありまして、その意味における全国民の御協力もお願い申し上げたい気持でございます。拍手
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松野鶴平#23
○議長(松野鶴平君) 曽祢益君。
  〔曽祢益君登壇、拍手〕
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曾禰益#24
○曽祢益君 私は民主社会党を代表いたしまして、池田内閣の施政方針に対して質問いたしたいと存じます。
 まず、外交方針について総理の所信を伺います。私は一年前に、第三十八国会にあたっての代表質問の中で、総理が東西交渉が失敗した場合の情勢の急激な悪化を考慮に入れていない点に警告を発するとともに、一そうの切迫感をもって、核兵器禁止協定の成立と核兵器保有国の拡散防止にあとう限りの努力を傾けることを、首相に強く要請いたしました。不幸にして国際緊張が激化した今日、総理が今回の演説において、核実験禁止問題や軍縮問題の早急な解決が困難であることを述べ、この問題が関係国間の話し合いできめられることを漫然と待っているかの態度を示しておられるのは、私の断じて承服し得ないところであります。国民は、総理が昨年九月、本院並びに衆議院において成立した核実験禁止に関する決議に基づいて、もっと精力的、能動的に、この決議の趣旨達成のために働くことを期待しているのでありまして、ここにあらためて、核兵器禁止に関する首相の所信と政策とを明らかにされたいのであります。行き詰まっている核実験禁止協定や軍縮問題を打開することが、いかに重要であるか、いかに緊要であるかを示す一つの事例といたしまして、中共の核武装の動きが、共産圏を含む全世界の心配の的となっていることをあげることができます。
 このように一面からしても、中共問題は、もはやほほかぶりを許さない本年の政治課題となっております。私は、昨年の国連総会における岡崎代表の演説が、単に中国問題の複雑さを訴えるだけに終わり、問題解決への方向には全く触れなかったことを遺憾千万に思うものであります。私は、その方向とは、北京政府に対して、中国の国連代表権を認める原則に立ちつつ、台湾問題の処理については、ソ連案のような頭ごなしの台湾の否定ではなく、台湾住民の意思を問うことを含めた問題の合理的解決の道を、国連の場を通じて発見するように努めることであると信じます。このような根本方針を持たず、ただただ、そのつど外交で当面を糊塗しようとする政府の外交に対し、国民が不満と不安とを抱くのは当然しごくと存ずるのであります。拍手国連総会における中国代表権問題は、事の本質から見て、重要事項として取り扱わるべきは理の当然であるが、日本が重要事項指定方式の提案国となったことは、もっぱら審議そのものの実質的たな上げをねらうところのアメリカの片棒をかつぐ自主性のない姿を示したもので、池田外交の一大失態であります。中国という一つの民族国家の中に、二つの政権がその正統性を争うという、異例なきわめてデリケートな事態に対し、日本としてあまり立ち入った議論をすることは、賢明でも建設的でもないと思われます。かといって、わが国の中国に対する基本的態度は、あらゆる国、あらゆる政権に対し、完全な独自性を持たねばならないことも、論を待たないところと存じます。政府、自民党は、台湾とアメリカに追随し、社会党は、先般の鈴木・張共同声明のように、全く中共ペースで百八十度これと対決するのでは、日本の一体性は失われ、国内に三十八度線が作られ、国民の不幸まさにこれに過ぐるものはないと存ずるのであります。拍手かかる事態を回避し、進んで外交の超党派性を探求するため、まず多数党をバックとする池田内閣、いな、池田総理みずからが、対米追随外交の汚名を返上するよう努めるべきと信じます。総理の腹蔵のない所信をただしたいのであります。
 朝鮮半島の安定は、日本の平和安全と至大な関係があり、われわれは、朝鮮がすみやかに平和的に統一し、民主国家として安定することを望むが、冷戦のもと、これが近く実現の見込みのない限り、わが国としては、国連が認めた韓国との間に懸案解決に努め、ひいて国交の正常化に至るのは当然であります。したがって、日韓会談阻止のごとき運動は、いかにとりつくろうとも、北鮮側に立った偏向であり、われわれはこれにくみしないのであります。けれども、池田総理としては、すみやかに党内における積極論、消極論を統一調整し、請求権問題に対しては、どんぶり勘定的な解決を排し、筋目折目をただし、軍事独裁から文民憲政への移行を条件とし、また、日本が韓国と一切の軍事的結びつきを持たないこと、これを中外に明らかにするなど、慎重さと自信とをもって、まず世論の統一に努め、拙速を排しつつ折衝に当たるべきと思うが、総理の所信をお伺いしたいのであります。
