基政七の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○基政七君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております二法案に対して、反対するものであります。
 まず、討論に入ります前に申し上げなければならないことは、本案に対する参議院の審議期間はきわめて短かく、率直に申し上げれば、私ども審議の委員に選ばれた者といたしましては、審議不可能、並びに本案返上をむしろ主張したいところであります。
 このような、きわめて不満足な条件のもとに審議を進めてきたのでありますが、私が本案に反対する第一の理由は、本案は選挙制度審議会の答申の中で最も重要な部分と目される個所を骨抜きにし、さらに、これに対して自民党が四点にわたる修正改悪を加えたという点にあります。そもそも、金のかからない選挙、正しく清い選挙こそは、全国民があげて待望しているところの、わが国における重要な政治目標の一つなのであります。したがって、選挙制度審議会にかけられた期待は大きく、かつまた、審議会設置法の第三条において、政府みずからの提案によって規定したように、「答申を尊重しなければならない」という条項は、審議会にかけられた国民の期待がその背景に厳然として存在しているのであります。もとより今回の答申は中間報告の形で行なわれたものでありまして、選挙制度の全般にわたるものではありませんが、答申案の骨子として、選挙の公明化を期するためには、高級公務員等の立候補を制限する、連座制を強化する、政治資金の規正をきびしくする等が明記されていたのでありまするが、政府案はこれらの諸点を無視したのであります。
 すなわち、まず連座制について、政府案は、答申の意図するところを完全に骨抜きにし、連座が行なわれるについて幾つもの障壁を築くことによって、事実上連座制をなきにひとしいものにしてしまったのであります。すなわち、答申案によれば、一定の者が買収等、悪質な選挙違反を行なった場合には、候補者は自動的に連座することになっていたにかかわらず、政府案はこの自動連座方式を完全に排除し、第一に、親族については、同居しているという条件のほかに、それらが候補者と意思を通じたことを要求し、しかも、その選挙違反行為が禁固以上の刑に処せられ、かつ執行猶予にならなかった場合といったごとき、三重四重の要件を要求しているのであります。しかも政府案では、これだけの要件が満たされた場合においても、なお自動的に連座が行なわれず、検察官が当選無効の訴訟を起こさなければならないことになっているのであります。これは一体何を意味するか。そのことは多言を要せずして明らかなように、当選候補者は、まわりの者が幾ら選挙違反を行なっても、次の選挙が行なわれるまで議員たる身分を継続しておられるという、まことに不都合な状態を法の名において保障しようというものにほかならないのであります。これが答申案の精神を踏みにじり、国民の期待を無視するものでなくて、一体何でありましょう。政府はこの点に関し、法律技術上の問題でいたし方がないと言われておりますが、これは国民を愚弄するもはなはだしき詭弁と申さなければなりません。
 政府のこのような答申無視の態度は、高級公務員の立候補制限の点についても、また同様のことが言えるのであります。すなわち、答申案では、高級公務員は離職後最初に行なわれます参議院全国区に立候補することができないことになっていたにかかわらず、政府案では、そのような制限を一切撤廃してしまい、高級公務員だけでなく、一般公務員にまでその範囲を拡大し、それらの職務利用行為が行なわれた場合に、初めてその当選を無効にするということに、すりかえてしまったのであります。しかもそれは、検察官が訴訟を起こし、刑が確定することを要求しているのであります。このねらいは、一方において、一般下級公務員の国民の資格において行なう政治活動を縛ると同時に、他方では当選無効について種々の要件を要求することによって、目に余る高級公務員の職務を利用した巧妙な選挙運動を事実上野放しにするという意図を含んでいるのであります。われわれは、このような本末転倒もはなはだしい改悪をこのまま容認するわけには絶対にいかないのであります。
 さらに、第三の重要な問題である政治資金の規正の点についても、答申案では一切の政治活動に関する寄附行為の禁止を要求しているにもかかわりませず、政府案は、事実上証明困難である、選挙に関するものだけを規正の対象にするごとによって、政治資金の規正の問題を現行と全く変わりがないように骨抜きにしてしまったのであります。金を使わない選挙、圧力団体から買収されない選挙こそが国民のひとしく要望するものであったにもかかわらず、政府は、この点についての何らの反省も努力も行なっていないというのが、ほかならぬ今回の政府の改正案なのであります。
 最後に一言申し上げておきたいことは、今回の選挙法の改正は、御承知のとおりに中間答申であって、今後、区制、定数と人口のアンバランスの是正、さらに比例代表制をいかなる方法に基づいて取り入れるか等々の重要な内容を持つ答申が行なわれるようになるのであります。この際、私の申し上げたいことは、今回の改正案審議にあたりまして、自民党のとられたる自己本位、自党本位、ゲリマンダー的考えを払拭して、真に国民の期待にこたえ得るよう、ぜひぜひ皆さんの御反省を促したいとともに、政府においても二度と今回のような愚を繰り返すことのないように強く要望いたしまして、私の反対討論を終わりたいと存じます。(拍手)
    —————————————
  〔本号(その一)参照〕
    —————————————

発言情報

speech_id: 104015254X02219620507_010

発言者: 基政七

speaker_id: 9680

日付: 1962-05-07

院: 参議院

会議名: 本会議