 首相は、今回の施政方針演説の中で、特に欧州共同体とアジア外交に言及しておられますが、その内容は、単なる思いつき的であり、はなはだ物足りないのであります。思うに、わが国の新しい経済外交の基本構想としては、(イ)アメリカ、カナダ及び太洋州を加えたグループ、(ロ)EECすなわち欧州経済共同体及び欧州とアフリカの一部、(ハ)共産圏、さらには(ニ)東南アジアなどの開発途上の国々という、世界の幾つかの経済圏に対し、全体的、体系的な総合計画を立てるとともに、いたずらにイデオロギーにとらわれず、これらの各グループとの間に有効な多角的な結びつきを持つように検討すべきであり、今やこの時期がきていると信じます。また、経済外交と国際政治とは表裏一体であり、アジアの開発途上にある国々に対するわが国の経済外交の推進は、また同時に、これら諸国を、軍事援助よりも一そう有効な方法で共産主義から守る道と信じます。総理の御意見をただしたいのであります。
 首相は日米関係についてはあまり語っておりませんが、鳴りもの入りの日米貿易経済合同委員会の開催などにかかわらず、ケネディ大統領の一般教書や予算教書によっても、アメリカのドル防衛政策は、はなはだきびしいものがございます。首相はAID入札からの日本商品締め出しや輸入綿製品に対する賦課金の徴収などの諸懸案についても、もっとわが国民の気持を率直にアメリカに伝えて、国民の納得する解決を求むべきであり、また、ガリオア、エロア援助については、わが党が、かねて主張したごとく、これを一種の道義的な債務性あることを認めるとしても、アメリカの債権放棄と、東南アジア開発援助に引き当てという方式について、なぜアメリカにもっと強くこれを要請しなかったか。この点、国民の納得できるような、的確なる首相の御説明を願いたいのであります。
 次に、経済問題を中心とする内政について質問いたしたいのであります。
 池田首相が「経済は池田におまかせ下さい」との自己過信のもとに進められた、いわゆる所得倍増政策の過去一年の業績を顧みれば、それは首相の重大な見通しの誤りと、機を失した対策の拙劣さの結果であるところの、民間設備投資の行き過ぎと経済の過熱、国際収支の悪化、金融引き締めによる中小企業の黒字倒産などに見られる安定成長の完全な失敗と、景気の波動と消費物価の上昇による労働者階級や庶民の生活の破壊、さらには社会の各方面におけるあらゆる格差の増大がその特徴であります。首相は今回の演説で、不承々々この失敗を認めておられまするが、このみずから招いた経済危機の打開のために、施政演説の中でお説教口調で国民に協力を求める前に、いさぎよく罪を国民に謝し、責めを負うて職を辞するのが、政治の姿勢を正し道義を確立する道と信ずるが、首相の率直なる見解を披瀝していただきたいのであります。
 以上の責任論とは別に、当面、経済危機を打開し、経済の安定的成長並びに格差の解消に努めなければならず、これがため、財政金融政策においては引き締め基調を守り、国際収支の均衡を回復することが至上命令であることは、論を待ちません。しかるに、政府の施策の全般に現われたところでは、国際収支の均衡を本年十月ごろまでになし遂げようという真剣な意欲も、これを実現する確信も、ともに欠けていることを、私は、はなはだ遺憾とするものであります。その証左の一つが三十七年度予算案の性格であります。新予算案は前年度に比して二四・三%増しの空前の大規模であり、しかも、大蔵原案よりさらに六百億円も実質上増された反面、当初考えられた繰り延べ予約方式はけし飛んでしまい、明らかに景気刺激的なものとなってしまいました。これでは、三十七年度の成長率を五・四%にとどめ、引き締めを堅持し、すべてをあげて国際収支の均衡を回復しようという政府当初の決意とは、完全に矛盾するものと言わなければなりません。財政は、放漫、金融は引き締めという政策は、無理であるばかりでなく、中小企業にとってはまさに破壊的ですらあります。首相はこの予算の性格を景気刺激的ではないと断言する自信をお持ちであるかどうか。また、蔵相、経企庁長官の見解もあわせて伺いたいと存じます。
 次に、予算編成にあたって、閣内のいわゆる大物実力者が面子にかけてぶんどり競争を行ない、また自民党が選挙目当ての農地補償、軍人恩給のベース・アップ、及び高等学校増設を犠牲とする小中学校の教科書の無償配布を内閣に強要し、政府が屈した結果、無性格的な総花予算となったばかりでなく、後年度財源の弾力性を一そう失う悪例を開いたことについて、財政的に明るいはずの総理、総裁として、いかにお考えであるか、あわせてお答えを願いたい。
 国際収支改善の困難は、輸出の振興と輸入の抑制の双方に存在しております。特にEECが米ソに匹敵する経済圏の実力を持ち、短期的には圏外に対して閉鎖性を持っていること、及びアメリカが強大なEECとの接近には熱心で、EECに対しては関税の引き下げに応ずる一方、これより魅力に劣るわが国に対しては、綿製品に対する賦課金その他の輸入の規制や、バイ・アメリカン政策の押しつけなどを続ける傾向がございまして、これらは日本経済の孤立といっては言い過ぎかと思いまするが、わが国の貿易の前途は容易ならざることを示しておるのであります。それにもかかわらず、政府は、当面最も重要な国際収支の均衡、特に輸出四十七億ドルの達成にいかなる対外的具体策と成算をお持ちであるのか。また予算案に見られる輸出振興策は全く不十分と認められるが、総理、通産相の意見がいかがであるか伺いたい。
 次に、池田内閣の無計画かつ大企業本位の成長政策の犠牲となった社会の諸階層に対する施策について、総理並びに関係閣僚の所信をただしたいと存じます。
 中小企業対策については、首相は口を開けば、不況乗り切りについて十分な融資を云々されるけれども、それも必要でございましょう。だが予算面での中小企業近代化促進のための施策はお粗末千万でありまして、これでは、貿易為替の自由化とEECなどからの競争に対抗して、また国内企業がますます集中化、巨大化する傾向すらあるおりから、そのおりの中小企業対策としては全く落第といわなければなりません。なお、中小企業基本法制定の要があると思うが、この点について総理並びに通産大臣からお答えを願いたい。
 農業につきましては、首相は、農業生産の選択的拡大と経営の近代化が急速に進展しているなど、のんきなことを述べておられまするが、鳴り物入りの農業構造改善事業費も予算面ではきわめて少額にすぎません。為替貿易自由化と強大な経済圏との競争という宿命を前にして、米麦を中心とする農業を、近代化された農業、他産業との収益の格差を縮める農業に変えるのにはどうするのか、食管制度は堅持するのかしないのか、河野構想はどうなるのか、あらためて首相並びに農相から御所見を伺いたい。
 庶民、特に都会の労働者、サラリーマンの主婦たちは、消費物価は三十六年度末までに一・一%以上上げないという首相の公約が破られ、すでに年末に東京では八・八%とはね上がった今日、もはや、収入の増加がやがて消費物価高に基づく支出増を吸収していくから、それまでは待てという首相の説得を、すなおに受け入れようとはいたしません。消費者物価安定においての確たる方針を首相並びに経企長官から伺いたいのであります。
 労働者は、政府の失政のしわ寄せのために賃上げのストップに甘んぜよという日経連や労働大臣の主張を、断じて容認いたしません。特に不況産業である石炭、海運、肥料工業に対し、政府が顧みるところがはなはだ不十分であることに強く抗議しております。経済成長の陰に取り残された同胞である被生活保護階層に対しての、総理のいわゆるあたたかい配慮が、わずか一三%の扶助基準の引き上げでは、とうてい物価高を帳消しできず、福祉国家などとは及びもつかないありさまであります。
 以上の諸点につき、総理並びに通産、農林各大臣より所信を伺いたいと存じます。
 最後に、私は池田内閣が大資本に奉仕する自由放任経済に立脚する限り、日本の働く国民のすばらしいエネルギーにこたえ、これを計画的に導いて、経済の安定的な成長をはかり、近代的な福祉国家を作ることは、望みなしと断言してはばからないものであります。われわれ民主社会党は、暴力や革命のような激変を通じてではなく、議会を通じて、平和のうちに現在の社会経済体制を変革し、完全雇用の達成、社会保障の充実、所得の引き上げと均衡化を実現し、経済の二重構造を解消し、もって民主社会主義社会実現への第一歩として、まず勤労者の福祉国家を実現するために、本国会の会期を通じて、ざらに国民にかわって池田内閣の経済社会政策を徹底的に批判し、衆議院における予算組みかえ要求と相待って、池田内閣との対決点を国民の前に明らかにする意向であることをここに表明いたしまして、私の質問を終わります。拍手
  〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
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池田勇人#25
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。
 核実験即時停止の問題につきまして、私が漫然として待っておる——これは私はそうでないと考えております。東南アジアを旅行いたしましても、また国連におきましても、核兵器の唯一の被爆国として、常に私は機会あるごとにこれを言っておるのであります。ただ、われわれが核兵器を持っている国に強圧することができないということだけであります。気持としては、できるだけの努力を払ってやっておるのであります。
 なお、中国代表権問題につきましていろいろ御意見がございましたが、われわれが米国の外交政策に追随している、こういうお話でございましたが、これはもう少し御検討を願いたいと思います。われわれは独自の考えで、そして、今までのたな上げ案をやめて、重要問題として審議するよう、一歩前進したと考えておるのであります。
 なお、韓国問題につきましては、大体われわれの考えと同じであることを私は喜ぶものであります。この問題につきましては、拙速でなしに、慎重に、自信を持って進めていく考えであるのであります。
 また、米国との関係におきまして、ICAとかAIDの問題につきまして、いろいろ御意見もあるようであります。われわれは、米国との経済貿易関係につきましては、常に機会あるごとに、また機会を作って、話し合いを進めていっておるのであります。
 なお、ガリオアの返還金の使用問題につきましては、米国の国内立法を条件といたしまして、東南アジアの、低開発国の開発にこれを向けるよう話し合いを続けて、大体私は了解を得ておるものと心得ておるのであります。
 次に、経済問題でございますが、日本のような高度成長の過程におきましては、いろいろな不均衡が起こることは、これは経済のあれとしてやむを得ないことであります。私は今の不均衡は国民の努力とともにこれを克服し得る自信を持っておるのであります。高度成長下におきまして、不均衡の一現象が起こったからといって、私が責めを負うてやめることは、ほんとうの民主主義ではないと私は考えております。あくまで私は責任をもってこの事態を収拾して、もっと高度な、りっぱな、よりよい日本の経済を作り上げることに自信を持っておるのであります。
 なお、今回の予算案が非常に刺激的だとおっしゃいますが、私は予算と景気の問題につきましては、今ここで長い時間をとりたくないと思います。これは施政演説で、はっきり申し上げている引き締めなければならぬけれども、将来の日本の経済の発展を考えて、この程度の予算規模が適当であるということを申し上げておるのであります。
 なお、輸出政策につきましては、あらゆる手段を講じまして、四十七億ドルの輸出実現を完成すべく努力を続けていきたいと思います。
 中小企業政策につきましては、いろいろ御議論もありまするが、従来、わが党でやっておった中小企業政策を十分に御検討願えれば、昔より違って、よほど進んでおると思います。来年度の予算におきましては、特にそれが現われておるのであります。なお、中小企業基本法の制定につきましては、ただいま関係大臣に督励をいたしております。
 食管制度の問題につきましては、いろいろ議論がありまするが、私は、今の食管制度の根本観念、すなわち農民がお作りになりましたものは、その意思によって無制限に政府は買います。そうして国民のほうには一定の価格で配給いたします。この根本原理は変える考え方はございません。ただ、時代の進運に伴いまして、私は国民大多数の好む方向に研究を続けていくことが政治の進歩であると考えております。
 消費者物価の安定につきましては、先ほど来、企画庁長官が答えられたとおりでございます。われわれは卸売物価の下降は予定しております。消費者物価につきましては、いろいろな方策を講じまして、くぎづけするというわけには参りませんが、適当な措置を講じ、そして生活水準の向上に支障のないように努力していきたいと思います。
 また、労務者の賃上げを政府がストップするという指令を出したことはないのであります。ただ、経済のこういう不均衡調整のときにおきましては、労賃の引き上げにつきましては、できるだけ慎重にやっていただきたい、こういうことを念願しておるのでございます。
 また生活保護費の上昇が非常に少なかったとおっしゃいまするが、昨年、当初予算で一八%、補正予算で五%、そして今回また一三%上げたのでございまして、これは物価の上昇以上に上げております。ただ基本的に生活保護費が今のままで十分かという問題につきましては、これはまだまだ十分ではないと申し上げまするが、物価の問題と引き上げの率の問題につきましては、私はあなたの説には賛成できません。
 経済の成長につきましては、先ほど来申し上げますように、私は国民の協力を得て、そうして十年以内に所得倍増は実現し得る確信があります。これは過去の実績をごらん下さればおわかりと思います。そうして、国民はこれを熱望しているのであります。政治家としては、この国民の熱望に対しまして、全力をあげて実現することが私の任務と思います。
 いろいろな問題で、われわれと対決なさることは、けっこうであります。あえて私は逃ぐるものではございません。どうぞ督励を願います。拍手
  〔国務大臣水田三喜男君登壇、拍手〕
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水田三喜男#26
○国務大臣(水田三喜男君) 予算編成が総花的であるという御批判でございましたが、私は編成にあたった責任者として、今度はそう考えません。政府が今まで重要施策としておったいわゆる四つの問題——減税、公共事業、社会保障、文教・科学技術の振興、この昨年から重要施策として行なってきた予算をみまするというと、減税は昨年よりももっと大幅——初年度一千億の減税でございまするし、公共投資は本年度九百五十億円ふやしております。それから社会保障は五百五十億円、文教・科学費は四百八十億円、最も大きい金額の増加となったのは、この四つの重要施策でございますが、これは重点的に施策を強化したと私は考えております。
 それから金額ではそう多い金額でなくても、経費の伸び率をみますというと、中小企業のごときは、昨年の予算に比べて百パーセント伸びておりますし、石炭対策は七〇%以上の強化になっておりますし、輸出振興についての輸銀への資金増というようなものも六割以上というふうに、各個別に見ますというと、相当重点主義の予算編成をやっているつもりでございますので、この点は今までの予算よりは、はるかに私はそういう批判に当らない予算ではないかと思っております。
 それから、大蔵原案が変更されたのは放漫じゃないかというようなことでございましたが、これは予算の決定というものは、閣議においてきまるべきものでございまして、大蔵原案が大臣折衝の過程あるいは与党の要望等の調整の過程において変更調整されることは、これは当然でございます。しかし最後の姿は、御承知のとおり予算ワクが変わったわけではございませんで、健全財政をはっきり貫き得た予算であると思っておりますので、この大蔵原案が不当に動いたという事実はございませんので、この点も申し上げておきたいと思います。拍手
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
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藤山愛一郎#27
○国務大臣(藤山愛一郎君) 予算の規模につきましては、総理、大蔵大臣も言われましたとおり、私は特に過大に過ぎるというふうには考えておりません。今後の輸出増進のことを考えてみましても、あるいは物価問題を考えてみましても、国内におきます社会資本の充実ということは、相当に今日の問題でございまして、そういう意味からいって特に過大だとは考えておりません。
 なお、物価問題につきましては、先ほど御答弁申し上げたように、私としては今年の重要な課題でございますので、これに取り組みまして、できる限り物価の安定をはかって参りたい、こう存じております。拍手
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
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佐藤榮作#28
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 国際収支の関係並びに中小企業につきましては、先ほど総理から詳細にお答えがございましたので、重複を避ける意味で割愛させていただきます。ただ、お尋ねのうちに、不況産業に対する対策はどうかというお尋ねがございました。不況産業と申すものは、私どもの所管ではいわゆる石炭鉱業並びに肥料工業、この二つについて御指摘だろうかと思います。御承知のように石炭につきましては、総合エネルギー対策の一環といたしましての対策、並びに当面しております石炭産業の現況等に対して、前国会におきましてもいろいろ御審議をいただきましたので、それらの線についての所要の予算措置を講じて参ったつもりでございます。もちろん金額的にこれをもって十分と申し上げるものではございません。なお、さらに個々の事業体等とも十分協議を遂げる部分もございます。また関係各方面と相談すべき余地も多分にあろうかと思いますが、一応対策としての基本線は、予算的には取り上げたつもりでございます。金額が十分だとかように申すのではございません。また、肥料工業は、すでに御承知のことだと思いますが、今日の肥料工業の実態から申しますると、必ずしも不況産業——採算のとれない産業、かようには私ども考えませんが、たいへん国際競争の熾烈な産業でございます。過去の輸出赤字等の累積等の対策、これも考えていかなければならないことだと思います。そういう意味で、今日まで税制上あるいは金融の措置で種々産業の強化をはかって参りました。また同時に、ただいま法制的にもいかにこれをしたらいいかというような意味で研究をさしておる、かような状況でございます。
 以上申し上げましたことは、もちろん産業自体の本質的な点についての対策でございますが、当面いたしております経済調整期間中においての特別な事態については、ただいま申すこととは別途に、特別に配慮をいたさなければならぬ、かように考えておる次第でございます。拍手
  〔国務大臣河野一郎君登壇、拍手〕
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河野一郎#29
○国務大臣(河野一郎君) お答えいたします。
 農村構造改善の予算が非常に少ないじゃないか、こういう御指摘でございますが、われわれといたしましては、十カ年間に全国三千百カ村くらいのものをやりたい、こう考えておりますが、何さま初めてやることでございますから、第一年度におきまして、それぞれの計画準備が十分整いません。したがって、初年度におきましては、おおむね三百カ町村程度にいたしたい、そうして順次これを盛り上げて、所要の予算を組んでおるわけでございまして、決して、大きなことを言うほど中身はないじゃないかというわけではないように御承知をいただきたいと思うのであります。
 第二は、総理からお答えがありましたが、食管制度を堅持するかどうかということについて、蛇足になるかもしれませんが、付け加えさせていただきます。食管制度を堅持するかという御質問は、常に各方面にございます。ところが、昭和十六年にこの制度が発足いたしまして、御承知のとおり、今日まで、常にと申しますか、しばしばと申しますか、その一部内容は、そのときの必要によって、要請にこたえて変わっております。問題は、この基本は、先ほど総理が答えましたとおりに、必要な数量を配給するということでございます。適切な価格でやるということであります。農家に対して、売るものは全部買う、その買う価格は農業経営上必要な価格で買う、この線を必要の食管制度の基本線とわれわれは心得ておりまして、その線に変更を加えるというつもりはない考えでございます。その他の点につきましては、なるべく国家のために合理的に、また、一般国民諸君の要請にこたえて、親切にやっていくことがいいのじゃないかということについて、せっかく勉強をいたしておるということでございます。最後に、お前の言うておった考えはどうかということでございますが、これは、御承知のとおり、私は私の考えを十分各方面に御勉強いただきましたが、なお、一部農村の方々で御理解いただけぬ方がございますので、これをあえて強行することは適切でないというふうに考えまして、先般、われわれの先輩、同僚もしくは学識経験のある方々に多数お集まりいただきまして、これらの方々に十分に御意見を御開陳いただき、御指示をいただきまして、その結論を待って、最終的に今後の食糧問題をどうしていったらよろしいかという結論を得て、私は進むということにいたしたく考えておる次第であります。拍手
  〔曽祢益君発言の許可を求む〕
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